kojitakenに突っ込む(2025年4/27分)

山口崇死去 - kojitakenの日記

Yuji TANAKA
 土ワイ版『事故』を観る。大映テレビ制作とあって興信所所長がかなり極悪人に。それを善人役で有名な山口崇が演じてて意外。

 『事故』は「土曜アンコール劇場*1か平日の再放送」で見た記憶があります。
 松本清張原作で、いわゆる倒叙物です(最初から山口崇が犯人であることは視聴者には分かってる)。
 清張作品には『顔』『危険な斜面』『書道教授』『内海の輪』など倒叙物はいろいろありますが。
 結局「清張物ではよくあるパターン」ですが、山口は逃げ切れず結局は破滅します。
 「極悪人」と書いてありますが、どうなんですかね?。
 無論善人ではないものの、清張映画『砂の器』の和賀(演・加藤剛)等と同様に、俺は「極悪人」という印象はなかったですけどね。
 清張作品の「犯人の多く(不倫隠蔽のために、不倫相手の女性(「上司の妻」など不倫が発覚した場合の男の打撃が大きい)を男が殺すパターンが多い)」は

「清張地獄八景」(みうらじゅん編) - 「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記2021.5.12
 『清張地獄』に落ちる最大の原因は自分にだけ真面目ということなんです。結局他人には不真面目ですからね。それは自分の守るものだけが幸せであればいいという考えになります。
「清張さんの小説は犯罪者も普通の顔して、その辺にいるんだもんね」
「そう、どこにでもいるサラリーマンとか普通の主婦たちなんですよ。横溝とか乱歩が書くのは、100メートル先からわかる怪しい人というか(笑)。」

それを押した者はみな破滅する「清張スイッチ」とは?|まったり ゆくよ2024.2.23
 みうら氏曰く、「松本清張作品とは、基本的には、『不倫ホラー』である、と。
 そしてその恐怖は、既婚男性が一番よくわかるのだ、と。清張作品は、家庭も仕事もそれなりに順調な男性が、つい、ふと、「そろそろ愛人でも持つか」と思ってしまうところから地獄が始まる、というストーリーが多いのです。
 ちょっとした出来心の不倫から、破滅へと突き進んでしまう主人公。
「いかん、ダメだ」とわかっていつつも、どうしても「破滅に続く誘惑」に、打ち克つことができない。
 みうら氏はこれを「清張スイッチを押す」と表現しています。

が指摘するように、「身勝手」「軽率」ではあっても「極悪人」ではない気がいます。
 清張作品では、テレビ朝日・土曜ワイド劇場で放送された『事故』(1982年)と同じく、土曜ワイド劇場で放送された
連環 (松本清張) - Wikipedia*2(1983年)での森本レオ(犯人役)は本当に「金に汚い極悪人(保険金殺人の犯人)」で吐き気がしましたけどね。
 保険金詐取目的で、森本に姉を殺された妹(演・片平なぎさ:TBS『スチュワーデス物語』(1983年)でブレイクする前の作品)が森本を追い詰めていきます。森本は口封じに妹を殺そうとするが結局破滅。なお、森本は「片平の姉」以外にも「勤務先の社長*3織本順吉)とその未亡人(ちあきなおみ)」も殺しており、計三人殺している。ドラマでは逮捕だけで終わるが、原作では死刑判決が出るにもかかわらず「(ボーガス注:死刑冤罪である免田事件、財田川事件などのように)冤罪だとして再審請求を行う恥知らずキャラ(小説内において、真犯人であることは勿論明白)」として描かれています。
 森本と言えば金の戦争 - Wikipediaでの「金嬉老(演・ビートたけし)に酷い差別発言をする静岡県警刑事(しかしマスコミ相手に、そんなことはしてないと恥知らずにもしらを切る)」もそのクズぶりが印象に残りますが。
 一方で土曜ワイド劇場『西村京太郎トラベルミステリーシリーズ』では「西本刑事」という好人物(十津川警部三橋達也高橋英樹)の部下、亀井刑事(愛川欽也高田純次)の後輩)を長く演じており、おそらく世間的にはこの印象が一番強いのではないか。まあ、善人役しかしない人間もいますが、多くは森本のように両方やるわけです。
 以下、『事故』について、ググってヒットした記事を紹介しておきます(ネタばらしがあります)。

