新刊紹介:「経済」2025年5月号

「経済」5月号を俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
特集「人間の自由とマルクス
◆『資本論』が描いた未来社会と人間の自由(萩原伸次郎*1
(内容紹介)
 「資本論」について「自由時間」の観点から論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


マルクス疎外論から「自由な時間」を考える(岩佐茂*2
(内容紹介)
 マルクスの「疎外論」について「自由時間」の観点から論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


現代日本の労働時間をめぐる戦い(福島利夫*3
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗主張/過労死防止法10年/国の責任で法的規制の強化を2024.8.13
 労働基準法は残業の限度時間を月45時間、年360時間と定めています。しかし、「臨時的な特別の事情がある」場合には年720時間(休日労働を含めると960時間)、月100時間未満、2~6カ月の月平均で80時間以内の残業を認めています。
 過労死ラインを容認するこのような特例は廃止しなければなりません。

赤旗主張/2025年国民春闘/賃上げと「時短」へ政治の力を2025.1.26
 日本共産党は「自由時間拡大推進法」を提唱して「1日7時間、週35時間制」をめざし、残業規制強化や中小企業の時短の支援策を求めています。


◆統計から見る労働者の生活時間(水野谷武志*4
(内容紹介)
 日本では男性(夫)の企業内労働時間が長いこと等から「女性(妻)の家事育児労働時間」が夫に比べて長いことを指摘。
 妻に偏る「家事育児負担を減らし」、家事育児分担を男女平等にするためにも「男性の企業内労働時間短縮」が求められるとしている。
参考

家事・育児、15年前と同じ夫婦間格差 カギを握る横並び意識とは?:朝日新聞2022.9.30
 総務省が5年に1度、国民の生活スタイルを調べる「社会生活基本調査」で、家事関連時間の男女格差は、15年前と変化していないことがわかりました。
 6歳未満の子を持つ夫婦の家事育児に関連する時間の夫婦の差は、共働きの場合、1日あたり4時間38分。15年前と全く同じです。夫が59分から1時間55分に伸びた一方、妻も5時間37分から6時間33分と伸びたためです。


◆のぞましい睡眠時間とは(杉田義郎*5
(内容紹介)
 医学的に望ましい睡眠時間は「高校生以上~大人が8時間程度、小学生が10時間程度、幼稚園児が12時間程度(高齢なほど短く、幼いほど長くなるが、高齢者でも8時間程度が望ましい)」だが実際には6時間未満の睡眠が多いことが指摘される。


◆大学学費・奨学金の負担軽減へ(大内裕和*6
(内容紹介)
 『奨学金が日本を滅ぼす』(2017年、朝日新書)の著書があり、「学費軽減(国立大学交付金や私学助成の増額など)」「奨学金負担軽減(返済が必要な貸与型奨学金ではなく、返済不要な給付型奨学金を増やす、貸与型奨学金もできる限り低利子にするなど)」の運動に取り組む筆者が改めて「学費軽減」「奨学金負担軽減」を主張している。
参考
赤旗
高等教育(大学・短大・専門学校)の無償化へ――ただちに学費・奨学金返済を半額にし、計画的に無償化をすすめていく│教育費負担・教育条件│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会2023.6.5
高等教育無償化へ提言/学費・奨学金返済半額 直ちに/田村政策委員長が会見2023.6.6
学費値上げを止めるための緊急の予算措置を求めます/2024年11月27日 日本共産党2024.11.28
主張/学費値上げ中止へ/政府は大学支援の緊急措置を2024.12.25
全学生に学費無償化を/大学修学支援法改定案 吉良氏が強調/参院本会議2025.3.27


◆生成AIとは何か、それは社会に何をもたらすか(金谷義弘*7
(内容紹介)
 生成AIが経済や社会に与える影響について論じられているが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考
赤旗
主張/生成AIの利用/規制・ルール作りが欠かせない2023.4.15


◆「ネオリベ経済学」と人間の自由(阿部太郎*8
(内容紹介)
 「ネオリベ新自由主義)経済学」に基づく施策によって、労働時間規制が緩和され「自由な時間」が脅かされてることを指摘。労働時間規制の重要性が指摘されている。


◆生活経済からみる現代日本社会(森脇丈子*9
(内容紹介)
 賃金上昇が物価高に追いついておらず、経済的豊かさを労働者が感じられないことを指摘し、対策として
1)賃金の上昇
2)社会保障給付など再分配の強化
3)消費税減税など負担軽減
が主張される。


◆自由時間を過ごすには技術も必要(長久啓太*10
(内容紹介)
 高崎順子*11『休暇のマネジメント』(2023年、KADOKAWA)等を題材に「自由時間を過ごす技術」が論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考

休暇のマネジメント - 長久啓太の「勉客商売」2024.1.29
 『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(髙崎順子、KADOKAWA、2023年)を読み終える。
 フランスの有給休暇の取得方法は一般的な労働者の場合、夏の期間に3週間、クリスマス期間に1週間、その他の期間で1週間、合計5週間(法律で義務化されている)。
 以下、本書より自分のためのメモ。
 「今の日本には、働き方と同じだけ、休み方を考えることが必要だ」(8P)
 「『休めたら休もう』『休めなかったら仕方ないから働こう』は、あり得ない。なにがなんでも休む。そしてその責務を担うのは雇い主というのが、フランスのバカンス制度の柱です。」(82P)
 「看護師がバカンスを取ることを悪く思う患者さんには、フランスでは会ったことがないです。みなさんむしろ、『しっかり休んできてね』と送り出してくれる。看護師が休養できないと、その余波は自分達に返ってくると知っている」(132P)

