「経済」12月号を、無能な俺が「能力的に説明できる範囲」で簡単に紹介します。
◆巻頭言「学校給食にも排外主義が」
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
「ムスリムの給食決定」、北九州市教委が否定 誤情報に抗議1千件超 [福岡県]:朝日新聞2025.9.24
北九州市の学校給食について、ムスリム(イスラム教徒)への対応を決めたという情報がSNSで拡散し、市に1千件超の抗議などが寄せられている。市教育委員会は24日、会見を開き、アレルギーや宗教上の理由などに配慮はしているが、「ムスリムに特化した給食を決定した事実はない」と説明した。
市教委によると、(ボーガス注:豚肉など)イスラム教で禁忌とされる食材を完全に取り除いた「ハラル給食」をめぐっては、2023年6月にムスリムの女性から提供を求める陳情が出され、市議会で審議されたが、採択されなかった。
だが、SNSでは、陳情が採択され、市教委がムスリム対応の給食を決定した、などという情報が拡散。市教委は「誤情報*1だ」としている。今月19日から24日までの間に、「日本の学校に来ているのだから、出されたものを食べるのが筋だ*2」といった苦情や問い合わせが1千件以上寄せられているという。
市教委は、ハラル給食の実施について、調理にかかる設備や人材、予算などの面から「学校給食全体で提供するのは困難」と説明。一方で、アレルギーや宗教上の理由などがある子どもたちも食べられる給食の実現に向けて工夫しており、豚肉を鶏肉に変えたメニューもあったという。市教委は「結果としてムスリムの子どもたちも一緒に食べられる機会は増えた」としている。
太田清治教育長は抗議について、「教育行政にたずさわるものとして悲しい。子どもたちが喜んでいる顔が、私たちが願っているもの。そこはしっかりと考えていただきたい」と話した。
そもそも「ムスリム対応給食」は「アレルギー対応給食」などと同じ「児童の人権に配慮した当然の対応」であり、抗議する方がおかしい。
世界と日本
◆2025年度最低賃金改定(齊藤辰巳)
(内容紹介)
最低賃金の引き上げを評価しながらも【1】地域による賃金格差、【2】地域による施行時期の遅れを指摘。
「全国一律の引き上げ金額」かつ「引き上げの同時実施」を主張。
参考
最低賃金大幅引き上げの「代償」 発効遅れ続出で広がる地域格差 現行審議方式の限界露呈 - 産経ニュース2025.9.27
2024年度の最低賃金が951円と全国で最も低かった秋田。2025年度は国側が示した引き上げ額の目安(64円)に16円上乗せし、1031円とする一方、発効日は来年3月末に遅らせた。
発効日の遅れは秋田だけではない。2024年度は84円引き上げた徳島を除き、全て10月に発効したが、2025年度は27府県が11月以降にずれこんだ。うち6県が2026年に越年し、秋田以外では熊本と大分、福島、徳島が2026年1月1日、群馬は2026年3月1日だ。
発効日が最も早い栃木(2025年10月1日)と最も遅い秋田(2026年3月末)との差は約半年。北海道大の安部由起子教授(労働経済学)の試算によると、今年10月からの1年間で考えた場合、ほぼ半年遅れで80円引き上げる秋田は1年間にならすと40円増にとどまり、目安を37.5%下回る。発効日を考慮した最低賃金額は991円で、全国で最も低くなる。
安部教授は「全都道府県で千円を超えたといわれるが、1年にならして計算し直すと、国の目安に達していない」と指摘する。発効遅れについて「人件費を節約したいという経営者側の潜在的ニーズが表面化した。引き上げ額ばかりに注目するのではなく、労働者への負の影響も考える必要がある」と述べた。
最賃 格差拡大/発効日分散で東京・秋田275円差2025.10.3
発効日の先送りを考慮すると、全国すべての地域で1000円以上には到達していない。
