新刊紹介:「経済」2025年8月号

 「経済」8月号を俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
◆随想「ハンセン病差別の歴史を旅する」(八木絹)
(内容紹介)
 八木『ハンセン病差別の歴史を旅する』(2025年、かもがわ出版)を刊行し、また、江連恭弘・佐久間建*1『13歳から考えるハンセン病問題』(2023年、かもがわ出版)、徳田靖之*2『菊池事件*3』(2025年、かもがわ出版)を編集するなど、ハンセン病問題をライクワークとする八木氏*4が自らの思いを述べていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考

今日の社会とハンセン病差別 『ハンセン病差別の歴史を旅する』『菊池事件』(1)|かもがわ出版2025.7.7
 今年4月~5月、『ハンセン病差別の歴史を旅する』(八木絹)、『菊池事件』(徳田靖之)を刊行しました。前者の著者であり、後者の編集を担当した戸倉書院の八木絹さんに、この仕事を通じて考えたことを綴っていただきました。
(ボーガス注:以下、八木氏の文章はさすがに「完全な使い回しではない」ものの、経済コラムとは内容的にかなりかぶります。そもそも*本稿は新日本出版社発行の雑誌『経済』8月号に執筆した原稿をもとに改稿したものです。だそうですし)
 ハンセン病差別のことを知ったのは遅かったのです。2018年、国立ハンセン病資料館での「語り部の会」が、回復者の高齢化で継続が難しいという報道に接し、この会に参加したのがきっかけです。
 もう一つのきっかけは、私の母(94歳)がかつて「まひる野」という短歌同人の歌友のためにやっていたボランティア活動にあります。国立療養所・邑久〔おく〕光明園(岡山県瀬戸内市)に2人の全盲の歌友がおられ、母は『まひる野』誌に掲載される短歌全てを毎月朗読、録音し、カセットテープを盲人郵便で送っていました。
 皆さんは、2020年の初め、コロナ禍が始まったころ、コロナ感染者への憎悪が社会に渦巻いたことを覚えておられるでしょうか。SNSには(ボーガス注:コロナ患者への)ヘイトスピーチがあふれ、メディアは連日県別の感染者数を報道、都道府県知事は「県をまたぐ移動は自粛せよ」と叫びました。これに対し、全国ハンセン病療養所入所者協議会は、無らい県運動(県を競わせてハンセン病患者をゼロにする官民一体の運動)の再来だと警鐘を鳴らしていたのです。直感的に察知したのだと思います。
 こんにちの人権感覚では考えられない扱いが、ハンセン病患者であることを理由に正当化され、人びとも当然のことと信じていたのです。本書をお読みいただいた方からは、「こんなことが歴史の中で行われていたことに驚いた」という反響をたくさんいただいています。
*本稿は新日本出版社発行の雑誌『経済』8月号に執筆した原稿をもとに改稿したものです。同文を多摩住民自治研究所『緑の風』8月号に掲載しています。


世界と日本
◆韓国の政権交代と労働問題(洪相鉉)
(内容紹介)
 李在民(共に民主党)の大統領当選、「共に民主党」の議会多数派獲得から「財界よりで労働問題に冷淡な『国民の力(前与党)』」よりは「労働組合などが求める労働法の改正」が一定程度進むのではないかとの期待が語られています。


中国経済、米国の圧力に対応(平井潤一*5
(内容紹介)
 相互関税などの「米国の対中国政策」に対する中国の対応について述べられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


◆アフリカの食料価格高騰(佐々木優*6
(内容紹介)
 アフリカの食料価格高騰について論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
 なお、食料価格高騰については勿論「ロシアによるウクライナ侵攻の影響(ウクライナ産小麦の輸出減少)」はありますが、筆者は1)温暖化による不作、2)アフリカの人口増大、3)アフリカでの肉食増加(従来食用にされていた穀物が家畜の餌になる)、4)いわゆる商業作物、換金作物の問題(エチオピアケニアのコーヒーなど、小麦などの食用作物よりも、コーヒーなどの換金性の高い作物が多く生産される)などの問題もあると指摘しています。


