日本の歴代文科相(文相)について

■ちきゅう座『柴山昌彦*1くん、愚かなキミには文科大臣は務まらない』澤藤統一郎
http://chikyuza.net/archives/87996

 「普遍性を持っている部分」を取り出すとすれば、ヒトラーの演説からも、スターリンからも、(ボーガス注:ローマ皇帝)ネロからも、東条英機*2からも、アル・カポネ石川五右衛門からだって、「道徳的教訓」を得ることができる。それをなぜ、ことごとしく教育勅語を持ち出すのか。意図は見え見えではないか。

 まあ、そういうことですね。毛沢東語録だって、北朝鮮の主体主義だって、何だって「道徳的教訓」を得ることができるでしょう。
 なお、「愚かな柴山」に文科相の資格は確かにないでしょうが、安倍政権における文科相(例:下村博文)はもちろん戦後保守政治においては文科相(文相)つうのは

大達茂雄:第5次吉田*3内閣文相。
 戦前、小磯*4内閣で内務相を務めた内務官僚。日教組を敵視し、文相在任中に教員の政治活動を禁止するいわゆる教育二法を成立させる
灘尾弘吉:石橋*5、第1次岸*6、第2次岸、第3次池田*7、第2次佐藤*8第1次改造内閣で文相。
 岸信介の側近の一人で台湾ロビー。1972年の日中国交正常化(台湾との断交)に際し、翌1973年に台湾との交流を支援する議員連盟として発足した日華議員懇談会の会長となった。
奥野誠亮:第2次田中*9内閣文相。
 第二次世界大戦中の昭和18年に鹿児島県警察部特高課長として新興俳句弾圧事件の一つであるきりしま事件(もちろん、横浜事件、企画院事件のようなでっち上げ)を指揮。
 1987年(昭和62年)竹下*10内閣で国土庁長官に任命されたが、1988年(昭和63年)5月9日に衆議院決算委員会で日中戦争について「あの当時日本に侵略の意図は無かった」と発言して批判を浴び、5月13日に国土庁長官を辞任。「国士庁長官」と揶揄された。「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」初代会長。
森喜朗*11:第2次中曽根内閣文相。
 首相在任中、いわゆる「神の国発言」で批判される。
藤尾正行:第3次中曽根*12内閣文相。
 入閣直後に歴史教科書問題に関連して「韓国併合は合意の上に形成されたもので、日本だけでなく韓国側にも責任がある」等の対談中の発言が月刊誌『文藝春秋』(1986年10月号)に掲載され、国内外から批判された。韓国や中国との関係悪化を危惧した中曽根首相は、藤尾に自発的な閣僚辞任を求めるが、藤尾が「自分からはやめる気はない。発言を問題にするのであれば罷免すればよい」などと主張して辞任を拒否したため、中曽根は罷免権を発動し、藤尾を罷免した。
 なお、大臣罷免は藤尾以外では「片山内閣の平野農林相(米価問題での西尾*13官房長官との対立)」「第4次吉田内閣の広川農林相(野党提出の内閣不信任案に広川が賛成したことへの報復)」「第2次小泉内閣の島村農林相(島村がいわゆる郵政解散に反対し解散の閣議決定への署名を拒否したため)」「鳩山内閣の福島*14少子化等担当相(沖縄基地問題で「県内移設の立場」にたつ閣議了解への署名を拒否したため)」しかない。
中山成彬:第3次小泉*15内閣文科相
 麻生*16内閣国交相時に「成田闘争ごね得」「日教組の組織率の高い県は学テの成績が悪い(もちろんデマ)」などの暴言で国交相引責辞任

などウヨの指定席ポスト化してますからねえ。また戦前の軍国主義時代、昭和ファシズム時代には

荒木貞夫:第1次近衛*17、平沼*18内閣文相。
 真崎甚三郎*19とともにいわゆる皇道派の中心人物。犬養*20内閣で陸軍大臣。戦後、A級戦犯として終身刑判決を受けるが後に仮釈放。
■二宮治重:小磯内閣文相。
 陸軍参謀次長、第5師団長など歴任。

なんて軍人文相もいました。
 まあ、一方で

■森戸辰男:片山*21、芦田*22内閣文相。
 一時、社会党代議士を務めるが、「政治家は不向き」として政界を去り、初代広島大学(戦後の新制大学)学長に就任。
海部俊樹:福田*23、第2次中曽根第2次改造内閣文相。
 後に首相。三木派に所属。2010年に中国の招待で訪中した際に南京事件南京大虐殺)に触れ、「日本は歴史上、南京市民に対して許されない過ちを犯してしまった。1人の政治家として、南京市民に深くお詫びを申し上げたい」と発言した。
■永井道雄(いわゆる民間大臣(非議員大臣)):
 三木*24内閣文相。東京工業大学教授。教授退官後は朝日新聞論説委員を務めた。また、1996年から世界平和アピール七人委員会で委員を務めた。
赤松良子(民間大臣):細川*25、羽田*26内閣文相。
 元労働官僚。労働省婦人少年局長、駐ウルグアイ大使など歴任。婦人少年局長時代に「男女雇用機会均等法(1985年)」の制定に関与。退官後も女性職業財団会長、国際女性の地位協会会長、文京女子大学教授など歴任。
有馬朗人:小渕*27内閣文相。
 東京大学理学部長、東京大学総長を歴任。東大退官後も 理化学研究所理事長、日本科学技術振興財団会長、武蔵学園(武蔵中学校・高等学校武蔵大学)学園長など歴任。
遠山敦子:第1次小泉内閣文相。
 元文科官僚。文化庁長官、駐トルコ大使、国立西洋美術館館長、独立行政法人国立美術館理事長、新国立劇場運営財団理事長、トヨタ財団理事長、日本いけばな芸術協会会長など歴任。

