◆座談会「国民の声にこたえ暮らしを守る日本共産党国会議員団の論戦:少数与党の国会のもとで」(塩川鉄也*1/田村貴昭*2/井上哲士*3/岩渕友*4)
(内容紹介)
国会での共産党国会議員団の論戦について論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考
暮らし危機打開の方向示した/共産党国会議員団総会 田村委員長あいさつ/かけがえのない役割知らせ 都議選・参院選で勝利を2025.6.21
日本共産党国会議員団総会/田村委員長のあいさつ(2025.6.21)から一部引用
(ボーガス注:国会での論戦について)3点に絞って述べたいと思います。
一つは、物価高騰対策です。
わが党は「消費税廃止を目指し、緊急に5%に減税する、インボイスを廃止する」ことを一貫して求めてきました。
さらに、財源を赤字国債に求める主張に対しても、金利上昇による影響、巨額の利払いが暮らしの予算を圧迫する、インフレを引き起こす危険性、大企業・富裕層への減税と税優遇を温存するという四つの問題を明らかにしました。
二つ目に、米の価格高騰の問題です。米増産と安定供給に政治の責任を果たす。そのために農家への所得補償と価格保障で農業の再生を図る、農作物の輸入自由化路線をやめ食料自給率向上を緊急の政策とする―日本の農業と国民の食料を守るために全力をあげようではありませんか。
三つ目に、イスラエルによるイランへの先制攻撃によって両国が交戦状態になっている問題です。トランプ米大統領のもとで、こんなアメリカ言いなりでよいのか、日米同盟絶対で大軍拡を進めてよいのかが鋭く問われています。
三つに絞って述べましたが、そのほか、日本学術会議の解体を狙う法案に対して、(ボーガス注:残念ながら法案は可決成立したものの)学者研究者のみなさんが何日間も国会前に座り込んで、学術研究への介入を許すなと抗議の声をあげ、わが党が熱く連帯して、最後まで廃案を求めて闘い抜いたことを(ボーガス注:今後につながる取組として)銘記したいと思います。また、高額療養費の患者負担増を中止に追い込んだ論戦、自公と補完勢力によって医療費削減が叫ばれるもと、11万病床削減、OTC類似薬の保険はずしが国民に激烈な痛みをもたらし、医療の危機に拍車をかけると告発したことも、今後に生きる重要な論戦となりました。
◆「米は主食」 安心して作り食べられる農政への転換を(小松泰信*5)
◆安心して国産米を食べられる社会へ手を取り合って:生産者と消費者、お互いの顔と暮らしが見える交流を広げて(由比ヶ浜直子*6)
(内容紹介)
米農家の減少(米を作っても収入が低いので、農業を辞めたり、もっと儲かる換金作物を生産)こそが米不足の原因とし、米生産で生活が出来るようにすること(例えば戸別所得補償)が政治の役割としている。
主張/コメ高騰の対策/増産へのカジ切り明確にせよ2025.5.29
論戦ハイライト/米不足認め増産・農家支援を/紙議員 小泉農水相に迫る/参院農水委2025.5.30
米不足は自公の責任/福岡・白川氏2025.6.15
◆取材レポート「在宅介護の命綱、訪問介護の破壊は許さない」(内藤真己子)
(内容紹介)
訪問介護の基本報酬引き下げを批判している。
シリーズ介護保険25年/訪問介護報酬引き下げ撤回を/意見書 285自治体に拡大2025.4.2
訪問介護基本報酬元に戻せ/倉林議員 職員の処遇改善求める/参院厚労委2025.5.23
◆選択的夫婦別姓の意義について改めて考える:法改正の早期の実現を(杉井静子*7)
(内容紹介)
「選択的」夫婦別姓であり、「希望者のみの別姓」なのに何の問題があるのかと批判。
現状の「夫婦同姓」において多くは「夫の姓」であることから「家父長制度」の維持が反対派の思惑ではないのかと指摘。
◆米国追従の大軍拡と広がる矛盾(下)(竹内真)
(内容紹介)
新刊紹介:「前衛」2025年8月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した上の続き。
前回は「矛盾」として「大軍拡による増税や社会保障削減」が上げられていたが、今回は【1】「中国との関係悪化の恐れ(日本大企業の多くが中国に経済進出している)」、【2】中台有事となった場合に、米軍基地が集中する沖縄において実際に戦闘が起こる恐れ(中国軍の在沖縄米軍基地攻撃の恐れ)が矛盾として上げられているが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
◆「能動的サイバー防御」法の危険な実態:監視国家化、そして、米国の軍事戦略に従属する先制攻撃体制(吉井穂高)
