鳩山内閣の感想(追記・訂正あり)

 以前も鳩山内閣についての感想を書いたが正式に発足したので改めて書く。

・以前も指摘したが、やはり、NC(次の内閣)を無視した組閣というのが引っかかる。*1*2
 結局、NCに名前が出てくる人間で内閣入りしたのは現時点では、次の7人だけ、うちNCとほとんど同じなのは3人(菅氏、長妻氏、原口氏)だ。(敬称略。あいうえお順。なお、「NCの役職→実際についた役職」の順)*3

 岡田克也国務大臣(無任所)→外相)
 菅直人(副総理→副総理・国家戦略局担当相)*4
 直嶋正行内閣官房長官(防衛相兼任)→経済産業相
 長妻昭内閣官房副長官(年金担当相兼任)→厚生労働相*5
 原口一博総務相総務相
 松井孝治内閣府担当相→内閣官房副長官
 松野頼久(財務副大臣内閣官房副長官
 
 なお、副大臣政務官についてもNCをどれほど反映するのかに注目したい。
→【9/18追記】副大臣が決まったそうなので追記
・NCに名前が出てくる人間で副大臣に就任した人:10人(敬称略。あいうえお順。なお、「NCの役職→実際についた役職」の順)
 大島敦(経済産業副大臣内閣府副大臣
 大塚耕平(財務副大臣内閣府副大臣
 加藤公一(法務副大臣→法務副大臣
 鈴木寛(文部科学副大臣→文部科学副大臣
 武正公一(外務副大臣→外務副大臣
 中川正春財務相→文部科学副大臣
 長浜博行国土交通相→厚生労働副大臣
 福山哲郎内閣官房副長官→外務副大臣
 細川律夫(法相→厚生労働副大臣
 増子輝彦経済産業相→経済産業副大臣

 大臣人事に比べると割とNCに忠実な気がする。(NCと全く同じが、加藤氏、鈴木氏、武正氏の3人、NCと担当省庁が同じが、増子氏)


・社民、国民新からの副大臣:2人
 辻元清美(国土交通副大臣・社民)
 松下忠洋(経済産業副大臣・国民新)

 また、話題の人事としては「ヒューザー問題追及」で名を売った馬淵澄夫氏の国土交通副大臣就任か。
 後、やばくないかと思ったのは渡辺周氏の総務副大臣就任。最近もSAPIO誌上で櫻井よしこ女史と親しく対談していた歴史修正主義シンパなんか入れて大丈夫なのか?。総務省外国人参政権担当*6*7の省庁なのに(積極的に進めるんですよね、外国人参政権?)。*8

【9/19追記】
政務官が決まったそうなので追記
・NCに名前が出てくる人間で政務官に就任した人:7人(敬称略。あいうえお順。なお、「NCの役職→実際についた役職」の順)
 泉健太内閣府副大臣内閣府政務官
 後藤斎(国土交通副大臣→文部科学政務官
 高橋千秋(農林水産副大臣→経済産業政務官
 中村哲治(厚生労働副大臣→法務政務官
 西村智奈美(子ども・男女共同参画担当副大臣→外務政務官
 藤本祐司内閣府副大臣→国土交通政務官
 山井和則(厚生労働副大臣→厚生労働政務官) 
 大臣人事に比べると副大臣人事同様、割とNCに忠実な気がする。(NCと担当省庁が同じが、泉氏、山井氏の2人)


・社民、国民新からの政務官:1人
 長谷川憲正(総務政務官・国民新)

 なお、NCに名前が挙がっているのに、大臣、副大臣政務官になってない方は別途、それなりの処遇をすべきではないかと思う。(白山会疑惑で名前が取りざたされている牧義夫氏(NC文部科学副大臣)のようなそれが無理なケースもあるのだろうが)