特集「ジェンダー平等社会へ:世界の流れと日本」
【参考:北京会議から30年
 何で今回、この企画かと言えば今年が「北京会議*7から30年」だからです(7月号での予告では特集タイトル(予定)は「北京会議から30年」だった)。勿論、企画の背景には【1】日本のジェンダーギャップ指数が長年「G7諸国で最低」、【2】昨年(2024年)、国連女性差別撤廃委員会で日本が指摘を受けた(夫婦別姓女性天皇など)等の問題もあります。

赤旗女性の権利揺り戻しも/北京会議から30年 国連ウィメンが報告書/「人権、平等へ力を合わせよう」事務総長2025.3.7
 UNウィメンは6日、1995年の第4回世界女性会議(北京会議)からの30年を振り返り、報告書を公表しました。

赤旗主張/3・8国際女性デー/北京会議30年を追い風にして2025.3.8
 今年の3月8日は、「北京宣言」と「行動綱領」を採択した北京女性会議から30年、日本の女性差別撤廃条約批准から40年という節目の国際女性デーです。
 30周年に向けて、国連ウィメンは「あらゆる形態の暴力、差別、搾取に対抗し、女性と少女のすべての人権を守るために絶え間なく闘うこと」「制度的障壁に取り組み、家父長制を解体し、根強く残る不平等を変革し、若者を含む社会から疎外された女性と少女の声を高めること」「教育、雇用、リーダーシップ、意思決定の場への包括的なアクセスを確保することにより、権力構造を見直すこと」などを世界に呼びかけました。

女性の人権に“逆行起きている” 国連で「女性の地位委員会」 | NHK | 国連2025.3.11
 2025年は、女性の地位向上に向けた国際社会の指針となる「北京宣言」が採択されてから30年となり、国連のグテーレス*8事務総長はこの30年で女子教育の普及や妊産婦の死亡率の低下などの前進があったものの賃金などについては「格差が依然として大きい」と指摘しました。
 そして会議では「30年が過ぎてもジェンダーの平等はどの国も完全には達成していない」として格差解消の取り組みを改めて強化するよう求める政治宣言が全会一致で採択されました。


◆国際女性運動の半世紀、今後の課題:「国際婦人年」50年、「北京会議」30年に寄せて(伊藤セツ*9
(内容紹介)
 小生の無能のため詳細な紹介は省略しますが、いくつか「俺的に興味深い指摘」を紹介しておきます。
【1】研究者らしい指摘として伊藤氏は「ジェンダー統計(ジェンダーの観点に基づく統計調査)の重要性」を指摘しています。
【2】伊藤氏に寄れば、国連で「国際女性デー(3/8)」が1977年に採択されたとき

国際女性デー - Wikipedia
◆1910年にデンマークコペンハーゲンで行なわれた国際社会主義女性会議でドイツの社会主義者クララ・ツェトキンが「国際女性デー」を提唱したが、この時点では、具体的な月日は定められなかった。
◆国際女性デーにちなむ最大の事件は1917年のロシア二月革命である。国際女性デー(当時ロシアで使われていたユリウス暦では2月23日だが、グレゴリオ暦で3月8日(現在の国際女性デー)にあたる)に首都ペトログラードで行われた女性労働者を中心としたデモは、男性労働者、更には兵士を巻き込んだ大規模な蜂起となり、帝政を崩壊に追い込んだ。そのため、1960年代に国際的な女性運動で取り上げられるようになるまでは、主に共産主義国家で祝われていた。
◆日本では1923年3月8日、社会主義の立場に立つ女性団体「赤瀾会*10」が初の集会を開催

ということで「歴史的に社会主義運動との関係があるせいか」日本は反対しないまでも棄権したとのこと(当時は福田赳夫内閣)。但し、その日本政府も今では
令和7年3月8日 「国際女性の日」に当たっての石破内閣総理大臣ビデオメッセージ | 総理の指示・談話など | 首相官邸ホームページ
3月8日の「国際女性の日」に寄せた三原大臣メッセージ - 内閣府*11として首相等が国際女性デーでメッセージを発していますが。
参考