(内容紹介)
今国会で成立した「能動的サイバー防御法」について改めて【1】米国の軍事戦略に従属する先制攻撃、【2】監視国家化(「通信の秘密」の侵害の恐れ)の恐れが指摘されているが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考
日本で進む「国家による市民監視の合法化」に小笠原みどりさんが警鐘 能動的サイバー防御法は「戦争の一部」:東京新聞デジタル2025.7.10
国家による大量監視に詳しいカナダ在住のジャーナリスト小笠原みどりさん*8が、「戦争と監視社会」をテーマに横浜市内で講演した。通常国会で成立した能動的サイバー防御法について「能動的な防御などありえず、すべての戦争は防御の名の下に行われる。『戦争の一部』として、サイバー攻撃に参加するための法律」と批判した。
赤旗
「能動的サイバー防御」法案/塩川議員の反対討論(要旨)/衆院本会議2025.4.9
参院本会議 能動的サイバー防御法案/井上議員の反対討論(要旨)2025.5.17
◆ 「トランプ関税」資本主義システムの失敗、解決の処方箋なし:経済と軍事一体の米政権 狙いは軍事生産の基盤を強化すること(金子豊弘)
(内容紹介)
タイトルにあるようにトランプ政治の内
【1】自由経済に反するトランプ相互関税
【2】トランプ政権の軍拡
が批判されていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
特集「戦後80年」
◆無残な大量死は現在に何を語りかけているのか:『続・日本軍兵士』で戦後80年に考えたいこと(吉田裕*9)
(内容紹介)
『続・日本軍兵士:帝国陸海軍の現実』(2025年、中公新書)の著者である吉田氏が著書について説明しています。
架空問答で書いていきます。
Q
前著「日本軍兵士」と今回の「続・日本軍兵士」の違いは何でしょうか?
A
前作では「日中戦争」「太平洋戦争」での「兵士の悲惨な実態」を描き出しましたが、「日清戦争(日本最初の大規模な対外戦争)から1945年の終戦に至るまでの歴史的流れ」については書けませんでした。続編ではそうした流れを書くことに力を入れました。
なお、「過大評価は出来ません」が日清戦争以降、満州事変までは日本軍もさまざまな改善方策をとることで「戦病死者の数は減少傾向」にありました。
しかし、そうした事態が逆転したのが「満州事変以降の日中戦争、太平洋戦争」です。
「終わりの見えない長期戦」が改革の動きを挫折させたと言えます。
なお、私としては「安倍政権での集団的自衛権容認」など、日本の軍国化が進む中で、「こうした悲惨な戦争体験」がなかったものにされ、勇ましい話ばかりがされ、「自衛隊が戦争に突入していくこと」を本当に危惧しています。「日本軍兵士」「続・日本軍兵士」を書いた理由として「戦争とは決して綺麗な話ではない(兵士の実態は悲惨である)」ということを訴えたかったと言うことが大きいですね。
Q
前著でも指摘されていた「兵士の過酷な生活実態」についてお話し下さい。
A
ちなみに前著刊行後に読者からは「今のブラック企業と日本軍が似ていると感じた」という感想を多数頂きました。
「陸軍や会社の上層部が無茶な計画を立てて下に押しつける」「その為の予算やマンパワーは全く工面されない」「兵士や社員の健康など全く配慮してない」ということですね。そういう意味で「兵隊の過酷な生活実態」に着目したことは間違っていなかったと痛感しました。
日本軍の特徴としては「正面装備(戦艦や軍用機など)が最優先」ということですね。
このことが「食料補給」「医療衛生」などの軽視につながり、「兵隊の過酷な生活実態」につながっていきます。
最悪の場合、藤原彰*10『餓死した英霊たち』(2001年、青木書店→2018年、ちくま学芸文庫)が指摘するような餓死につながった。
また「正面装備」にしても「機動性を重視し、軽量化するため、防弾装備を極限まで減らしたゼロ戦」などで分かるように重視されたのはあくまでも「戦闘性能」であり、それ以外(例えば防弾機能)は軽視されることになります。
私はこうした「正面装備(戦艦や軍用機など)が最優先」は今の自衛隊にもかなり引き継がれてるのではないかと思います。
【小笠原理恵】
◆『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(2019年、扶桑社新書)
◆『こんなにひどい自衛隊生活』(2024年、Hanada新書)
【目次】
第一章 冷酷すぎるボロボロ官舎
第四章 過酷すぎる居住環境
第七章 残念すぎる自衛隊めし
