今日の産経ニュース(12/4分)(追記・修正あり)

 パソコンが不具合で購入した量販店に修理に出していたので、11/27からしばらく更新をしてなかったのですが、久しぶりに再開します。
■【共産党研究】「第3の躍進」終焉*1に気付かない“雨宿り政党”
http://www.sankei.com/politics/news/171204/plt1712040028-n1.html
 筆者は筆坂秀世です。内容は産経でしか載せてくれないような内容、つまり「この間の衆院選での惨敗ざまあ」というただの悪罵です。
 まあ、筆坂も自分が今や「完全に落ちぶれたこと」は自覚してるでしょう。何せ産経で河野談話否定論を放言した男ですから。
 まあ、共産党に問題がないとはもちろんいいませんが、この記事を読んでも「ただの悪罵」なので、何の価値もありません。つまり研究の名に全く値しない。
 当初は『九条新党宣言』(天木直人氏との共著、2006年、展望社)、『私たち、日本共産党の味方です』(鈴木邦男*2との共著、2007年、情報センター出版局)をだし「建設的な共産党批判者」「今も左派」をアピールしていましたが、それでは食えないとみるや、『日本共産党中韓:左から右へ大転換してわかったこと』(2015年、ワニブックスPLUS新書)なんて反中韓ウヨ本を出してウヨに鞍替えするのだから「筆坂はどうしようもないバカでクズだな」つう思いを禁じ得ませんね。 当然ながら離党者全てがこうした無様な生き方をしているわけではないですから。
 筆坂に左派活動家として生きていくだけの才能もなければ*3河野談話否定論を放言するような右翼デマゴーグに変節することに対する羞恥心もないからこうなるわけです。


■汪洋*4中国副首相、山口那津男*5に「中朝は核問題で対立」 山口氏、習近平*6主席に安倍首相の親書手渡す
http://www.sankei.com/world/news/171202/wor1712020007-n1.html
安倍晋三首相、田中角栄*7元首相引き合いに中国との関係改善に意欲 「新たな段階へ」
http://www.sankei.com/politics/news/171204/plt1712040043-n1.html

http://www.sankei.com/world/news/171202/wor1712020007-n1.html
 山口氏は(ボーガス注:汪洋中国副首相との面会に)続いて、人民大会堂中国共産党習近平総書記(国家主席)と面会、安倍晋三首相の親書を手渡し、習氏の来年の日本訪問や、日本が議長国を務める日中韓サミットの早期開催を呼びかけた。習氏は訪日の要請に対して笑顔で応じたという。山口氏が記者団に明らかにした。

http://www.sankei.com/politics/news/171204/plt1712040043-n1.html
 来年の日中平和友好条約締結40周年に向けて「私が適切な時期に訪中し、習主席にもできるだけ早期に日本を訪問していただき、日中関係を新たな段階へと押し上げていきたい」と述べ、関係改善*8に意欲を見せた。

 まあ産経などウヨは認めたくはないでしょうが安倍も彼らが期待するほど反中国極右路線はとれないわけです。
 まあ田中角栄なんかと比べたら「南京事件資料のユネスコ記憶遺産登録に因縁をつける」などする安倍は立派に反中国極右ですが。


■【産経抄】新たな歴史戦を覚悟しなければならない 12月4日
http://www.sankei.com/column/news/171204/clm1712040003-n1.html

坂本龍馬」や「吉田松陰」「上杉謙信」が、高校の教科書から消える。先月半ば、一部のメディアが報じると、龍馬ファンが反発するなど大騒ぎになった。
 ▼高校や大学の教員ら約400人でつくる研究会が公表した歴史用語の精選案から、漏れてしまった人名である。もっとも問題の本質は、「龍馬」ではない。精選案に残される人名以外の用語のなかに、「従軍慰安婦」と「南京大虐殺」が含まれていた。

 おいおいですね。
 産経はいつもながら「自虐反日歴史教育の是正」とやらが一番大事でそれ以外はどうでもいいようですが、もちろん「坂本龍馬」や「吉田松陰」「上杉謙信」を教科書に載せるべきかどうかも大事な問題です。
 というか産経のことだから「明治維新の英雄である吉田松陰や龍馬をのせないとは反日だ」云々というかと思いきや、意外なことにどうでもいいようです。
 しかし
上杉謙信=信長、秀吉、家康といった天下人ではなく、地方の一武将に過ぎない
坂本龍馬司馬遼太郎が小説にするまでは無名に近い存在。薩長同盟の立役者の一人ではあるが、「薩長の仲介者に過ぎず」、主役である薩摩の西郷隆盛*9大久保利通*10、長州の木戸孝允*11ほどの重要性はない。正直、龍馬がいなくても別の人間を仲介者として薩長同盟は成り立った可能性がある
ということで「不要」つうのはわかります(そういう考えを支持するかどうかはともかく)。
 「安政の大獄の犠牲者」で「木戸孝允伊藤博文*12山県有朋*13ら長州出身の政治家たちの師匠」である吉田松陰ってのは意外です。まあ、それはともかく。
 産経は「消える」と勝手に決めつけていますが、これは「ある民間教育者団体の私案」に過ぎません。政府が定めた学習指導要領のような法的強制力は何一つなく「教科書会社が従う義務はどこにもない」ので「掲載不要」とされていても消えるとは限りません。一方でこの私案で「掲載すべき」とされていても掲載されるとは限りません。
 また「教科書に載っていれば必ず教える」わけでもなければ、「教科書に載っていなくても資料集などで教えることも可能」なわけです。