北海道大学の安部由起子教授が『労務事情』10月1日号に発表した試算が衝撃を与え、各メディアが紹介しています。
◆世界一流の軍隊めざす中国(平井潤一*3)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
「世界一流の軍隊へ加速」 中国主席が演説 - 産経ニュース2023.3.8
中国の習近平*4国家主席は8日、全国人民代表大会(全人代)の人民解放軍と武装警察部隊の代表を集めた全体会議で演説し「世界一流の軍隊の建設を加速させる」と強調した。
軍トップの中央軍事委員会主席を兼ねる習氏は演説で、宇宙やサイバー空間などを念頭に「新たな分野の戦略能力を引き上げ、国際競争で優位性を獲得しなければならない」と訴えた。
習近平氏「解放軍は党と人民が信頼できる英雄的部隊」2025.9.3
習近平中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中央軍事委員会主席は3日、北京で開かれた「中国人民抗日戦争*5・世界反ファシズム戦争*6」勝利80周年記念大会で重要演説を行い、次のように述べた。
『中国人民解放軍は一貫して、党と人民が全面的に信頼できる英雄的部隊であり続けてきた。全軍の将兵は、世界一流の軍隊の建設を加速し、(ボーガス注:台湾独立など国家分裂の動きを許さず)国家の主権、統一、領土の一体性を断固として守り、中華民族の偉大な復興を実現するための戦略的支えとなり、世界の平和と発展により一層の貢献をしなければならない。』
習近平氏「国家の主権と統一、領土の一体性を断固守る」…中台統一を念頭に軍事パレードで演説 : 読売新聞2025.9.3
中国は3日、北京の天安門広場で「抗日戦争勝利80年」記念の軍事パレードを行った。
習近平国家主席は、演説で「世界一流の軍隊建設を加速する」と表明した。
パレードでは、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「JL(巨浪)3」が初めて公開された。射程約1万2000キロメートルで中国近海から米本土を射程に収めるとされる。最新の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「DF(東風)61」や空中発射長距離ミサイル「JL(驚雷)1」も登場した。新華社通信によると、いずれも核弾頭を搭載可能で、「陸海空の戦略核戦力を初めて同時に公開した」としている。
ほかにも新型の無人機や極超音速ミサイル、ステルス戦闘機などが登場した。昨年新設した「情報支援部隊」や、「軍事宇宙部隊」「サイバー空間部隊」といった各軍種を一体運用する統合作戦を支える部隊も初めて公の場に登場した。
中国軍、常時空母3隻体制に 「福建」就役、米国けん制|全国のニュース|北國新聞2025.11.7
中国海南省三亜市で5日、中国の3隻目となる新型空母「福建」が就役した。中国軍は「福建」の就役により、空母*7「遼寧」と「山東」を合わせた3隻*8で作戦、訓練、補修のローテーションを組み、常に1隻が任務に当たることが可能になった。
中国は4隻目の空母建造計画を進めているとされ、原子力空母の開発を目指しているとの観測もある。習氏が掲げる「世界一流の軍隊」建設を加速し、米国に対抗する構えだ。
「福建」は艦載機を短時間で発進させる電磁式カタパルト(射出機)を中国空母で初めて採用した。「遼寧」と「山東」の「船首に傾斜がついたスキージャンプ式」と比べ、武器や燃料を多く積んだ艦載機を効率的に飛ばすことができ、作戦能力が向上する。
福建 (空母) - Wikipedia
中国の国産空母としては「山東」に次いで2隻目、保有空母としては「遼寧」(旧「ヴァリャーグ」)を含め3隻目であるが、発艦にスキージャンプ甲板を使用したSTOBAR(短距離離陸拘束着陸)方式を採用したこれら2隻と異なり、電磁カタパルトを使用するCATOBAR方式を採用した初の空母となる。
