「珍右翼が巣くう会」高世仁に突っ込む(2025年3/12日分)(副題:ウクライナ戦争絡みでkojitakenを批判する)

ウクライナの苦闘を世界のなかで位置づける - 高世仁のジャーナルな日々

 加藤直樹さん*1のFB*2に今の状況を俯瞰的に見るベトナム人の言葉を紹介していた。とても含蓄のある文章なので引用させていただく(ボーガス注:以下、高世の文章は全て加藤氏のFBの引用)。

 ゼレンスキーとトランプの会談について、ベトナム政治学者グエン・ミン・ゴックさんが今日、ツイートしていた。ベトナムの知性ならではの視点であるので紹介する。
 「見ていてつらい。私は2023年4月に書いたエッセイで、すでにこうなることを予見していた。そして、ウクライナが、より広い世界の中に、彼らの成長しつつあるアイデンティティを位置付け直すときだと呼びかけていた。『文明世界』(注:欧米)に属することが、ウクライナの独立を保証するわけではないのだ」
 グエンさんは、ウクライナ全面侵攻*3の翌年*4ウクライナの左翼理論誌「コモンズ」に寄稿していた。「コモンズ*5」は当時、ウクライナの抵抗を「ヨーロッパ世界」に閉じ込めず、グローバルサウスと結合したものにすべきだという主張を展開し、インドの共産主義活動家やグエンさんなどに寄稿してもらっていた。
 グエンさんの寄稿は、「ウクライナの抵抗は全面的に正しい」と語るベトナムの老将軍の言葉を引用しつつ、「しかしなぜ、ウクライナグローバルサウスに味方を得ることができないでいるのか」と問いかけるものであった。
 グエンさんは明確にウクライナ連帯の立場から書いている。被害者*6への「採点」ではない。だから私たちも、私たち自身がウクライナの人々の苦闘(戦争だけではない)を世界のなかで位置付けて考えるためのヒントとして受け止めるべきだと思う。

 なお、グローバルサウスの定義は明確ではないですが、
「いわゆる南北問題での南側諸国」

【参考:「南北問題」でググってヒットした本(刊行年順)】
矢野暢*7『南北問題の政治学』(1982年、中公新書)
・室井義雄*8『南北・南南問題』(1997年、山川出版社世界史リブレット)

発展途上国」とほぼ同義と思われます。「サウス」と言いながら「北半球(赤道より上)に位置する発展途上国(例:インド)」を含めている論者も多いです。
 さて、「文章引用」にとどめ、明確に高世が自らの意見(というか、自らのグエン氏や加藤氏への評価*9)を書かないのが「何だかなあ?」ですが、冒頭に

 米コロンビア大学の元大学院生カリル氏が、イスラエルへの抗議デモを主導したとして拘束された。
 米国土安全保障省*10は9日、この拘束は1月の「反ユダヤ主義的な嫌がらせや暴力の加害者には、訴追、追放、またはほかの方法で責任を問う」とするトランプ氏の大統領令に基づくものだと発表した。アメリカがここまで来たかと愕然とさせるニュース。彼らの言動は(ボーガス注:ネタニヤフ政権のガザ侵攻への批判にすぎず)「反ユダヤ主義」でもなんでもない*11

