新刊紹介:「前衛」2025年8月号(その2:映画批評)

 映画批評の部分が長くなったので新刊紹介:「前衛」2025年8月号(その1) - bogus-simotukareのブログとは別に書くことにします。
◆映画『描かれる高齢者に力づけられる』(児玉由紀恵)
(内容紹介)
 高齢者を描いた映画の紹介。
 なお、元気な老人を描いたドキュメンタリー映画【1】「104歳、哲代さんのひとり暮らし」や元気な老人を描いたコメディ映画【2】「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」描かれる高齢者に力づけられるといっていいでしょうが、他の映画(未見だが、ネット情報を見る限り「元気な高齢者を描いた映画」とは違うように思われる)はそう言えるのだろうか?、とは思います。
【1】「104歳、哲代さんのひとり暮らし」
映画公式サイト映画「104歳、哲代さんのひとり暮らし」 | RCC中国放送
山本和宏さんに聞いた:坂道は後ろ向きで下りる~映画『104歳、哲代さんのひとり暮らし』~ | マガジン92025.4.2

104歳一人暮らし 哲代さんが教えてくれた「年とるのも悪くない」 [広島県]:朝日新聞2025.4.17
 「104歳、哲代さんのひとり暮らし」(山本和宏監督)が、4月18日から全国で順次公開される。
 映画は、石井哲代さん*1の101歳から104歳までの2年余りの暮らしを見つめる。
 台所に立ってみそ汁を作り、自宅の周りの雑草を取り、近所の人たちと楽しくおしゃべりをする。「さびない鍬(くわ)でありたい」が信条だ。何かしていないと人間もさびる。「自分でできることはする」と決めている。

【2】「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」
映画公式サイトテルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ

テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ - Wikipedia
◆あらすじ
 93歳のテルマ(演:ジューン・スキッブ*2)はオレオレ詐欺に引っかかり、犯人に指定された住所に1万ドルを郵送してしまった。騙されたことに気付いたテルマだったが、警察は信用できず、かといって泣き寝入りするつもりもなかった。そこで、テルマは長く疎遠だった知人ベン(演:リチャード・ラウンドトゥリー)の助けを借りてその住所に乗り込むことにした。

サンデー早起キネマ『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』 | ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町 | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM932025.6.1
【単独インタビュー】『テルマがゆく!』フレッド・ヘッキンジャーが語る、高齢者を主人公に据える物語の意義2025.6.6

映画『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』(Thelma )あらすじと解説/オレオレ詐欺に挑む痛快おばあちゃん映画 - デイリー・シネマ
 93歳のテルマは24歳の孫のダニエルと大の仲良しだ。ある日、ダニエルが事故を起こし逮捕されたと聞いた彼女は、あわてて言われるまま保釈金1万ドルを送金するが、それは典型的な詐欺だった。彼女は犯人を見つけ、金を取り返そうと決心する。
 ダニエルを『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(2024)でカラカラ帝を演じたフレッド・ヘッキンジャーが務め、テルマの旧友のベン役を、『黒いジャガー』(1972)のシャフト役で知られ、2023年10月に他界したリチャード・ラウンドトゥリーが演じた。テルマの娘ゲイル役を『パーティーガール』(1995)、『ボーはおそれている』(2023)のパーカー・ボージーが、ゲイルの夫を『アイアンマン』(2008)、『キャプテンマーベル』(2019)などのクラーク・グレッグが演じているほか、(ボーガス注:「時計じかけのオレンジ」(1971年)の)マルコム・マクダウェルが意外な役*3で出演している。
 監督を務めたのは本作が長編映画監督デビューとなるジョシュ・マーゴリン。彼の104歳になる祖母に実際に起った話が元になっている。

テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ 高齢名優揃いのアクション - 日本経済新聞(英文学者・北村紗衣*4)2025.5.30
 ジューン・スキッブ演じるテルマはひとり暮らしの高齢者で、おばあちゃん想いの優しい孫ダニエルの訪問を楽しみに暮らしている。ある日テルマは特殊詐欺に引っかかり、大金をだまし取られてしまう。怒ったテルマは老人ホームで暮らす友人ベンを巻き込み、犯人と対決する。
 テルマは「ミッション・インポッシブル/フォールアウト」を気に入っており、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントに触発されて犯人を追うことにするのだが、全編に「ミッション・インポッシブル」シリーズのパロディーがある。面白おかしい一方、激しい動きができない高齢者にとってはちょっとした動作もスパイミッションなみに大変なのだということがわかりやすく示されている。カッコいい赤いバイクを大事にしているダンディーな老紳士ベンを演じているのは1970年代に「黒いジャガー」のシャフト役で一世を風靡したリチャード・ラウンドトゥリー(本作はラウンドトゥリーの遺作となった)で、悪役*5は「時計じかけのオレンジ」(1971年)で(ボーガス注:主役の)不良少年役だったマルコム・マクダウェルだ。
 若いダニエルのキャラクターもポイントだ。いろいろな才能があるのにイマイチ何をやってもうまくいかないダニエルはおそらくADHD(注意欠如多動性障害)か何かの発達障害を抱えていると思われるが、両親は気付いておらず、必要なサポートを与えていない。そのためダニエルはもっと包容力のあるテルマになついているのだが、そんなダニエルもついつい、高齢の祖母にはあんなことはさせてはいけない、こんなことはできない……というような押しつけがましい態度をとってしまうことがある。こうした人間関係の丁寧な描写も見どころだ。1時間39分。

テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ(2024) - 星屑シネマ
 原題は「Thelma」。
 孫(ボーガス注:を名乗る人物)から交通事故をおこしたと電話があり次に弁護士(ボーガス注:を名乗る人物)から保釈金は1万ドル(≒143万円)と電話が入る。
 慌てたおばあちゃんのテルマは教えられた私書箱の住所に現金を郵送。
 それが詐欺だとわかりますが、警察は動かず家族は1万ドルで済んだのは不幸中の幸いだったと諦めるよう言います。
 そんなときトム・クルーズの「ミッション・インポッシブル」に触発されたテルマは詐欺師を見つけ出しお金を取り戻す決意をするのでした。
 監督のジョシュ・マーゴリンのおばあちゃんが「詐欺電話」に引っかかりそうになったことがきっかけで生まれたという作品(ラストに本物のテルマおばあちゃんも登場 笑)
 主人公を勤めたジューン・スキッブは撮影時テルマと同じ御年93歳。
 ベッドの上で転がったり、電動スクーターをかっ飛ばしたりのほとんどのアクションシーンを自分でこなしたというんだから凄い。
 助けを求めようとした友達が次々死んでいたというブラックジョーク。
 こんな映画を日本で作ったら1000%バッシング(中略)されそうですが(笑)、高齢者たちのなんてチャーミングなこと。
 弁護士を名乗る男から「すぐに1万ドルを用意しないと保釈が遅くなる」と電話が入り、(ボーガス注:相談しようと)娘のゲイル(パーカー・ポージー)に電話しても、娘婿アラン(クラーク・グレッグ)に電話しても仕事中で出ない。
 ゲイルとアランが着信に気づいたときには時すでに遅し。
 テルマは現金をかき集め、言われた住所に投函してしまった後でした。
 ゲイルもアランもテルマを責めることはありませんでしたが「テルマにもうひとり暮らしは無理だ」と高齢者施設に入居させることを相談します。
 いくら耳が遠くても、そういうことは聞こえるあるある(笑)。
 テルマは(ボーガス注:だまし取られた金を取り戻すことに)協力してくれそうなかっての友人たちに電話するものの家族から死んだか、引っ越したことを教えられます。
 仕方なく(妻が階段から転げ落ちて亡くなり)施設に入居した旧友のベン(リチャード・ラウンドトゥリー)を訪ねたテルマはベンの高齢者用電動スクーターを盗み逃げ出します。
 テルマを追いかけたベンは施設で行われる「アニー」の初公演に間に合わせるという条件で共通の友人(かってベンに気があった)モナに会いに行くハメに。それもモナの持っている銃(マグナム)を盗むために。
 モナ(岸田今日子さん似)の気を惹くようテルマから頼まれるベンでしたがそんな必要ないほどモナの認知症は進んでいました。
 銃を手に入れたものの、(中略)道に迷ってしまったうえ、駐車したスクーターが(サイドブレーキをかけ忘れ)車に衝突されて粉々。
 そこに奇跡的にテルマの知り合いが車で通りかかります。
 現金を送った住所まで送ってもらうふたり。
 私書箱に現れた若い男性の後を付けるとそこはアンティークショップ。
 奥の部屋で詐欺電話をかけていたのは、なんと酸素吸入器を付けたおじいちゃん。
 ハーヴェイ(マルコム・マクダウェル)と名乗るおじいちゃん、「最近は皆アマゾンでモノを買うせいで経営不振になり、店を守るため詐欺をしている」と開き直っています。
 テルマはベンにマグナムを構えさせ、「ハーヴェイの酸素チューブを外す」と脅すと、ハーヴェイは「現金は孫がネットの口座に振り込んだ」。
 テルマがお金を取り戻そうとするも、ハーヴェイも「パスワードがわからない」という。
 そこで孫のダニエルに電話したテルマが「パスワードはどこかにメモしているはずだ」と教えられテルマが机の引き出しを開けるとすぐにそれはありました。確かにパスワードって、数字4桁から英数字あわせた8桁までいろいろ、サービスによって様々で覚えきれるものじゃない。私もパソコンデスクの引き出しにパスワード帳をしまっていて(笑)彼らのことを「マヌケ」と言えません。
 でもハーヴェイの事情を知ったテルマは自分の口座に1万ドルではなく9,500ドル振り込みます*6。その代わりマグナムでパソコンはぶっ壊してしまいますが(笑)
 迎えに来たダニエルとともに帰路についたテルマは家族とともにベンが(ボーガス注:アニーを養女にする大富豪)ウォーバックスを演じる「アニー」を鑑賞しに行くのでした。