日本を「休める国」に変えるには バカンス大国フランスに学ぶ「休暇のマネジメント」:朝日新聞GLOBE+2023.6.21
 髙崎さんがフランス人の「バカンス」を本格的に取材しようと思ったのは、フランスの家族政策についての著書(「フランスはどう少子化を克服したか」新潮新書*12)を書いたことがきっかけでした。
 出生支援と男女平等のために家族政策を作り、日本より高い出生率を保つフランス。そのなかでもいわゆる「男の産休」など、親に育児時間を与える制度が普及していること、休暇が権利として定着していることや「休みを取らせるのは上司の責任」となっていることなど、「すべて働き方と直結している」と感じたといいます。そこで、様々な職種の人に「バカンスの取り方」を取材し、「休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方」(KADOKAWA)を出版しました。
 フランスでバカンス制度の基盤が生まれたのは1936年のこと。全国の労働者に「年に1回、原則連続取得で15日間取得させる」という年次有給休暇が法律で保障されました。
 髙崎さんは「この法律のポイントは、15日間のまとまった休みだという部分」と話します。日本は祝日などの日数は多いけれど、「細切れの休みではだめなんです。1日、2日だと『休養』や『家事』ですぐに終わってしまう。自分がやりたいことができる、まとまった自由な時間が人間には必要だというのが、法律の理念なんです」。
 それまでフランスでは富裕層や一部の人たちの特権だったバカンス。長期休暇は人間の尊厳のために必要だという崇高な理念をもとに、庶民、労働者たちも楽しめるようにと定めた法律だったが、庶民が喜んで飛びついたわけではありませんでした。この法律に当の庶民から反発があったのです。
 「休暇明けには仕事がなくなっているのでは?」という疑心。そして「遊びに使う金がない」という金銭面に加え、「働かずに余暇にいそしむのは金持ちの道楽」という心理的な側面。そしてそもそも経験したことのない長期休暇の価値や意味が分からなかったため、と髙崎さんは解説します。
 当時の庶民は、休みの日には親戚の農作業や商売を手伝うなど、別の仕事をする人も多く、「フランス人も日本人のように休み下手だったんです」。
 そこで政府は国が主導して長期休暇の運用支援に乗り出します。バカンスを担当する省をつくり、実際に利用できるよう様々な施策をとった。遠距離の電車賃の大幅値引き、観光施設や美術館、劇場などの文化施設への後援や割引支援などです。
 でも、そんなに一度に多くの人が休んで、経済に悪影響はないのでしょうか。
 髙崎さんによると、何千万人もの人が、毎年決まった時期に、およそ月収の一カ月を消費するバカンスは、むしろ一つの国家的な経済モデルになってきたといいます。
 バカンスの典型的な過ごし方は、日常から離れ、自宅から遠く離れた場所に滞在するというもの。人が動くとお金も動く。観光業はもちろん、1950~1960年代には高速道路の整備やリゾートの再開発などのインフラ整備が行われました。
 また生産性を高めるという意味でも、長期休暇はその効用が認められています。経営者たちに話を聞いても、「長く働いてもらうには長期休暇が必要」「しっかり休ませ、効率良く働いてもらう」という意識が根付いていました。


◆資本による労働の包摂と解放(上):マルクス「社会変革の主体的条件成熟」論から考える(関野秀明*13
(内容紹介)
 「資本による労働の包摂=労働強化」にどう対抗していくかが論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


◆「働く貧困」の広がりと「少子化」の加速(上)(藤田宏*14
(内容紹介)
 ワーキングプア(低賃金の非正規雇用=「働く貧困」)の広がりが「少子化を助長してること」を指摘。
 少子化克服のためにも「正規雇用の増加」「再分配の強化」など「ワーキングプア」を減らす施策が求められると主張している。


◆日銀「多角的レビュー」を検証する(相澤幸悦*15
(内容紹介)
 日銀「多角的レビュー」が未だに「異次元の金融緩和(アベノミクス)」を正当化していることを批判しているが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。

参考

日本の物価目標は2%でいいのか~問われる「多角的レビュー」の意義(愛宕伸康) | トウシル 楽天証券の投資情報メディア*162024.5.29
 日本銀行は5月21日、25年にわたって行ってきた非伝統的金融政策を検証する「多角的レビュー」の第2回ワークショップを開催しました。
 日本経済新聞によると、ワークショップに参加した吉川洋*17東大名誉教授が、「外科手術をすれば治るということで手術した。一定の効果はあったが治らなかった。理由は『患者の体質が悪いから』。こういう説明が患者にアクセプト(容認)されるのだろうか」と発言したとか。
 外科手術は異次元緩和、患者は国民、体質は価格据え置きを当然と考える「ノルム(慣習)」のことですが、確かにそんな発言をされていました。なるほど、「期待に働きかける」といって実施した異次元緩和の効果が思うように出なかった原因を、期待を形成する国民の側に求めているわけですから、吉川氏の指摘もうなずけます。
(中略)
 多角的レビューでなぜ、(ボーガス注:大規模金融緩和で)物価上昇率2%が実現できなかったのかを解明するのはもちろん重要なことですが、そもそも日本経済にとって2%が妥当な水準なのか、2%が実現できなかった場合に金融政策運営をどうするのかについても、そろそろ真剣に議論すべき時期に来ているように思われます。そうした議論につなげるところにこそ、多角的レビューの意義があるように思うのですが。

