二代目中村又五郎について(2025年8月26日記載)

<産経抄>大ヒット映画「国宝」と「剣客商売」の秋山小兵衛 - 産経ニュース
 歌舞伎界を舞台にした映画「国宝」は前振りに過ぎず、内容のほとんどは「二代目中村又五郎」礼賛です。

 時代小説『剣客商売』の主人公、秋山小兵衛にはモデルがいた。作者の池波正太郎は、歌舞伎俳優の二代目中村又五郎だと明かしていた。

 そんな二代目又五郎はフジテレビの2時間ドラマ『剣客商売・辻斬り』(1982年12月3日)、『剣客商売・誘拐(かどわかし)』(1983年3月4日)で秋山小兵衛を演じています(剣客商売 (テレビドラマ) - Wikipedia中村又五郎 (2代目) - Wikipedia参照)。
 残念ながら「BSフジ」「時代劇専門チャンネル」などで放送される「剣客商売」は比較的最近の「秋山小兵衛=藤田まこと版(1998~2010年までフジテレビで、5シリーズと2時間スペシャルドラマ6本)」が多いようですが。
 なお、二代目又五郎は秋山小兵衛以外にも

中村又五郎 (2代目) - Wikipedia
◆フジテレビ『仕掛人・藤枝梅安』(1982~1983年まで、2時間スペシャルドラマ7本。池波正太郎原作)
 主人公・藤枝梅安小林桂樹)に仕掛け(暗殺)を依頼する闇社会の大物『音羽の半右衛門』(表の顔は料亭の主人)
◆フジテレビ『鬼平犯科帳』(池波正太郎原作)第4シリーズ第1話「討ち入り市兵衛」(1992年)
 番組タイトルにも名前が入っている盗賊『蓮沼の市兵衛』

等を演じており、歌舞伎界だけでなくテレビ時代劇でも親しまれたといえます。小生は時代劇ファンとはいえ、彼を見たことがもしかしたらないかもしれませんが。歌舞伎は勿論(?)ファンではないので見ていません。

参考

剣客商売・辻斬り』1982.12.3フジ/映像京都
 秋山小兵衛のモデルといわれる中村又五郎が小兵衛を演じる佳品。
 一時間半という尺がいかにも惜しい。短い時間に多数のエピソードが詰め込まれるのも勿体無い。
 筋立ては、三冬(新井春美*1)を我が息子に欲しい目付衆が裏でこそこそ工作するも、どら息子が肝心の勝負にぶざまに負けたうえ辻斬りの素行が露見し、失脚が示唆されて終わるというもの。
 大治郎(加藤剛)に三冬襲撃を依頼に来る目付衆の用人から始まり、証拠隠滅のため刺客を差し向けてくるのを迎え撃つ父子の姿が描かれる。
 小兵衛さんはまだおはる(星野浩美)と正式に祝言をあげていない設定。
又五郎丈(二代目)の小兵衛さん、ちょん髷も可愛い小さな体がやはり原作に忠実で、ぴったりとハマる。
◆『剣客商売・誘拐(かどわかし)』1983/3/4映像京都/フジ
 メインのお話は「品川お匙屋敷」、これに大治郎の師・嶋岡礼蔵(信欣三)の横死と、三冬(新井春美)の夫になりおおせようとする乱暴侍のエピソードが加味される。時間配分のゆえか、設定が微妙に変えられている部分もある。

二代目中村又五郎 - 風の向くまま薫るまま2017.12.13
 (ボーガス注:中村吉右衛門版)『鬼平犯科帳』にも何度かゲスト出演されております。私が印象に残っているのは、鬼平第7シリーズの「寒月六間堀」というエピソードで、又五郎さんは息子の仇を討とうとする老武士の役でした。
 当時、仇討ちは子が親の仇を討つものとされており、親が子の仇を討つことは「逆縁」といって禁止されていたんです。だからこの仇討は公には出来ない。
 老人から話を聞いた鬼平さんは、自分の身分を最後まで明かさないまま、この老武士の助太刀をするという話でした。
 適度な枯れ具合と、そこはかとなく漂う気品、そして不屈の意志。それらすべてを兼ね備えていた方で、この老武士を演じるに、これ以上相応しい方はおりませんでしたね。