2025年11月5日、「福建」は海南省三亜市で就役式を行い、習近平国家主席(党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席兼務)が出席した。
◆韓国中労委の「怠業」(洪相鉉)
(内容紹介)
韓国中労委(中央労働委員会)は違法行為をした使用者に「履行強制金」を納付するよう命じる権限があるが、その「履行強制金」を支払わない使用者に対して、きちんと徴収をしていないことを「怠業」と批判している。
特集「医療・介護の崩壊を止める」
◆医療費抑制の大合唱と医療の危機(横山寿一*9)
◆座談会「押し寄せる医療費負担、崩される医療体制:皆保険を守る地域の共同を」(長友薫輝*10、森千恵子*11、松山洋*12)
(内容紹介)
議論は多岐にわたっていますが、俺なりに説明すると、横山論文、座談会はどちらも高齢化社会においては「老人は病気にかかりやすく、医療費が増加する」のは当然であり、無理に「医療費抑制」を目指すことは「国民の医療費負担の増加→受診抑制による病状の悪化」「病院経営の困難化(最悪の場合、倒産)」「医療労働者(医師、看護師など)の労働条件悪化」などの「医療体制の崩壊」「社会の崩壊」を生みかねないと批判。むしろ医療予算の増大を主張している。
なお、医療費負担について「世代対立を煽り、高齢者の医療負担増を正当化する言説(自民党政府、厚労省、あるいは参政党、国民民主党などの右派)」については
1)いわゆる現役世代もいずれは老人になること
→特に「現役世代のワーキングプア」が多い現状では、「高齢者の負担増加を主張する言説」を現役世代が支持することは、経済的に恵まれた状況にある「中流以上の現役世代」はともかく、いずれ高齢者になる「現役世代のワーキングプア」にとって自滅行為
2)現役世代の多くは両親や祖父母の医療費用を負担する立場にあり「いわゆる現役世代」と「高齢者(現役世代にとっての両親や祖父母)」は医療費において、多くの場合、単純な対立関係にないこと
3)病気にかかりやすい以上、高齢者の医療費が多くなるのはある意味当然であること
4)現役世代に比べ、多くの高齢者は「働いていないため」、あるいは「働いても現役世代ほどの高い賃金は獲得できないこと」から経済的に貧困であること(医療負担が軽くても経済的に裕福とは言えないこと)
5)高齢者の医療負担が増えたところで現役世代の医療費負担が軽減するとは思われないこと
から不適切と批判している。
また、子育て支援について「こども・子育て支援金(2026年4月から開始)」で全世代に負担を求め、「独身税(子どもが居ない独身者がなぜそんな負担をしないといけないのか?。子育て家庭だけが利益を得るのに?)」という「一部の独身者、単身者」からの政府非難に対し、政府(自民党や厚労省)が「こども・子育て支援金は社会維持のためであり、独身者にとっても利益になる(いわゆる「情けは人のためならず」)。子育て家庭だけが利益を得るわけではない。全世代から支援を求めても問題ない」という反論をするならば、「高齢者の医療費軽減」についても「高齢者の医療費負担は社会維持のためであり、現役世代にとっても利益になる。高齢者だけが利益を得るわけではない。現役世代が負担しても問題ない」と政府(自民党や厚労省)がいえるはずであり、論理矛盾している。高齢者の医療費負担について「世代対立論」「世代公平論」を持ち出して、高齢者の医療費負担増を正当化しながら、自分(自民党や厚労省)に都合がいいとき(こども・子育て支援金)は「全世代による負担」を「社会維持のため」等と言い出すのはいわゆるチェリーピッキングが酷いとも批判している。
参考
SNSで一人歩き…“独身税”って本当? 三原じゅん子大臣「間違っている」 専門家「政府予算は先進国トップクラスに」【それって本当?】(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース
「三原大臣は独身税という批判に対して、『いずれ子どもは社会保障の担い手になっていくことから、独身や子育てを終えた人を含め、すべての世代がこの制度のメリットを受ける』と強調しています」
「独身税と言い換えることは間違っている」 三原大臣が子ども・子育て支援金制度への“独身税”との意見に反論 | TBS CROSS DIG with Bloomberg
来年4月から徴収が始まる子ども・子育て支援金をめぐり“独身税”だという批判の声があがっているのに対し、三原こども政策担当大臣はきょう、「独身税と言い換えることは間違っている」と反論しました。
「少子化対策、子育て支援策は子どもを持つ方だけでなく、社会保障を含めた社会全体を支えるものであり、全員にメリットがあることが十分届いていない。そこは率直に反省をしたい」と述べました。
その理屈なら高齢者の医療費負担とて「受診抑制で、高齢者の健康が悪化すると余計医療負担が増えるから、現役世代も、高齢者の医療費軽減で利益を受ける。世代間対立論は間違ってる」といえるでしょうに、まあ何とも政府(自民党、厚労省)もご都合主義です。
◆「調査」を中軸にすえた住民運動20年:「鹿角の医療と福祉を考える会」の活動(鈴木土身*13)
(内容紹介)
「鹿角の医療と福祉を考える市民町民の会」の活動について論じられています。ネット上の記事紹介で代替します。
「医師不足」の解決めざす住民運動それは「医療の公共性を取り戻す」ということ | 論文 | 自治体問題研究所(自治体研究社)鈴木土身(月刊『住民と自治』 2023年8月号)
人口4万5000人の秋田県鹿角地域(鹿角市および小坂町)が「精神科の空白地域(常勤医ゼロ、精神科病棟廃止)」になったのは、2006年でした。これを機に生まれた住民団体「鹿角の医療と福祉を考える市民町民の会(以下、「同会」)が音頭を取り、秋田県・鹿角市・小坂町・秋田県厚生連鹿角組合総合病院(現・かづの厚生病院)他との連名で、全国406カ所に12年間で約10万枚の「精神科医師を求めるチラシ」を配布。2018年、共感した医師2人が常勤赴任する大成果をあげました(詳細は、鈴木土身『お医者さんも来たくなる地域づくり』旬報社、2020年)。
医療体制縮小の鹿角地域「常時受診できる窓口を」 市民町民の会、行政などに提案へ|秋田魁新報電子版2025.9.24
地域の医療を守るには。精神科や産科、小児科が相次いで縮小している秋田県鹿角地域の住民が対策を考える集会を8月末に開き、約40人が参加した。主催した「鹿角の医療と福祉を考える市民町民の会」(西文雄会長)は、今年実施したアンケートから多くの住民が不安を抱えている現状が浮かび上がったと報告。集会参加者の意見を踏まえ、いつでも受診できる医療体制や医師確保に向けた関係機関の協議を求める提案書をまとめた。行政や病院に提出する。
◆全国で進む訪問介護の基盤崩壊(内藤真己子*14)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
苦境に立たされる“訪問介護”の現場…“基本報酬引き下げ”で倒産増 都市部に比べ利益上げにくい地方「国に見放されたよう」|FNNプライムオンライン(フジ系列のNST新潟総合テレビ)2025.4.5
2023年度に政府が実施した訪問介護の基本報酬の引き下げを受け、2024年には全国の訪問介護事業所の倒産件数は過去最多を更新した。こうした状況の中、新潟県内では独自に訪問介護事業所を支援する動きも出ている。
東京商工リサーチの2024年の調査では、全国で倒産した介護事業者は172社と過去最多を更新。このうち約5割を訪問介護が占めている。その背景にあるのが、訪問介護の基本報酬の引き下げだ。
「物価高・燃料費の高騰に加えて、国からもらえる報酬が下がっているというのは、どう考えても怒りしかない」
2025年2月、新潟県庁で会見を開き、介護報酬の改定で、訪問介護の基本報酬が約2%引き下げされたことへの怒りの声をあげていたのは、県内の訪問介護事業者だ。