 これ以外にも下で吉川洋氏の「大規模金融緩和」についての発言を紹介しますがいずれも「全否定と言っていい酷評」ですね。

日銀多角的レビュー、ノルム偏重の議論に吉川参与が苦言 | ロイター2024.6.27
 日銀が5月に開いた金融政策の多角的レビューのワークショップでは、出席した日銀参与の吉川洋東京大名誉教授から、多角的レビューでの論点の立て方について苦言が出ていたことが分かった。
 吉川氏は、2013年からの量的・質的金融緩和(QQE)について、日本経済の低迷の原因はデフレであり、デフレは「貨幣的な現象」であるからマネーを増やせば問題は解決する、という主張に基づくものだったと指摘。
 その上で「今回の多角的レビューにおいて、この点の是非について議論せずに、物価上昇率が2%まで上がらなかった原因として金融政策以外の要因であるノルム(慣習)について議論している」とし、議論の内容自体に違和感はないが日本銀行の対外的なコミュニケーションとして大きな違和感がある」と語った。
 吉川氏の発言に対し、内田真一*18副総裁は「コミュニケーションの問題についてのご指摘はしっかり受け止める」と述べた。

多角的レビューとは 25年間に及ぶ金融緩和策を検証 - 日本経済新聞2024.12.20
 東大の吉川洋名誉教授は「金融緩和が消費を押し上げることに貢献したとは到底言えない」など異次元緩和の効果について厳しく指摘した。

FRBと日銀はいずれもトランプ氏の政策に対して「慎重化」 利上げのタイミングが遅れ、ターミナルレートは低水準になる可能性 | TBS CROSS DIG with Bloomberg2024.12.23
 日銀は「多角的レビュー」の結果を公表した。ポイントについては後述するが、そもそも「多角的レビュー」とは何のために実施されたのかという点を今一度考える必要がある。これは、植田総裁が政策が複雑化して泥沼化していた異次元緩和に区切りをつけ、普通の金融政策に回帰するための1つのきっかけにするために始まったものだと、筆者は解釈している。むろん、日銀が組織として過去を全否定することは考えにくいため、きっかけというよりも形式的な儀式のようなものに近いのかもしれないが、組織として考えをリセットするには有効な手段だったと考えられる。
 しかし、異次元緩和からの脱却は「多角的レビュー」よりも先に訪れた。円安が進む中で金融緩和からの脱却が避けられなくなり、2024年3月にYCC(イールドカーブ・コントロール)とマイナス金利は解除された。おそらく想定よりも早く異次元緩和から脱却したことにより、今回公表された「多角的レビュー」は異次元緩和の効果を後から正当化するような位置づけの資料になってしまった。仮に、依然として異次元緩和が続いていたとすると、(ボーガス注:不十分とはいえ、物価上昇率2%目標が達成できなかったことなど問題点をある程度認めた)今回の「多角的レビュー」はもっと注目されていたのだろう。
 ここで、重要なのは当初の想定では2024年末くらいに「多角的レビュー」を公表し、それをきっかけに異次元緩和の脱却を進めていこうというスケジュール感だった可能性が高いということである。今から考えれば非常にゆっくりな変化のように思われるが、筆者もマイナス金利の解除は非常に難しいと、当時は考えていた。そのように考えると、異次元緩和からの脱却(普通の金融政策に向けた動き)はかなり急ピッチで進んできたと言える。円安圧力への対応が必要ない場合(時間的余裕がある場合)、植田*19総裁は市場が考えている以上にゆっくりと利上げを進めていくべきだと考えている可能性がある。
 「多角的レビュー」の結果についてコメントする。
 前述したように、日銀は中央銀行の信認を守るという観点から自己否定を避ける傾向があり、「無謬性の原則」のようなものがある。そのように考えると、今回の「多角的レビュー」の結論である図表1は、日銀として過去の政策を最大限否定した印象である。再び非伝統的な金融政策がグローバル・スタンダードにならない限り、日銀が進んで大胆な金融緩和策を開始することはないだろう。
 むろん、無謬性の原則のために踏み込み不足だった感は否めない。
 「有識者講評」では、塩路悦朗*20中央大学教授が「政策波及効果が確実な政策手段があまりなく、日銀が半ば手足を縛られている状態で、日銀が『こうしたい』と言うと民間がそれを素直に信じるとなぜ思えるのか、本レビューを読んでもまだわからなかった。本レビューでは家計・企業の適合的期待形成が強調されている。しかし、日銀が政策目標を宣言しても、それを達成する手段が足りていないことを冷静に見切られていただけという可能性はないのだろうか」と指摘したが、日銀自体の能力に関する分析は不足していた印象である。
 また、吉川洋東京大学名誉教授も、「多角的レビュー」の結論である「効果と副作用を評価すると、金融市場や金融機関収益などの面で一定の副作用はあったものの、現時点においては、全体としてみれば、わが国経済に対してプラスの影響をもたらしたと考えられる」に対して、「この結論に評者は同意できない」とした。指摘は多岐にわたるのだが、例えば(多角的レビューの結論は)「期待に働きかけるリフレ政策は正しかったが、日本経済の『体質=ノルム(慣習)』が悪かったために目標が達成されなかった、ということになる。しかし評者は、目標を達成できなかったのは、こうしたリフレの理論的フレームワークそのものが根本的に誤りであったからだと考える*21」と、吉川氏は指摘した。これは塩路氏の指摘と同じで、日銀自体の能力そのものをもっと客観的に評価すべきだ、という指摘だと思われる。
 もっとも、このような批判的な意見が記されたことは重要だろう。これらの批判的な意見は、直接的に批判することが立場上難しい植田総裁の考えの代弁として掲載されたのだろうと、筆者は捉えた。吉川氏は「植田総裁と(ボーガス注:1951年生まれの同い年で)東京教育大学(現筑波大学)付属駒場高校、東大の同期だ(ボーガス注:そして東大卒業後、いずれも大阪大助教授、東大助教授、東大教授という経歴)」(Bloombergの報道)とされている。「友人だから代わりに異次元緩和を批判してもらった」などと短絡的な分析を披露するつもりはないが、吉川氏と植田総裁の考えはかなり近いと、筆者はみている。
 吉川氏は5月に行われたワークショップで、日銀がノルム(慣習)の問題を重視する姿勢を批判したとされている。他方、植田総裁もノルム(慣習)が重要だという考え方について「以前より私はあまり使ったことはない」(10月31日の決定会合後の会見)と述べたことがある。内田副総裁がノルム(慣習)の重要性を強調してきたことと対照的に、植田総裁はノルム(慣習)を重視していない。植田総裁がこだわったと考えられる「多角的レビュー」では「ノルム(慣習)」に関する分析がほとんどなかったことと無関係ではないだろう
 「多角的レビュー」は、植田総裁が異次元緩和の効果に対して非常に謙虚な*22考えを持っていることをよく表したものだと、筆者は感じた。