事故/国道20号線殺人トリック(1982) ☆☆ : 西澤 晋 の 映画日記
 東京都杉並区の住宅街のある邸宅に深夜トラックが突っ込む。その数週間後、そのトラックを運転していたドライバーが山梨県のとあるドライブインの崖下で死体となって発見される。同じ頃、ある興信所の女性調査員(宮下順子)の死体も川から引き上げられる。山梨県警の彩田刑事(植木等*4)は同署の管轄で起きた二つの事件を調査することになる。
 (ボーガス注:『危険な斜面』『書道教授』『内海の輪』などと同じ、清張作品ではおなじみのパターンで)相変わらず不倫してる者*5が、秘密保持*6のために殺人をするという展開*7なのだけど、この話はちょっとひねりがきいていた。
<あらすじ>
 杉並区の住宅街に住む小西勝子(松原智恵子)は、夫の浮気調査を田中幸雄山口崇)が所長をつとめる興信所に依頼する。彼の会社はそれほど大きいわけではなく、社内で調査員を雇っておらず、普段はフリーの調査員に依頼して調査を行っていた。しかし勝子の純粋な美しさに引かれた田中はこの件は自分で調査にあたることにした。
 勝子はお嬢様育ちで、夫以外には男を知らなかった。親身になって調査してくれる田中に次第に信頼をよせるようになる。田中も20年の経験を活かして早々と彼女の夫が明美という女と出来ていることを知る。彼は大阪への出張を言い訳に、彼女と2人で箱根のホテルに宿泊している。
 現場をおさえた田中は勝子をホテルまで呼寄せる。
 「部屋に踏み込みますか?」という田中だが、気が動転してなにも決断できない勝子は、翌朝2人をそのまま発たせてしまう。しかし、その夜勝子は田中に抱かれたのであった。夫以外では、初めての男だった。
 それからというもの、勝子は田中との情事に溺れていく。田中の事務所の資金繰りが厳しいときくと、お金を工面することもいとわない。勝子にとっては初めての恋愛だった。
 しかし、妻の様子に不信感をもった夫が妻の素行調査を依頼する。それがよりにもよって田中の事務所だった。一瞬驚く田中だが、事の次第は本当に偶然だった。最初は断るつもりだったが、よその会社にこの仕事をまわされると、自分と勝子の浮気が調べられる。
 田中は、自分の事務所で時々仕事を依頼している浜田久子(宮下順子)にこの調査を依頼する*8。田中は彼女を見くびっていた。しかし、浜田久子は強靭な忍耐力と執着心の持ち主だった。
 浜田久子から調査報告を聞くたびに、確実に男の存在を捕らえていることに恐怖を覚える田中。そして勝子の夫が外国に出張中のある夜、一台のトラックが、小西宅に突っ込む。外での逢瀬に不安を感じた田中を、勝子は自宅に呼寄せていたのである。下着姿で玄関に下りてくる田中の目に、そとでたむろする近所の野次馬と浜田久子の顔が見えた*9
 というわけで、2人の不倫を隠蔽するために田中と勝子は、浜田久子とトラック運転手(実は同郷の友人だった)を殺す計画を実行していく。

 清純派の松原氏ですので「悪女」という感じではなかったかな。愛する山口氏に引きずられて、自滅していくという感じでした。

土曜ワイド劇場「松本清張の事故」を久々に観る | フリーライター Sakamoto Norio ブログ
 深夜、都心の民家に突っ込んだ一台のトラック。
 突っ込まれたのは山西省三(仲谷昇)、勝子(松原智恵子)の家。
 運転手の居眠りが原因のこの事故はただの事故かと思われた。
 ところがしばらくして、この運転手が何者かに殺された。
 同じ頃、別の場所からは女性の溺死体が。
 被害者の女性・浜田久子(宮下順子)は田中幸雄山口崇)が所長を務める興信所のフリー調査員。
 事件を担当した彩田刑事(植木等)が粘り強く捜査を進めていくと意外な真相が――という話。