 ということで「詐欺していいわけではない」のですが、この映画での特殊詐欺犯(マルコム・マクダウェル(1943年生まれの82歳)演じる老人)は「暴力団などの犯罪組織」ではなく、「経営不振のアンティーク店を守るため詐欺に手を出すが、被害者のテルマに締め上げられる」という何とも「情けない老人」と設定されています。まあ、そう設定しないと「テルマがガチの犯罪組織と戦う(そして勝利する?)」というあり得ない話になってしまうので、ある意味「自然」ですが。
 【1】犯罪者サイドが「滑稽」、【2】老女が大活躍と言う点は「例は何でもいい」のですが、例えば、俺が知ってる映画だと喜劇・大誘拐に似ています。
【参考:喜劇・大誘拐

喜劇・大誘拐
【あらすじ】
 婚約者、山下礼子(夏純子)とマイホーム資金として300万納入したものの、建築会社から、資材高騰のため、さらに150万要求されて思案に暮れているサラリーマン赤木勝彦(森田健作)。
 余命1年しか持たないと医者から宣告された病身の妻を看護しながら、自分も会社を解雇されてしまった中谷洋平(三木のり平)。
 就職できずアルバイトで生活している青年、内野(小倉一郎)。
 そして、弱小映像プロダクションに勤める蒲生(岸部シロー)。
 夜、彼ら4人は、礼子の働く飲み屋でいつものように飲んでいる内に、蒲生が最近撮影した日本一の土地成金、北上大作(小池朝雄)が出演しているテレビコマーシャルを観る。
 4人は、酒の上の話から、その北上の家族を誘拐でもして大金を得たいと冗談半分で盛り上がりはじめる。
 成りゆき上、北上の家族構成を調べた彼ら4人は、テレビドラマの撮影隊に化け、大作の孫にあたる剛を誘拐する事に…。
 しかし、途中で怖じ気付いた内野をきっかけに、全員の気持ちはぐらつき始め、結局、剛はタクシーで帰してしまう。
 ところが、帰宅した彼らの車のトランクには、あろう事か、剛と一緒に忍者ごっこをしていた祖母、北野マツ(ミヤコ蝶々)が隠れ潜んでいた。
 マツは、4人組の困窮振りを知って、誘拐に自ら加担すると言い出す。
 土地成り金になったばかりに、政治家への野心に燃え、かつてとは人が変わってしまった息子を諌める気持ちもあり、マツは大作に身代金5億円を要求するのだった…。
【感想】
 白髪のおばあちゃん役ながら、まだ肌もみずみずしく、可愛らしいミヤコ蝶々*7の愛嬌のある演技が見どころ。
 松竹の喜劇らしく、「ウエットな人情話」風に展開していく所に観る人の好みが別れるだろうが、出来としては、まぁまぁといった所ではないか。
 後半、二転三転するミステリー劇としても楽しめる。