新潟県民医連(民主医療機関連合会)によると、訪問介護の場合、都市部などのマンションのような集合住宅が多い地域では短時間で多くの利用者宅を回れることから、デイサービスなどに比べ、黒字率が高い傾向にあるという。
そのため、政府は訪問介護の基本報酬を下げたとみられている。
一方、新潟県内では、一軒家が多く、利用者宅同士の移動距離も長いため、都市部に比べ利益を上げにくい*15。
加えて、雪が多い地域では片道40分かかることもあり、十日町市や糸魚川市などの複数の訪問介護事業所で赤字経営に陥っているのが現状だ。
県民医連などが報酬引き下げの影響について、県内の398事業所を対象に行ったアンケートでは、回答を寄せた139事業所の約8割が「事業継続が厳しくなる」、または「悪化する」と回答。
新潟県民医連の宮野大事務局次長は「今回アンケートを集約して、国の判断は間違っていたと我々は確信している。介護報酬の見直しは3年に1回だが、訪問介護の介護報酬引き下げについては、次期改定を待たずに即時撤回が必要だと強く感じている」と話した。
事業者が苦しむ中、全国で初めて報酬引き下げによる減収分を、2024年4月にさかのぼって独自に支援することを決めたのが新潟県村上市だ。
高橋邦芳*16市長は支援を始めたきっかけについて、「小さい事業者だと経営者の皆さんが私財を投げうってやっているところもあったので、そこはしっかり応援するということでやった」と話す。
村上市は引き下げ前の訪問介護の基本報酬に戻し、ガソリン代の高騰分もカバーするため、車1台に月3000円を支給。
さらに事業所から利用者の自宅までの距離が7km以上ある場合は、1回50円を上乗せする。
高橋市長は「集約しているところに提供するサービスというのは、比較的効率がいいが、村上市は中山間地で、実際に270を超える集落を抱えているため、通常の歩いていける距離とは全然違う。都市部とサービスの形が違うので、そこの部分は埋めていかなければならない」と、都市部と中山間地域の条件の違いについて強調。
こうした実情を加味せず、一律に訪問介護の基本報酬を引き下げた国に対し、今後も早期の見直しを訴えていく考えだ。
少子高齢化とともに核家族化が進む中、高齢者が老後を安心して過ごすために、不可欠となっている訪問介護。
その流れと逆行するかのような報酬の引き下げに対し、疑念の声が消えることはない。
【1】村上市長は恐らく保守系であるという点、【2】政府に必ずしも批判的とは言いがたいフジテレビ系列のテレビ局(NST新潟総合テレビ)ですら批判している点が重要でしょう。左派でなくても「訪問介護報酬の引き下げ」に批判的な人間はいるわけです。
赤旗「訪問介護」倒産 最多/1―6月期 報酬削減 人手不足で2025.7.8
2025年上半期(1―6月)の「訪問介護事業者」の倒産(負債1000万円以上)が、45件(前年同期比12.5%増)に上り、2年連続で過去最多を更新しました。東京商工リサーチが7日、公表しました。小規模事業者が中心ですが、中小・中堅事業者に倒産が広がってきています。
赤旗シリーズ 介護保険25年/訪問事業所ゼロ 115町村に拡大/半年で8増 報酬減が影響2025.8.10
高齢者の在宅介護を支える訪問介護事業所が一つもない自治体が6月末時点で全国115町村にのぼることが9日、本紙の調べで分かりました。昨年末時点の107町村から半年間でさらに8町村増え、“空白”拡大に歯止めがかかっていません。自公政権が強行した訪問介護基本報酬引き下げ(昨年4月)の誤りが、あらためて明瞭になりました。
赤旗2025とくほう・特報 シリーズ 介護保険25年/政府が報酬減額→訪問事業「空白」急増/負担増・質低下も広がる2025.9.3
