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フジ『ゲゲゲの鬼太郎・私の愛した歴代ゲゲゲ』第14回「まくら返しと幻の夢」
フジ『ゲゲゲの鬼太郎・私の愛した歴代ゲゲゲ』第13回「妖怪復活」(2025年6月29日放送)(追記あり) - bogus-simotukareのブログの続きです。
セレクターは以下の通りです。なお、今回から椎名林檎作詞、作曲「闇にご用心」(山内惠介)がED曲です。
https://www.toei-anim.co.jp/kitaro/news/2025070101.php
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』にて鬼太郎の父役を演じた関俊彦と水木役を演じた木内秀信が水木しげる没後10年記念企画『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ*1』へ参加することが決定!二人が選んだ思い入れのあるエピソードは、第6期14話「まくら返しと幻の夢」。(ボーガス注:関が映画で演じた「目玉おやじになる前」の)鬼太郎の父も登場する本エピソードは、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の地上波放送*2前の7月6日に放送される。
ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第14話「まくら返しと幻の夢」感想|みんなの森-徒然安芸日記-の記述を後で紹介しますが、ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第14話「まくら返しと幻の夢」感想|みんなの森-徒然安芸日記-は概ね、「今回の話の内容(あらすじ)」はほぼ押さえてるかと思います。今回は前半で「昔の目玉おやじ(病気で目玉だけになる前)はイケメンで鬼太郎に似ていた(勿論後半に登場する、鬼太郎に似たイケメン親父*3の前振り)」と語る砂かけ婆、「鬼太郎と共に夢の世界に向かう猫娘」、鬼太郎親子以外の鬼太郎ファミリー(ねずみ男、子泣き爺など)は登場しなかったかと思います。
なお、セレクター(番組冒頭と最後に登場)の内、水木役の木内氏はよく知りません(つまり木内氏の出演作品を全く見てない)が、親父役の関氏には声に聞き覚えがあるなと思ったら、NHKアニメ「忍たま乱太郎」の土井半助役(忍術学園教師)でしたね(但し関氏出演作品は、俺は、多分それくらいしか知らない)。
今回のセレクターでは「土井半助」を連想させる、かなりユーモラスな感じの語り口*4でしたが、「ゲゲゲの謎」の親父はまた違うのでしょう(【追記】7.12放送の映画を見ましたが、やはり「土井半助」を連想させない、かなりシリアスな語り口でした)。
なお、単なる偶然にすぎませんが「忍たま乱太郎」で関氏(「ゲゲゲの謎」で鬼太郎の親父)が共演した声優のうち、以下が「鬼太郎出演」声優でもあります。
忍たま乱太郎 - Wikipedia
◆高山みなみ
主人公「猪名寺乱太郎」役。5期鬼太郎(2007~2009年)で鬼太郎
◆田中真弓
乱太郎の友人「摂津のきり丸」役。6期鬼太郎(2018~2020年)で砂かけ婆
◆大塚周夫
忍術学園教師「山田伝蔵」役(初代)。1期鬼太郎(1968~1969年)、2期鬼太郎(1971~1972年)でねずみ男
◆大塚明夫
忍術学園教師「山田伝蔵」役(二代目)。大塚周夫死後の引き継ぎ。大塚周夫の息子。6期鬼太郎(2018~2020年)でぬらりひょん
◆島田敏
犬のヘムへム役。6期鬼太郎(2018~2020年)で子泣きじじい、ぬりかべ
【今回の話の内容(あらすじ)】
ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第14話「まくら返しと幻の夢」感想|みんなの森-徒然安芸日記-
元になった原作は「まくら返し」。
ただしストーリー自体は6期オリジナル要素が多い*5です。
眠ったまま目覚めない父親を心配する少年・マサシは、まなを通じて鬼太郎に助けを求める。
世間では他にも目覚めない大人が増えているなか、目玉おやじの推測のもと、まくら返しの元を訪れる鬼太郎たち。
だが、まくら返しは犯人ではなかった。
(ボーガス注:でも夢の世界には詳しいのだからこの一件はあなた(まくら返し)の力で解決できますよね、それとも、できないんですか?と)まなにうまくのせられたまくら返しの協力で夢の世界へ向かう鬼太郎たち。
夢の世界は思ったことが何でも叶う場所。
ねこ娘とまなは早々に自分の夢に夢中になってしまい*6戦線離脱。
鬼太郎たちの前には子供に戻ったマサシの父・アキノリやその他の元大人だった子供たちがあらわれる。
そして大人たちを夢の世界に誘った謎の少女が姿をあらわす。
少女の強い怨念に鬼太郎やマサシが絶体絶命のピンチに陥った時、子を想う親*7の愛が奇跡を起こす!