「清々しい気持ちの良いラスト」喜劇 大誘拐 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価) - 映画.com
 誘拐を企むまでの流れが荒唐無稽なんですけど説得力があるんですよね。ホントに脚本が素晴らしい。
 そして間違って誘拐された #ミヤコ蝶々 さんのテンポの良いしゃべくりと、かくしゃくとした演技が良いですよね。
 ラスト。
 予想通り身代金の獲得には失敗するのですが、各々小さな幸せを獲得できる清々しい気持ちの良いラストなんですよね。

「☆☆☆★★ ※ 鑑賞直後のメモから 東京のベットタウンと呼ぶには離...」喜劇 大誘拐 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価) - 映画.com
 岡本喜八監督が晩年に撮った、(ボーガス注:天藤真の小説の映画化である)北林谷栄さん主演の『大誘拐』と、内容が被っているのが分かる。
 この作品では、北林谷栄さんにあたるのがミヤコ蝶々演じるお婆ちゃん。
 これがもう滅茶苦茶楽しいキャラクター設定。

人質に取られた老婆が誘拐犯グループに協力する「喜劇 大誘拐」を観て | パンクフロイドのブログ
 題名から天藤真の小説の映画化と思われそうですが然にあらず。では、全く別の物語かと言えば、そうとも言い切れません。(ボーガス注:天藤小説と同様に)誘拐された老婆が誘拐グループに協力するばかりか、自ら身代金の額を吊り上げるからです。しかも、映画は天藤の小説より2年前に製作されています(ボーガス注:おそらく映画をヒントに天藤小説が書かれた)。
 これだけでも評価したくなりますが、作り手の先見性以外にもツボに嵌る箇所はいくつかあります。北上大作(小池朝雄)が誘拐グループに一旦身代金を渡した後で、それを奪い返し、そのままそっくり有力代議士に賄賂として献上するアイデアがいいです。身代金をそのまま有力代議士に裏金として渡したことで、選挙への支援も期待できるばかりでなく、母親の身の安全を確保するため、素直に身代金を払ったことで、世間の彼に対する好感度は上がり、選挙にも有利に働くという寸法。
 ただし、誘拐ものとして観た場合、身代金の受け取りに関して、かなり甘い部分が見受けられ、誘拐グループの素性が割れる点にしても、銀座のホステスみゆき(石原亜希子)が「赤木(森田健作)の恋人」の山川礼子(夏純子)の挙動不審だけで、ホシと確定しまうのは些か弱いですね。奪い返した身代金を有力代議士の部屋に運ぶ場面にしても、大金を持って行く割には警戒が甘く、赤木たちに簡単に奪還されるのは、ご都合主義なのは否めません。喜劇だから一々そんな細かい事は言わなくても・・・と言われればそれまでですが。
 犯罪は引き合わないという鉄則通り、誘拐グループが大金を手にすることはなく水泡に帰します。喜劇としては妥当な落としどころであり、土地転がしで財を築いた大作が、(ボーガス注:5億円を失い)昔のように母親マツ(ミヤコ蝶々)と畑を耕す結末で終わるのも、如何にも松竹らしいと言えます。

