【産経抄】7月3日

中国共産党が上海で誕生したのは1921年7月のことという。日本で言えば、大正10年で、皇太子(後の昭和天皇)がご訪欧の後、摂政に就任された。11月4日には、現職の原敬首相が東京駅で刺殺されるという衝撃的事件が起きた。そんな時代だった。

 私だったら当時の出来事として、原敬首相暗殺や裕仁皇太子の摂政就任ではなく以下のようなことを書きますね。
1917年:ロシア革命
1918年:アメリカ大統領ウィルソンが14箇条の宣言を発表(この宣言の「民族自決」が各地の民族運動に影響を与えたと言われる)。ドイツ革命。日本では米騒動
1919年:中国で54運動、朝鮮で31運動。日本では選挙法改正(納税額10円以上が3円以上に引き下げられた)。婦人参政権を求める女性団体・新婦人協会(主要メンバー平塚らいてう*1市川房枝*2奥むめお*3)が誕生。
1920年:日本最初のメーデーが行われる。
1922年:全国水平社の誕生。日本共産党の誕生。
 つまり性格がいろいろと違うとは言え、この時代は世界各地で「民衆パワーが炸裂した」時代だったわけです。中国共産党誕生もそう言う目で見るべきでしょう。抄子の書き方ではそれが分かりません。

 「という」と言ったのは、この結党大会がどんな模様だったのか、正確なところがほとんどわかっていないためだ。

 非合法政党ですから。日本共産党(当時は非合法)の誕生だって詳しい事はそれほど分かってないと思います。日本共産党にいたっては創立メンバーはたった8人ですし。

ライバルの国民党を放逐、一党独裁のもと中国全土を支配下におさめた。

 ライバル国民党も当時は一党独裁ですし、建国直後の発展途上国にはそう言うところが多いのでこういう書き方はいかがかと。今も一党独裁というのは改めるべきでしょうが。

 その歴史がいかに虚飾に満ち、日本にとってやっかいな存在だったかは、発売中の雑誌、別冊正論「中国共産党 野望と謀略の90年」に詳しい。

 失礼にも程があるタイトル。しかも、産経の記事(http://sankei.jp.msn.com/world/news/110623/chn11062305000001-n1.htm)に寄れば「南京事件はなかった」「あったことになったのは中国共産党の謀略」と言うデマ記事が載ってるそうですから話になりません。中国史を知りたければ産経さんのようなあることないこと書いた怪しい反中本を読むのだけは絶対に止めるべきでしょう。

日本人に必要なのは史実に基づく冷静な目だ。

張作霖の暗殺は旧ソ連の犯行とデマ飛ばす産経さんが言うと説得力抜群ですね。

一緒になって「90年」に浮かれることはない。

 私が思うに、日本の政治家の誰も浮かれてなどいませんが、中国共産党に記念式典に招待されれば出席するなり、出席できないなら代理の人間を出すなり祝電を打つなりすべきでしょうし、その場合は「結党90年おめでとうございます、これからも貴党のますますのご発展を願っています」ぐらいは言うべきでしょう。大人なんですから。中国の個々の政策批判ならともかく、「結党90年のどこがめでたい」と言っても向こうと喧嘩になるだけで何の意味もありません。
 ただそれ(結党90年への祝意の表明)をやると反中の産経さんからもれなく「浮かれてる」と言う非難が来るのでしょうが。

一昨年、大勢で訪中し胡錦濤氏との記念写真の順番を争った民主党のみなさんは、その歴史をどうお考えだろう。

 下品なあてこすりしかできないんですね、産経さんって。
 一方で「自民が中国に招待された、万歳!」「民主が中国に見捨てられた、ざまあ」みたいな記事(誤報ですが)を書くのだから意味不明です。

参考
Transnational History「産経のマッチポンプ
http://d.hatena.ne.jp/dj19/20110701/p1

*1:後に世界平和アピール七人委員会委員

*2:後に参議院議員

*3:後に参議院議員主婦連合会初代会長