二代目中村又五郎/剣客商売 : 鯵庵の京都事情2020.3.14
 主人公は秋山小兵衛という小柄な老人。
 特に二代目又五郎(1914-2009)の演じる秋山小兵衛(昭57年(1982)放送)が好きである。
 脇役ながらも鬼平シリーズでもいい役をしている。
 読者は、藤田まことやあるいは北大路欣也をイメージするかもしれない。
 それはそれで味がある配役であるが、(ボーガス注:小柄な男として描かれている)原作とのギャップが大きい。
 北大路欣也藤田まことでは大柄すぎるし、いかにも強そうだ、しかも精力絶倫の豪傑になってしまう。

「仕掛人・藤枝梅安」とは。|になぴ2020.5.9
 小林桂樹さん版・藤枝梅安は、元締め・音羽の半右衛門は二代目中村又五郎さんが演じています。小さい体で穏やかだけど中身は怖いという音羽の半右衛門をしっかり表現しています。

『剣客商売辻斬り』 - 指田文夫の「さすらい日乗」2022.4.28
 1982年、テレビのスペシャル番組として作られたもの。脚本・星川清司、監督は森一生である。
 秋山大次郎は、加藤剛で、父・秋山小兵衛は中村又五郎田沼意次小沢栄太郎で、田沼の娘の佐々木三冬は新井春美という配役。
 ある夜、辻斬りに襲われ、連中をつけると旗本・長谷川(武内亨)の屋敷であることを突き止める。
 その息子が、剣術好きで、刀剣を集めていることも分り、彼らとの対決となる。

23. 二代目中村又五郎と中村吉右衛門版『鬼平犯科帳』 - tn3のブログ2025.1.28
 歌舞伎俳優の名優二代目中村又五郎(1914-2009)だが、中村吉右衛門版『鬼平犯科帳』シリーズに何度もゲスト出演している。
 第1シリーズ第1回「暗剣白梅香」(1989年)では長谷川平蔵の暗殺を依頼する暗黒街の顔役「三の松平十」を、第2シリーズ第17話「春の淡雪」(1991年)では仁義を守る盗賊「池田屋五平」を演じている。第4シリーズ第1話「討ち入り市兵衛」(1992年)、第7シリーズ第9話「寒月六間堀」(1997年)ではどちらも敵討ちが関係しているが、前者では本格の盗賊「蓮沼の市兵衛」を、後者では息子の仇を討つ老武士「市口瀬兵衛」を好演している。
 二代目中村又五郎は実に品がある演技を自然にこなす。池波が(ボーガス注:NET*2鬼平犯科帳』(1969~1970年)、『新・鬼平犯科帳』(1971~1972年)で長谷川平蔵を演じた)吉右衛門の父「初代松本白鸚*3」(1910-1982)をモデルに長谷川平蔵を描いたことは有名であろうが*4、『剣客商売』の主人公秋山小兵衛のモデルは実は中村又五郎である。シリーズでは山形勲*5藤田まこと*6北大路欣也*7がそれぞれ演じているが、山形勲版で秋山大治郎を演じた加藤剛が同じく大治郎*8を演じた2回のスペシャル(1982-1983年)で又五郎が小兵衛を演じている。

鬼平犯科帳・第2シリーズ第17話「春の淡雪」
 火付盗賊改方同心・大島勇五郎(中村浩太郎*9)は、与力・天野甚造(御木本伸介)に率いられ向かった捕物で刀を飛ばされ不格好によろめいた。だが、その身を恥じることもなく、危ういところを助けられた礼はいくら払うのが世間の相場か、などと聞くような男だった。 また、雪崩の清松(平泉成)を、その前身さえ知らぬまま密偵として使っていた。さすがの平蔵(中村吉右衛門)も、そんな大島の行く末を案じていた。ある日、平蔵の密偵・大滝の五郎蔵(綿引勝彦)が、清松と盗っ人の銀太郎(椎谷建治)が連れだっているところを見かける。報告を受けた平蔵は、大島と銀太郎に見張りをつけさせた。大島は、清松に博打で百二十両の借金があり、それをネタに仲間に引き込まれそうになっていた。銀太郎は、盗賊・池田屋五平(中村又五郎)の配下でありながら、清松と手を組み、五平から千両もの金を奪おうと企てていた。清松と銀太郎は、五平の娘・お梅(鶴山小夕里)を誘拐し、身代金千両を要求する。