社説:日銀の異次元緩和検証 これでは教訓にならない | 毎日新聞2024.12.24
 日銀にとって都合の悪い問題を直視しない政策検証に意味があるのか。疑問を禁じ得ない。
 過去25年間の金融政策を検証した「多角的レビュー」が公表された。植田和男総裁が策定を指示したものだ。最大の焦点は、黒田東彦*23前総裁の下、10年間にわたった異次元緩和策の評価である。
 脱デフレを掲げた黒田氏は2013年4月、「2年程度で物価目標2%を達成する」と宣言し、市場から国債を大量に買い入れる政策を導入した。ところが、(ボーガス注:2%目標は達成できず)物価は思うように上がらず、(中略)消費者物価の押し上げ効果は年平均0・5~1・1%程度にとどまった。当初は輸出に不利な円高の是正につながったものの、(ボーガス注:金融緩和の目的の一つとされた)賃金上昇や消費の活性化には結びつかなかった。
 レビューも経済・物価に対して「想定していたほどの効果は発揮しなかった」と認めている。
 一方で、負の側面の分析は踏み込み不足というほかない。
 国債発行残高に占める日銀の保有割合は50%超に膨らんだ。
レビューは、民間金融機関による取引が激減したことなどを挙げて、市場の機能に「マイナスの影響を及ぼした」と分析した。だが、問題はこれにとどまらない。
 日銀が金利ゼロで国債を買い続けた結果、政府は借金しやすくなった。黒田日銀総裁と二人三脚で異次元緩和を進めた安倍晋三政権以降、財政規律が緩み、国の予算は肥大化した。幅広い株式に投資する上場投資信託ETF)の購入にも手を広げ、株価をゆがめた。
 近年は過度な円安を招いている。
2022年以降、世界的な資源高を受け、米欧は金融引き締めに転換したが、日銀は異次元緩和を解除した今春まで「金利のない世界」を続けた。その結果、輸入物価が高騰し、暮らしを圧迫している。
 にもかかわらず、レビューは「全体として、経済にプラスの影響をもたらした」と、異次元緩和を肯定的に評価した。自己検証の限界が露呈した形だ。

 アベノミクスの最大の柱が異次元緩和だった。功罪の検証を日銀任せにせず、政府として教訓をくみ取る努力が求められる。

「根こそぎ間違っている」マクロ経済学の権威、異次元緩和に憤り:朝日新聞2025.1.10(有料記事で読めない部分については、岡本全勝氏の記事日銀の大規模緩和、批判 | 岡本全勝(2025.2.2)も参照。岡本氏は元総務官僚で、富山県総務部長、総務省自治財政局交付税課長、大臣官房審議官(財政制度、財務担当)、総務省消防庁消防大学校長、総務省自治大学校長、復興庁事務次官等を歴任)
 約11年に及んだ日本銀行による「異次元」の金融緩和をどう評価するのか。日銀による過去の金融緩和策の検証「多角的レビュー」を講評した有識者の一人で、マクロ経済学者の吉川洋東京大学名誉教授は「根こそぎ間違っている」と断じ、三つの問題点を指摘した。さらに物価高が続いても利上げを急がない今の日本銀行の姿勢にも、国民との「ずれ」が生じていると主張する。
◆記者
「日銀の大規模緩和をどう評価しますか。」
◆吉川
私は初めから反対だったし、10年以上が経って失敗だったことが明らかになったと考えている。日銀による検証(多角的レビュー)でも、物価2%目標は達成されなかったと認めている。しかし一定の効果があったとして、副作用を考慮してもネット(差し引き)ではプラスだとしている。その結論には、全く同意できない」
◆記者
「どこが間違っていたのでしょうか。」
◆吉川
何から何まで、根こそぎ間違っているっていうのが私の立場だ。問題は大きく三つある。第一に、(物価が下がり続ける)デフレが一番の問題であるという2013年の出発点の認識だ。デフレには2種類ある。1930年代のように物価が2分の1になるような急激なデフレと、非常にマイルドなマイナス0.5%といったデフレだ。両者を区別する必要があり、日本の場合は後者にあたる。19世紀の英国を見ても、最近の研究を見ても、マイルドなデフレが実体経済に悪い影響を顕著に与えるということはない*24
「次に、デフレは貨幣的な現象だから、市中に流すマネーの量を増やせば、簡単に直せるという主張も(ボーガス注:理論的に)間違っていた。最後に、マネーの量を増やして人々の『期待』に働きかけるという考え方だ。国民は日銀がどんな金融政策をしているか知らない人が多い。(ボーガス注:日銀の金融政策に無知な)その人たちの『期待』に働きかけるなどあり得ない