まくら返し
歴代では、1、3、4、5期に登場。
まくら返しも各期基本のストーリーは原作に沿っていますが、6期では大幅にアレンジされました。
3期のように後に仲間になるパターンもありましたが、今回は最初から味方で登場。
ただ過去には、今までのシリーズのように子供を攫ったりといった悪さをしていたようで、昔あるお坊さんにコテンパンにされて改心していたようです。
この辺は5期の火車*8パターンですね。
夢繰りの鈴の少女*9
アキノリや現実に疲れた大人たち*10を夢の世界に誘った張本人。
その正体は、その昔洪水を鎮めるために川の神に生贄として捧げられた少女。
捧げられる際、せめて良い夢がみれるようにとお坊さんからもらった夢繰りの鈴(昔まくら返しが懲らしめられたお坊さんにとられたもの)の力で大人たちを夢の世界に導き、自分の永遠の遊び相手にしようとしていました。
少女自身もかわいそうなんですが、成仏できずに怨霊となってしまったのでしょうかね・・・
事件解決後、現実へ帰るアキノリを見送る少女*11が最後に見せた邪悪な笑みは何を意味するのでしょう?
(ボーガス注:目玉おやじの指鉄砲で破壊されて)鈴を失ったので、今までのように自由に操ることはできませんが、「どうせすぐまた戻ってくる」なのか、「他にも現実に疲れた大人はいっぱいいる」なのか?*12
アキノリ
鬼太郎に助けを求めた少年マサシの父親。
理不尽なリストラ*13にあい、再就職もままならず、別居中の妻にも冷たくされる。
現実に絶望しかけた際に、少女に導かれ夢の世界へ行き、眠ったまま目覚めなくなった*14。
唯一の救いは、父親想いの息子(マサシ)がいたことですね。
夢の世界では楽しかった子供に戻って遊んだり、画家の夢に向けて絵を描いていました。
マサシは父が絵を描いていたのを見たことなかったようで、かつて破れた夢だったのですね。
息子のマサシが豹変した少女の髪に飲まれたとき、自分の夢を描いた絵が燃え、その下から息子と一緒にみた夢があらわれました。
全てを思い出し、大人に戻るアキノリ!
戻り方がアレで(髭やお腹が・・・(^^;)ちょっと笑ってしまいそうですが、その後がカッコ良かった!
無茶を承知で飛び込んで決してあきらめない、カッコイイ父親でした。
ねこ娘・まな
早々に夢にハマって、「お前らは何もしてないだろ」とまくら返しに言われた2人(笑)
ねこ娘の夢はもちろん鬼太郎との結婚式!
8等身鬼太郎のインパクトたるや!!
「無事でよかった。結婚しよう。」は笑います
まなの夢は鬼太郎と一緒に学校に通ってる!
しかも先生はねこ姉さん*15!!
でも他のクラスメイトもみんな妖怪ってのがすごいなぁ・・・
本当に妖怪たちみんなと友達になりたいんですね(^^)
しかしヒロインズの夢には微塵も興味なかったな鬼太郎・・・(苦笑)
目玉おやじ
少女の攻撃に飲み込まれた鬼太郎を救うため、まくら返しの力を借り、ちゃんちゃんこに乗っていた目玉おやじが(ボーガス注:まくら返しの放った)光に包まれたとき、鬼太郎への想いが奇跡を起こし、目玉おやじの生前の姿があらわれました!
まさか目玉おやじの指鉄砲が見れる日が来るとは!!
しかも少女は消滅させずに鈴だけを壊して制圧*16するという!
そのため威力は押さえてあるっぽいのにそれでもあの威力でおそらく鬼太郎の指鉄砲より強いんじゃないかと・・・
みつなが
◆ここで沢城くん、(ボーガス注:夢の世界に人間が行くのは危険だと)まなちゃん止めたりしないのも(ボーガス注:当事者のマサシならともかく、いくらマサシの友人でも、当事者ではないまなが夢の世界に行く必要は必ずしも無いし、普段、鬼太郎は「人間と妖怪は距離を置くべきだ」と言ってたはずなのに)なんか違和感あって……なんで(ボーガス注:脚本は沢城くんに)喋らせないの……?
