フジテレビをかばう産経の詭弁を批判する(2025年2/1日分)

<主張>週刊文春の「訂正」 倫理綱領の姿勢に反する 社説 - 産経ニュース

 日本新聞協会が定めた「新聞倫理綱領」は「報道を誤ったときはすみやかに訂正し、正当な理由もなく相手の名誉を傷つけたと判断したときは、反論の機会を提供するなど、適切な措置を講じる」と定めている。
  同様に日本雑誌協会の「雑誌編集倫理綱領」は「真実を正確に伝え、記事に採り上げられた人の名誉やプライバシーをみだりに損なうような内容であってはならない」と求めている。

 文春に悪口の産経ですが心底呆れますね。

yanagiharashigeo.com - コラム日記 »コラム日記» ブログアーカイブ » 産経・阿比留論説委員が民進議員に「連敗」確定2017.4.6
 産経新聞の阿比留瑠比論説委員民進党小西洋之参院議員に名誉棄損で訴えられていた裁判で、最高裁は4月4日付で阿比留氏の上告を退ける決定を下した。これは阿比留氏が自身のフェイスブックに書いた文章を事実無根として訴えられていたもので、110万円の支払いを命じられていたもの。このほかにも阿比留記者は民進党辻元清美*1代議士からも名誉棄損で訴えられて80万円敗訴した過去があり、民進党議員に裁判で2連敗した格好。

ということで「デマ報道で小西議員、辻元議員に裁判で敗訴した阿比留」を論説委員に出世させた新聞が良くも言ったもんです。産経の方こそ「新聞倫理綱領に反する存在」ではないか。
 大体、報道訂正していいとは言いませんが、文春の報道「X子さんは性加害のあった会食に、フジ幹部A氏から呼ばれたのではなく、中居から直接呼ばれた」なんて「フジの上納疑惑」の否定にはならないし、ましてや「中居は性加害しなかった」「中居の性加害に対してフジは適切な態度を取りX子さんも納得してる」「中居は引退表明しなくて良かった、港社長、嘉納会長も辞任しなくて良かった、第三者委員会の設置も必要ない。ACジャパンCMに差し替えてる企業はすぐにフジへのCM出稿を再開しろ」と言う話ではない。
 要するに文春の報道訂正は「裁判で敗訴した阿比留のデマ記事」と違い、話の本質と全く関係ない。
 文春も「フジテレビ・中居問題 記事の訂正について」【編集長より】 | 文春オンラインで、「X子さんは中居氏との会食は、『A氏がセットした集団での会食の延長』と理解していた」「事件前の中居の自宅でのBBQパーティーはA氏がX子さんを呼んだ」「従って性上納疑惑という話の本筋には関係ない」としていますが全く同感です。
 大体それなら【速報】「職務執行が困難」フジテレビ編成幹部A氏が異動で“人事局付”に | TBS NEWS DIG等が報じるフジ幹部A氏への「人事局付」扱いはどういうことなのか。
 過去にも

接待問題の総務省局長ら2人、20日付で大臣官房付に:朝日新聞2021.2.19
 総務省幹部4人が菅義偉*2首相の長男の勤め先「東北新社」から接待されていた問題で、総務省は19日、幹部4人のうち秋本芳徳*3情報流通行政局長と同局担当の湯本博信*4大臣官房審議官の2人を、20日付で大臣官房付とする人事を発表した。

厚労省 職員送別会問題で処分発表 主催の課長は事実上の更迭 | 新型コロナウイルス | NHKニュース2021.3.30
 厚生労働省の職員23人が、(ボーガス注:コロナ禍で不要不急の外出自粛を求めてるにもかかわらず)都内の飲食店で深夜まで送別会を開いていた問題で、厚生労働省は、会合を主催した老健局の老人保健課長を減給1か月としたうえで大臣官房付に異動させる処分を発表し、事実上、更迭しました。
 厚生労働省によりますと、老人保健課長は「政府が国民に自粛を求めていることも承知していたが、介護報酬改定を一緒に頑張ってきた仲間に感謝を表する場を設けたいという気持ちが勝ってしまった。軽率で浅はかな判断だった」と話しているということです。
 また、送別会が開かれた飲食店には、飛まつ防止のアクリル板などは設置されていなかったとしています。

厚労省審議官を大臣官房付に 文春で部下へのパワハラ報道:朝日新聞2023.6.8
 厚生労働省は8日、松本圭大臣官房審議官(53)=職業安定、労働市場整備担当=を7日付で大臣官房付にする人事を発表した。
 松本氏を巡っては、8日発売の週刊文春で、4月下旬に部下に対するパワハラ行為があったと報じられていた。

京都府警 白井利明本部長「殺すぞ」などと不適切発言 府議会で陳謝 訓戒処分で異動へ | NHK | 京都府2024.10.3
 京都府警察本部の白井利明本部長が部下に対し「殺すぞ」などと(ボーガス注:パワハラ)発言した問題で、白井本部長は3日開かれた府議会で陳謝したうえで、警察庁から訓戒の処分を受け、今月14日付けで警察庁長官官房付への異動の内示を受けたことを明らかにしました。