亀井静香氏の郵政・金融担当相、福島みずほ氏の消費者・少子化男女共同参画・食品安全担当相は国民新党社民党のアピールポイントを考えたら、順当と言えると思う。*9噂になっていた、総務相、防衛相(亀井氏)や、環境相厚生労働相(福島氏)と比べてどちらがいいかは私には何とも言えないが。
 なお、亀井氏に対しては「郵政担当」と言う事で、ネオリベ筋(日経文化人とか)からの「構造改革に逆行する」云々という非難が、福島氏に対しては「男女共同参画担当」と言う事で、極右筋(産経文化人とか)からの「過激フェミニスト」云々という非難が早速予想される。その時、民主党の議員や支持者にもいるネオリベ筋や極右筋にどう対応するか、鳩山政権の真価が問われるだろう。もちろんそういう非難を予想した上で、この役職に就けたんですよね、鳩山さん?。最低限、鳩山邦夫騒動時の麻生太郎・前首相のような醜態(ネオリベ筋や極右筋に的確に対応できずボロボロ)だけは止めてほしい。*10*11

・その他についてはよく分からないのでひとまず、保留・様子眺め。
 なお、民主党は各方面で改革、方針転換をぶち上げているので本気で変えようとしたらかなり大変だろう。うろ覚えで書くと次の通り。(あいうえお順、敬称略)

岡田克也外相:米軍基地問題(特に沖縄)、日米密約の解明
小沢鋭仁環境相:CO2の大幅削減
川端達夫文部科学相:学力テストの見直し、教員免許更新制度の廃止、高校無償化
千葉景子法相:捜査の可視化*12
長妻昭厚生労働相後期高齢者医療制度障害者自立支援法の見直し、子ども手当年金問題、派遣規制、生活保護母子加算復活
前原誠司国土交通相:高速道路無料化問題、八ッ場ダムの中止
(他にもいろいろあったと思うが)

・岡田外相が記者会見で北朝鮮関連で船舶検査法案を出すつもりと言ったそうだが社民党の了解は取れているのか?。なお、船舶検査法の是非についてはひとまず保留。
社民党の了解を取たため、今臨時国会で提出の見込みとのこと。ひとまず、国会での論戦待ち。しかし大丈夫なのか?。また、村山内閣後のように支持者が失望して離れたら党が消えると思うが?(11/2追記)

【追記】
1)今後いろいろと、追記・訂正する予定。なお、必ずしもお断りはしませんので念のため。
2)今のところ、特に閣僚の変な発言など、時間がたってないこともあり、あまり無いと思うのだが、マスコミ報道によれば、中井洽国家公安委員長が「おとり捜査」「司法取引」に好意的発言をしたという。いずれ、詳しい事が分かるのだろうが中井氏は少し軽率すぎないか。マニフェストにそんな事は書いていなかったと思う。また、事の性質上、千葉法相との意見調整が必要だし、「おとり捜査」「司法取引」が認められてこなかったのにはそれなりの理由があるのだから。
3)マスコミ報道によれば、赤松広隆農林水産相が「安全性が確認できなければ都の築地移転計画は認可できない」と表明したとのことで評価できる。(ただし前任者石破茂氏からの引き継ぎで方針変更ではないそうだが。にも関わらず記事になるのは、「自民への不信」と「民主への期待」のあらわれだろう)
4)鈴木宗男氏を3野党(自民、公明、共産)の反対を押し切って衆院外務委員長にした事にはやはり疑問を感じる。*13自民が推定無罪と言って同じ事しても認めるのか?。なお、同じ事ではないけど、似たような事(刑事被告人・田中角栄による自民党支配)は過去にやってるな、自民(笑い)
とりあえず明日9/19のしんぶん赤旗(インターネット版)と与党支持者の共産に対する反応(自民・公明手助けするんじゃねーよって奴が結構多いんだろうな、嗚呼)が楽しみ。
→9/19追記:ひとまず赤旗の記事引用。

鈴木宗男氏が外務委員長・日本共産党は反対
 衆院本会議で18日、すでに決まっている議院運営委員長*14を除く16の常任委員会委員長が選任されました。民主会派の外務委員長候補、鈴木宗男氏については、採決のうえ、民主党社民党国民新党の与党などの賛成多数で、その他については議長指名の形で決まりました。
 鈴木氏は、2002年6月にあっせん収賄罪で逮捕され、直後に衆院議員辞職勧告決議が全会一致で可決されました。一審、二審で有罪となり、年内にも最高裁判決が下される見込みです。
 民主は同日、衆院本会議に先立つ議院運営委員会理事会で、16人の委員長候補を一括で議長指名とするよう要求しました。これに対し、日本共産党自民党公明党が、鈴木氏を切り離して採決するよう主張して紛糾しましたが、結局、議長判断により本会議で分離採決となりました。
 日本共産党佐々木憲昭議員は、議運委で鈴木氏選出に反対を表明。「同氏の一連の利権疑惑にかかわって本院がとってきた立場*15、およびそれらにかかわる刑事裁判が係争中であること*16などを考慮すれば、同氏を委員長に選出することはまったく不適切である」「委員会を代表し、円滑かつ公平な運営にたずさわる役職につけることはやめるべきである」と述べました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-09-19/2009091902_03_1.html