が指摘するような事態(さすがに今はトイレットペーパーは自腹購入ではないようですが)はその一例でしょう(なお、小笠原氏は産経文化人、夕刊フジ文化人で軍拡肯定派であり、勿論、私は彼女の主張を全面的に支持してるわけではありません)。
そういう意味では「旧軍の問題点」は決して過去の話ではないという認識が必要だと思います。
Q
こうした「兵士の過酷な生活実態」についてあまり知られてないように思いますが、その背景は何でしょうか。
A
複合的な理由がありますが、大きな理由として「資料の不足」があります。
戦争責任追及を恐れた軍によって終戦直後、多くの公文書が廃棄、焼却されました。また、残された公文書についても、防衛省は情報開示に消極的です。
勿論、公文書とは別途「戦友会の記録」「個人の日記」などもありますが、悲惨な戦争体験というものはあまり表に出てこない。
「日本軍兵士」「続・日本軍兵士」とも、「資料の不足」には本当に悩まされました。
参考
吉田裕『続・日本軍兵士』(中公新書) : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期2025.2.15
日清戦争で日本は24万人の陸軍兵力を動員しましたが、台湾征服戦争の時期も含めると戦闘による死者が1401名で戦病死者が1万1763名でした。戦没者の9割近くが病死でした。日清戦争は、赤痢、マラリア、コレラ、脚気などとの戦いでもあったのです。
日露戦争では、日本は110万人の兵力を動員し、戦死者は6万31名、戦病死者は2万1424名でした。全戦没者に占める戦病死者の割合は26.30%まで低下しています。
これは伝染病の死者が大きく減ったこと、軍靴の支給により凍傷が大きく減ったこと(ただし、その質は悪く戦争が長引くと破損するものも多かった)、軍夫ではなく専門の補給部隊が兵站を支えたことなどによるものです。
しかし、この改善傾向が反転したが日中戦争です。日中戦争の戦没者における戦病死者の割合は1937〜39年までは16.53%とかなり低い割合にとどまっていましたが、1940年には46.22%、1941年には50.21%と日露戦争よりもはるかに悪い状態にまで後退しています(17p表1参照)。
一時期、抑えられていた脚気の患者が増えるなど、栄養状態の悪化などの悪化がこの背景にあると考えられます。
こうした状況の中で日本はアジア・太平洋戦争へと突入していきます。
この頃になると中国の戦場では戦争栄養失調症が多発していました。1938年の徐州作戦に参加した関東軍の2個旅団も作戦終了後にチチハルに帰還すると、極度の痩せ、食欲不振、頑固な下痢などを訴える患者が続出し、多くの死亡者が出たといいます。
この要因としては栄養状況の悪さとともに、ほとんど寝ずの行軍によって睡眠不足とそれに伴う過労状態に陥ったことがあります。昼間に40〜55キロといった行軍をし、さらにそれから翌日の分も飯盒炊さんしなければならないため、休養の時間がほとんどなかったのです。
日中戦争が始まると、動員も拡大しますが、ここで問題になったのが兵士の動員を増やすと国内が労働力不足になってしまうという問題です。労働集約的な産業が中心だった日本では特にこの問題が深刻でした。
長期の従軍は出生率の低下をもたらし、陸軍も人口政策上の配慮から39〜40年にかけて彼らの復員に踏み切らざるを得なくなります。
そこで、検査では現役には適さないとみなされた丙種合格の動員も行われるようになります。
日中戦争の長期化に伴って、兵士を取り巻く環境も悪化していきます。
輸出入に対する国家統制が強まると小麦の輸入も行われなくなり、パンが消えていきます。羊毛の輸入も削減されたことで冬用軍服も毛織物から綿製になり、防寒性能も耐久性も大きく後退しました。
食糧事情も悪化していき、軍の内部でも今までのように食糧を支給することが難しくなってきました。
当然、現地の人々からも強引に食糧を集めようとしています。沖縄でも農作物を荒らし鶏や豚を強奪するなどして住民の反感を買っていますし、千葉の九十九里でも本土決戦のための部隊が食糧を買い漁り、「匪賊化」しているとまで言われています。
軍の機械化も遅れていました。機械化の遅れによって兵士たちは徒歩による行軍を強いられ、しかも、体重の半分ほどの重さの装備を背負って行軍することになりました。
陸軍に比べて海軍は先進的だったと思われていますが、駆逐艦や巡洋艦では攻撃力を上げるために居住性が犠牲になっており、寝るためのベッドの導入も遅れていました。