社説:日銀政策検証 効果と限界を見極めて教訓に : 読売新聞2025.1.12
 レビューで物足りないのは、金融政策と為替市場の関係が十分に掘り下げられていないことだ。
 金融政策は、物価の安定を図ることを目的とし、為替への対応は直接の政策目的にしていない。
 しかし、実際には政策金利の動向は、為替市場に大きな影響を与える。コロナ禍前までは、過度な円高が輸出競争力をそぐ問題が日本経済に重くのしかかり、日銀も配慮をしてきたはずだ。
 それが、現在は、デジタルやエネルギー分野で海外への支払いが膨らみ、巨額の貿易赤字や過度な円安、物価高を招いている。
 植田総裁が金融政策の正常化を進める上では、こうした課題への分析も深めていく必要がある。
 また、日銀が大規模に国債を買い入れ、長期金利を抑え込んだ結果、政府の財政規律の緩みを招いたとの批判も根強い。だが、この点も踏み込んだ評価を避けた。
 日銀にとって財政政策は管轄外との考え方はあるのだろう。それならば、政府側なども交えた別の枠組みの下で検証していくことも、有用になるのではないか。

多角的レビューの意義と限界 門間一夫 みずほリサーチ&テクノロジーズエグゼクティブエコノミスト - 日本経済新聞*252025.1.31
 日銀は2024年12月に「金融政策の多角的レビュー」(以下「レビュー」)を公表した。13年に始めた大規模な金融緩和について盛り込まれた結論はこうだ。
 第一に、国債市場の機能への影響など一定の副作用はあったが、全体として経済にプラスの効果があった。第二に、非伝統的な政策手段(国債の大量買い入れなど)は通常の短期金利引き下げより効果が不確実である。したがって第三に、非伝統的な政策手段に頼らなくてもよいよう短期金利の下げ余地を確保しておくことが望ましい。第四に、そのためにも2%物価目標の達成が重要だ。
 大規模緩和に関するこれらの見解は予想の範囲であり、特段の感想はない。それでもレビューの過程で作成された膨大な論文や資料が公開されており、1990年代以降の日本経済や物価動向に関する知見の蓄積として、非常に有益な分析であった。
 他方、いくつかの重要論点が盛り込まれなかった。識者の間では「日銀が国債を大量に買い入れ長期金利を低く抑えてきたことが財政規律を弛緩させた」という批判が多い。これに対しレビューは「金融政策の目的は物価の安定であり財政ファイナンスではない」と説明する。
 問われているのは日銀の意図ではなく、影響があったかどうかなので、批判への答えにはなっていない。批判の正否がどうあれ、この論点抜きに大規模緩和の評価は完結しない。
 もうひとつは為替だ。この3年ほどの大幅な円安は海外事業を展開する企業にはプラスだが、輸入コスト上昇の影響を受ける中小企業や家計にはマイナスである。同じ国民の間に際立った明暗を生む大幅な為替変動は、いかなる政策であれ避けた方がよい。
 今回の円安の主因は海外金利の上昇だが、2%物価目標を何よりも優先した日銀の緩和姿勢が円安を増幅した可能性もある。この論点もレビューでは扱われていない。
 こうした重要論点の欠落は日銀が単独で分析を行うがゆえの限界*26であり、やむをえない面がある。物価は日銀、財政や為替は政府、という役割分担がはっきり決まっているからだ。日銀が行うレビューはその性格上、あくまで「物価の安定」の観点だけからのレビューになる。
 しかし、金融政策と財政政策は影響を与え合うし、金融政策は時に為替を不安定にする。政府と日銀の間にまたがる問題が明らかに存在しており、それらを議論し調整する場がどこにもなくてもよいのかという疑問は残る。
 この縦割り問題は2%物価目標の正当性にも関わる。前述のとおり、レビューは「2%物価目標の重要性」を改めて強調しているが、それは金融政策の視点だけから見た部分最適*27にすぎない。
 2%物価目標に忠実に行われた金融緩和が財政や為替に望ましくない影響を与えたのだとすれば、結論は違ったものになりうる。
金融、財政、為替といったマクロ政策の全体最適論はどこで行うべきなのだろう。日銀のレビューは図らずもそういう問題を提起したとも言える。