といったイスラエル問題が書かれてることから見て、私見では「高世の言いたいこと」は恐らく以下のようなことでしょう。
1)何故得られないと、グエン氏や加藤氏が認識していると言えば、高世の理解では、それは例えば「西側(米英仏独)のイスラエルに甘い態度」と「西側の軍事支援を受けるが故に、イスラエル批判できず西側に迎合するウクライナ*12」のせいである(「イスラエル問題」だけが理由ではないにせよ)。
2)その結果「グローバルサウス」は「ガザを見殺しにしてイスラエルを擁護する連中が正義感ぶるな、ふざけんな」「西側は国益判断でウクライナ支援してるにすぎないだろ。ロシアがウクライナ支配すると国益に反するし、ロシアと友好関係にないからウクライナ支援してるだけだろ。ロシアが西側にとってイスラエルに当たる国、ウクライナが西側にとってハマスパレスチナ自治政府ハマスとは対立するファタハが政権与党)に当たる存在なら平気でウクライナを見殺しにしてるだろ」「ガザに冷たいウクライナだって自分のことしか考えてねえだろ」「そんな連中が何を言おうが知ったことか」としか思われてない
ということでしょう。
 裏返せば「西側(米英仏独)はイスラエルに甘い態度は辞めろ」「ウクライナも西側やイスラエルを批判しろ」という話でしょう。
 そして高世は恐らくそうしたグエン氏、加藤氏の西側、ウクライナ批判にある程度共感している。決して「親ロシア」「ウクライナや西側への不当な非難」等と否定的には評価してない。
 勿論、グローバルサウスがウクライナに冷淡な理由はそういうことだけでなく
A)「ロシアと経済的つながりがあるグローバルサウス(BRICSでつながりがあるブラジル、インド、南アフリカ旧ソ連時代から関係が深い北朝鮮ベトナムラオスキューバ、ロシアの民間軍事会社ワグネルの軍事支援を受けたという中央アフリカ、マリなど)」もあれば
B「問題行為をして、西側から批判されてるのでうかつにロシア批判できないグローバルサウス(例:民主派を弾圧し、内戦状態のミャンマー軍事政権)」もあれば
C)「ウクライナ戦争が長期化すれば、物価高の一因になる。とにかくロシア有利でも何でもいいから戦争を終わらせろ。物価高に苦しむ俺たちグローバルサウスに経済支援もしないで戦争長期化=物価高継続を続けようなんて西側とウクライナはふざけんな」というグローバルサウスもあれば
D)「貧乏国のわが国にとって、近代化、経済的富裕化が最優先課題であって、他国のことまで面倒見てられない。大体、ウクライナなんてわが国から遠く離れた国で関係ない。隣国のヨーロッパが面倒見ればいい」
というグローバルサウスもあり、「ウクライナに好意的ではない」理由は色々でしょうが。
 いずれにせよ

ウクライナの領土保全や露軍即時撤退の決議案、国連総会が賛成多数で採択…反対・棄権は83か国 : 読売新聞2025.2.25
 全193か国のうち、賛成は日本やカナダなど93か国、反対は米国やロシアなど18か国、棄権は中国やブラジルなど65か国だった*13
 賛成は、侵略直後や侵略1年の際に採択された対露非難決議と比べて50か国近く減った。1月に発足した第2次トランプ米政権がロシアの侵略に対する米政府の方針を大きく転換させ、対露融和にかじを切ったことが各国の投票行動に影響した模様だ。

で分かるように「グローバルサウスに味方を得ることができない」は言い過ぎだとしても、グローバルサウスが必ずしも「ロシアに批判的ではない(少なくとも米英仏独ほどには批判的でない→ロシアに批判的な国連会決議案について反対しないまでも棄権)」のは事実です。
 さて、id:kojitakenにとってこうした物言いは「親ロシア」に当たらないのか聞きたいところです。多分

「映画『ミスター・ランズベルギス』を観て」、「嘘の上に立つ偽りの帝国(ランズベルギス)」(「高世仁のジャーナルな日々」) - kojitakenの日記
嘘の上に立つ偽りの帝国(ランズベルギス) - 高世仁のジャーナルな日々
(中略)
 実にみごとな記事だ。ここまで、引用を省略できる部分を一箇所もみつけることができなかった。

とまで過去に持ち上げた高世を批判するわけに行かず、とはいえ、このレベルの言動*14ですら過去に親ロシア認定し、非難してきたので、高世を肯定するわけにも行かず黙りでしょうが。俺はkojitakenとはそういう「卑怯者のクズ」と評価しています。

