『ウクライナはなぜ戦い続けるのか』発売! - 高世仁のジャーナルな日々
1)「日清戦争での日本勝利」「太平洋戦争での米国勝利」等のような軍事的勝利(ロシア、ウクライナどちらが勝利するにせよ)
2)「イラン・イラク戦争での終戦(イラン、イラク共に体制崩壊せず。イラクのフセイン体制が崩壊するのは2003年の米国のイラク侵攻)」「朝鮮戦争での停戦(事実上、終戦だが、正式に講和条約が結ばれてないので建前上は終戦してない。38度線も建前では国境ではなく停戦ライン)」等のような「双方痛み分けの終戦(軍事的勝利が無理なので)」
のどちらかでない限り戦争は続くでしょう。
そして現時点では「NATOの軍事支援でウクライナが勝利できないまでも、ロシアに対抗(一方で西側のロシア経済制裁もロシアに戦争断念をさせるまでの効果無し)」「ロシアとウクライナの主張が大きく違い和平の可能性も低い」ということで、1)、2)いずれの可能性も低いだけの話です。とはいえ勿論「終わらない戦争」はありませんが。「何時どんな形で終わるか」はともかくウクライナ戦争もいずれは終わります。
【追記】
「NATO加盟で終戦」シナリオ支持64% ウクライナ世論調査、領土一部断念の容認は最多 - 産経ニュース2025.1.4
ウクライナのキーウ国際社会学研究所は3日、ロシアの侵攻に関して昨年12月に行った世論調査結果を発表した。ロシアが東部・南部4州とクリミア半島の占領を継続するものの、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟して真の安全保障を確保するとの戦争終結シナリオに64%が賛成すると回答した。
昨年6月の調査と比べて17ポイント増加した。「全く受け入れられない」とした回答は21%だった。
別の設問では「平和を早期に実現し独立を保つために、領土の一部*1を断念してもよい」と回答した人が38%になり、2022年に全面侵攻が始まって以降の調査で最多となった。「いかなる状況でも領土を断念すべきではない」とした回答は51%だった。
「NATOへの加盟」という条件付き*2ながら「現状のロシアによる4州支配」を国民が受け入れ、ウクライナ政府も受け入れる可能性が出てきました。「ウクライナの士気の高さ」をアピールし、抗戦論を美化し、早期終戦論(停戦論)に悪口する高世ですが、「ウクライナの士気の高さ」は相当程度「ウクライナ政府の公式宣伝」にすぎなかったのではないか。ウクライナ側も「長期戦による疲弊」で、国内にかなり「早期停戦論(終戦論)」が台頭し始めたのではないか。
勿論「ウクライナ支援に消極的な言動が目立つトランプ」が大統領選で勝利したことも影響してるでしょう。
ウクライナ世論調査 “戦争に耐える用意ある” 1年間で16pt減 | NHK | ウクライナ情勢2025.1.13
ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく3年となる中、ウクライナで行われた最新の世論調査で「必要なだけ戦争に耐える用意がある」と答えた人の割合は57%で、この1年で10ポイント以上減少しました。また「答えることが難しい」という人は11ポイント増え18%でした。
研究所のフルシェツキー代表は「最も重要なのは前線の状況だ。ウクライナ東部で領土を失い、国民の気持ちや意見に影響を与えた。多くの人たちは何らかの和平合意に署名する方がよいと考え始めた」と述べ、ウクライナ軍が去年、苦戦を強いられたことが大きいと分析しました。その上で「人々はどんな犠牲を払ってでも平和を求めているわけではない」とも述べ、和平に向けては(ボーガス注:ウクライナのNATO加盟など)ウクライナの安全を確保できるかが鍵になるとしています。
ドネツク州コスチャンチニウカから避難した女性は「戦争には耐えられません。『どこもいいが、自宅が最高だ』という言葉もあります。和平交渉が始まることを願っています」と話していました。
別の男性は「多くの友人や知人が亡くなり、悲しみや不幸を感じています。戦闘が停止し自宅に戻れることを願っています」と話していました。
また、別の女性は「戦争が始まってほぼ3年です。平和で平穏な暮らしがほしい。トランプ氏には、約束通りウクライナに平和をもたらすため、全力を尽くしてほしい」と話していました。