『大誘拐』の元ネタか? ミヤコ蝶々の『喜劇 大誘拐』 - 狂い咲きシネマロード
 前から評判を聞いていたのだが、確かに(ボーガス注:誘拐事件のドタバタという、基本設定が、天藤真の小説の映画化である)岡本喜八の『大誘拐』そっくりだ。
 天藤真の原作は1978年ということで、この映画は1976年。
 パクリ…もとい参考にしたのかもしれない。
 ミヤコ蝶々演じるファンキー婆さんはさすがのハマりっぷりで、主人公グループの母親のようになっていくのもうまい。
 後半はミヤコ蝶々小池朝雄との「母もの」でもあり、松竹らしく泣かせてくれる。
 この時期のミヤコ蝶々は「道を踏み外した息子を持つ母親」が多い気がする。
 この映画、いよいよ犯罪映画のトーンが求められる後半から失速するのが惜しい。
 『大誘拐』は最後までずっと面白かったことを考えると、プログラムピクチャーの小品という感じは否めないが、十分面白い映画ではある。
 『大誘拐』の北林谷栄は、本作のミヤコ蝶々と『でかんしょ風来坊』での北林谷栄自身の役を足して2で割って完成した感じだな。

【3】「おばあちゃんと僕の約束」

映画公式サイト映画『おばあちゃんと僕の約束』公式HP
【コメント】
◆余命幾ばくもない祖母と孫のあいだに芽生えるやわらかな繋がり。そして家父長制が生んだ痛みや遺産相続をめぐる生々しい確執。そんな優しくほろ苦いありふれた終焉を、驚くほどに繊細な筆致で描いていく。
 どんな名匠がこの傑作を生み出したのか…と思ったら監督は34歳の新鋭だという。 なんという逸材だ。パット・ブーンニティパット監督。
・ISO(ライター)
◆出てくる人たちの良いところよりも、だめなところや、どうしようもないところがユーモアを交えて描かれて、笑顔で観ていたはずなのに、終盤、涙が止まりませんでした。とても美しい映画をありがとうございました。
矢部太郎カラテカ)(お笑い芸人・漫画家)

タイ映画『おばあちゃんと僕の約束』財産目当てに祖母と同居を始める孫。この設定はある実話から生まれました 6月13日(金)公開 タイ映画『おばあちゃんと僕の約束』パット・ブーンニティパット監督インタビュー<前編>|芸能|婦人公論.jp2025.6.11
タイ映画『おばあちゃんと僕の約束』孫や子どもに財産を目当てにされた時、どう答える?メンジュ役ウサーさんが「国民的おばあちゃん」になるまで 6月13日(金)公開 タイ映画『おばあちゃんと僕の約束』パット・ブーンニティパット監督インタビュー<後編>|芸能|婦人公論.jp2025.6.11

「おばあちゃんと僕の約束」タイ映画世界興収1位 愛情、介護、遺産…世代超え響く | 毎日新聞2025.6.24
 映画「おばあちゃんと僕の約束」は中国系タイ人3世代を巡る家族のドラマ。老いてゆく祖母と一人の孫の関係を中心に展開する。心温まるストーリーであると同時に、世代間の価値観の相違、相続、介護、老いの孤独、女性の社会的地位など、多視点から読み解き可能な作品だ。
 本作は歴代のタイ映画で世界興行収入1位のヒットを記録。言語や文化は違っても、観客は自分の身近な物語として感じることができるだろう。

【4】「秋が来るとき」
映画公式サイト秋が来るとき
映画『秋が来るとき』 自然のうちで祈ること フランソワ・オゾン監督インタビュー 2025年5月30日 - キリスト新聞社ホームページ

映画「秋が来るとき」感想と考察|ちなこ/猫と映画好き
 80歳のミッシェルは、パリでの生活を離れ、今はブルゴーニュの自然豊かな高台でひとり静かに暮らしている。
 自宅の小さな畑で野菜を育て、パリ時代からの親友マリー=クロードと森でキノコを採り、それを調理して日々の糧とする。そんな彼女のもとに、久しぶりに娘ヴァレリーと孫ルカが訪ねてくる。
 だが、ふるまったキノコ料理を食べたヴァレリーが中毒を起こし、病院に緊急搬送される。
 母と娘の関係はさらにこじれ、そこへマリー=クロードの息子で出所したばかりのヴァンサンが関わってくる。
 キノコ毒事件のあと、ヴァレリーはミッシェルに対して明確な距離を取り、「もうルカを会わせない」と宣言する。
 孫のルカを何よりの喜びとしていたミッシェルにとって、それは決定的な断絶だった。
 やがて、ヴァレリーは転落死する。
 ミッシェルの持つアパルトマンやブルゴーニュの高台の邸宅を見れば、いわゆる街娼の暮らしではない。
 むしろ長く囲われていた愛人、いわゆる妾だったと考える方が自然だ。
 彼女が「孫が生まれるまでは娼婦だった」と語った言葉も、単なる性の労働者というよりは、“女としてひとりの男と生きてきた”という意味合いを感じさせる。
 だが、その姿を見て育った娘ヴァレリーは、彼女を母として肯定できなかった。
 ポスターで見たときは、穏やかな老女二人が自然のなかで過ごす、ほのぼの老後ライフを描いた作品かと思っていた。
 だが、その期待はいい意味で裏切られる。
 そこはやはり、フランソワ・オゾン監督。