*1:他にNCと違うところとしては、NCには「子ども・男女共同参画担当大臣」と言う役職があるが実際にはそうした役職は設置されなかったこと、金融担当大臣と経済財政担当大臣が兼務となっているがそうはなっていないことが上げられる。

*2:なおNCメンバーの中には別途それなりの役職に就いている者もいるようだ。NCより良いかは分からないが。紹介すると次の通り。(敬称略。あいうえお順。なお、「NCの役職→実際についた役職」の順)
 一川保夫(防衛副大臣→副幹事長)
 大畠章宏(金融担当相→衆議院国家基本政策委員長)
 小沢一郎(副総理→幹事長)
 岡崎トミ子環境相参議院災害対策特別委員長)
 輿石東(副総理→幹事長職務代行、参議院議員会長)
 神本美恵子(子ども・男女共同参画担当相→参議院決算委員長)
 筒井信隆農林水産相衆議院農林水産委員長)
 伴野豊(環境副大臣→副幹事長)
 藤村修厚生労働相衆議院厚生労働委員長)
 蓮舫(年金担当副大臣行政刷新会議メンバー)

*3:NCと実際の閣僚が違う件について取り上げた新聞記事を見つけたので論評抜きで紹介。http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/kawaraban/71598.html

*4:なお、国家戦略局行政刷新会議(担当相は仙谷由人氏)がどんなものか現時点では分からないので評価に困る。

*5:NCでは厚生労働相とは別に年金担当相が置かれたが、実際には厚生労働相オンリーとなった。

*6:と言うか参政権全般を担当している。

*7:話はずれるが、未だに「外国人参政権違憲」と言うのは止めてほしい。判決の出ていない被選挙権ならともかく、選挙権については最高裁判決が出た以上、違憲論は成り立たないはずだ。国籍法改正の時もデマが飛んだのでネット右翼のバカさには絶望しているが。

*8:もちろん、大臣、副大臣政務官にこの種の失言やスキャンダル(金銭問題、女性問題等)がないかどうかは重要だろう。野党にとって最もてっとり早い攻撃材料だから。

*9:なお、原口氏と亀井氏が対立する恐れはないのか、それが少し心配。亀井・総務相ではダメなのか?。

*10:そうなったら、党首の面子をつぶしたと言うことで、確実に社民、国民新の連立離脱原因になるだろう。

*11:10/16追記:亀井氏に対する批判は予想通りだが、福島氏に対しては「フェミ」がどうこうという批判が思ったほど無くて意外。むしろ、夫婦別姓に好意的発言をしたことで千葉法相の方が批判されてるよう。

*12:なお、千葉氏は死刑廃止議連のメンバーだそうなので死刑廃止関係で動きがあるかもしれない。

*13:朝日の記事では、ジャーナリスト魚住昭氏が「鈴木氏をめぐる捜査への国民の疑念は膨らんでおり、選挙でも大量の票を得て当選している。委員長就任にも多くの人は違和感を持たないのではないか」と好意的な一方、新川敏光京都大教授(政治学)は「総選挙で民主が北海道で圧勝したのは鈴木氏の力も大きく、論功行賞的と感じる。外交での利益誘導という、政治家としてすべきではないことをしたのは事実で、理解できない人事だ」と批判的だ。私はもちろん新川氏寄り。

*14:民主の松本剛明

*15:衆議院で民主、社民がムネオ疑惑を追及し、辻元氏に至っては「疑惑のデパート・総合商社」呼ばわりしていたのは一体何だったのかと言うことだろう。「議員辞職勧告決議を全会一致で可決」もしているし。

*16:外務委員長が収賄で有罪判決を受け、失職の可能性があるというのは望ましくないと言うことだろう。無罪判決が出る保障はないのだから。