という記事があることで分かるように「官房付」「人事部付」などの「人事担当部署付き」は「問題を起こしたので処分する前提」であることが多い。フジテレビも「幹部をいずれ処分せざるを得ない」と理解してることは明白でしょう。

 27日にはフジテレビが10時間を超える会見を行い、ここでも編成幹部の直接関与の有無について長時間の押し問答が続いた。「訂正」が会見前に周知されていれば、その様相は全く異なったはずだ。

 詭弁にも程があります。訂正が「10時間会見前」でも「ロングラン会見」という事態は恐らく変わらなかったでしょう。何も「会食にX子さんを呼んだのは誰か、中居かフジ幹部A氏か」だけが記者会見で聞かれたわけではないし、ACジャパンにCMを差し替えてる企業もそんなことだけを問題にしてるんじゃない。
 だからこそ、文春訂正報道後も「ACジャパンに差し替え」と言う状況は全く変化がない。「正式に第三者委員会の調査発表がされるまでは評価できない(あの記者会見だけでは再開できない)」と「CM放送を取りやめた」多くの企業は判断し、企業CMは全く流されていない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9135a3e46da2228167e3d8c64c10d9bf1ef5aec92025.2.2
 2日放送の日本テレビ系報道番組「真相報道バンキシャ!」(日曜・午後6時)では、中居正広氏と女性とのトラブルに端を発する一連の問題に揺れるフジテレビの現状を特集した。
 現在フジへのCM出稿を控えているスポンサー企業41社に緊急アンケート。週刊文春が中居氏と女性との会食を巡るトラブルを報じた第1弾の記事について、フジテレビ社員の関与について内容を訂正したことについては「これをもってフジテレビのガバナンスや人権の観点での懸念が払拭されたとは考えていません」、「フジテレビ社において人権侵害に対しての疑義があることに変わりないため、第三者委員会への調査協力などを通じた事実解明と、それに基づく適切な対応を引き続き求めてまいります」などの声が集まったとした。その上で週刊文春の訂正がCM放送の判断に影響すると回答した社は0だったと報じた。

と言う報道もあります。 

https://news.yahoo.co.jp/articles/df58af2b5dbe2b4b7c669e7ad50b9227645588ee2025.2.7
 給湯器の設置などを手掛けるキンライサーは7日、フジテレビのCM放送を再開したことを公式Xで発表した。

などという「企業CMを再開した企業」は少数派にすぎない。
 その結果、産経も最後には

 ただ、この「訂正」によってフジテレビに向けられた批判の全てが消え去るものではない。被害女性とのトラブルを、社内コンプライアンス部門にさえ伝えず(ボーガス注:引責辞任した嘉納前会長、港前社長など)少数の幹部で対応にあたったガバナンスの問題や、トラブルの認識後も(ボーガス注:フジ『だれかtoなかい』など)中居氏の番組への出演を続けた判断の過程など、明らかにすべき事項は数多い。第三者委員会の報告のみを待たず、報道機関としての自主的解明にも力を尽くしてほしい。

と言わざるを得ないのは滑稽です。
 それにしても『この社説』に限りませんが産経記事では日枝氏の進退焦点 「企業風土の礎つくった」―フジテレビ:時事ドットコム(2025.1.27)等、他社の記事と違い、「日枝相談役の辞任論」にほとんど触れないことが滑稽ですね。産経が「フジテレビと関係がある会社として日枝を批判したくない」というのがあまりにも露骨すぎる。

*1:社民党政審会長、国対委員長鳩山内閣国交副大臣民主党政調副会長、民進党幹事長代行等を経て立民党では政調会長国対委員長を歴任し、現在、代表代行(つながる本部長代理、ジェンダー平等推進本部長、広報本部長兼務)。著書『いま、「政治の質」を変える』(2012年、岩波書店)、『デマとデモクラシー』(2016年、イースト新書)、『国対委員長』(2020年、集英社新書)、『声をつなぐ:崖っぷちで見つけた「希望のデモクラシー」』(2022年、中央公論新社)、『女の子でも総理大臣になれる?、国会への道』(2024年、偕成社)等

*2:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官、首相を経て2025年現在、自民党副総裁

*3:1961年生まれ。郵政省大臣官房総務課課長補佐、電気通信局電気通信事業部データ通信課課長補佐、大臣官房国際部国際政策課課長補佐、総務省総合通信基盤局国際部国際政策課課長補佐、総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課課長補佐、総合通信基盤局総務課課長補佐、情報通信政策局情報通信政策課長、情報流通行政局地域通信振興課長、情報流通行政局放送政策課長、総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課長、総合通信基盤局総務課長、大臣官房企画課長、総合通信基盤局電気通信事業部長、情報流通行政局長等を歴任(秋本芳徳 - Wikipedia参照)

*4:但し、その後、総務省総合通信基盤局長として復権(例えば総務省事務次官に竹内芳明氏、総務審議官は横田信孝氏ら 幹部人事 - 日本経済新聞(2024.6.28)参照)