珍右翼・三浦小太郎に突っ込む(2025年8月25日分)

『大東亜会議演説集』(ハート出版)についてYOUTUBEで紹介しました|三浦小太郎
 「ハート出版」とは以下のようなトンデモ右翼本を出してるマイナー右翼出版社であり、よくもこんなところから本が出せると三浦には呆れます。まあ三浦も「新しい歴史教科書をつくる会理事」というトンデモ右翼ですが。

◆石井孝明『埼玉クルド人問題』(2024年)と言うクルド差別本
◆佐々木類*1『静かなる日本侵略:中国・韓国・北朝鮮の日本支配はここまで進んでいる』(2018年)、『中国の傀儡・反日留学生』(2025年)という排外主義扇動本
◆高田純*2脱原発中共の罠』(2021年)という脱原発派を中国の手先扱いする陰謀論本(デマ本)
◆宮田俊行『林芙美子が見た大東亜戦争:『放浪記』の作家は、なぜ「南京大虐殺」を書かなかったのか』(2019年)という南京事件否定論
→勿論、南京事件当時に、従軍作家として南京にいた林が著書において南京事件について触れなかったのは、戦前は「日本政府の弾圧を恐れたから」、戦後は「右翼の攻撃を恐れた」からにすぎず「南京事件が無かったから」では勿論ない(なお、林は触れてないだけであって、積極的に南京事件を否定しているわけではない)。一方で「三笠宮崇仁親王」など南京事件の存在を認める著名人も多数います。
 だからこそ三笠宮氏は皇族でありながら、生前、ウヨから敵視されましたが。 
◆吉本貞昭『世界が語る神風特別攻撃隊カミカゼはなぜ世界で尊敬されるのか』(2022年)という特攻隊美化本
◆マーク・ラムザイヤー『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』(2023年)という「慰安婦違法性否定」本

 なお、以前も別記事で書きましたが「日本はインドネシアには形式的な独立すら与える気が無かったのでインドネシアスカルノ(当時、日本に協力。戦後、初代インドネシア大統領)はこの会議に出席しなかった」ということ一つとっても「大東亜会議」とはインチキな代物に過ぎません。
 また「当初、『敵(インドを植民地支配するイギリス)の敵は味方』というマキャベリズムでナチスドイツと組もうとしたが、ナチが冷淡な態度だったので日本と手を組んだ。日本の敗色が濃厚になると、ソ連に亡命してソ連と手を組もうとした(しかし飛行機事故で死亡しソ連亡命できず)」というチャンドラ・ボースがわかりやすいですが会議出席者達は必ずしも日本の政治主張(イデオロギー)に共感したわけではない。また会議出席者達は、戦後も存命した者も、日本の敗戦によって戦後においては特に政治力を発揮できませんでした。

 
参政党について。批判するにしてもその本質をきちんと評価しましょう。|三浦小太郎
 「参政と同レベルの排外主義極右」三浦が「参政は排外主義極右ではない」と強弁してるだけの駄記事です。
 参政が排外主義極右に見えないとしたら、三浦が単に「参政と同レベルの排外主義極右」と言う話に過ぎません。
 勿論、参政の問題点は「排外主義極右」だけではなく「女性差別」「高齢者差別」など多々ありますし、支持層も必ずしも「排外主義を理由に支持してるわけではない」でしょうが、そんなことは「参政が排外主義極右であり、その面から批判する必要がある」という事実を何ら否定しません。


拙著『ドストエフスキーの戦争論』YOUTUBEで宣伝してます|三浦小太郎

 この本は自分では結構気に入っているというか、私の書いたものの中ではいい方だと密かに思っているのですが、全く売れず、出版社*3に多大な迷惑をかけてしまったという1冊です。

 ロシア文学研究者(大学教員など)でもロシア文学評論家でもない「新しい歴史教科書をつくる会理事」というプロ右翼活動家でしかない三浦(恐らくロシア語も出来ない)がよくも放言したもんです。
フョードル・ドストエフスキー - Wikipediaを見れば分かりますが

江川卓(1927~2001年:東京工業大学名誉教授)
ドストエフスキー』(1984年、岩波新書
『謎とき「罪と罰」』(1986年、新潮選書)
『謎とき「カラマーゾフの兄弟」』(1991年、新潮選書)
『謎とき「白痴」』(1994年、新潮選書)
亀山郁夫*4(1949年生まれ:東京外国語大学名誉教授)
ドストエフスキー:父殺しの文学』(2004年、NHKブックス)
ドストエフスキー:謎とちから』(2007年、文春新書)
『「罪と罰」ノート』(2009年、平凡社新書→増補版、2023年、平凡社ライブラリー
『謎解き「悪霊」』(2012年、新潮選書)
ドストエフスキーとの旅』(2021年、岩波現代文庫
ドストエフスキー:黒い言葉』(2021年、集英社新書
◆中村健之介*5(1939~2022年:北海道大学名誉教授)
ドストエフスキーのおもしろさ』(1988年、岩波ジュニア新書)
『永遠のドストエフスキー』(2004年、中公新書
原卓也(1930~2004年:東京外国語大学名誉教授)
ドストエフスキー』(1981年、講談社現代新書

といった専門家のドストエフスキー関連著書が、新書、選書、文庫など入手容易な形で読めるのだから三浦の駄本よりそちらが読まれるのは当たり前の話です。

*1:産経新聞政治部次長、ワシントン支局長、九州総局長、論説副委員長等を経て現在、麗澤大学教授。麗澤大学は右翼宗教団体「モラロジー」が母体で、佐々木以外にも古森義久(元産経新聞ワシントン支局長)、高橋史朗(元「新しい歴史教科書をつくる会」副会長)、西岡力救う会会長)、八木秀次日本教育再生機構理事長)などのウヨが教員を務める札付きの右翼大学

*2:札幌医科大学名誉教授。著書『世界の放射線被曝地調査』(2002年、講談社ブルーバックス)、『核爆発災害』(2007年、中公新書)等。講談社ブルーバックス中公新書など以前の本はまともだったのに劣化したか、以前から酷かったのかは不明。

*3:萬書房のこと

*4:ドストエフスキー関係以外の著書として『ロシア・アヴァンギャルド』(1996年、岩波新書)、『甦るフレーブニコフ』(2009年、平凡社ライブラリー)、『終末と革命のロシア・ルネサンス』(2009年、岩波現代文庫)、『磔のロシア:スターリンと芸術家たち』(2010年、岩波現代文庫)、『大審問官スターリン』(2019年、岩波現代文庫)、『ショスタコーヴィチ』(2025年、岩波現代文庫)等

*5:ドストエフスキー関係以外の著書として『宣教師ニコライと明治日本』(1996年、岩波新書)、『宣教師ニコライとその時代』(2011年、講談社現代新書)等