やるべき仕事が重なってきました。 | 伊藤セツ研究BLOG2025.3.5
 雑誌『経済』編集長から、北京女性会議30年と今後の課題の企画を準備しているので、「国際婦人年50年、北京会議30年に寄せて」というような半世紀の女性解放・ジェンダー平等の歩みについて一文をお願いできないかとのメールが来た。
 30年前、50歳代*12の私は「国際家政学会」という公式の国連NGOからの代表で北京の政府間および、NGOの会議にでた身として、できませんとは言えない身ではないか。
 最後の研究テーマと決めていた、クラーラ・ツェトキーンの手紙集との向き合いは、並行か、後回し!

雑誌『経済』次号(2025年8月号)予告(7月8日発売)がでています | 伊藤セツ研究BLOG2025.6.21
 雑誌『経済』次号(2025年8月号)予告(7月8日発売)が、同誌7月号にでている。
 私の名もあるが、「書ける」と思っておひきうけしたことが今では、恐れ多いことだったと思っている。

 なお、今年(2025年)は国際婦人年(国際女性年)(1975年)から50年、男女雇用機会均等法成立、日本の女性差別撤廃条約批准(1985年)から40年、北京会議(1995年)から30年ですが、それぞれ以下の出来事がそれらの年にはありました。

1975年 - Wikipedia1975年の日本 - Wikipedia
◆1月17日
 フランスで前年に成立したヴェイユ法が施行され、人工妊娠中絶が合法化
◆2月11日
 イギリス保守党の党首にサッチャーを選出(同党初の女性党首)
◆4月30日
 南ベトナムの首都サイゴン(現ホーチミン)陥落によりベトナム戦争終結
→例えば<社説>ベトナム戦争終結50年 うそを暴く報道の気概:東京新聞デジタル(2025.3.21)、ベトナム戦争終結50年で式典 “高い経済成長実現”と強調 | NHK | ベトナム(2025.4.30)参照
◆7月19日
 沖縄国際海洋博覧会開幕
◆11月15日
 第1回先進国首脳会議(サミット)

1985年 - Wikipedia1985年の日本 - Wikipedia
◆3月17日
 国際科学技術博覧会(つくば万博)開催
◆4月1日
 日本電信電話公社電電公社)が日本電信電話(NTT)に、日本専売公社日本たばこ産業(JT)に民営化
◆6月18日
 豊田商事会長刺殺事件
◆8月12日
 日本航空123便墜落事故(乗客乗員524人のうち520人死亡)
◆8月15日
 中曽根首相が靖国神社公式参拝

1995年 - Wikipedia1995年の日本 - Wikipedia
◆1月17日
 阪神・淡路大震災
◆3月20日
 地下鉄サリン事件
→例えば地下鉄サリン事件から30年 被害者や遺族 事件の教訓伝え語り継ぐよう訴え | NHK | 事件(2025.3.20)参照
◆3月30日
 国松警察庁長官狙撃事件
◆4月23日
 村井秀夫(オウム真理教幹部)刺殺事件
◆7月1日
 製造物責任法(PL法)が施行
◆8月15日
 村山首相談話を発表
◆9月4日
 沖縄米兵少女暴行事件
→その後も、赤旗女性暴行米兵 懲役7年/那覇地裁 被害証言「高い信用性」(2025.6.25)であることには屈辱や慚愧を禁じ得ません。本土マスコミ(特にテレビ)がこうしたことをろくに報じないことも実に腹立たしい。


女性差別撤廃条約から40年:選択議定書の批准を浅倉むつ子*13
(内容紹介)
 副題にあるように専ら「女性差別撤廃条約選択議定書(個人通報制度など)の批准(日本は未批准)」について述べられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考
女性差別撤廃条約選択議定書批准へ/女性団体と党議員団が懇談2025.1.31
日本の女性の権利を世界基準に/選択議定書批准へ国会前行動2025.4.18