鬼平犯科帳・第4シリーズ第1話「討ち入り市兵衛」
 ある夜、「五鉄」の前に深手を負った男が倒れていた。男は、松戸の繁蔵(下川辰平)という盗賊だった。繁蔵は、平蔵(中村吉右衛門)の密偵・相模の彦十(江戸家猫八)の昔馴染みであり、伝説的な盗賊・蓮沼の市兵衛(中村又五郎)の片腕と言われていた。市兵衛は、時間をかけて準備し、決して誰も傷つけずに大仕事をする本格の盗賊。平蔵のはからいで医者を呼び、彦十らは繁蔵の介抱にあたった。やがて、繁蔵に代わって、彦十が市兵衛のもとに出向き、繁蔵の容態を伝えた。市兵衛は、上方から中国にかけて急ぎばたらきを続けていた盗賊・壁川の源内(内田勝正)から、江戸に進出する手助けをしてほしいと再三言われていたのだが、信条の違いを理由に断っていた。それがもとで繁蔵は命を狙われたのだった。ほどなく繁蔵は無念の死を遂げ、市兵衛は壁川一味への仇討ちを決意する。市兵衛らの動きを追い、なりゆきを見守っていた平蔵は…。

鬼平犯科帳・第7シリーズ第9話「寒月六間堀」
 本所の軍鶏鍋屋「五鉄」に平蔵(中村吉右衛門)が泊まったのは、役目についてから初めてのことだった。前夜、密偵・相模の彦十(江戸家猫八)や、おまさ(梶芽衣子)、「五鉄」亭主の三次郎(藤巻潤)を交えて昔語りに花を咲かせているうちに、酒を過ごしたのであった。平蔵は五鉄をあとにし、彦十を連れだって歩いていると、ある老武士(中村又五郎)が、屈強な用心棒に守られた金貸し・山下藤四郎(潮哲也)を討とうとしているところに遭遇する。だが、老武士は何度か飛び出そうとするのだが体が動かず、結局、身を揉むようにして嗚咽し始めた。それでも山下を追う老武士に平蔵は声をかける。老武士の名は市口瀬兵衛。聞けば、山下は息子の仇で、七十一歳になる瀬兵衛は二十余年もの間、山下を探し求めていたという。話を聞いた平蔵は、瀬兵衛の仇討ちの手助けをすることに。山下を調べると、料亭「巴屋」の女主人・おとせ(中村久美)と因縁があることがわかった。

*1:1953年生まれ。1977年、NHK朝の連続テレビ小説『風見鶏』のヒロインを演じて注目される(新井晴み - Wikipedia参照)

*2:現在のテレビ朝日

*3:但し、鬼平犯科帳出演当時は八代目松本幸四郎

*4:歌舞伎役者は「襲名」するのでみんな同じ混乱に陥ると思うが、私の世代の人は「松本白鸚」は最初に鬼平を演じた八代目松本幸四郎のことを、「松本幸四郎」は二代目「中村吉右衛門」(1944-2021)の兄である九代目松本幸四郎のことを、「市川染五郎」は松たか子の兄である七代目市川染五郎のことを思い出す。しかし、先日の『徹子の部屋』を見たら世代は代わり、市川染五郎は先年『鎌倉殿の13人』に木曽義高の役で出演していた八代目市川染五郎(2005-)となっており、父の七代目市川染五郎は昨年、新シリーズが始まった鬼平を演じている十代目松本幸四郎(1973-)に、祖父の九代目松本幸四郎は二代目松本白鸚(1942-)となっていた。今回の記事の「中村又五郎」も私は二代目のことを書いているが、当代の中村又五郎吉右衛門版『鬼平犯科帳』で同心・細川峯太郎(コミカルな役)や与力・小林金弥役(真面目な役)を演じた三代目中村歌昇が三代目中村又五郎(1956-)となっている。二代目中村吉右衛門は父松本白鸚版『鬼平犯科帳』で平蔵の息子・長谷川辰蔵役を演じている(1972年の「下段の剣」など)。そして、昨年始まった時代劇チャンネルの松本幸四郎版『鬼平犯科帳』では十代目松本幸四郎の息子の八代目市川染五郎が長谷川辰蔵役を演じている。

*5:フジテレビ、1973年

*6:1998~2010年までフジテレビで、5シリーズと2時間スペシャルドラマ6本

*7:フジテレビ。2012~2020年まで2時間スペシャルドラマ6本

*8:藤田版では「渡部篤郎(第1、第2シリーズ)、山口馬木也(第4、第5シリーズ。なお、第3シリーズは大五郎は旅に出ている設定で登場せず)」が、北大路版では「斎藤工(第1~第5作)、高橋光臣(第6作)」が大五郎を演じた。

*9:芸名は鬼平犯科帳出演当時。現在は三代目「中村扇雀」を襲名。後に四代目「坂田藤十郎」を襲名した二代目「中村扇雀」は父