終章では、陸軍の機械化や装備の充実が遅れた理由を改めて検討していますが、その大きな要因が日中戦争です。「日中戦争のために大兵力を中国戦線に展開したことが、軍備充実計画を挫折させる決定的要因となった」(220p)のです。
歴史書の棚:人間軽視と犠牲の不平等 日本軍兵士の悲惨を直視 井上寿一 | 週刊エコノミスト Online2025.3.4
続編は「犠牲の不平等」を指摘する。たとえば高学歴者ほど戦没率は低く、一般の民衆ほど戦没率が高い。食糧の分配も不平等だった。
他方で本書が強調するように、日清・日露の両戦争から満州事変までの期間の日本は、合理的で近代的な戦争を戦った。軍事衛生は改善された。戦病死者は激減した。日中戦争以降と何が違うのか。戦争目的が限定的だったからではないか。日中戦争以降、戦争目的は抽象的で、いったいどうすればいつ終わるのかがわからなかった。
「続・日本軍兵士 帝国陸海軍の現実」吉田裕さんインタビュー | 「文藝春秋」編集部 | 文藝春秋PLUS2025.3.9
「日清戦争では戦病死者の割合が約89%でしたが、徐々に軍事衛生・軍事医学が改良されていきます。日露戦争では伝染病による死者などが大きく減り、約26%と激減しました。満州事変の頃まで戦病死者の割合は減っていった」
だが日中戦争の長期化で、大量に兵士が投入された。軍事衛生は退行、減っていた脚気も増加した。
「日本軍は医療・食の改善でそれなりの成果を挙げていたのに、日中戦争でそれが崩れてしまった。アジア・太平洋戦争での陸軍の戦病死者の割合は約38%。日露戦争を上回る数値になったのです」
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弁護士会の読書:続・日本軍兵士2025.4.18
日本陸軍の機械化は立ち遅れた。1936年の自動車生産台数は、日本が1万台なのに対して、アメリカは446万台、イギリス46万台、ドイツ27万台。これは圧倒的に負けてますね。トラックでみると、日本が1945年までの8年間で11万5千台なのに対して、アメリカは245万台と、ケタ違いに多い。
日本軍兵士には、十分な軍靴も支えられなかった。中国人から掠奪した布製の靴や草履をはいていた。これに対してアメリカ軍は、軍靴を4回も改良している。そもそも日本軍兵士には、靴をはいた経験のある兵士は2割でしかなかった。
こうやってみていくと、日本軍兵士がいかに劣悪な環境の下で戦わされていたのか、あまりに明らかで、これで勝てるはずがないと妙に確信させられました。
◆戦争と平和の岐路にたって:「新たな戦前」を止め、自衛隊員の「戦死」を出さないために(小松公生*11)
(内容紹介)
副題「新たな戦前」を止め、自衛隊員の「戦死」を出さないためににあるように、自衛隊員の戦死を出さないために「集団的自衛権の発動」による「自衛隊の戦争参加」を阻止する重要性が指摘される。
なお、
海自幹部ら165人 違憲の靖国参拝/昨年5月 制服姿 毎年実施か/事務次官通達に抵触2024.2.17
陸自HPに沖縄戦司令官 辞世の句/住民巻き添えの戦闘を美化2024.6.6
などが報じるように「幹部自衛官の靖国参拝」「沖縄自衛隊ホームページへの牛島大将『辞世の句』掲載」など「戦前美化の動き」が自衛隊にみられること(井本熊男*12など自衛隊の初期幹部が旧軍幹部であることが一因と思われる)にも批判が加えられている。
◆原爆写真を伝える:「原爆カメラマン」たちの活動と思いをいかに受け継ぐか(井上祐子*13)
(内容紹介)
『原爆写真を追う:東方社カメラマン林重男とヒロシマ・ナガサキ』(2023年、図書出版みぎわ)の著者である筆者が、林重男*14など、「原爆被害を撮影したカメラマン達の活動」について論じていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考
<書評>『原爆写真を追う 東方社カメラマン林重男とヒロシマ・ナガサキ』林重男、井上祐子 著:東京新聞デジタル2023.5.7
林重男は東方社のカメラマンとして原爆投下から間を置かずに現場に赴き、惨憺たる状況を撮影して回った。いかに破壊されたかを一目で伝えるには360度を見渡せるパノラマ写真が最適だと考え、出来上がった写真を繫(つな)ぎ合わせることを綿密に計算しながら撮影した。抜群の結果だった。全壊した街は実にリアルだ。さらに瓦礫の隙間から生え始めた草花にレンズを向けて「七五年間は植物の生育不能」は実情と違うことを示した。
◆核兵器禁止条約に基づき日本の核実験被ばく者*15の救済を(阿部活士)
(内容紹介)
赤旗などの記事紹介で代替。
<戦後75年>ビキニ被ばく訴訟から 核とゴジラと漁船員と:東京新聞デジタル2020.8.16