◆男女雇用の平等と労働運動:均等法から40年、国連勧告の実現へ(寺園通江*14
(内容紹介)
 副題にあるように「昨年の国連女性差別撤廃委員会勧告」のうち、「男女平等雇用」に関する勧告について論じた上で、寺園氏が役員を務める全労連の「男女平等雇用」に関する取組について説明されていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考

主張/女性差別撤廃勧告/ジェンダー平等後進国返上を2024.11.5
 男女賃金格差が依然として大きく、同一価値労働同一賃金の原則が実施されていない問題も厳しく指摘。間接差別となる要件の拡大、女性の正規雇用を増やすこと、賃金格差開示を中小企業に広げることなどを勧告しています。


◆包括的性教育の課題(浅井春夫*15
(内容紹介)
 包括的性教育について論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考
包括的性教育とは 日本の性教育の現状と課題<用語解説> - 性暴力を考える - NHK みんなでプラス2021.10.15
主張/公教育での性教育/科学と人権に根ざした学びを2021.12.20
主張/包括的性教育/互いを尊重する関係育てよう2024.1.15


◆第6次男女共同参画基本計画への提言・課題(柴田真佐子*16
(内容紹介)
 男女共同参画基本計画(5年計画)は第1次計画が2000年12月(森*17内閣)に作成され、その後、5年スパンで「第2次(2005年12月:小泉*18内閣)」「第3次(2010年12月:菅直人*19内閣)」「第4次(2015年12月:第3次安倍*20内閣)」「第5次(2020年12月:菅義偉*21内閣)」が作成されてるので、予定通りなら今年も12月に「第6次計画(石破*22内閣?:7月の参院選結果など今後の政治動向によっては石破退陣の可能性がある)」が作られることになります(なお、過去のこれらの首相の内、第1~3次計画の森、小泉、菅直人は国会議員を引退し、第4次計画の安倍は暗殺され死亡しました。時間の流れを痛感します)。その計画作成に当たっての提言がされていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考

赤旗選択的夫婦別姓 同性婚の法制化 選択議定書の早期批准/国際水準のジェンダー平等へ/第6次共同参画基本計画 党国会議員団など政府に要請2025.3.6
 日本共産党ジェンダー平等委員会と国会議員団は5日、政府が年内に策定する第6次男女共同参画基本計画(2026~30年度)について、国際水準のジェンダー平等を実現するため、市民社会の声と国連女性差別撤廃委員会の総括所見を反映させるよう内閣府に申し入れました。

赤旗国連・女性差別撤廃委員会の総括所見を受けとめ、すみやかな国際的水準のジェンダー平等実現を/―「第6次男女共同参画基本計画」策定にあたって/2025年3月5日 日本共産党国会議員団 日本共産党ジェンダー平等委員会
 (ボーガス注:2025年中に作成予定の)第6次男女共同参画基本計画に次の内容を盛り込むよう要請します。
(1)実効ある法整備で男女賃金格差の解消など雇用のジェンダー平等推進を(ボーガス注:各項目の具体的内容は省略)
(2)男50%、女50%の目標をかかげ、女性の政治、政策・意思決定への参加促進を
(3)リプロダクティブ・ヘルス&ライツの保障を
(4)ジェンダーにもとづく暴力の根絶と被害者救済の強化を
(5)女性の貧困対策の抜本的な強化を
(6)家父長的・ジェンダーステレオタイプの是正、ジェンダー平等めざす民法改正、女性の人権擁護を
(7)平和とジェンダー平等
(8)選択議定書の早期批准と国内のジェンダー平等推進体制の抜本的強化を


◆日本経済の混迷は政府の失敗:大企業中心主義をただし経済循環構造の再生を(工藤昌宏*23
(内容紹介)
 副題にあるように法人税減税、不安定雇用の拡大、低賃金の増大などの「大企業中心主義をただし」、景気回復のためにも法人税増税(そして得た税収を社会保障費などの形できちんと所得再配分し、一般労働者の生活を安定させる。また消費税の減税)、非正規雇用の縮小(正規雇用の拡大)、低賃金の縮小(最低賃金の引き上げなど)が求められるとしている(小生の無能のため詳細な紹介は省略します。)