“在宅介護の要”の訪問介護事業所が一つもない自治体が、半年で8増え全国で115町村(6月末時点)にのぼるとの本紙調査(8月10日付)に、「がくぜんとした。年寄りは死ねというのか」など反響が寄せられています。訪問介護事業所が残り一つとなった自治体は269市町村あり、合計384市町村が「空白」かその危機にあります。全自治体(1741)の5分の1を超えています。(内藤真己子、本田祐典)
◆すべての人を支える社会保障を:全世代型保障改革の欺瞞(鈴木静*17)
(内容紹介)
「全世代型社会保障改革」とは単に「全世代に医療費負担増を求めること」に過ぎず「全世代に安心できる社会保障を提供すること」では全くないと批判されてますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
特集「戦後80年の日本資本主義」
◆戦後社会保障制度をめぐる歩みと教訓(芝田英昭*18)
(内容紹介)
戦後社会保障制度の歩みについて、1960年代の高度経済成長以降は「いわゆる革新自治体(1960年代後半から1980年代初めまで)の増加」もあって「福祉充実の動き」も一定程度、自民党政権に見られたが、1990年代初頭のバブル崩壊以降は、「社会保障にかけるお金がない」という主張が蔓延し、現在の福祉予算カット路線が登場した。こうした福祉予算カット路線は「民主党政権」においても基本的には変わらなかったとして民主党政権時代が厳しく批判されている。
◆農山村における地域開発と公共事業:開発主義国家の再編・解体と今後の展望(関耕平*19)
(内容紹介)
従来の農山村における地域開発と公共事業を「箱物重視の開発主義」として批判。
「箱物重視の開発主義」から脱却した「地域開発と公共事業」が必要だとしているが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
◆外国人との共生を阻むフェイクと「ゼロプラン」(黒田健司*20)
(内容紹介)
ネット上の記事紹介で代替。
2025焦点・論点/排外主義の台頭どう見る/弁護士 神原元さん/生活苦への不満を利用 デマで伸長 日本人も標的に 力合わせる社会を2025.7.12
法務省出入国在留管理庁も「不法滞在者ゼロプラン」を出すなど、外国人を差別する排外主義的な対応をしてきました。
今、日本にいる外国人を敵視し、彼らのせいで日本人の生活が苦しいのだという宣伝が広がっています。
原因は何かというと、SNSでファクトチェックを受けない誤情報がすごく拡散するようになっていることです。
なぜ、そういう情報に飛びつくか。今、日本の経済がここ何十年も良くならず、賃金が下がる一方で税金は上がる。自分が苦しいのはなぜかと考えた時に、「あいつらのせいだ」とターゲットを外国人に絞った誤情報があり、それにぱっと飛びつきやすい現状があると思います。
「外国人を攻撃したってあなたの生活は良くなりませんよ」ということを分かってもらわなければなりません。(ボーガス注:人手不足を外国人労働者が埋めている現状においては)外国人がいて今の生活が成り立っている日本社会の現実があるわけです。
不法滞在者ゼロプラン/日弁連会長が反対声明2025.7.24
出入国在留管理庁が5月に発表した「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン(ゼロプラン)」に対し、日本弁護士連合会の渕上玲子会長は22日、反対する声明を発表しました。「ルールを守らない外国人が国民に不安を与えている」とした政府の認識が「実態に反している」と反論しています。ゼロプランは国民の安全・安心に何ら脅威を与えていない外国人の人権を侵害する恐れが高く、国際人権法に反すると批判。「非正規滞在者の存在イコール治安悪化の要因」との誤った認識の固定化を招きかねないと指摘しています。
◆「貧困&未婚」の新たな増大(上)(後藤道夫*21)
(内容紹介)
「若年男女の貧困化」が「未婚の増加(いわゆる婚活の余裕がないなど)」を助長していると指摘されている。
◆物価上昇下での生活経済(森脇丈子*22)