六十六年前の核実験を忘れるわけにはいきません。裁判が今もあるのです。先行したのは第五福竜丸「以外」の漁船の元船員や遺族が二〇一六年、高知地裁に国家賠償を求めた訴訟です。
第五福竜丸の乗員や漁業者団体だけに慰謝料が支払われ、「それ以外の漁船」にはありません。マグロの廃棄処分への、わずかな補償金が支払われたのみでした。健康被害などへの救済はなかったのです。
被爆者援護法などは広島と長崎の原爆に対する法律で、ビキニ環礁での被ばくには対応していません。政府も「日米合意で解決済み」の立場を繰り返します。
その後、米国の情報公開が進み、日本でも二〇一〇年代に外務省や旧厚生省の資料が開示され、提訴に向かったのです。だから訴訟では「国が記録を隠し続けた」と原告側は主張しました。
でも二〇一八年の高知地裁判決は原告敗訴。訴えの権利が消滅する二十年という「除斥期間」が壁になりました。高松高裁も昨年(二〇一九年)暮れに訴えを退けました。ただ「漁船員の救済の必要性を改めて検討すべきだ」と述べて、立法や行政に呼び掛けています。
元船員らは憲法違反や労災申請の不適用取り消しという別の訴訟を始め、先月末に高知地裁で初弁論があったばかりです。ビキニ事件は終わっていないのです。
許せぬのは頬かぶりを続ける政府です。もし被ばくと健康被害の因果関係があれば、補償や生活支援は当然ではないでしょうか。日米の政治決着により米国に賠償を求められなかったのだから…。救済を急ぐべきです。
そもそも被害の全貌が不明なだけに実態調査も必要です。被災漁船数は公開資料ではのべ約五百六十隻ですが、汚染マグロを海洋廃棄した船はのべ約九百九十隻。数に隔たりがあります。埋もれた歴史を掘り起こさねばなりません。
日本の民法適用、原告側が求める ビキニ被曝訴訟第3回口頭弁論 [高知県]:朝日新聞2022.12.17
米国が1954年に太平洋のビキニ環礁付近で実施した水爆実験で被曝した高知県内の元漁船員ら19人が、国に計約1200万円の損失補償を求めた裁判の第3回口頭弁論が16日、高知地裁(藤倉徹也裁判長)であった。
ビキニ被ばく訴訟2020.6.18
漁船員は、船員法に基づく給付を受けるために船員保険を申請しましたが、拒否されました。船員保険に基づく補償(給付)の要件は、事故(被曝)と疾病(放射線障害)との間のリンク(因果関係)です。その要件の構造は、原爆症認定と同じものです。
しかし、困難があります。政府による意図的な隠ぺいのためにマーシャル海域における漁船員についての疫学的な調査がないのです。
今年の3月30日、漁船員たちは、高知地方裁判所に訴訟を提起しました。法律家は原爆症認定訴訟を支援した医師や科学者の協力を得て、漁船員を支えています。この訴訟は、核兵器禁止条約6条ともかかわるものです。
“奪われた尊厳回復を”/ビキニ損失補償 5人が追加提訴/高知地裁2022.2.5
マグロ漁船員ら14人が米国の国際法上違法な核実験にからんで国を被告に起こしたビキニ損失補償裁判(高知地裁)で、新たに5人が4日までに追加提訴しました。5人は、高知県の室戸市、宿毛市、土佐清水市に住む元漁船員・遺族です。
主張/ビキニ被災70年/核実験被害救済・核廃絶の声を2024.2.18
現在、被ばくした船員の救済を求める労災認定訴訟(東京地裁)と、「政治決着」で賠償請求権が奪われたことへの損失補償を求める訴訟(高知地裁)がたたかわれています。被災者は高齢化しており時間の猶予はありません。国には、核実験被ばく者援護に係る特別措置法の制定など、立法措置による被災者の救済を図ることも求められています。政府は被害の全容を明らかにし、速やかに救済と補償をすべきです。
◆論点「GPIFを舞台に、国債の不正取引疑惑が発覚」(丸井龍平)
(内容紹介)
赤旗の記事紹介で代替。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人) 2証券優遇/国債取引 独占させる/最高投資責任者が投資情報まで提供2024.11.19
統治崩壊 GPIFは大丈夫か(上)/最高投資責任者の暴走2024.12.26
GPIF 理事との「関係」で企業選定/国債購入2社独占で新事実/本紙が内部文書入手2025.1.26
◆暮らしの焦点「雇用仲介事業の「祝い金」全面禁止に 医療・介護・保育の処遇改善こそ」(川野純平)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。医療・介護・保育分野等での、雇用仲介事業の「祝い金」原則全面禁止を一定程度評価しながらも、医療・介護・保育の処遇改善こそが「医療分野の人手不足問題の解決の正道」と主張。また「祝い金禁止」だけでは不十分であり、雇用仲介事業に対する規制強化(医療施設等が業者に支払う紹介手数料の上限規制など)を主張。