◆物価高騰下での国民生活の危機的実態(上)(金沢誠一*24
(内容紹介)
 今回は物価高騰する一方で、賃金は物価上昇率ほどには上昇せず、国民生活が苦しいという事実の指摘に留まっている(小生の無能のため詳細な紹介は省略します)。次回の(下)で「なぜ賃金が上昇しないのか」「どうすれば賃金が上昇するのか」と言った問題を論じる予定。


◆大企業の連続最高益と自社株買い(小栗崇資*25
(内容紹介)
・大企業の連続最高益について、「内部留保」とするのではなく労働者への還元(賃金アップなど)を主張。
・自社株買いについて、赤旗自社株買い 経営ゆがむ/参院委で大門氏 財務相「対応する」(2025.3.26)、主張/自社株買い急増/株主最優先のゆがみをただせ(2025.5.6)参照)が指摘するように、弊害の大きさを理由に法的規制を主張。


◆ガザ戦争とグローバルサウス(上):戦争が顕在化する「グローバルサウス」空間の重層性(松下冽*26
(内容紹介)
 副題『戦争が顕在化する「グローバルサウス」空間の重層性』が重要ですね。
 筆者は「グローバルサウス」とは「南北問題」など「先進経済国(イスラエルや、イスラエルに迎合的でガザ侵攻への批判が弱い、あるいは批判するどころかそもそも擁護してしまうG7諸国(特に米国)など)」「発展途上国イスラエルに攻撃されるパレスチナや、本来、パレスチナを支持する立場にあるアラブ諸国など)」との対立を説明する概念として誕生した言葉だが、だからといって「グローバルサウス」が「アラブ限定」ですら「パレスチナ支持」とは言えないことを指摘しています(勿論、一方でイスラエルを非難し、パレスチナを支持するアラブ諸国、グローバルサウスもあるが)。
 「パレスチナを支持しないアラブ」の典型として筆者が指摘するのは「エジプト」「サウジアラビア」です(あくまでも分かりやすい典型であって他にも親イスラエルアラブ諸国、グローバルサウスは勿論あります)。
 エジプトは現在軍事独裁、サウジは国王独裁ですが、「独裁に対する米国の批判をかわすため」、米国の軍事基地を自国に設置し、またイスラエル批判も控えています(まあ近代化のためにイスラエル外資を国内に誘致したいという思惑も両国にはあるようですが)。
 そのエジプトやサウジに対し、米国も「米国が独裁的政権として批判するロシア」などとは違い「エジプトやサウジの批判は避ける」と言う形で応じています(米国の「民主主義」云々、「独裁」云々という批判が「反米国家(ロシアなど)」のみに適用され「親米国家(エジプトやサウジなど)」には適用されないという、非常に場当たり的な代物であることが露呈してます。まあ、これは過去にも「韓国・朴政権」「チリ・ピノチェト政権」「フィリピン・マルコス政権*27」など独裁的政権の支持で既に露呈していますし、だからこそ俺も米国には批判的ですが)。
 一方で、「米国との対決」という思惑が強いでしょうがパレスチナ支持を強くアピールしているのがイランです。
 但し、筆者はイスラエルの行為があまりにも無法であるが故に「エジプト」「サウジアラビア」に代表される「イスラエルに迎合的なグローバルサウス(アラブ諸国)」がどこまでその態度を維持できるかが注目される、としています(政府はともかく民衆の多くはイスラエルに批判的なため。例えばエジプトで、民衆抗議でムバラク政権崩壊のような事態が再現される可能性がある)。
 また「グローバルサウス」概念について「イスラエルに迎合的なグローバルサウス(エジプトやサウジなど)」の存在を指摘し、ガザ問題限定*28ですら「グローバルサウスが一枚岩ではないこと(筆者の言葉では重層性)」に注意を促す*29と共に、イスラエルの無法を抑制するには「イスラエルに迎合的なG7諸国」だけでなく「イスラエルに迎合的なグローバルサウス(エジプトやサウジなど)」を批判する重要性が訴えられる。