従軍慰安婦は、戦後の造語である。

 仮にそうだとして、だったら何だという話です。
 そんなことをいうなら例えば弥生式土器だって戦後の造語です。「弥生町から発見されたから」弥生式土器命名されたわけです。
 あるいは幕藩体制、封建体制、鎌倉新仏教なども当時そう呼ばれていたわけではなく後世の造語です。
 なお、産経は「従軍慰安婦」と呼ぶのがお嫌いなようですが、それならば「日本軍性奴隷」とでも呼べば満足なんでしょうか(皮肉のつもり)。

慰安婦従軍看護婦や従軍記者のように、直接軍の管理下にあったかのような誤解を生んできた。

 やれやれですね。まず第一に「従軍」という言葉それ自体には「軍の管理下にある」という意味はありません。第二にもちろん従軍慰安婦は軍の管理下にあったわけです。

南京大虐殺も「南京事件」に比べて、ことさら日本軍の残虐性を強調した言葉である。

 なら「南京事件」なら産経は納得するのかといえばもちろん納得しません。
 なお、笠原十九司氏の著書名が『南京事件』(1997年、岩波新書)であることからもわかりますが、南京事件と呼ぶか南京虐殺(あるいは南京大虐殺)と呼ぶかは南京事件評価とは関係ありません。
 笠原氏などは
1)産経のようなくだらない言いがかりに付き合いたくない
2)南京事件は虐殺以外にも略奪や放火、強姦も発生している
という考えから「南京事件」と呼んでいるわけです。

 なぜ実証的な研究から問題が多いとされる用語を選んだのか。

 おいおいですね。
 笠原氏や藤原彰氏(著書『南京の日本軍:南京大虐殺とその背景』(1997年、大月書店)など)、あるいは吉見義明氏(著書『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)など)や林博史氏(著書『日本軍「慰安婦」問題の核心』(2015年、花伝社)など)などが産経にとっては「実証的な研究者ではない」ようです。
 東中野修道南京事件否定論(『「南京虐殺」の徹底検証』(1998年、展転社)など)や秦郁彦慰安婦違法性否定論(『慰安婦と戦場の性』(1999年、新潮選書)など)が実証的とでもいう気でしょうか。
 呆れて物も言えません。


■【主張】歴史用語の「精選」 人描いてこそ興味が湧く
http://www.sankei.com/column/news/171205/clm1712050001-n1.html

 「南京大虐殺」は中国側の宣伝に基づくもので史実とはいえない。

おいおいですね。
1)東京裁判南京事件が裁かれ、南京事件発生当時の現地軍幹部だった松井石根・中支那方面軍司令官が死刑になったこと
2)ユネスコ南京事件資料が世界記憶遺産登録されたこと
そして
3)産経『蒋介石秘録』では南京事件に怒りの弁を語る蒋介石日記を紹介することで産経も「被害者数の問題など細部はともかく」南京事件の実在「それ自体」は認めていたこと
(これについては例えば、■誰かの妄想・はてなブログ版『「蒋介石秘録」に見る南京大虐殺』(http://scopedog.hatenablog.com/entry/20120226/1330258512)、■模型とかキャラ弁とか歴史とか『南京事件犠牲者数40万人説は蒋介石秘録(産経新聞社)にも載っている昔からある話』(http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20120223/p1)参照)
は産経にとってどうでもいいようです。
 特に3)は「南京事件否定論が正しいなら蒋介石秘録はデマ記事だった」「蒋介石秘録での南京事件実在論が事実ならば今の産経の否定論がデマ記事だ」という「どちらに転んでも」とんでもない産経の不祥事ですが産経はこの件について笠原十九司氏などに「おかしいじゃないか」「産経はいつ蒋介石秘録の南京事件実在論を撤回したのか」と何度批判されても無視し続けているのだからその面の厚さには呆れます。
 まあ、蒋介石秘録が連載されていた1970年代は「産経と蒋介石国民党は仲良しだった」ので「蒋介石を怒らせるようなこと(南京事件否定論の公言)はできなかった」のですが今はそうではない。
 国民党は中国共産党とは経済的利益(中台貿易の利益)を考慮して和解の方向にあります。
 そして、今産経が仲がいい反中国・李登輝一味は「敵(中国)の敵は味方」という考えから産経にこびて南京事件否定論を容認してるわけです。産経の「南京事件に対する評価の変化」はそうした政治的な代物です。

 戦後用語の「逆コース」は、自衛隊発足など吉田茂内閣の動きを捉え、反対運動の際に使われた。「時代の大きな流れ」に着目し、必要な「事実用語」を残したという趣旨に適(かな)うか疑問である。