【3092】 <strong>○ 松本 清張 「<font color=maroon>事故</font>」―『事故―別冊黒い画集』</strong> (1963/09 ポケット文春) ★★★★ - HUREC AFTERHOURS 人事コンサルタントの読書・映画備忘録
 結局、事件は迷宮入りし、犯人は追及を免れたかに見えましたが、最後、些細なことから警察の目が所長に向けられることになり、再捜査が進められるところで終っています*10。そうなる経緯として、トラック事故を起こした男の所属する自動車会社の総務の車両担当(事故の賠償交渉担当)が、その件で門と玄関を壊したのに2万円の賠償額で済んだこと*11を、他の賠償交渉の際に吹聴していたというのがあります。
 それを聞いておかしいと思った刑事(原作では名前は出てこない)が、実際に事故のあった家を訪ね、夫婦が別居状態になっていることを知り、別れた妻の働き口を紹介したのが田中幸雄であったことを知った。自動車会社の事故の賠償交渉担当が、交渉を有利に進めるために過去の事案としてその事故を語っていたのが、図らずも迷宮入りした事件の再捜査の契機になったというのがありそうで面白いです。
 妻が夫の浮気調査を興信所に依頼し、その確証は掴めたものの踏み込めず、逆に自分が興信所の所長と不倫関係になったところへ、今度は夫の方がその所長の元に妻の浮気調査を依頼してくるというのも、滑稽と言うか皮肉と言うか、でもこれもまたまったくあり得ない話でもないように思え、このあたりのリアリティの持たせ方というのも上手いと思いました。

*1:土曜日の昼(12~2時の2時間)に土曜ワイド劇場の再放送をしていた

*2:土曜アンコール劇場か平日の再放送で見ました。

*3:社長殺しは未亡人との共犯

*4:植木が話の展開を邪魔しない範囲で『TBS「金田一シリーズ」の日和警部(長門勇)、等々力警部(ハナ肇)、河合警部(谷啓)』『テレビ朝日江戸川乱歩の美女シリーズ」の浪越警部(荒井注)』『映画「金田一耕助シリーズ(石坂浩二版)」の等々力警部(加藤武)』のようなコミカルな演技をしている。

*5:山口崇演じる興信所所長のこと

*6:と言うか保身

*7:これについては例えばみうらじゅんと泉麻人が「グッときた」松本清張・不倫モノ映画ランキング(みうらじゅん,泉麻人) | 現代ビジネス | 講談社(2016.11.27)参照

*8:田中自身が「浮気の存在はなかった」と「インチキ調査報告」を自分で書けば済む話ですが、1)そうしたインチキに後ろめたさを覚えたこと、2)浜田の調査能力を見くびっていたことで、浜田に依頼してしまう。

*9:男の正体をつかむために、浜田久子(宮下氏)が、成功報酬を条件に、知人の運転手に故意に小西宅に車を突っ込ませるという無茶苦茶な話でした。しかしその結果、パニクって姿をさらした田中(山口氏)が、それを目撃した浜田久子に「小西勝子(松原智恵子)の愛人=田中」とばれてしまい、田中(山口氏)は「彼女が真相を小西勝子(松原智恵子)の夫にばらすことを恐れ」彼女を殺すことを決意します。この作品での宮下氏(故意に車を突っ込ませるとか普通考えないし、考えてもやらない)は「マジで怖い」です。

*10:ドラマはそれで終わらず、山口演じる興信所所長が確か逮捕される。

*11:勿論、高額賠償を請求することで興信所所長との関係を暴露されることを、妻が恐れての結果。