◆若者の「いま」をどうとらえるか:新自由主義ネイティヴと「若者の政治」(中西新太郎*30
(内容紹介)
 中西論文には異論もありうるかと思いますが一応紹介だけしておきます。
 副題の「新自由主義ネイティヴ」とは「生まれたときから新自由主義的政策が当たり前に実施されていた若者世代」と言う意味です。
 したがって彼らは「新自由主義的価値観」を「当たり前のもの」として受け止める傾向が強く、共産のように「新自由主義それ自体を打破する(社民主義的施策の志向)」という方向性には行かない(新自由主義を当然の前提とした上での個人努力と言う方向性)ことが多いという厳しい認識が示されます。
 また「新自由主義的施策」に疑問を感じる若者層でも、「地道に問題を解決するのではなく、一発博打的なガラガラポン幻想(結果として実現可能性等に関係なく一見、勇ましい主張を支持。自由主義、民主主義や熟議にはあまり興味が無く自らの歴が実現されるなら、独裁的、強権的手法も容認*31)」や「新自由主義施策によって利益を受ける大企業、富裕層ではなく、外国人や高齢者を不当に敵視する、誤った政治的攻撃」に絡め取られる層が多く、それが「れいわや国民民主党への若者支持(中西論文時点では参政党支持は表面化してないが、勿論それにも該当する)」「その結果としての共産の伸び悩み」になるとの分析がされます。
 そうした「新自由主義を地道に改善していく」のではなく「個人努力に解消したり」「ガラガラポンを狙ったり」「高齢者や外国人を不当に攻撃したり」する流れにどう対抗していくかが課題であるとの厳しい認識がされています。この認識においてはkojitakenや阿部治平、広原盛明などの「共産非難」は事実から著しく乖離した不適切な認識となるでしょう(「共産の苦戦」は、共産の内部要因よりも、「新自由主義などに親和的な社会の風潮」と言う外部要因がかなり大きい*32)。小生も中西氏の指摘は「かなり事実に合致しているのではないか?」という感があります。
 絶望的になりますが、中西氏も「妙案はない」としながらも「新自由主義に対し、社民的に、そして自由主義的、民主的に対抗していく方法論」を地道に訴えるほかないのではないかとしています。


◆官製株式バブルと変容する経済社会(山田博文*33
(内容紹介)
 株価つり上げを目的とした日銀の株式大量購入を「官製株式バブル」として批判。政策変更を要求している(小生の無能のため詳細な紹介は省略します)。


日本銀行の金融政策と独立性(相沢幸悦*34
(内容紹介)
 内容的には山田博文論文とかぶるところが多いです。
 山田論文同様にまず「日銀の株式大量購入」や「ゼロ金利」といったアベノミクス政策が景気回復を実現できず、(アベノミクスだけが原因ではないとは言え)むしろ「円安による輸入物価上昇」などで物価上昇を助長したと批判。
 そうした「不適切な政策」が日銀の独立性を侵害する形で実現されたことを「政治の不当介入」として批判。

*1:著書『ハンセン病と教育』(2014年、人間と歴史社)

*2:徳田氏については薬害エイズ問題などに取り組む 徳田靖之弁護士が講演|NHK 大分県のニュース(2025.6.21)や徳田靖之さん 弁護士/辺境の声なき声 酌み続け | 取材ノート | 日本記者クラブ JapanNationalPressClub (JNPC)語る―弁護士・徳田靖之 | 毎日新聞参照

*3:1951年に熊本県菊池郡で発生した殺人事件。被告人の名前を取って藤本事件とも言う。被告人(1962年に死刑執行)はハンセン病患者であり、ハンセン病差別に基づく冤罪であったとの指摘がある。「菊池事件」裁判のやり直し 来年1月末までに決定へ 熊本地裁 | NHK | 事件(2025.7.7)が報じるように現在、再審請求中(藤本事件 - Wikipedia参照)