◆(ボーガス注:まなの夢の中での、鬼太郎の)「宿題見せて」の下りは好き。こういう感じの沢城くんで良いのに現実はなんであれなんだよ。やだなあ文句ばっかりになってしまう
◆なんかの媒体で赤ちゃんの鬼太郎さん演じたことなかったっけ、かないさん*17
◆枕返しの終わりがちょっと、って言ったのは鈴の女の子のことが全く解決してないまま終わってる辺りが後味悪いという意味でして。この子も手を差し伸べるべき*18では?。(ボーガス注:洪水を鎮めるために川の神に生贄として捧げられたと言う不幸な)過去のことも知ったのならなおさら
みつなが
そこカットしてんじゃねえよ
一番見たかったシーンじゃないか
(ボーガス注:アニメでは猫娘やまな、アキノリと違って、夢がないかのような描かれ方だったが)沢城くん、夢が何も無いわけじゃなかったんじゃん!!
コンテ段階で切ったってことは脚本段階ではあったってことだよね
うわあ見たい……(ボーガス注:吉野脚本では)沢城くんがお母さんというものにどういうイメージ抱いてるのかものすごく見たい……!
◆データ原口
『#ゲゲゲの鬼太郎』第6期・第14話。#吉野弘幸 さんの脚本では、鬼太郎が少女の術にかかって母の幻影に誘われ、「心の奥に秘めた夢」にはまりかけるシーンがありましたが、物語の焦点を父子に絞ったほうがいい、と判断した #古賀豪 さんが #小川孝治 さんと相談し、絵コンテではカットしたそうです。
無明院まだら
◆(ボーガス注:アキノリの再就職活動での不採用企業の決まり文句)「ご活躍をお祈りされ」パート、大人になって見ると結構しんどい!!
◆(ボーガス注:少女の行為を否定する、目玉おやじの台詞)「夢はいつか覚めるから尊い」理論、「人はいつか死ぬから尊い」理論と同じでポジショントークじゃないですか?。「(ボーガス注:マサシという)現世の子どもが悲しむのはよくない」で通すべきだったと思う
みつなが
4期猫町切符*19っていう変化球がありましてね……
私も同じ疑問を抱えてて夢から覚めなければいけないのか……?現実に戻らなきゃいけないのか……?と思っていたところにこの話が来たから大層驚いた。こんな終わり方もありなんだって
◆無明院まだら
(ボーガス注:今回のまくら返しの他でも)隠れ里*20、くびれ鬼*21、蓬莱島*22みたいな理想郷に引き込むタイプの話、現代だともう無条件に夢からは覚めなきゃいけない前提で話を通すのはやっぱりちょっと違和感があるな
f.a.たちばな
6期独自解釈としての包帯男ではない全盛期おやじの登場だが「ゲ謎」の後で見るとだいぶ願望込みのイケメンぶり
とっしー~ドエルの民~
水木しげる記念館ゲゲゲの鬼太郎6期上映会&トーク
永富プロよりゲ謎について
14話の「まくら返しと幻の夢」はゲ謎のコンセプトになったお話。6期特有の話を作りたいとなった時に、脚本の吉野さんが、「目玉おやじを実体化させよう」と提案し、それに乗っかったのが14話。水木プロに確認取らず*23放送した。アニメ放映途中に打ち上げを行った際に、水木プロに目玉おやじの実体化の件は言われたが、50年近い信頼関係があったのでそのまま承認。水木プロと永富さんで、目玉おやじの人間体は次の映画に取っておこうということで大切にされ、その後生誕祭100周年の記念映画としてゲ謎に至った。
ゲゲゲの鬼太郎(6期)第14話「まくら返しと幻の夢」〈再放送〉視聴 - タリホーです。
リアタイ視聴時にビックリしたのが、目玉おやじのイケメン化。
この「イケメン化」が本格的にされるのがその後の映画「ゲゲゲの謎」のわけです。
そして今回のセレクターは「ゲゲゲの謎」で親父を演じた関俊彦であり、また、【ゲゲゲの鬼太郎】2期第1話「妖怪復活」視聴【私の愛した歴代ゲゲゲ】 - タリホーです。でのご指摘に寄れば映画「ゲゲゲの謎」(フジで7/12放送)、6期「まくら返しと幻の夢」(フジで7/6放送)は脚本家はどちらも吉野弘幸氏です。そういう意味で関と彼が選んだという「まくら返しと幻の夢」にはある種のつながりがあります。
