今日の朝鮮・韓国ニュース(2024年12/4日分)(副題:尹錫悦の暴挙「非常戒厳」)

「戒厳令、効力失った」与党代表 韓国メディアも「150分で解除」 | 毎日新聞
 尹錫悦*1を評価してない俺ですが、「法律家(検事)出身」だし、「保守勢力の一部」は「軍事独裁朴正熙全斗煥)の流れ」にあるとはいえ、今の韓国は軍事独裁ではないし、既に

盧武鉉*2(今の「共に民主党」の前身政党「開かれたウリ党」)→李明博*3(今の「国民の力」の前身政党「ハンナラ党セヌリ党」)
朴槿恵(今の「国民の力」の前身政党「セヌリ党自由韓国党」)→文在寅*4(「共に民主党」)
文在寅(「共に民主党」)→尹錫悦(「国民の力」)

と「野党による政権交代」も定着しているし、まさか「疑惑追及」をする野党を潰そうと「戒厳宣告」するほどの無法者だとは思いませんでした。そもそも尹が名前を売ったのは「検事時代の朴槿恵疑惑追及」なのでそんなことをするのは「検事時代の全否定」も同然ですし。
 崔順実ゲート事件 - Wikipedia(朴が崔に不当に便宜を図っていた疑惑)追及で大統領辞任に追い込まれた朴槿恵ですらそんなことはできませんでしたし。
 「疑惑を追及され」、また「少数与党のため」政権運営に苦慮してはいても、「朴槿恵時代」と違い、尹即時退陣を求める大規模デモが起こったわけでもなければ、支持率低迷とは言え、朴に比べればまだ高いですし、野党側も「最大野党・共に民主党」代表の李在明氏*5が「政府の意向を受けた検察の国策捜査」「自分は無実」と主張してるとは言え「城南市長時代、民間不動産ブローカーと癒着した」とする疑惑を追及されたこと(李在明 (政治家) - Wikipedia参照)もあって「野党支持率が与党を大幅に圧倒」してるわけでもない。今のところ、与党において尹批判は勿論あったとは言え「尹おろし」が現実化していたとも言えない。尹の暴挙は常軌を逸しています。
 いずれにせよ野党や「野党寄りのマスコミ(例:ハンギョレ)」は勿論、与党や「政府寄りのマスコミ*6(例:朝鮮日報)」からも賛同はなく、

 韓国の与党「国民の力」の韓東勲代表は4日未明、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜に宣布した「非常戒厳令」の解除を要求する決議案を(ボーガス注:野党だけでなく与党も賛成して)国会が可決したことを受け、声明を発表した。韓氏は「今回の国会の決定で、違法な戒厳の宣布はその効力を失った」と強調した。
 韓国の憲法では、国会の在籍議員の過半数が要求すれば大統領は非常戒厳令を解除しなければならない。韓国メディアは「150分で解除された戒厳令」と報じている。
 韓氏は「今後この戒厳令に基づいて軍や警察が公権力が行使するのは違法だ」と述べた。

ではもはや尹も「終わり」ではないか。
 そもそも韓代表は「検事出身で、検事時代は、同じく検事出身だった尹の部下(検察総長だった尹の下で、大検察庁反腐敗部長)」で「上司である尹の政界入りとともに一緒に政界入り」し「尹政権で法相」という「最側近だった人物」です(韓東勲 - Wikipedia参照)。そんな人間ですら尹を見捨てたことの意味は大きいでしょう。
 1)そんな最側近だった人物ですらかばえないことをしているということであるとともに、2)戒厳宣告を尹が「イエスマン相手にしか相談しなかったこと」を意味してると見るべきでしょう。
 というか「終わるべき」でしょう。「上院襲撃扇動のトランプ」「パワハラの斎藤」同様、もはや「民主主義の敵」でしかない。
 俺の願望込みですが「兵庫の斎藤(パワハラでも再選)」「米国のトランプ(上院襲撃扇動でも復権)」のような事態はさすがに起きないのではないか。
 在韓米軍を置く米国もさすがに「尹批判」に動くでしょうし。そして尹辞任を契機に「彼の疑惑」が本格追及されるべきです。
 しかし今回の件ほど「自民や維新が主張する緊急事態条項」のやばさを明白にした事件もないでしょう。
 「そうした事態が起こるかどうか(自民下野レベルに政権が危うくならないとそもそもやる動機がない)」「(マスコミや野党の批判等で)実際にやれるかどうか」はともかく緊急事態条項を定めればこうした事態が日本でも起きかねません。
 それにしても韓国でもこれを契機に「大統領権限の縮小」「戒厳制度の改正(発動しづらくする、あるいはそもそも廃止する)」を考えた方がいいかもしれない。
 なお、これで尹が大統領を辞めれば、「朴辞任」時と同様に大統領選挙が行われますが、「尹個人の暴走」なので、「朴辞任後の選挙」で「文在寅氏(当時、「共に民主党」代表)が勝利した」ように野党が勝つかどうかは何とも言えないかと思います。俺個人は「野党勝利」を希望しますが。


韓国の非常戒厳「閣議を通じて解除」ユン大統領が会見で発表 | NHK | ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領
 さすがに国会決議を無視して「戒厳を強行し続けること」はできなかったわけで「まずは幸い」です。

韓国市民とメディアが阻止した戒厳令 - 高世仁のジャーナルな日々
 戒厳令を受けて出動した軍の兵が携えていた拳銃の弾倉は空で、自動小銃も模擬弾倉だった。仮に今の自衛隊が同じ立場となったら、司令官はこうした矜持を示せるだろうか?

ということで「軍の非協力も大きかった」わけですが、これで尹も終わりでしょう。
 というか終わるべきです(大統領辞任に追い込むか、弾劾決議可決で更迭すべき)。こんな「民主主義、法治主義を無視の無法」は「一般的な失政」とは話が違う。撤回して済む話ではない。
 それにしても、既成事実を作れば与党は戒厳に「渋々でも」賛成し、乗り切れるとでも甘く考えていたのか(実際は与党も反対)。
 なお、以下の高世の指摘には全く同感です。

韓国市民とメディアが阻止した戒厳令 - 高世仁のジャーナルな日々
 近年、韓国、台湾などの民衆の意識の高さを見せつけられ、学ぶべきことが多いと感じる。ひるがえってわが日本は、と考えるとお寒い限りだ。日本が劣化しているのは経済だけではない。なんとか立て直さなくては。
 メディアが権力と闘わず、市民が悪政に声を挙げず、軍隊(自衛隊)内の人権意識、憲法順守精神は希薄な日本。同じことが起きれば阻止されることもなくすんなり戒厳令が敷かれるだろう。
 憲法に非常事態条項を入れるという議論をやる場合、今回の事態を教訓にすべきだ。

*1:ソウル中央地検長、検事総長等を経て大統領

*2:金大中政権海洋水産部長官等を経て大統領

*3:ソウル市長等を経て大統領

*4:盧武鉉政権大統領秘書室長等を経て大統領

*5:京畿道城南市長(2010~2014年)、京畿道知事(2018~2022年)を経て現在「共に民主党」代表

*6:野党だけでなく、与党やマスコミも戒厳下に置かれ活動制限されるのである意味当然ですが