*4:今日の社会とハンセン病差別 『ハンセン病差別の歴史を旅する』『菊池事件』(1)|かもがわ出版によればフリーの編集者であり「かもがわ出版社員」ではないようです。「経済」誌での肩書きも「編集工房・戸倉書院代表」となっています。

*5:著書『習近平体制の中国』(2025年、新日本出版社

*6:文教大学准教授

*7:1995年に北京(中国の首都)で開催された国連第4回「世界女性会議」のこと。北京宣言北京行動綱領が採択された。なお、世界女性会議は第1回(1975年)はメキシコシティ(メキシコの首都)、第2回(1980年)はコペンハーゲンデンマークの首都)、第3回(1985年)はナイロビ(ケニアの首都)で開催された。

*8:ポルトガル首相、欧州理事会議長、国連難民高等弁務官等を経て国連事務総長

*9:昭和女子大学名誉教授。個人サイト伊藤セツ研究BLOG。著書『女性研究者のエンパワーメント』(2008年、ドメス出版)、『生活・女性問題をとらえる視点』(2008年、法律文化社)、『クラーラ・ツェトキーン:ジェンダー平等と反戦の生涯(増補改訂版)』(2018年、御茶の水書房)、『国際女性デーの世界史(増補改訂版)』(2024年、御茶の水書房)等

*10:伊藤野枝大杉栄の妻)、堺為子(堺利彦の妻)、堺真柄(堺利彦の娘)、山川菊栄(戦後、労働省の初代婦人少年局長を務めた(当時は社会党の片山内閣)。山川均(戦後、日本社会党幹部)の妻)等が中心メンバー

*11:三原(小生にとっては三原と言えば、金八先生第1シリーズの不良女子高生ですが)は石破内閣で現在「男女共同参画・女性活躍担当相」

*12:伊藤氏は1939年生まれ。1995年(30年前)当時は56歳、現在は86歳

*13:東京都立大学名誉教授、早稲田大学名誉教授。「女性差別撤廃条約実現アクション」共同代表。著書『男女雇用平等法論』(1991年、ドメス出版)、『均等法の新世界』(1999年、有斐閣)、『労働とジェンダー法律学』(2000年、有斐閣)、『労働法とジェンダー』(2004年、勁草書房)、『雇用差別禁止法制の展望』(2016年、有斐閣)、『尊厳の平等という未来へ』(2025年、信山社)等

*14:全労連事務局次長(女性部事務局長兼務)

*15:立教大学名誉教授。性教育関係の著書に『包括的性教育』(2020年、大月書店)、『性教育バッシングと統一協会の罠』(2023年、新日本出版社)等

*16:日本婦人団体連合会(婦団連)会長

*17:中曽根内閣文相、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)等を経て首相

*18:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相等を経て首相

*19:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相、首相、立民党最高顧問を歴任

*20:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官等を経て首相

*21:第一次安倍内閣総務相、第二次安倍内閣官房長官、首相等を経て自民党副総裁(石破総裁時代)

*22:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相を経て首相

*23:東京工科大学名誉教授。著書『日本海運業の展開と企業集団』(1991年、文眞堂

*24:佛教大学名誉教授。著書『現代の貧困と最低生活の岩盤を求めて』(2019年、高菅出版)

*25:駒澤大学名誉教授。著書『アメリ連結会計生成史論』(2002年、日本経済評論社

*26:立命館大学名誉教授。著書『現代ラテンアメリカの政治と社会』(1993年、日本経済評論社)、『途上国の試練と挑戦』(2007年、ミネルヴァ書房)、『現代メキシコの国家と政治』(2010年、御茶の水書房)、『グローバル・サウスにおける重層的ガヴァナンス構築』(2012年、ミネルヴァ書房)、『ラテンアメリカ研究入門』(2019年、法律文化社)、『ポスト資本主義序説』(2022年、あけび書房)等

*27:ベニグノ・アキノ暗殺後、マルコス退陣運動が高まると彼を見捨てた(彼が退陣に追い込まれることを容認した)がそれまでは米国はマルコスを支援したし、失脚後も、彼のハワイ亡命は受け入れた