他にも
◆第9回「吸血鬼ラ・セーヌ」
セレクターの佐野史郎は『吸血鬼エリート(4期57話)』で吸血鬼エリートを演じ、また、ニッポン放送「ゲゲゲの鬼太郎のオールナイトニッポン」(2006年8月11日放送)内のラジオドラマで吸血鬼ラ・セーヌを演じた
◆第11回「ギターの戦慄!夜叉」
セレクターの京極夏彦が鬼道衆頭目として出演した実写映画『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』(2008年公開)には鬼太郎の敵妖怪として夜叉が登場(但し、ゲゲゲの鬼太郎 (実写映画) - Wikipediaによれば、夜叉以外にもぬらりひょん、蛇骨婆、ガシャドクロも敵妖怪として登場)
◆第15回「鬼太郎危うし!妖怪大裁判」
【ゲゲゲの鬼太郎】2期第1話「妖怪復活」視聴【私の愛した歴代ゲゲゲ】 - タリホーです。でのご指摘によれば、セレクターのウエンツ瑛士が鬼太郎役で出演した実写映画『ゲゲゲの鬼太郎』(2007年公開)の脚本は原作の「天狐」と「妖怪大裁判」を合体させた内容である。
などを考えるとさすがに「実際はフジテレビと東映が選んでおり、セレクターは名義貸しで有名無実」ということはないにせよ、セレクターが全くの自由に決めてるわけではなく、
1)フジテレビや東映と相談してる
2)別に相談はしてないが
「出演した『ゲゲゲの謎』と関係ある作品にして欲しい(関の場合)」
「出演した実写版『鬼太郎』と関わりのある作品にしてほしい(ウェンツの場合)」
「出演した『吸血鬼エリート』(4期57話)、『ゲゲゲの鬼太郎のオールナイトニッポン(ラジオドラマ「吸血鬼ラ・セーヌ」)』と関わりのある作品にしてほしい(佐野の場合)」
「過去の鬼太郎での脚本、出演作品と関わりのある作品にして欲しい(京極の場合)」等の条件付けがある
のかもしれません。
まあAdoの場合はそうした「条件付け」は全くなかったのでしょうが。
今回の「歴代ゲゲゲ」OP以前には鬼太郎ファンという以外には、上で紹介した関、佐野、京極、ウエンツや
【ウィキペディア参照】
◆4期主題歌を担当すると共に、実際に4期第33話『逆襲! 妖怪さら小僧』に登場した憂歌団(憂歌団がさら小僧の歌を盗作する設定)
◆5期主題歌を担当すると共に、実際に5期第66話『さら小僧! 妖怪ヒットチャート』に登場したザ50回転ズ(ザ50回転ズがさら小僧の歌を盗作する設定)
◆5期11話「おばけ漫才」に「お笑いコンビ・タロウズの山田、田中」として登場した「はりけ〜んず(前田登、新井義幸)」
などのような鬼太郎とのつながりがAdoには恐らくないので、条件付けしようがなかったのでしょう。
【追記】
ちなみにゲゲゲ放送終了後の10~11時に「中居問題の検証番組」がありますね(いつもはこの時間は狩野英孝、サンドウィッチマンがMCの散歩番組「かのサンド」を放送)。
正直「放送するなら、むしろプライムタイムにやれよ」「かのサンドが視聴率取れてない等の理由で外しやすいからこの時間にしたのか?」と思いましたが「鬼滅の刃(19~22時)」を入れちゃって今更、移せないんですかね。まあ、個人的には「鬼滅ファンの恨み」を買ってでもプライムタイムに検証番組を放送すべきと思いますが。
早朝5時や、夜の11時という「誰が見るんだ?」と言う時間にやるよりはマシですが、それでも「日曜10~11時」て家でテレビ見る人間は多くはないでしょう。
勿論「検証番組の内容自体」も重要です。番組について、有識者等からどのような評価がされるか注目したいと思います。
【参考:4期猫町切符】
鬼太郎アニメ4期『幻想譚・猫町切符』|nyalra
「猫町切符」のアニメ化です。
物語は、昼下がりから公園のベンチで一人お弁当をつつく、物悲しげなサラリーマンの哀愁から始まります。