【参考:ロシアとイスラエル

「世界一の親イスラエル国」ウクライナ――(2)しかし逆にイスラエルが塩対応の理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース2024.2.17
 (ボーガス注:ユダヤロビーの影響で、イスラエルに甘い米国が『ウクライナの最大の支援国だ』という事実に配慮して、ウクライナ政府(ゼレンスキー政権)はイスラエルに非常に甘いが)イスラエルアメリカの同盟国のなかで例外的に、ウクライナ侵攻後もロシアとの取引を継続し、対ロ経済制裁にも参加していない。
 また、イスラエルウクライナに軍事援助も行なっていない。
 イスラエルのこうした方針の背景には、ロシアとの関係がある。
 冷戦時代のソ連パレスチナを支持したが、1989年の冷戦終結にともないソ連から数多くのユダヤ人がイスラエルに移住した。
 それ以来、ロシアはパレスチナ支持を続ける一方、イスラエルとの関係も基本的に良好で、2010年には軍事協定を結んだ。これはロシアにとって、中東におけるアメリカの拠点に食い込む意味があった。
 そのため、ウクライナ侵攻を受けて国連総会で2022年3月2日に採決されたロシア非難決議でイスラエルは、アメリカの強い要請を受けてしぶしぶ賛成したものの、それ以上の措置に至っていない。
 ここで重要なのは、ロシアとの関係を配慮するネタニヤフ政権の方針がイスラエル国民からそれなりに支持されていることだ。
 イスラエル民主主義研究所の世論調査によると、ウクライナとロシアの戦争の主な責任は「ロシア」と応えた回答者は67%だったが、対ロ制裁に参加しない政府決定を支持したのも60%にのぼった。
 イスラエル民主主義研究所の世論調査で最も興味深いのは、「ウクライナの教訓は安全保障を国際社会に頼ることはできず、自国の防衛は自国で担うしかないということ」にユダヤイスラエル人(イスラエル国民には少数派ながらキリスト教徒やムスリムもいる)の89%が賛成したことだ。
 つまり、ウクライナを「欧米の支援頼みの国」とみなし、これを反面教師にする思考がうかがえる。

*1:著書『九月、東京の路上で:1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(2014年、ころから)、『謀叛の児:宮崎滔天の「世界革命」』(2017年、河出書房新社)、『トリック:「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』(2019年、ころから)、『ウクライナ侵略を考える』(2024年、あけび書房)

*2:フェイスブックのこと

*3:2022年のこと

*4:2023年のこと

*5:どんな雑誌か不明ですが、「ゼレンスキーのイスラエルに甘い態度」に批判的なのか?

*6:ウクライナのこと

*7:1936~1999年。元京大教授。著書『南進の系譜』(1975年、中公新書)、『日本の南洋史観』(1979年、中公新書)、『東南アジア世界の構図』(1984年、NHKブックス)、『ノーベル賞』(1988年、中公新書)等

*8:専修大学名誉教授。著書『連合アフリカ会社の歴史1879-1979年:ナイジェリア社会経済史序説』(1992年、同文舘出版)、『ビアフラ戦争』(2003年、山川出版社)、『石油資源の呪い:ナイジェリア政治経済史』(2023年、東京図書出版)

*9:というか、加藤氏のウクライナ評価やグエン氏評価も今ひとつ分かりづらいですが

*10:各国の内務省に当たる役所で、テロ防止、国境警備、出入国管理、税関業務、サイバーセキュリティ、防災・災害対策を業務とする(アメリカ合衆国国土安全保障省 - Wikipedia参照)

*11:とはいえ、トランプは酷すぎるとは言え、バイデン政権や英仏独がイスラエルに厳しいか、この種のイスラエル批判デモに好意的かと言えば残念ながらそうではない。

*12:但し、例えば「世界一の親イスラエル国」ウクライナ――(2)しかし逆にイスラエルが塩対応の理由(六辻彰二) - エキスパート - Yahoo!ニュース(2024.2.17)が指摘するようにイスラエルがロシアに厳しく、ウクライナに好意的かと言えばそうではない。「トランプ政権がイスラエル贔屓」という面も大きいでしょうが、イスラエルはトランプの対ロシア外交には英仏独ほどには批判的ではない。

*13:「賛成93、反対18、棄権65」を足しても193ではなく、176ですが「残りの17カ国」は「賛成、反対、棄権」以外の一体何をしたのか?(何らかの理由でそもそも投票権がないのか?)

*14:俺の「ウクライナ批判」言動も私見ではこのレベルにすぎません。