人材サービスを利用し就職した人への“お祝い金” 原則禁止へ | NHK | 厚生労働省2024.10.12
全国の労働局には企業から「お祝い金を目的に就職する人がいてすぐ離職した」という内容の相談が寄せられ、厚生労働省は規制を強化することにしました。
具体的には人材サービスの事業者に対して来年4月以降「お祝い金」の支払いを原則として禁止し、手数料や違約金などの利用規約を企業側に明示することを義務化します。
転職ころがしに歯止め 仲介業者の「祝い金」全面禁止 - 日本経済新聞2025.3.28
雇用を仲介する人材サービス業者が転職者に出す「就職祝い金」が4月から全面禁止になる。看護や医療、IT(情報技術)分野などを中心に、いったん仲介した労働者に祝い金を出して再転職を促す"転職ころがし"が過熱。厚生労働省が規制を強化した。
メディア時評
◆テレビ『ハラスメント黙殺の「あいテレビ」』(沢木啓三)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。セクハラ、性加害問題はフジテレビ(中居問題など)だけでは無いこと(あいテレビはTBS系列の地方局(愛媛県))を痛感します。
なお、【1】BPOが「ハラスメント」を認定しなかったこと、【2】フジテレビを中居問題で批判した「TBSやあいテレビ」が他局に比べこの問題について「報道が消極的であること(つまり自らに甘いこと)」が批判されています。
「深夜バラエティー番組内でセクハラ」女性フリーアナが地方局を提訴:朝日新聞2025.6.6
女性の弁護団や支援者が6日に東京都内で会見し、「お酒で酔っ払った男性出演者、男性ばかりのスタッフ、頼れる人も助けてくれる人もなく、狭く閉鎖された収録場所で男性たちに囲まれ嘲笑され、見せ物のように性的な辱めをうける恐怖は、今でも決して忘れることができません」「仕事を続けるためには進行役として番組を成立させなければならないという一心で、必死に強がり、声がかれるほど笑い、楽しんでいるかのように振る舞い続けるうちに、心と体が壊れてしまいました」という女性のコメントが読み上げられた。
きょうの潮流 2025年6月15日(日)
フリーアナウンサーの女性が立ち上がりました。収録現場や放送で、約6年にわたりセクハラが常態化していたのに防止する義務を怠った、とTBS系列の地方局「あいテレビ」(松山市)を提訴したのです
▼2016年4月に始まった番組で出演者は著名な男性タレントと僧侶と女性。訴状から見えてくるのは深刻な二次加害です。公開の場でセクハラを受けている女性を全員で笑いものにし、公共の電波で拡散する。「集団いじめ」といえる状況に心身を病んだ女性は番組を降板、放送は22年3月終了しました
▼重度のうつ病で今も働けない女性。記者会見で代読されたコメントが悲痛です。「狭く閉鎖された収録場所で男性たちに囲まれ嘲笑され、見せ物のように性的な辱めを受ける恐怖は、今でも忘れることができません」
▼解せないのは女性が放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に救済を申し立てたのに、人権侵害が認められなかったことです。「表現内容に着目して放送局の責任を問うことは表現の自由に対する制約につながりうる」と
▼誰かの犠牲の上に成り立つ「表現の自由」があっていいのでしょうか。ハラスメントを不問に付す文化は、もう終わりにしたい。
◆ジェンダー覚書:The personal is political「嵐の中の若年女性支援」(藤田文*16)
(内容紹介)
若年女性支援事業に取り組んでいたコラボが不当な誹謗中傷を受けたことを取り上げています。
なお、コラボの活動について触れた本としてコラボ代表「仁藤夢乃氏*17」の著書『バカなフリして生きるのやめた:10代から考える性差別・性暴力』(2025年、新日本出版社)が紹介されています。
参考
赤旗
女性支援妨害 許されない/仁比氏 ネット攻撃めぐり国に2022.12.21
コラボ中傷は「デマ」/ネット発信男性に賠償命令/東京地裁2024.7.19
拙記事
ウヨのコラボ叩きに改めて呆れる(副題:松竹伸幸とkojitakenに悪口する) - bogus-simotukareのブログ2023.3.26
kojitakenに悪口する(2025年7/5分) - bogus-simotukareのブログ