 【1】毒キノコ食中毒事件が、仲があまりよくなく、娘ヴァレリーに含むところがあるらしい「母ミッシェルの故意なのか」それとも過失なのか、【2】娘ヴァレリーの転落死事件が「事故なのか犯罪(殺人)なのか(犯罪なら犯人は誰なのか?。直接の実行犯ではないにせよ黒幕は母ミッシェルか?)」で話は大きく変わってきますが、そこが映画のポイントらしく(つまりネタばらしするとまずい)ググってもよく分かりません。

【5】「舟に乗って逝く」

映画公式サイト映画『舟に乗って逝く』公式サイト
【コメント】
◆親の老いの受け入れ方の一例が表現された作品です。
 正解はありませんが、家族関係が壊れぬよう、この映画を観て考える機会にしてください。
・川内潤さん*8NPO法人「となりのかいご」代表)
◆国は違っても、家族の現実的な問題は日本も同じ。親の最期に子としてどう接し、向き合っていくのか。後悔しない為にどうしたらいいのかを考えさせられます。
財前直見さん(女優/終活ライフケアプランナー*9

映画「舟に乗って逝く」を観たんです|Dobby どび〜
 脳腫瘍で余命僅かとなった地方に住む母親。都会でアメリカ人の夫と娘と暮らす長女。長女には前夫(中国人)の間に息子がいて、今は家を出てエキストラとして俳優で頑張っている。
 そして、都会には出ているけれど船大工になる夢を捨てきれない次男(長男は若くして死亡。)
 メインの登場人物、こんな感じで、それを「中国のベネチア」と呼ばれてるらしい、監督の出身地でもある(ボーガス注:浙江省湖州市)徳清と言う風光明媚な田舎町を舞台に撮影して、言ってしまうと「余命僅かとなった田舎の母親と都会に出た子どもたちの関係を描く」って言う「どこにでもありそうな話」な訳です。
 それが、所々に見られる風景とか人物の撮影の仕方が「なんかオシャレ」なんですよ。
 言っちゃうと「中国映画っぽく無い!」。すごい偏見ですが。
 調べてみたら、監督さんはカナダのトロントにある映画学校を卒業してました!
 その上、撮影監督もロンドンの大学で修士修了。
 こう言う欧米留学後の監督や撮影監督が、既にどんどんと出て来ていて、中国映画を変えて行くのかな。

舟に乗って逝く | 読んで♪観て♪
 本作の監督は、小津安二郎エドワード・ヤンを尊敬しているそうで、確かにそんな感じ。
 同じ系列のグー・シャオガン監督の「春江水暖*10」の雰囲気にも似ていました。
 中国映画ですけど、ホウ・シャオシェンエドワード・ヤンのような台湾映画が好きな方にはオススメ。