(内容紹介)
物価上昇の一方で、賃金は「物価上昇ほどの賃金アップ」はなく、税、社会保険料負担の増加で国民生活が貧困化していることを指摘。
【1】税、社会保険料負担の引き下げや減免制度の充実
【2】所得再分配(介護保険、年金などの福祉サービスの充実、教育無償化など)の強化
【3】不安定雇用(非正規雇用)の減少と安定雇用(正規雇用)の増加
【4】最低賃金の引き上げ
などが求められるとしている。
◆トランプ関税の略奪性と自己矛盾(山脇友宏*23)
(内容紹介)
トランプ関税によって
1)米国の輸入品物価が高騰し、かえって景気後退や国民の生活悪化を招き、ひいてはトランプ政権や共和党の支持率を下げかねないこと
2)中国等の報復関税等により、かえって米国企業の輸出が減り、かえって景気後退や国民の生活悪化を招き、ひいてはトランプ政権や共和党の支持率を下げかねないこと
を「自己矛盾」と評価している。
*1:誤情報と言うより虚偽情報、デマ情報でしょう。
*2:こういう人間が牛乳嫌いの子供に「給食に出された牛乳を飲むのが当然だ」と強要してかえって牛乳嫌いにするんでしょう。「牛乳強要」については以前今日の産経ニュース(2025年10/27分)(追記あり) - bogus-simotukareのブログで触れましたが。
*4:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席等を経て党総書記、国家主席、党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席
*8:どういう命名理由か知りませんが、空母はすべて「遼寧省」「山東省」「福建省」で省名から命名してるのでしょう。
*9:仏教大学名誉教授。著書『社会保障の市場化・営利化』(2003年、新日本出版社)、『社会保障の再構築:市場化から共同化へ』(2009年、新日本出版社)、『安倍医療改革と皆保険体制の解体:成長戦略が医療保障を掘り崩す』(2015年、大月書店)等
*10:仏教大学准教授。著書『長友先生、国保って何ですか』(共著、2013年、自治体研究社)等
*11:東京社保協事務局長
*13:著書『お医者さんも来たくなる地域づくり』(2020年、旬報社)、『医師不足の解決めざす住民運動』(2024年、日本機関紙出版センター)
*15:但し、赤旗や月刊「経済」は「都市部でも訪問介護報酬引き下げの打撃は大きく、経営は厳しい」と指摘している。
*16:村上市総務課長補佐、村上市議会事務局長等を経て2015年から村上市長(高橋邦芳 - Wikipedia参照)
*18:立教大学教授。著書『社会保障の基本原理と将来像』(2004年、法律文化社)、『社会保障のダイナミックスと展望』(2005年、法律文化社)、『国民を切り捨てる「社会保障と税の一体改革」の本音』(2012年、自治体研究社)、『医療保険「一部負担」の根拠を追う』(2019年、自治体研究社)、『社会保障のあゆみと協同』(2022年、自治体研究社)、『占領期の性暴力』(2022年、新日本出版社)、『歴史に学ぶ生命の尊厳と人権』(2024年、自治体研究社)等
*20:首都圏移住労働者ユニオン幹事
*21:都留文科大学名誉教授。著書『収縮する日本型<大衆社会>』(2001年、旬報社)、『反「構造改革」』(2002年、青木書店)、『戦後思想ヘゲモニーの終焉と新福祉国家構想』(2006年、旬報社)、『ワーキングプア原論』(2011年、花伝社)等
*23:ググったところ、奥村皓一氏(関東学院大学名誉教授)のペンネームらしい。奥村名義での著書に『マルチメディア・ビジネス:日米欧の企業戦略』(1994年、東洋経済新報社)、『グローバル資本主義と巨大企業合併』(2007年、日本経済評論社)、『米中「新冷戦」と経済覇権』(2020年、新日本出版社)、『転換するアメリカ新自由主義:バイデン改革の行方』(2023年、新日本出版社)