以下の記事により仁藤夢乃氏の「Colabo」に対する「表自戦士」たちの攻撃の多く(「タコ部屋」「会計不正」「脱税」だのと誹謗:詳しくはColaboの名誉を毀損、「暇空茜」名乗る男性に賠償命令:朝日新聞等を参照)が「名誉毀損に該当する違法な誹謗(民事賠償責任が発生)」であることは明白でしょうに、「知識が少ないから」として、そうした批判すらしないkojitakenには心底呆れます。
【詳しい引用紹介はしません。詳しくはリンク先を参照下さい】
Colaboの名誉を毀損、「暇空茜」名乗る男性に賠償命令:朝日新聞2024.7.18
コラボ中傷は「デマ」/ネット発信男性に賠償命令/東京地裁2024.7.19
【勝訴報告】暇空茜こと水原に名誉棄損で賠償命令 – 一般社団法人Colabo(コラボ)2024.7.31
「Colabo」vs.「暇空茜」の名誉毀損訴訟は暇空氏に220万円の賠償命令 東京地裁 | 週刊金曜日オンライン2024.8.16
「暇空茜」の請求を東京地裁棄却 Colabo仁藤夢乃代表への差別意識を認定 | 週刊金曜日オンライン2024.11.25
【弁護団声明】Colabo・仁藤夢乃氏から江藤貴紀氏(音無ほむら/エコーニュース)に対する 勝訴判決確定・被告による賠償金支払い及び記事削除のご報告 – 一般社団法人Colabo(コラボ)2025.4.9
【裁判勝訴と加害者起訴のご報告】「暇空茜」こと水原清晃氏が刑事事件で起訴され、民事訴訟の二審でも被告に名誉棄損で220万円の賠償命令が下されました。 – 一般社団法人Colabo(コラボ)2025.4.18
よほど「表自戦士」を批判したくないのか。よほど、仁藤氏やコラボを擁護したくないのかと疑います。
文化の話題
◆歴史をなかったことにしないために:演劇『三たびの海峡』(青年劇場)(水村武)
(内容紹介)
朝鮮人強制連行を描いた帚木蓬生の小説『三たびの海峡』の青年劇場による演劇化の紹介。
参考
青年劇場『三たびの海峡』 | 新・法水堂20205.5.29
1995年に映画化*18もされた帚木蓬生さんの同名小説をシライケイタさんの脚本・演出で舞台化。
2020年初演(2023年再演)の(ボーガス注:朝鮮独立運動に関与した容疑で太平洋戦争中の1943年に逮捕され、福岡刑務所で獄死した「韓国の国民的詩人」尹東柱*19を描いた)『星をかすめる風*20』同様、日韓の近代史に焦点を当てた作品となる。
物語は1992年の釜山に始まる。主人公の時根(シグン)は会社を経営し、3人の息子にも恵まれているが、戦時中は福岡に強制連行され、炭坑で過酷な労働に従事、そこを抜け出して日本人女性・千鶴(ちづ)と恋に落ち、解放(終戦)後、身重の妻とともに祖国に戻るも千鶴は生まれたばかりの赤ん坊を連れて日本に帰ってしまうという過去を持っていた。
もう二度と日本の地を踏むことはないと思っていたが時根だったが、47年ぶりに再会した鎮徹(ジンチョル)から息子が自分を探していること、また朝鮮人労働者を連行していた張本人の山本三次が市長となってボタ山を壊して再開発して自分の後ろ暗い過去を葬り去ろうとしているのを知り、三たび海峡を渡る決意をする。
クライマックスの時根と山本三次との対決は公開討論会で、現在の時根役の吉村直さんは客席後方に座って壇上の山本へと鋭い質問を浴びせる。
観客は必然的に公開討論会を見に来た聴衆の一人となり、これ以上にない臨場感を感じられ、これが決して過去の話ではないのだと気づかされる。
ただ最後、後処理をぜんぶ息子に任せてボタ山の墓地で自害するというのはどうなのだろう。どこに埋めろとかお金はこうしろとか、あれやこれや注文もつけていて、ようやく会えたと思ったらこんな形で遺された息子(釜山にいる3人の息子含め)の立場にもなってみてよ。
つつじの花が舞台全面に咲き乱れる中、時根、千鶴、時郎の3人が一緒にいるという光景は演劇的なラストシーンではあったけど……。
キャストでは解放後も1人炭坑に残り、ボタ山の墓地で墓石を掘り続ける崔石松役の岡山豊明さんが印象に残った。
青年劇場「三たびの海峡」|neru2025.6.17
原作が、あまりにも悲惨な歴史的事実を生々しく描くものであり、特にラストが希望を感じられないほど悲しいものであったことから、絶大な信頼と期待を寄せる青年劇場とシライケイタさんをもってしても、果たしてどうなるのか(大丈夫?)と心配していたが杞憂に終わった。
杞憂に終わることができたのはパンフレットのシライケイタさんの言葉によれば『帚木さんのお許しを得て、原作とは異なるラストシーンを書かせていただいた』ことが大きい。このアレンジを受け入れられた作家の懐の深さと、脚本・演出家のセンス、そして、劇団のみなさんの想いの深さで、こんなにも温かい舞台になったと、感動した。
