「珍右翼が巣くう会」高世仁に突っ込む(2025年3/16日分)(副題:ウクライナ戦争)

ウクライナの懸念は核戦争ではない - 高世仁のジャーナルな日々

 武隈武一さん*1—元テレ朝の報道局長でいまもよくテレ朝でウクライナ問題を解説している—がこう語った。
 『「最終的目標を達するまで戦う」とプーチンは言っている。最終的な目標とは、独立したウクライナの消滅、ロシアの属国化なのだから、ここで戦争を止めることはありえない。』

 私見では、「開戦初期」はまだしも、トランプ(どう見ても親露)やプーチンも、ウクライナが「ロシアへの領土割譲(現状の支配地容認)」「(将来はともかく現時点での)NATOへの加盟否定」で停戦することは「希望してる」でしょうが、それ以上は無理だと思ってるのでは無いか。
 停戦しないまま戦争を継続してもロシアが勝てる保証もない。確かにトランプは親露ですが、英仏独などもウクライナ支援してるし米国もウクライナ支援に消極的とはいえ、完全に打ち切ったわけではない。民主党はトランプのウクライナ政策に批判的だし、「トランプの個人政党化しつつある」とはいえ、共和党内にもトランプ批判派はいるし、トランプ支持層にしても支持理由のメインは「物価高対策」「移民問題」であって、ウクライナ政策ではない。
 トランプも「ロシアが多少ウクライナ支配地を広げるレベル」ならともかく、国内外の批判を無視して「キーウ陥落、ウクライナ属国化」等といった「深刻なレベル」を果たして容認できるかどうか。
 プーチンが「停戦しない」と言っていてもそれは「ロシアに有利な停戦を導くためのフカシ」ではないか。

 ウクライナの国民は、大統領や政府に命令されていやいやロシアに抵抗しているわけではない。

 「何だかなあ」ですね。勿論「侵略に対して進んで兵士として戦う」人間もいるでしょうが、戦争長期化もあってそんな人間ばかりではないことは
徴兵逃れでウクライナから開戦後に2万人が脱出 川を泳ぎ、暗闇に紛れ…… - BBCニュース2023.11.18
プーチン氏のロシアと「戦わない」ウクライナ“徴兵逃れ”で大学生が20倍? 侵攻2年を前に当事者が告白 実態は? | NHK2024.2.19
【詳しく】ウクライナ 兵員不足で軍への動員逃れ防止へ 軍に住所登録などを義務化 | NHK | ゼレンスキー大統領2024.5.18
等で明らかです。高世や平野は「戦意高揚」のためか、明らかに話を単純化しています。なお、これはウクライナ戦争に限らず「全ての戦争」において大なり小なりそうでしょう。「侵略に対する防衛戦争、抵抗戦争なら進んで命を捧げる」というほど人間は単純ではない。

 「ウクライナの人々は、ロシアがウクライナに対して核兵器を使用する可能性については、全く考えていないとは言わないまでも、まずないだろうと高を括っていると思います。」」(平野高志*2『キーウ*3で観たロシア・ウクライナ戦争~戦争のある日常を生きる』(2024年、星海社新書)P110)

 俺も「一進一退の攻防」に留まる現状においてはその可能性は低いと思います。
 核云々はプーチンにおいては「NATO軍の直接参戦をさせない」という牽制要素が大きいのではないか。
 しかしそれは裏返せば「NATO軍参戦(国民に戦死者が出ることを望まないNATO諸国の国民世論によってその可能性は少なそうですが)」など「ロシアにとって容認できない事態」が生じ、それを「核兵器以外では打開できない」とロシア側が考えたときに「使う可能性が全否定できない」と言う話です(有事には「使う可能性が全否定できない」はロシアに限らず全ての核保有国がそうでしょうが、今のところロシア以外、そうした核使用のブラフをしていないだけの話です)。勿論、そうした事態(NATO軍参戦など)が生じても国際世論の批判等を恐れて、核を使わない可能性はありますし、「使う可能性がある」というロシアのブラフは明らかに「政治的牽制」ですが「政治的牽制に過ぎない、使わない」と言い切れない点が厄介です。NATO軍参戦でなくても何でもいいですが、「NATO軍参戦などで戦況を改善したいが、改善しようとするとロシアの核使用のリスクがありうる」というのは本当に頭が痛い。


停戦のボールはずっとロシア側にある - 高世仁のジャーナルな日々
 親ロシアと誤解されることを恐れず書けば「そういうことを言ってもな」感はあります。
 何も「ウクライナ戦争」に限らず
「米軍基地問題日米地位協定改定に米国が応じれば大幅に改善」
「温暖化問題はCO2を大量に排出している国(欧米、日本、中国など)が大幅に減らせば、大きく改善」
核兵器保有国(米英仏中露、インド、パキスタン北朝鮮)が一斉に廃棄すれば問題解決」など「不当な行為をしてる組織が、それをやめれば即解決」ですが、現実はそうしたきれい事でうまく行かないところが厄介なところです。
 多くの場合「飴(バーター取引など)と鞭(経済制裁など)」でうまくコントロールする以外に手がない。

 朝日新聞藤原学*4記者のX投稿から。

 米国との完全決別はありえない。欧州に100%依存するわけにもいかない。「カードがない」というトランプ氏の発言は現実でもありました。米国の支援なしでは、ウクライナの国家としての存続が危ぶまれることもまた、事実です。

 そういうことなんですかね。「欧州(英仏独など)で穴埋め」ができれば、トランプの停戦圧力に対抗することもできるのでしょうが。

*1:著書『黒いロシア白いロシア』(2015年、水声社)、『マンハッタン極私的案内』(2019年、水声社)、『絶望大国アメリカ』(2021年、水声社

*2:著書『ウクライナ・ファンブック』(2020年、パブリブ)

*3:ウクライナの首都

*4:著書『Qを追う:陰謀論集団の正体』(2022年、朝日新聞出版)