仕事をクビになり、マンションのローンも残った状態で、家族にも言い出せないままサラリーマンのフリをして一日を公園で過ごす中年男性。「俺もいっそこの公園の野良猫みたいになりたいよ」と、晴天に似合わぬ鬱々とした独り言を漏らす。
彼の独り言を聴いた野良猫は、まるで言葉が通じたかのように、鳴き声をつかって人気のない地下通路へ案内する。
一方、占いで一儲けしようとしていたねずみ男の元に、「主人が帰ってこない」と憔悴した奥さんが相談にくる。金儲けのタイミングだと気づいたねずみ男は鬼太郎に話を持ち寄る。お金が起点とはいえ、なんだかんだやっていることは人助け。4期ねずみ男は、シリーズの中でも特に人情に厚い面が。
そして、4期鬼太郎は特に、鬼太郎とねずみ男がコンビで行動するシーンが少なく、どことなく距離がある印象なのですが、今回は原作に近い仲良しっぷりも良いですね。
「なぜか行方不明者が増えると野良猫が増える」と、意味深なことを言い出し二人を調査に向かわせる目玉おやじ。
居残った本人は何をするかと思えば、結膜炎の治療のために、ねこ娘に買ってこさせた眼薬に飛び込みます。「おばけに病気がない」は大嘘。
公園の野良猫についていくと、謎の機械の中に住む大きな猫がいる地下道が。ねずみなので猫を怖がり、思わず鬼太郎の肩に両手を回すねずみ男があざとい。大きな猫から猫町切符を発行され、二人は電車に乗って猫町を目指すことに。
猫町が近づくにつれ、だんだんと猫化していく二人。天敵である猫と化していく恐怖にうろたえるねずみ男。「幽霊電車*24」では、愚かな人間を地獄行きの電車で案内した鬼太郎が、今度は猫の電車で自身も罠にハメられているのが面白い。
その名の通り猫だらけの猫町に到着した二人は、猫と化した元サラリーマンの彼を発見し、奥さんが困っている旨を話す。しかし、彼は「もうギスギスした人間生活は嫌なんだ」と帰宅を拒否。猫町では一週間立つと完全に野良猫と化してしまうが、ローンを払い続ける人生に比べると家族も捨てて猫になった方がマシだという選択をする。
ここまでだと、(ボーガス注:第6期14話「まくら返しと幻の夢」のように)なんだかんだ家族や鬼太郎たちの説得により、彼が現実で生きる展開に思えますが……
なんと現実方面から新たに降りてきたのは、猫となった彼の奥さんと息子たち。感動の再開に抱き合う二人。
「アタシたち野良猫になったっていいの。どんな苦労もあなたと一緒がいいの」
どんな姿でも関係ない、家族全員で苦労を分かち合いたいと本音を吐露する奥さん。夫が自分を置いて猫になったことを怒る*25より、そこまで夫が追い詰められていたことに気づけなかったことを嘆く、家族愛溢れる名セリフ。
再開したことで家族全員で人間界に戻る選択をする、という話でもなく……
「ここで一緒に暮らそう」と、人間であることを捨て、野良猫として家族皆で新たな生き方*26を楽しむことを選択する一家。ここで人間としての苦悩に立ち向かうのではなく、猫として自由に生きる人生を答えとして出すのが、水木先生らしい結論。
「人間というものがなんかよくわからんのう……」と、あの目玉おやじも何が正しいのかわからなくなったまま鬼太郎たちは、猫になった彼らを残し人間たちの日常へ帰っていく。nyalra
水木しげる先生の晩年の作品やインタビューを追っていると「売れたせいで金は入ったが、ずっと仕事するハメになった。幸せがなにかわからなくなった」のような発言が多く、どれだけ鬼太郎を通して束縛も期限もない自由な妖怪世界を描いてきても、本人はそうなれなかったことがわかってくる現代社会に比べたら猫の方が幸せだと感じた男と、それを受け入れる心優しい妻という、他作品ではなかなか見れないオチとなった異色回*27。結局、それが正しいのか明確にならないのも鬼太郎ならでは。
この回の締めは情緒が溢れていまして、現実に帰ってくると、すっかり猫町での記憶を失ってしまっていた鬼太郎たち。やたら野良猫が増えたことに対して「行方不明者が増えると野良猫が増えると言うが、どうしてなんじゃのう?」とAパートで教えた情報をまた繰り返す目玉おやじ。