勿論「耐える用意がない」イコール「とにかくロシアとの和平交渉を(もちろんそれもあるでしょうが)」では必ずしもなく「欧米が軍事支援をもっとして、早くウクライナ軍勝利を」もあれば「とにかくもはや精神的(あるいは経済的)に耐えられない。このままでは精神(あるいは生活の経済面)が破綻してしまうので、できれば早く終わらせて欲しいが、どう終わらせるべきかは分からない」もあるでしょうが、戦争の長期化もあって、高世が言うほど、ウクライナ国民皆が「戦争意欲に燃えてる」わけではないでしょう。
【追記終わり】
今回の韓国の事態を私は驚嘆しながら見ている。一つは、民主主義的な手続きで選ばれたリーダーが、民主主義を自ら破壊する行動をとる可能性を目の当たりにしたことの驚きだ。
既に我々は「上院襲撃扇動のトランプ」を見ているのでそうした面での驚きは俺にはなかったですね。
とはいえ「元検事総長」というエリートが、ここまで愚劣だとは思ってもみませんでしたが。
6日の朝日新聞夕刊は、東京・立川市の拘置所で、中村医師の『希望の一滴*3』を課題本にして受刑者の読書会が開かれたとの記事を載せている。
大麻の元売人、中村哲さんに思いをはせる 拘置所で受刑者らが読書会 [東京都]:朝日新聞デジタル
この読書会の進行役は「刑務所での取材経験が豊富なジャーナリストの大塚敦子さん*4と、自ら30年以上読書会を続けてきた翻訳家の向井和美さん*5」
問題はこの読書会がどういう経緯で始まったのかと言うことですね。
自主的なら問題ないですが「刑務所側の主導」であるならば、それは特定の価値観の押しつけであり、問題でしょう。
その辺りは高世の記事では良く分かりませんが。
なお、俺個人は「自分でも自覚してる」が
1)コミュニケーション能力に難がある(口下手で上手く言いたいことが伝わらない)
2)人付き合いが苦手
3)本の趣味や評価はかなり違うと思うし、ポーカーフェイスができない人間なので「自分の評価できない本を素晴らしいという人間(例:松竹本を褒める神谷)」「自分の好きな本を評価しない人間」に出会ったときに「不愉快な表情」がもろに顔に出て、反発を買い、喧嘩になりそうで怖い
ので「読書は好き(但し読む本には偏りがある、理系関係の本はまず読まないし、小説もミステリと時代小説以外はほとんど読まない*6)」ですが「読書会はノーサンキュー」ですね。いや参加すると意外と「はまる」かもしれませんが。
なお、「読書会」でググると向井『読書会という幸福』(2022年、岩波新書)以外にも
◆山本多津也『読書会入門』(2019年、幻冬舎新書)
がヒットします。「読書会」て今、人気なんでしょうか?
*1:勿論「ウクライナ全面侵攻」以前からロシアが支配していたクリミアも含むのか、全面侵攻以降に支配した領土(4州など)に留まるのか、「一部」が何を意味するかで話は大きく変わります。
*2:勿論、ロシアはウクライナのNATO加盟に反対ですし、NATO加盟各国の側も将来はともかく「現時点でのウクライナのNATO加盟」に必ずしも賛同ではなく、現時点でウクライナのNATO加盟が認められるかは不明です。
*4:著書『都会で犬や猫と暮らす』(共著、2002年、岩波ブックレット)、『子どもの共感力を育む:動物との絆をめぐる実践教育』(共著、2010年、岩波ブックレット)、『介助犬を育てる少女たち』(2012年、講談社)、『〈刑務所〉で盲導犬を育てる』(2015年、岩波ジュニア新書)、『犬、そして猫が生きる力をくれた:介助犬と人びとの新しい物語』(2016年、岩波現代文庫)、『動物がくれる力』(2023年、岩波新書) 等
*5:著書に向井『読書会という幸福』(2022年、岩波新書)、訳書にアン・ウォームズリー『プリズン・ブック・クラブ:コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』(2016年、紀伊國屋書店)、デボラ・キャメロン『はじめてのフェミニズム』(2023年、ちくまプリマー新書)等
*6:なのでミステリや時代小説が受賞することが少ない「芥川賞」「直木賞」「本屋大賞」はまず読みません(なお、少ないだけで皆無というわけではない(例えば直木三十五賞 - Wikipedia参照)