*28:勿論、他の問題も含めればさらに「一枚岩ではない」。

*29:筆者はグローバルサウスという言葉が「グローバルサウス」の「グローバルノース(先進国)」への対抗を期待する思い入れによって「一枚岩でグローバルノースに対抗している」かのように論じられる傾向があるがそれは間違っていると批判している。

*30:横浜市立大学名誉教授。著書『思春期の危機を生きる子どもたち』(2001年、はるか書房)、『若者たちに何が起こっているのか』(2004年、花伝社)、『“生きづらさ”の時代の保育哲学』(2009年、ひとなる書房)、『「問題」としての青少年:現代日本の“文化‐社会”構造』(2012年、大月書店)、『人が人のなかで生きてゆくこと:社会をひらく「ケア」の視点から』(2015年、はるか書房)、『若者保守化のリアル』(2019年、花伝社)、『若者は社会を変えられるか?』(2019年、かもがわ出版)等

*31:この中西説の立場に立てば、若者支持が高いとされる参政党が独裁的なのは意外ではなく「むしろ当然」でしょうし、松竹除名などを理由に「共産が権威主義的だから若者支持が低い」とするid:kojitakenの認識も実態と乖離していることになります。

*32:もちろん「共産の内部要因がない」と言う意味ではありません。「外部要因の方が恐らく大きい」と言う意味です。

*33:群馬大学名誉教授。著書『国債管理の構造分析』(1990年、日本経済評論社)、『金融自由化の経済学』(1993年、大月書店)、『国債ビジネスと債務大国日本の危機』(2023年、新日本出版社)、『「資産運用立国」の深層』(2024年、新日本出版社)等

*34:埼玉大学名誉教授。著書『西ドイツの金融市場と構造』(1988年、東洋経済新報社)、『ユニバーサル・バンキング』(1989年、日本経済新聞社)、『ECの金融統合』(1990年、東洋経済新報社)、『大ドイツ経済圏の台頭』(1991年、東洋経済新報社)、『EC通貨統合の展望』(1992年、同文舘出版)、『欧州最強の金融帝国・ドイツ銀行』(1994年、日本経済新聞社)、『日銀法二十五条発動』(1995年、中公新書)、『ユニバーサル・バンクと金融持株会社』(1997年、日本評論社)、『ヨーロッパ単一通貨圏』(1997年、東洋経済新報社)、『日本の金融ビッグバン』(1997年、NHKブックス)、『日本型金融システムを求めて』(1999年、東洋経済新報社)、『ユーロは世界を変える』(1999年、平凡社新書)、『平成大不況』(2001年、ミネルヴァ書房)、『現代資本主義の構造改革』(2002年、ミネルヴァ書房)、『日本経済再生論』(2003年、同文舘出版)、『ユーロ対ドル』(2003年、駿河台出版社)、『アメリカ依存経済からの脱却』(2005年、NHK出版)、『品位ある資本主義』(2006年、平凡社新書)、『反市場原理主義の経済学』(2006年、日本評論社)、『平成金融恐慌史』(2006年、ミネルヴァ書房)、『国際金融市場とEU金融改革』(2008年、ミネルヴァ書房)、『恐慌論入門』(2009年、NHKブックス)、『問いかける資本主義』(2009年、新日本出版社)、『世界経済危機をどう見るか』(2010年、時潮社)、『品位ある日本資本主義への道』(2010年、ミネルヴァ書房)、『戦後日本資本主義と平成金融恐慌』(2010年、大月書店)、『ペイオフ発動』(2012年、ミネルヴァ書房)、『日本銀行論』(2013年、NHK出版)、『環境と人間のための経済学』(2013年、ミネルヴァ書房)、『軍事力が中国経済を殺す』(2014年、講談社+α文庫)、『長期不況克服への経済学』(2015年、ミネルヴァ書房)、『日本銀行の敗北』(2016年、日本経済評論社)、『「アベノミクス」の正体』(2017年、日本経済評論社)、『ドイツはEUを支配するのか』(2018年、ミネルヴァ書房)、『定常型社会の経済学』(2020年、ミネルヴァ書房)等