新刊紹介:「経済」8月号

 「経済」8月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/

 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは8月号を読んでください)

■世界と日本
【「米国の金融規制強化案」(合田寛)】
(内容要約)
リーマンショックのようなことが二度と起こらないようオバマ政権は金融規制法案を提出している。共和党が反対しているため、成立するかどうかは予断を許さない。まだ不十分との批判もあるが、規制がないよりはマシであり、早期の成立を期待したい。

【「銀行の三月期決算」(桜田氾)】
(内容要約)
・銀行の三月期決算は黒字だが、貸出は増えておらず、単純には喜べない。銀行の貸出をうながす政策と、銀行が貸したがらない部門への政府の融資政策が必要。銀行も自らの公的役割を考え、貸出にもっと力を入れてもらいたい。

■特集「日本経済2010・中間分析」
【「日本経済の危機と構造的過剰」(藤田実)】
【「日本経済二極化の特徴」(徳重昌志)】
【「日本企業の収益構造」(小栗崇資)】
(内容要約)
・日本経済の特徴として「極端な輸出依存(外需依存)」「格差の二極化(肥え太る大企業とやせ細る労働者)」があげられる。こうした状況を打開するため、適切な再分配政策により、格差を是正し、内需を拡大することが求められる。その意味で、消費税増税法人税減税などとんでもないことである。

■特集「中小企業を経済の根幹に」
【「今日の日本経済と中小企業」(福島久一)】
【「産業集積地はいま」】
・東京大田区(小林世治)
東大阪市(菰島克彦)
【「中小企業での「働く貧困」」(松丸和夫)】
【「中小企業振興は政治の責任」(吉井英勝)】
(内容要約)
・日本の中小企業は不況の中、経営が深刻な状況にある。大企業の下請けへの不当行為の是正など、中小企業を応援する政策が強く求められる。

■特集「どうする日本の雇用」(1)
【「雇用・失業問題:その今日的特徴」(伍賀一道)】
【「過労死予備軍、産業予備軍とワークシェアリング」(森岡孝二)】
【「ドイツにおける雇用・失業問題」(宮前忠夫)】
(内容要約)
・劣化する雇用(派遣などの不安定雇用・低賃金労働、長時間労働とそれによる過労死等)を是正するための諸施策(サービス残業の撲滅、最低賃金の引き上げ、派遣の保護等)が必要である。日本の労働者保護を考える上では、ドイツの社民的な政策が一つの参考になると思われる(保守のメルケル氏が首相になってから、ドイツでもかなり右よりの改革がされているがそれでも日本よりはずっと社民的)。