 「逆コース(中華人民共和国の誕生や朝鮮戦争の勃発で米国が占領政策を右方向にシフトしていく)」という概念なしで戦後史がきちんと理解できるんですかね。
 たとえば、A級戦犯だった重光葵*14賀屋興宣*15が政界に復帰したことや、レッドパージなどは「逆コース」という概念があると理解しやすいでしょう。つうか今や「逆コース」なんて完全に歴史用語化してるでしょうに。

 龍馬のほか、楠木正成上杉謙信吉田松陰らを外した基準もよく分からない。

 「わからないなら関係者にインタビューしろよ」なんですが。
 まあ吉田松陰はともかく龍馬や上杉謙信については予想はできます(既に上に書きました)。
 楠木正成は「武将としては有能だが建武新政建武中興)の中心人物ではない」ですかね。
 彼は「武士として身分が低いこと」で「身分が高かった足利尊氏新田義貞らと違い」倒幕後の建武新政において重用されなかったわけです。楠木正成の「倒幕での活躍」は「彼の名前出して説明する必要は必ずしもない」つう判断なんでしょう。

 後世に忠心を伝える楠木正成の事績も、ぜひ生徒に知ってほしい。

 おいおいですね。歴史学の評価基準は「忠心」ではないですが。


■【from社会部】ブレずに信念貫いた楠公さん「大河取り」に期待 戦前教育で「英雄」、否定するのは思考停止
http://www.sankei.com/west/news/171204/wst1712040023-n1.html
 まあ産経らしい与太ですね。戦前的な楠木正成賛美ならまだしも楠木正成の全否定なんて一体どこでされてるんでしょうか。大河だって「正成主役はないものの」、1991年の太平記(主役は足利尊氏)で登場しています。
 なお、楠木正成を賛美する人間が無視することが多いのが楠木正儀という人物です(なお、以前も、彼については紹介した気がします)。
 正儀の父・正成(いわゆる大楠公)、兄・正行(いわゆる小楠公)は北朝との戦いで自害して果てますが

・1367年、正儀は(南朝北朝に軍事的に勝利するのは不可能だという判断のもとに)南北朝合体を北朝の武将・佐々木道誉らに働きかけ、1367年、室町幕府管領細川頼之を仲介して北朝と和睦を結ぼうとするが、将軍・足利義詮の拒否により成立しなかった。
・翌1368年、正儀に信頼を寄せていたという後村上天皇崩御する。その後に、和睦派の熙成親王(後の後亀山天皇)ではなく、北朝に対して強硬だったと言われる長慶天皇が即位し、和睦派の中心であった正儀は南朝内で孤立することになる。1369年に正儀は細川頼之を介して将軍・足利義満に帰服し、北朝方に投降する。
・ところが、頼之の幕府内での権力に陰りが見え、頼之を頼る正儀の立場も弱くなっていく。1378年、義満から河内国守護職を罷免され、翌1379年に頼之が失脚すると、正儀は今度は北朝内で孤立することとなる。1382年に再び南朝に帰参し、参議に任じられた。翌年には主戦派の長慶天皇が、和睦派の後亀山天皇に譲位している。

という「なかなか面白い」合理主義者の訳です。
 ただこうした合理主義者は「蓮池透氏が家族会を追放されたように」過激派からは腰抜け扱いされます。

*1:「終焉したかどうかはなんともいえない」と思いますね。立憲民主党にかなり比例票を食われたことは事実でしょうが。

*2:著書『公安警察の手口』(2004年、ちくま新書)、『愛国者は信用できるか』(2006年、講談社現代新書)、『愛国と米国:日本人はアメリカを愛せるのか』(2009年、平凡社新書)、『愛国と憂国売国』(2011年、集英社新書)、『〈愛国心〉に気をつけろ!』(2016年、岩波ブックレット)、『憲法が危ない!』(2017年、祥伝社新書)など

*3:そういう才能がないなら「右翼に変節するような無様な行為はせず」政治活動をしなければいいだけの話なんですけどね。「共産党幹部としてスポットライトを浴びた快感」が忘れられないつうことでしょうか。

*4:重慶市党委員会書記、広東省党委員会書記などを経て副首相(党中央政治局常務委員兼務)

*5:公明党参議院国会対策委員長参議院政策審議会長、政務調査会長などを経て公明党代表

*6:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*7:岸内閣郵政相、自民党政調会長(池田総裁時代)、池田内閣蔵相、自民党幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣通産相などを経て首相

*8:そもそも安倍が悪化させなければ「関係改善」なんてことをわざわざ問題にする必要もないのですが。

*9:参議、陸軍大将、近衛都督

*10:参議、内務卿など歴任

*11:参議、内務卿など歴任

*12:首相、貴族院議長、枢密院議長、韓国統監など要職を歴任。元老の一人。

*13:伊藤、黒田内閣内務相、首相、枢密院議長、陸軍参謀総長など要職を歴任。元老の一人。

*14:東条、小磯内閣で外相。戦後、禁固7年。政界に復帰し、鳩山内閣で外相。

*15:近衛、東条内閣蔵相。戦後、終身刑となるが逆コースによって仮釈放。政界に復帰し、自民党政調会長(池田総裁時代)、池田内閣法相など歴任