【レポート】6/21(土)『舟に乗って逝く』陳小雨監督来日ティーチイン|ムヴィオラ2025.7.4
観客:
 主人公の姉弟の関係ですが、もともと上に一人兄がいて、その方が亡くなり、その下にお姉さん(ジェン)と弟さん(チン)がいるのだと思いますが、その頃の中国は「一人っ子政策」の時代じゃないかと思うので、なぜ主人公達には兄弟がいるのかを教えていただけますか?
監督:
 この作品の時代設定ですが、2019年です。姉のジェンが42歳、弟のチンが36歳という設定にしています。一人っ子政策というのは、1990年代に特に厳格に実行されていました。例えばですが、私は1994年生まれで、その頃は一人っ子政策が厳しく施行されていました。しかし、実は私には姉がいるのです。中国は広いので、地方によって政策の程度に差があり、二人目を産んだら罰金という場所もあれば、そうではない地域もありました。農村と都会では状況が異なり、農村では子供が二人でも割とお目こぼしがあり、都会は人口増加を抑えたいので子供は一人のみとかなり厳しくされていたと思います。例えば私の故郷の浙江省あたりでは、比較的に緩やかだったと思います。
 外国で上映される中国映画というと、陝西省山西省などもっと生活の厳しい、貧困世帯が多い地域を舞台にしていることが多かったので、「浙江省はずいぶん雰囲気が違うのではないか」と思った審査員もいましたし、「一体、中国のリアルとはどの地域が最も真実なのか」と聞かれたこともありました。私の意見では、その土地によってそれぞれ実情があり、それに合わせて一人っ子政策なども施行されてきた、だから違いがあっても全てが真実だと思います。
観客:
 ストーリーは小津安二郎の『東京物語』の影響が強いと思いましたが、画面や画の作り方で一番影響を受けた監督はどなたでしょうか。
監督:
 私の場合は、小津安二郎や台湾ニューウェーブエドワード・ヤン監督、ホウ・シャオシェン監督の作品群をいろいろ見ていますから、無意識の上でも影響を受けていると思います。
 私が人間の情感を表現するという意味でとても尊敬しているのが、小津安二郎監督と是枝裕和監督です。

*1:著書『102 歳、⼀⼈暮らし。哲代おばあちゃんの⼼も体もさびない⽣き⽅』(2023年、文藝春秋社)、『103 歳、名⾔だらけ。なーんちゃって』(2024年、文藝春秋社)

*2:1929年生まれ(今年で96歳。映画公開の2024年時点で95歳。映画が製作された2022年当時は映画の設定年齢と同じ93歳で今回が初主演。ギネス認定されればおそらく最高齢初主演)。『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(2013年公開)でアカデミー助演女優賞ノミネート(受賞は『それでも夜は明ける』のルピタ・ニョンゴ)(ジューン・スキッブ - Wikipedia参照)

*3:テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ(2024) - 星屑シネマによれば「特殊詐欺の犯人」

*4:武蔵大学教授。著書『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち:近世の観劇と読書』(2018年、白水社)、『お砂糖とスパイスと爆発的な何か :不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』(2019年、書肆侃侃房→増補、2025年、ちくま文庫)、『不真面目な批評家、文学・文化の英語をマジメに語る:シェイクスピアはなぜ「儲かる」のか?』、『不真面目な批評家、文学・文化の英語をマジメに語る 2 』(以上、2020年、アルクEJ新書)、『批評の教室』(2021年、ちくま新書)、『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード:ジェンダーフェミニズム批評入門』(2022年、文藝春秋社)、『英語の路地裏』(2023年、アルク)、『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選』(2024年、書肆侃侃房)。個人ブログCommentarius Saevus

*5:テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ(2024) - 星屑シネマによれば「特殊詐欺の犯人」

*6:ここが邦題の「やさしいリベンジ」の意味するところでしょう。

*7:1976年公開で、蝶々は1920年生まれなので公開当時の実年齢は56歳。息子役の小池は1931年生まれで公開当時の年齢は45歳で、実年齢(蝶々と11歳差)では到底息子とは言えません。

*8:著書『もし明日、親が倒れても仕事を辞めずにすむ方法』(2018年、ポプラ社)、『親不孝介護:距離を取るからうまくいく』(共著、2022年、日経BP社)、『親の介護の「やってはいけない」』(2024年、青春新書インテリジェンス)等

*9:50歳頃に「社会貢献になるようなことがしたい」との思いから、心理カウンセラー、食品衛生責任者や終活ライフケアプランナーなどの資格を取得している(財前直見 - Wikipedia参照)

*10:公式サイト映画『春江水暖~しゅんこうすいだん』公式サイト