1)「大規模金融緩和」の当事者である安倍が死んだこと
 また、レビューが公表された2023年12月当時の岸田首相、植田日銀総裁(岸田首相の任命)には、安倍が進めた大規模金融緩和について直接の責任はないこと
→岸田は第二次、第三次安倍内閣外相なので全く無関係とまでは言えませんが、担当大臣だった「麻生第二~第四次安倍内閣副総理・財務相(現在、自民党最高顧問)」ほどの責任がないのも事実です。
2)目標とした物価上昇率2%が達成できなかったこと
3)「円安による輸入物価上昇→物価全般の上昇(物価上昇理由は勿論、円安だけではないが)」「財政規律上、原則として否定されている日銀の国債購入が大規模に行われたこと」などアベノミクスの弊害が大きいことからか、マスコミの多くは上記引用(朝日、読売、毎日、日経)の通り、「経済」の相澤論文同様に、未だ「アベノミクス」を正当化する日銀「多角的レビュー」に批判的です。
 とはいえ、「多角的レビュー」公表が2023年12月(安倍の死去が2022年7月、安倍首相が任命した黒田日銀総裁の退任、岸田首相による植田日銀総裁任命が2023年4月)ということを考えると、安倍が今も存命なら「多角的レビュー」自体がされなかった可能性(あるいはされても、安倍政権の金融緩和について、もっと肯定的評価だった可能性)があるし、マスコミもこのように批判的だったかも疑問であり、「何ともかんとも」です。実際、安倍存命時、特に「安倍の首相在任中」の、多くのマスコミ(朝日、読売、毎日、日経)の「金融緩和評価」はここまで厳しくはないでしょう。いつまでも「安倍擁護するよりはマシ」ですが「ジャニー喜多川死後のジャニー性加害批判(ジャニー生前から、週刊文春等で被害者の告発があったがマスコミは無視)」のようなもんで「安倍が死なないと、金融緩和が批判できないのか?」であり、「何ともかんとも」です。
 またこうした「大規模金融緩和」批判について「上記で紹介した朝日新聞毎日新聞等はともかく」テレビがほとんど報じないことも「何ともかんとも」です。
 まさに「報道業者(村野瀬玲奈氏の批判)」でしょう。
 なお、朝日記事「根こそぎ間違っている」マクロ経済学の権威、異次元緩和に憤り:朝日新聞等は(日銀の依頼で?)「多角的レビュー」を講評した有識者の一人として、吉川洋東大名誉教授の名前を挙げていますが、吉川氏の他には

FRBと日銀はいずれもトランプ氏の政策に対して「慎重化」 利上げのタイミングが遅れ、ターミナルレートは低水準になる可能性 | TBS CROSS DIG with Bloomberg2024.12.23
 塩路悦朗中央大学教授が「政策波及効果が確実な政策手段があまりなく、日銀が半ば手足を縛られている状態で、日銀が『こうしたい』と言うと民間がそれを素直に信じるとなぜ思えるのか、本レビューを読んでもまだわからなかった。本レビューでは家計・企業の適合的期待形成が強調されている。しかし、日銀が政策目標を宣言しても、それを達成する手段が足りていないことを冷静に見切られていただけという可能性はないのだろうか」と指摘した

多角的レビューとは 25年間に及ぶ金融緩和策を検証 - 日本経済新聞2024.12.20
 東大の星岳雄教授は「大規模な金融緩和が財政規律の弛緩につながったかという点は、政治経済的な分析も含めてさらなる研究が急務だ」と指摘した。

フーテンの俺
(ボーガス注:日銀レビューには)経済学者の講評がついている。
※敬称略
伊藤隆敏*28
・塩路悦朗
・鶴光太郎*29
・福田慎一*30
・星岳雄
・村田啓子*31
吉川洋
・渡辺努*32

がいます。講評者が8人いるにもかかわらず、マスコミが専ら「吉川氏の意見」を取り上げるのは「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛むとニュースになる」、つまり「吉川氏が、最も大規模金融緩和に否定的で、注目を集めやすいから」でしょう。
 「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛むとニュースになる」については以下を紹介しておきます。

第1回 犬が人を噛んでニュースになるにはだれを噛めばいいか?|それ、ほんとの話? 人生につける薬Ⅱ|千野 帽子|webちくま*33
 「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛んだらニュースになる」という言葉があります。
 これを言ったのは米国のジャーナリストだとか、英国の新聞王だとか言われていて、それが果たしてだれなのかは諸説あります。
 書かれて残っている初期の例は、米国の小説家ジェシー・L・ウィリアムズの『盗まれたストーリー』(1899)所収の「老記者」のなかで、若い記者たちの知恵袋兼メンター的存在であるビリー・ウッズという人物がこのように言った部分だそうです。
〈「犬が人を噛む」──これはストーリーだ。「人が犬を噛む」──こっちはいいストーリーだ〉(拙訳)
 〈いいストーリー〉はニュースになる、つまり人の注意を惹き、耳目を集める、ということを言っています。
 また、〈いいストーリー〉は得てしてレアなできごとである、ということも言っています。

*1:横浜国立大学名誉教授。著書『アメリカ経済政策史:戦後「ケインズ連合」の興亡』(1996年、有斐閣)、『通商産業政策』(2003年、日本経済評論社)、『世界経済と企業行動:現代アメリカ経済分析序説』(2005年、大月書店)、『米国はいかにして世界経済を支配したか』(2008年、青灯社)、『日本の構造「改革」とTPP』(2011年、新日本出版社)、『TPP:アメリカ発、第3の構造改革』(2013年、かもがわ出版)、『オバマの経済政策とアベノミクス』(2015年、学習の友社)、『新自由主義と金融覇権:現代アメリカ経済政策史』(2016年、大月書店)、『トランプ政権とアメリカ経済:危機に瀕する「中間層重視の経済政策」』(2017年、学習の友社)、『世界経済危機と「資本論」』(2018年、新日本出版社)、『金融グローバリズムの経済学』(2019年、かもがわ出版)、『「新しい資本主義」の真実』(2023年、かもがわ出版)等

*2:一橋大学名誉教授。著書 『環境の思想:エコロジーマルクス主義の接点』(1994年、創風社)、『環境保護の思想』(2007年、旬報社)、『マルクスの構想力:疎外論の射程』(2010年、社会評論社)、『マルクスエコロジー』(共著、2016年、堀之内出版)、『マルクスの生活者の思想とアソシエーション』(2024年、櫻井書店)等

*3:専修大学名誉教授。著書『格差社会の統計分析』(編著、2009年、北海道大学図書刊行会)

