【正論】拓殖大学学長・渡辺利夫:現在の価値観で過去断罪するな

 「現在の価値観で過去断罪するな」と言ったらほとんどの歴史は、どんな「負の歴史」でも「当時は仕方なかった」で済んでしまうでしょう。ナチドイツにせよ、ソ連スターリン体制にせよ、アメリカの原爆投下にせよ、その他何にせよ何らかの合理性はありました。
 日本が非難されたときにしか、「過去断罪するな」と言わないのですから、本音はバレバレです。

併合条約を有効だとする日本が、条約自体を無効だと言い張る韓国に謝罪の言葉をいくら積み上げたところで、相手を満足させることなどできはしない。

 どうせ相手が許してくれないから居直るんですか。最悪ですな。
 北朝鮮が「俺が拉致とかわびても体制崩壊しない限り満足しないんだろ」と居直るのと同レベルの行為はやめてください(体制が弱ってることもあり北はそこまで無茶苦茶ではありませんが)。
 「本当に許してくれないのかどうか」とか、「条約無効論を支持してはどうか」とか論じないのも最悪ですが。

道義において自国がいかに劣っていたかを強調すればするほど、姑息と卑屈にみずからを深く貶めるだけである。

 むしろ居直る方が「姑息と卑屈にみずからを深く貶め」てると思いますが。

現在の価値観で過去を論じることのいかがわしさに、もうこのあたりで気づかねばならない。

 じゃあ、北の拉致を非難するのもやめては?。1970年代においては、国家によるあの種の犯罪行為は韓国の金大中事件(1973年)、チリのクーデター(1973年)のように珍しいものではありませんでしたから(もちろん皮肉)。
 と言うか現在でも、国際社会の事実上の黙認という形で、ミャンマーや、スーダンなど世界各地に独裁的な体制は存在します。

当時の韓国は清国と君臣関係(清韓宗属関係)にあり、韓国内で内乱が起こるたびに清国に派兵を要請した。日本がこれを脅威と見立てたのは当然であり

 何で当然なんでしょうか?。そもそも本当に脅威と見なしていたんでしょうか?

日本人の多くがロシアを「北の脅威」とみていた。

 例えそういう認識があったとしてもそれが事実かどうかはまた別問題です。

日本の韓国統治は国際的に承認され

 例えば今現在、中国のチベット統治は「国際的に承認」(少なくともチベット独立など支持されてない)されていますが、ああだこうだ言ってるのはどこの誰なんですか?。
 国際社会は「台湾を中国領土と承認」しています(だから台湾は国連加盟できない)が、ああだこうだ言ってるのはどこの誰なんですか?。
 自分に都合が良いときだけ国際社会は反対していないですか?。
 大体、そんなことを言うなら、アメリカのフィリピン統治だって、イギリスのマレーシア統治だって国際社会に承認されていたので、大東亜戦争の戦争目的「アジア解放」(嘘八百ですが)が成立しなくなるんですが?

日本人にとってもこんな手荒なやり方ではなく、別の方法を選択することができなかったかという思いはある。日本が韓国の独立を承認して韓国の近代化を助力し、2国の善隣関係を保ちながら「共に亜細亜を興す」(福澤諭吉)友邦たりえたとすれば、それに越したことはなかったであろう。

 はなから、そんなことをやる気は日本政府にはなかったと思いますが?

相当の軍事力を温存したまま敗北を余儀なくされたロシアが対日報復の挙に出ることを日本人は恐れていた。日本人がこの恐怖から解放されるには、革命によってロマノフ王朝が完全に崩壊するまで待たなければならなかった。

 言うまでもなくロシア革命の指導者はあのレーニンなのですが、産経文化人なのに革命があって良かったと言いたいんでしょうか?
 対日報復も何も「日露協約」はどこへ行ってしまったんでしょうか?。

統監府の資料によっても参加者は14万人、実際には数十万人に及ぶ当時の韓国最大の社会集団であった。首相桂太郎をして併合を決意せしめたものが彼ら(注:一進会のこと)による合邦への要請にあった。

 デマカセ乙。
一進会が求めたのは対等合併であり、日本が上の吸収合併ではありません。
一進会には日本が資金援助していますし、顧問は右翼結社・黒龍会幹部の内田良平です。日本の傀儡団体と言ったら言い過ぎでしょうが、これを韓国の自主的な団体というのはかなり無理があるでしょう。例えば日本の民間団体に外国政府が援助して、顧問が外国人だったら産経やネトウヨさんは非難しませんか?
一進会の参加者が「数十万人に及ぶ」というのは何が根拠なんでしょうか。ウィキペディア一進会」は「4000人に満たないとの見解もある」としていますが。
・大体、その後の義兵闘争などを考えれば、一進会を韓国民代表扱いすることは無茶にも程があると思うが(というか「現在の価値観で過去断罪するな」というなら一進会を持ち出す必要はどこにもないのだがやはり後ろめたいのだろう)。
赤旗も指摘(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-08-23/2010082301_06_0.html)しているが、初代の寺内総督が「小早川、加藤、小西が世にあらば、今宵の月をいかに見るらむ」という歌をよんでいること自体、併合の実態を良く示している。