といったウヨではない文相もいますが(以上はウィキペディア「文部大臣」「文部科学大臣」などを参照)。

【追記】
■産経『教育勅語「政府として活用を促さない」 柴山文科相
http://www.sankei.com/politics/news/181005/plt1810050011-n1.html
 これで油断するほど澤藤氏や俺のような安倍、柴山批判派もバカではないですが、一方で連中が「教育勅語の使用を国が積極的に推奨して何が悪い」とは言えない程度に「教育勅語批判世論」がある点は素直に評価したい、つうか喜びたいとは思います。 


■産経【主張】教育勅語 普遍的価値を理解したい
http://www.sankei.com/column/news/181008/clm1810080002-n1.html
 予想の範囲内ですが呆れて二の句が継げません。なおネット上で指摘がありますが「教育勅語の元ネタの一つは明らかに儒教神道」ですが、産経は「儒教神道には普遍性がある」というんでしょうか?
 かつ神道はともかく儒教については「勅語」よりもむしろ「論語」でも読んだ方がいいでしょうに(論語を読むことを推奨してるわけではありません)。

 平成26年、当時の前川喜平初等中等教育局長が参院委員会で「教育勅語の中には今日でも通用するような内容も含まれており、これらの点に注目して活用することは考えられる」と答弁している。

 前川氏自身が後に「こう答弁しろと下村文科相に命令された。役人として上の命令には逆らえないが、教育の右傾化に加担したことを後悔している(要約)」とマスコミ取材に答えてるのですがね。
 そもそも「建前では中立な立場の最高裁判決(実際にはそうは言いがたいですが)」ならまだしも「安倍首相の部下(前川次官)、つまり建前でも中立ではあり得ない人間の答弁」で「安倍首相が正しい」つうのは「チベット自治区の主席や党委員会書記がチベット統治に何ら問題はない、といっている。だから習主席は正しい」「司法長官がトランプ大統領の移民政策に問題はないと(以下略)」なみの珍論、暴論です。
 大体前川氏ですら「考えられる」、つまり「全否定はできないんじゃないか」と完全に腰が引けてますし、柴山ですら
■産経『教育勅語「政府として活用を促さない」 柴山文科相
http://www.sankei.com/politics/news/181005/plt1810050011-n1.html
と腰が引けてます。産経ほどイケイケどんどんじゃない。

*1:第2次安倍内閣総務副大臣、第3次安倍内閣首相補佐官(国家安全保障及び選挙制度担当)を経て第四次安倍内閣文科相

*2:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、近衛内閣陸軍大臣を経て首相。戦後、東京裁判で死刑判決。後に靖国昭和殉難者として合祀。

*3:戦前、天津総領事、奉天総領事、駐スウェーデン公使、外務次官、駐伊大使、駐英大使など歴任。戦後、東久邇宮、幣原内閣外相を経て首相

*4:陸軍次官、関東軍参謀長、朝鮮軍司令官、平沼、米内内閣拓務大臣、朝鮮総督を経て首相。戦後、東京裁判終身刑判決を受け、服役中に病死。後に靖国昭和殉難者として合祀。

*5:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相などを経て首相

*6:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相

*7:吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相を経て首相

*8:吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*9:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*10:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)を経て首相

*11:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)を経て首相

*12:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*13:社会党書記長、片山内閣官房長官、芦田内閣副総理、民社党委員長を歴任

*14:社民党幹事長、党首など歴任。現在、社民党副党首。

*15:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*16:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二〜第四次安倍内閣副総理・財務相

*17:貴族院議長を経て首相。戦後、自殺。

*18:検事総長大審院長、第2次山本内閣司法相、枢密院議長、首相を歴任。戦後、東京裁判終身刑判決を受け、服役中に病死。後に靖国昭和殉難者として合祀。

*19:台湾軍司令官、参謀次長、陸軍教育総監を歴任

*20:第1次大隈内閣文相、第2次山本、加藤高明内閣逓信相などを経て首相

*21:社会党書記長、委員長、民社党最高顧問を歴任。

*22:片山内閣外相を経て首相。いわゆる昭和電工事件で疑惑の政治家として追及され首相を辞任。

*23:岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*24:片山内閣逓信相、鳩山内閣運輸相、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣科学技術庁長官、自民党政調会長、幹事長(池田総裁時代)、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*25:熊本県知事、日本新党代表を経て首相。いわゆる佐川急便疑惑で首相を辞任。

*26:中曽根、竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、細川内閣副総理・外相を経て首相

*27:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相を経て首相