*4:北海学園大学教授。著書『雇用労働者の労働時間と生活時間』(2005年、御茶の水書房

*5:大阪大学名誉教授

*6:松山大学教授、中京大学教授を経て、武蔵大学教授。著書『教育基本法改正論批判』(2003年、白澤社)、『民主党は日本の教育をどう変える』(2010年、岩波ブックレット)、『ブラックバイトに騙されるな!』(2016年、集英社)、『ブラック化する教育2014-2018』(2018年、青土社)、『教育・権力・社会:ゆとり教育から入試改革問題まで』(2020年、青土社)、『なぜ日本の教育は迷走するのか:ブラック化する教育 2019-2022』(2022年、青土社)等

*7:宮崎大学名誉教授。著書『管理通貨と金融資本の蓄積』(1996年、文理閣)、『管理通貨と現代資本主義:インフレーションと投機の経済学』(2009年、文理閣

*8:名古屋学院大学教授

*9:流通科学大学教授

*10:岡山県労働者学習協会事務局長。個人ブログ長久啓太の「勉客商売」

*11:著書『パリ生まれ・プップおばさんの料理帖』(共著、2014年、主婦と生活社)、『パリのごちそう:食いしん坊のためのガイドブック』(2014年、主婦と生活社)、『フランスはどう少子化を克服したか』(2016年、新潮新書

*12:2016年刊行。同様の著書に、牧陽子(NHKディレクター、朝日新聞記者を経て、2025年4月現在、上智大学准教授)『産める国フランスの子育て事情』(2008年、明石書店)、『フランスの在宅保育政策』(2020年、ミネルヴァ書房)、中島さおり『なぜフランスでは子どもが増えるのか:フランス女性のライフスタイル』(2010年、講談社現代新書)がある。但し、そのフランスでも最近は少子化傾向が強まってることについては例えばフランスの出生率、戦後最低水準 「産まない選択」の尊重求める声も:朝日新聞(2024.1.19)、少子化対策の「優等生」フランスの出生数最低に 紛争や経済悪化が背景 - 産経ニュース(2024.2.24)、少子化、欧州で再加速 仏やフィンランドで出生率低下 - 日本経済新聞(2024.5.18)、フランス、スウェーデンの出生率低下から、日本の少子化を考える…子供を持つ女性が介護も仕事も担う?読売編集委員が考察 : 読売新聞(2024.5.21)、フランスでも少子化深刻 出生数が戦後最少に 「戦争」も影響か | 毎日新聞(2024.11.27)参照

*13:下関市立大学教授。著書『現代の政治課題と「資本論」』(2013年、学習の友社)、『金融危機と恐慌』(2018年、新日本出版社)、『インフレ不況と「資本論」』(2024年、新日本出版社

*14:著書『財界戦略とアベノミクス』(2015年、本の泉社)

*15:埼玉大学名誉教授。著書『西ドイツの金融市場と構造』(1988年、東洋経済新報社)、『日銀法二十五条発動』(1995年、中公新書)、『ユニバーサル・バンクと金融持株会社』(1997年、日本評論社)、『日本の金融ビッグバン』(1997年、NHKブックス)、『新しい金融システムの創造』(1998年、中央経済社)、『日本型金融システムを求めて』(1999年、東洋経済新報社)、『ユーロは世界を変える』(1999年、平凡社新書)、『平成大不況』(2001年、ミネルヴァ書房)、『現代資本主義の構造改革』(2002年、ミネルヴァ書房)、『アメリカ依存経済からの脱却』(2005年、NHKブックス)、『反市場原理主義の経済学』(2006年、日本評論社)、『品位ある資本主義』(2006年、平凡社新書)、『平成金融恐慌史』(2006年、ミネルヴァ書房)、『現代経済と資本主義の精神』(2007年、時潮社)、『国際金融市場とEU金融改革』(2008年、ミネルヴァ書房)、『恐慌論入門』(2009年、NHKブックス)、『戦後日本資本主義と平成金融「恐慌」』(2010年、大月書店)、『世界経済危機をどう見るか』(2010年、時潮社)、『品位ある日本資本主義への道』(2010年、ミネルヴァ書房)、『ペイオフ発動』(2012年、ミネルヴァ書房)、『日本銀行論』(2013年、NHKブックス)、『環境と人間のための経済学』(2013年、ミネルヴァ書房)、『軍事力が中国経済を殺す』(2014年、講談社+α文庫)、『よみがえる日本、帝国化するドイツ』(2015年、水曜社)、『長期不況克服への経済学』(2015年、ミネルヴァ書房)、『日本銀行の敗北』(2016年、日本経済評論社)、『「アベノミクス」の正体』(2017年、日本経済評論社)、『ドイツはEUを支配するのか』(2018年、ミネルヴァ書房)、『定常型社会の経済学』(2020年、ミネルヴァ書房)等

*16:筆者の愛宕氏は日本銀行調査統計局物価統計課長、岡三証券チーフエコノミストいちよし証券上席執行役員チーフエコノミスト等を経て、現在、楽天証券経済研究所所長(チーフエコノミスト兼務)