聴けば本作は、原作が発表された約30年も前から、劇団内部で幾度も上演作品の候補に挙がりながら戯曲化の難しさに直面してここまで時間がかかったとのこと。よくぞ粘り強く熱意を継続して舞台に仕上げてくれ、私たちの心を揺さぶってくれたと、感謝したい。
◆音楽『洋服姿の蝶々さん』(宮沢昭男)
(内容紹介)
堺シティオペラ「蝶々夫人」の紹介。タイトルにあるように「和装で登場することが多い蝶々夫人」が洋装で登場したことに注目されている。
堺シティオペラ「蝶々夫人」 〜 演出にセンス(2025/5/3)
第2幕、演出の粟國淳さんのアイディアなのか、蝶々さんは洋装で登場する。第1幕の婚礼の場面で用意されていた服装を身にまとっている。夫に捨てられた境涯なのにアメリカ人であろうとする心情が視覚化されているのだろう。こういう演出は見たことがなかった。
◆スポーツ最前線「富士山の登山規制導入 目立つ場当たり的対応」(青山俊明)
(内容紹介)
富士山の入山規制について一定の評価をしながらも「山梨県」「静岡県」と県によって「考え方の違い」等から規制内容に「ずれ」があることを指摘。両県の話し合いで「規制内容」を統一すべきとしている。
*5:岡山大学名誉教授。著書『隠れ共産党宣言』(2018年、新日本出版社)、『農ある世界と地方の眼力』(2018年、大学教育出版)、『共産党入党宣言』(2020年、新日本出版社)、『新訂版・非敗の思想と農ある世界』(2024年、大学教育出版)
*7:弁護士。著書『事件に見る親と子の余白』(1996年、新日本出版社)、『新しい法と自分らしい生き方:女性のための法律学』(1999年、新日本出版社)、 『格差社会を生きる:男と女の新ジェンダー論』(2008年、かもがわ出版)、『たかが姓、されど姓:家族の変化と民法改正の焦点』(2010年、かもがわ出版)、『ジェンダー平等社会の実現へ』(2023年、日本評論社)等
*8:著書『共通番号制(マイナンバー)なんていらない!』(共著、2012年、航思社)、『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』(2016年、毎日新聞出版)、『スノーデン・ファイル徹底検証』(2019年、毎日新聞出版)
*9:一橋大学名誉教授。著書『天皇の軍隊と南京事件』(1985年、青木書店)、『昭和天皇の終戦史』(1992年、岩波新書)、『日本の軍隊:兵士たちの近代史』(2002年、岩波新書)、『日本人の戦争観』(2005年、岩波現代文庫)、、『日本軍兵士:アジア・太平洋戦争の現実』(2017年、中公新書)、『日本人の歴史認識と東京裁判』(2019年、岩波ブックレット)、『兵士たちの戦後史』(2020年、岩波現代文庫)等
*10:1922~2003年。一橋大学名誉教授。著書『南京大虐殺』(1985年、岩波ブックレット)、『南京の日本軍:南京大虐殺とその背景』(1997年、大月書店)、『昭和天皇の15年戦争(新版)』(2003年、青木書店)、『天皇の軍隊と日中戦争』(2006年、大月書店)等
*11:著書『原発にしがみつく人びとの群れ』(2012年、新日本出版社)、『カジノ狂騒曲』(共著、2014年、新日本出版社)、『政党助成金に群がる政治家たち』(2015年、新日本出版社)
*12:1903~2000年。戦前、大本営陸軍参謀。戦後、統合幕僚会議事務局長、陸上自衛隊幹部学校校長を歴任
*13:政治経済研究所主任研究員
*14:1918~2002年。著書『爆心地ヒロシマに入る:カメラマンは何を見たか』(1992年、岩波ジュニア新書)
*15:第五福竜丸の久保山愛吉氏など「米国の核実験」で被曝した日本人漁船労働者のこと
*16:共産党常任幹部会委員(党ジェンダー平等委員会事務局長)
*17:著書『女子高生の裏社会』(2014年、光文社新書)、『難民高校生』(2016年、ちくま文庫)等
*18:監督は『ひめゆりの塔』(1995年)、『時の行路』(2020年:赤旗連載小説の映画化。労働争議を描いた)など社会派作品が多い神山征二郎。主演の三國連太郎が日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞(三たびの海峡 - Wikipedia参照)
*19:1917~1945年。著書『尹東柱詩集:空と風と星と詩』(岩波文庫)等
*20:イ・ジョンミョンの小説『星をかすめる風』(邦訳、2019年、論創社)の演劇化。これについては青年劇場『星をかすめる風』 | 新・法水堂(2020.9.19)参照