増えた野良猫たちは、現実に嫌気がさして蒸発し猫になった人間たちなのか……。なにもわからないまま、記憶を失った鬼太郎たちは呑気に森へ帰っていく。
ねこ娘「猫町のことは、猫だけの秘密だから」
ねこ娘だけが野良猫の秘密を知っている。(ボーガス注:猫娘が登場せず、猫町のことを皆(鬼太郎、ねずみ男)が忘れる設定の)原作と違って、ねこ娘が存在することを大いに活かした見事な締めにより、視聴後の余韻がじんわり沁みる。
因みに原作「猫町切符」。誰も何も知らないままループしていくオチはこれはこれで好きです。
【参考:7月の放送予定】
https://www.toei-anim.co.jp/kitaro/news/2025070101.php
翌週の第15回となる7月13日には、ウエンツ瑛士が選出した第3期32話「鬼太郎危うし!妖怪大裁判」が放送。
続く7月20日放送の第16回には、第4期で鬼太郎の声を務めた松岡洋子が選出した第4期34話「流浪!妖怪あずきとぎ」、7月27日放送の第17回には、第6期と映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』にて鬼太郎を演じた沢城みゆきが選んだ第6期54話「泥田坊と命と大地」の放送が決定した。
ということで「歴代ゲゲゲ」第13回「妖怪復活」(第2期第1話)で泥田坊が登場しましたが、「歴代ゲゲゲ」第17回でも泥田坊(第6期)が登場するそうです。
最近は「録画で見る人間が多い」から問題は少ないかもしれませんが、個人的には、「第13回」の記憶が比較的鮮明な時期の「第14回」で泥田坊(第6期)を放送して欲しいところです(勿論、7/12の「ゲゲゲの謎」放送に合わせての第14回「まくら返しと幻の夢」放送でしょうが(既に指摘したが、「ゲゲゲの謎」「まくら返しと幻の夢」どちらも吉野弘幸氏の脚本で、目玉おやじになる前の「鬼太郎の父」が出てくる))。
なお、タリホー氏が
【ゲゲゲの鬼太郎】2期第1話「妖怪復活」視聴【私の愛した歴代ゲゲゲ】 - タリホーです。
こうして整理すると5期が4本*28放送され、その次に多いのが3期で3本*29、1・4期が2本*30で2・6期が1本*31という訳だが、Ado さんが毎月1本ずつ5期をセレクト*32したことを責めるつもりはないし5期を愛しているのはわかる*33のだが、個人的には1期から6期まで満遍なくエピソードが紹介・放送されてほしいというのが正直な願いで、あまり5期ばかりが持てはやされるのは考えものかな?と、どうしても思ってしまう。
として6月時点において、5期が多すぎるとしていましたが、7月時点では
【セレクター】
◆3回:Ado(3回とも5期から選出)
◆2回:野沢雅子(第1期、第2期鬼太郎)、松岡洋子(第4期鬼太郎)、沢城みゆき(第6期鬼太郎)、ウエンツ瑛士(実写版「鬼太郎」:2回とも3期から選出)
◆1回:戸田恵子(第3期鬼太郎)、高山みなみ(第5期鬼太郎)、京極夏彦(4期から選出)、佐野史郎(1期から選出)、「関俊彦&木内秀信(『ゲゲゲの謎』、6期から選出)」、松下奈緒(NHK「ゲゲゲの女房」、3期から選出)
→当然ながら、鬼太郎声優が選んだ話は自分が演じた期の話です。
【期ごとの放送数】
◆4回:3期(ウエンツ瑛士(実写版「鬼太郎」)2回、戸田恵子(3期鬼太郎)1回、松下奈緒1回)、5期(Ado3回、高山みなみ(5期鬼太郎)1回)
◆3回:4期(松岡洋子(4期鬼太郎)2回、京極夏彦1回)、6期(沢城みゆき2回(6期鬼太郎)、関俊彦&木内秀信(『ゲゲゲの謎』)1回)
◆2回:1期(野沢雅子(1期鬼太郎)、佐野史郎)
◆1回:2期(野沢雅子(2期鬼太郎))