*17:文化功労者アベノミクスについては、日本経済新聞(2014年10月27日付け)で、『アベノミクスと物価の関係はまだ十分に検証されていない。アベノミクスを支持する人たちは、インフレもデフレも貨幣的な現象で、デフレを脱却できないのは(ボーガス注:金融緩和の効果に否定的な)白川方明日銀総裁(ボーガス注:日銀大分支店長、理事、京大教授等を歴任。著書『現代の金融政策』(2008年、日本経済新聞社)、『中央銀行』(2018年、東洋経済新報社)等)がもたもたしていたからだといっていた。大胆な金融緩和がどれくらい今の物価動向に影響しているかは、まだ検証が必要というのが私の立場だ』とコメントするなど、以前から否定的立場。著書『マクロ経済学研究』(1984年、東京大学出版会)、『日本経済とマクロ経済学』(1992年、東洋経済新報社)、『ケインズ』(1995年、ちくま新書)、『転換期の日本経済』(1999年、岩波書店)、『現代マクロ経済学』(2000年、創文社)、『構造改革と日本経済』(2003年、岩波書店)、『いまこそ、ケインズシュンペーターに学べ』(2009年、ダイヤモンド社)、『デフレーション』(2013年、日本経済新聞出版社)、『人口と日本経済』(2016年、中公新書)、『マクロ経済学の再構築:ケインズシュンペーター』(2020年、岩波書店)等(吉川洋 - Wikipedia参照)

*18:日本銀行新潟支店長、企画局長、名古屋支店長、理事等を経て副総裁(副総裁:内田眞一(うちだしんいち) : 日本銀行 Bank of Japan参照)

*19:東大名誉教授。著書『国際マクロ経済学と日本経済』(1983年、東洋経済新報社)、『国際収支不均衡下の金融政策』(1992年、東洋経済新報社)、『ゼロ金利との闘い』(2005年、日本経済新聞出版社)等

*20:横浜国立大学助教授、一橋大学助教授、一橋大学教授等を経て中央大学教授。著書『やさしいマクロ経済学』(2019年、日経文庫)等

*21:プロ野球監督が「俺の指導(この場合、大規模金融緩和)は正しかった。指導を生かせない選手(この場合、物価を上げない企業)が悪い」と言ってるようなもんで、吉川氏が批判するように無茶苦茶でしょう。「お前の指導が悪いから、選手がダメなんじゃねえのか?」「指導が正しい根拠は何よ?」「ただの責任転嫁、居直りじゃねえか?」的な批判が、吉川氏から日銀に対して出るのは当然です。

*22:「謙虚」と言えば、聞こえはいいが要するに「安倍元首相、黒田前総裁ら大規模金融緩和の当事者に比べ否定的評価」なのでしょう。

*23:元財務官僚。大蔵省国際金融局国際機構課長、財政金融研究所長、大蔵省大臣官房審議官(国際金融局担当)、国際金融局長、財務省財務官、アジア開発銀行総裁、日銀総裁等、金融畑の要職を歴任。著書『財政・金融・為替の変動分析』(1981年、東洋経済新報社)、 『通貨外交:財務官の1300日』(2003年、東洋経済新報社)、『元切り上げ』(2004年、日経BP社)、『通貨の興亡』(2005年、中央公論新社)、『財政金融政策の成功と失敗』(2005年、日本評論社)等

*24:この点(アベノミクス当時のデフレはマイルドデフレでそれほど問題ではない)については「吉川氏が上げる他の二つ(要約すれば『大規模金融緩和でデフレ克服できるという、まともな理論的根拠はない』)」と違い、かなり異論があるかと思います。

*25:筆者の門間氏は日本銀行調査統計局長、企画局長、理事等を経て、現在、みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミスト。著書『日本経済の見えない真実』(2022年、日経BP社)

*26:というより「そういう口実」で批判に「正面から回答すること」から逃げただけでしょう。逃げるということ自体、批判に対して「負けを認めてる」ようなもんです。

*27:勿論「金融政策の観点」だけから見ても「最適解ではない」と言う批判はあります。

*28:現在、米国コロンビア大学教授。東京大学名誉教授。一橋大学名誉教授。元経済財政諮問会議議員。『インフレ・ターゲティング』(2001年、日本経済新聞社)、『インフレ目標政策』(2013年、日本経済新聞出版社)の著者があり、大規模金融緩和の支持者と評価される。他の著書に『不均衡の経済分析』(1985年、東洋経済新報社)、『消費者重視の経済学:規制緩和はなぜ必要か』(1992年、日本経済新聞社)、『日本財政「最後の選択」』(2015年、日本経済新聞出版社)、『公共政策入門:ミクロ経済学的アプローチ』(2017年、日本評論社)等

*29:日本銀行金融研究所研究員、経済産業研究所上席研究員等を経て慶應義塾大学教授。著書『日本的市場経済システム:強みと弱みの検証』(1994年、講談社現代新書)、『日本の経済システム改革:「失われた15年」を超えて』(2006年、日本経済新聞社)、『AIの経済学』(2021年、日本評論社)、『日本の会社のための人事の経済学』(2023年、日本経済新聞出版社)等

*30:東大教授。著書『価格変動のマクロ経済学』(1995年、東京大学出版会)、『「失われた20年」を超えて』(2015年、NTT出版)、 『21世紀の長期停滞論』(2018年、平凡社新書)等

*31:日本銀行金融研究所シニアエコノミスト内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官、首都大学東京(現・東京都立大学)教授等を経て、現在、立正大学教授

*32:一橋大学教授、東大教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹等を歴任。著書『市場の予想と経済政策の有効性:国際金融政策のゲーム論的分析』(1994年、東洋経済新報社)、『物価とは何か』(2022年、講談社選書メチエ)、『世界インフレの謎』(2022年、講談社現代新書)、『物価を考える:デフレの謎、インフレの謎』(2024年、日本経済新聞出版社)等

*33:筆者の千野氏は関西学院大学教授(千野は筆名で本名は岩松正洋)。著書『俳句いきなり入門』(2012年、NHK出版新書)、『人はなぜ物語を求めるのか』(2017年、ちくまプリマー新書)、『物語は人生を救うのか』(2019年、ちくまプリマー新書)等