ということで2期が1回(野沢雅子(第2期鬼太郎))、1期が2回(野沢雅子(1期鬼太郎)、佐野史郎)で少ないものの、4期、6期が3回、3期、5期が4回でかなりバランスが取れてきたと言えるのではないか。今後、1期、2期が増えるのか、それとも増えないのかが気になるところです。
なお、
1)視聴率
2)セレクター
を考えれば「意図的に1期、2期を増やそうとしない限り」どうしても1期、2期は増えないだろうなとは思います。
よほどの鬼太郎ファンでもない限り、かなり昔の放送である1期、2期を見たいとはあまり思わないでしょう。従って視聴率を考えると1期、2期は放送されづらい。
セレクターにしても「リアルタイムで見ていた」「声優として出演」等ということでセレクトするなら、どうしても3期(1985~1988年)以降が増えるでしょう。
*1:なお、6期鬼太郎(2018~2020年)で鬼太郎を演じた沢城みゆき氏、目玉おやじを演じた野沢雅子氏がこの映画(2023年)でも鬼太郎や目玉おやじを演じている(鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 - Wikipedia参照)
*2:勿論フジテレビで放送(7/12(土)予定)
*3:但し、説明もなしでいきなり、今まで(原作及び5期まで)に登場しなかったイケメン親父が登場するのはゲゲゲの鬼太郎(6期)第14話「まくら返しと幻の夢」〈再放送〉視聴 - タリホーです。が書くようにびっくりするし、俺的には違和感がありますね。なお、イケメン親父の声は「ゲゲゲの謎」の関氏ではなく、6期目玉親父の野沢雅子氏です。
*4:一方で木内氏はそれほどユーモラスな語り口では無かったので、関氏の語り口が目立った。
*5:恐らく他期ではまくら返しが犯人(恐らくその方が原作に忠実)で、彼と鬼太郎とのバトルなのでしょう(6期ではまくら返しは犯人ではなく、むしろ鬼太郎の協力者)。イケメンの目玉親父(目玉になる前の親父)や、今回の犯人である夢繰りの鈴の少女は6期オリジナルキャラです。
*6:コメディ的で面白い描写ではあるものの、鬼太郎親子やマサシはそうはなっていないので、「?」ですね。まあ、その辺り、番組内で詳しく説明しようとすると時間が足りませんが。【追記】データ原口氏のXに寄れば『#吉野弘幸 さんの脚本では、鬼太郎が少女の術にかかって母の幻影に誘われ、(ボーガス注:猫娘やまなのように)「心の奥に秘めた夢」にはまりかけるシーンがありましたが、物語の焦点を父子に絞ったほうがいい、と判断した #古賀豪 さんが #小川孝治 さんと相談し、絵コンテではカットしたそうです。』とのこと
*7:イケメン化し、指鉄砲で夢繰りの鈴を破壊する目玉おやじのこと
*9:6期オリジナルキャラ
*10:但し、アキノリ以外については、「失業」という「アキノリと同様の理由」もあるでしょうが「人生に疲れた理由」についての説明はないし、マサシのような存在(眠り続けることを心配する肉親)も登場しない
*11:つまり、少女からアキノリらを取り戻したが、少女を倒すこと自体はできなかった(又は倒すことはできたかもしれないが、あえてしなかった)。ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第14話「まくら返しと幻の夢」感想|みんなの森-徒然安芸日記-は少女は消滅させずに鈴だけを壊して制圧と書き「あえてしなかった」という認識のようです。
*12:もしそうであるならば随分とブラックな落ちではあります。
*13:この辺りは時代を反映していると言えるでしょう。
*14:深読みすれば今回の話(夢から目覚めない)は「リストラなどの精神的ストレスで失踪したり引きこもったりしてる人間(社会からのドロップアウト)」の隠喩にも見えます。
*15:猫娘のこと。先生という設定なので、いつもの猫娘よりも、やや大人びた口調になっている。
*16:いや「放置しては明らかにまずい怨霊(またアキノリのような被害者が出かねない)」である少女も消滅させていいんじゃないですかね?
*18:この際「危険な怨霊だから完全に打倒、抹殺すべきでは?」と言う発想はあっても「可哀想だから救えないか?(怨霊ではない「無害な存在」にする?。成仏させる?)」という発想は俺にはなかったですね。
*20:2期38話「隠れ里の死神」、6期66話「死神と境港の隠れ里」のこと(例えば ゲゲゲの鬼太郎(第2部) 第38作 | ロロモ文庫、ゲゲゲの鬼太郎(第二期) 38話「隠れ里の死神」 - ばいきんダディの何でオレ様が 2nd GIG、ゲゲゲの鬼太郎(6期)第66話「死神と境港の隠れ里」視聴 - タリホーです。参照)
*21:4期19話「恐怖! 妖怪くびれ鬼」のこと。5期(第62話「くびれ鬼が死を招く」:例えばゲゲゲの鬼太郎第62話「くびれ鬼が死を招く」感想。 - noentity参照)、6期(第25話「くびれ鬼の呪詛」:例えばゲゲゲの鬼太郎(第6期) 第25話「くびれ鬼の呪詛」感想 - たこわさ、ゲゲゲの鬼太郎(6期)第25話「くびれ鬼の呪詛」視聴 - タリホーです。参照)でもくびれ鬼は登場するが4期と違い「理想郷に引き込むタイプの話」ではない(但し、理想郷といっても、実際は黄泉の国だが:これについては例えば第 19 話 恐怖! 妖怪くびれ鬼 - ゲゲゲの鬼太郎(第4期) - 作品ラインナップ - 東映アニメーション参照)
*22:4期14話「蜃気楼海竜・みずち」のこと
*23:結果オーライとは言え「確認取れよ」と言う話ではあるでしょう。
*24:4期53話『霊園行・幽霊電車!』のこと
*25:リアルな話では、仮に「そこまで追い詰められていたこと」に気づかなかった事への申し訳なさを感じたとしても、「家族を捨てたこと」への怒りは消えない気もしますが。
*26:勿論、人間が野良猫になるなど現実的にはありえない「ファンタジーの中の話(今回は鬼太郎)」ですが、これは善意に理解すれば「家族一緒であれば、例えば一流企業の会社員というエリート人生でなくてもいいではないか?」「無理して上を目指すより家族一緒であることの方が大事だ」という主張の隠喩とも理解できるでしょう。
*27:確かに鬼太郎アニメとしては異色でしょうが、水木作品としてはむしろ「こうしたテイスト(人間として生きることが幸せとは限らない)」がそもそもは強かったのでは?。まあ、原作「猫町切符」では「妻子までもが猫になる」と言う描写は確かなく、そうした(夫(妻の場合)のため、父(子どもの場合)のため、猫になっても構わないという)家族愛は「水木作品」にはないテイスト(鬼太郎アニメ的?)かもしれませんが。
*28:Adoが3つ(第1回「男!一反もめん」(第5期第4話)、第5回「ニセ鬼太郎現る!!」(第5期第22話)、第12回「妖怪スイーツ! バレンタイン作戦」(第5期第95話))、「5期鬼太郎を演じた高山みなみ」が1つ(第8回「妖怪アイドル!?アマビエ」(第5期第26話))セレクト
*29:ウエンツ瑛士(実写版「鬼太郎」で鬼太郎を演じた。第7回「鏡じじい」(第3期第2話))、松下奈緒(NHK『ゲゲゲの女房』で水木の妻を演じた。第4回「ざしきわらしと笠地蔵」(第3期第12話))、「3期鬼太郎を演じた戸田恵子(第10回「だるま妖怪相談所」(第3期第8話)」が1つずつセレクト
*30:1期は佐野史郎(第9回「吸血鬼ラ・セーヌ」(第1期第4話)と「1期鬼太郎を演じた野沢雅子(第2回「おばけナイター」(第1期第1話)」が、4期は京極夏彦(第11回「ギターの戦慄!夜叉」(第4期第3話)と「4期鬼太郎を演じた松岡洋子(第6回「白粉婆とのっぺらぼう」(第4期第21話)」が1つずつセレクト
*31:2期は「2期鬼太郎を演じた野沢雅子」が、6期は「6期鬼太郎を演じた沢城みゆき」が1つずつセレクト(第13回「妖怪復活」(第2期第1話)、第3回「たんたん坊の妖怪城」(第6期第3話))
*32:第1回「男!一反もめん」(第5期第4話)、第5回「ニセ鬼太郎現る!!」(第5期第22話)、第12回「妖怪スイーツ! バレンタイン作戦」(第5期第95話)のこと
*33:というか「フジテレビや東映が彼女の人気にあやかりたい」のはわかりますが、OP曲を歌う彼女だけ「3回もセレクター」というのが「何だかなあ?」ですね(この時点では、野沢雅子(1期、2期鬼太郎)の2回を除き、全て1回)。