「黒い都知事・石原慎太郎」(宝島社)(追記・訂正あり)

 買ってきたので、後でよく読んでみましょう。(で、読んでみた、以下、感想)
 新ネタはなく、過去の石原の金の疑惑を手堅くまとめただけ(金の疑惑に力を入れた分、差別発言などその他の問題への突っ込みは少ない)のようですがそれでも意義あることだと思います。
 少し調べれば分かることですが石原には過去に、赤旗がスクープした「水谷建設ヤミ献金疑惑」など数々の疑惑がありますし、あの男の選挙参謀の一人はなぜかゼネコン鹿島出身者です(鹿島と石原はズブズブだと言われている)。あの男が「築地移転をゴリ押しする」のも「移転先である豊洲の土地の持ち主である東京ガスとの癒着」プラス「築地市場跡地再開発利権(おそらく再開発には鹿島が出てくる)」ではないかと言われていますし、「新銀行東京を延命させようとする」のも、銀行の失敗を批判されるのが嫌なだけではなく、石原本人や自民、公明都議会議員の情実融資(一部は犯罪の疑いすらある)がばれるのを恐れているからだと言われています。都議会民主党が都議選で反石原(新銀行への税金投入反対、築地移転反対)を唱えながら、共産と違い最後には裏切って、自民・公明や石原に荷担したのも「民主も石原の利権で甘い汁を吸ってる利権屋仲間」or「利権集団と戦う能力も意思もないヘタレ」だからでしょう。
 (もちろんこうした疑惑は当然この本に書かれています)。
 まあ、要するに金の疑惑に限定してもロクでもない男だと言うことです。


【2011/2/22追記】
 石原は今回出馬しない意向だそうだが、だからといって誰でもいい訳ではない。石原の過去の悪政をただせる人物を選ぶ必要が当然ある。
 私はそれは小池晃氏と思っているが、最低限
「石原与党だった自公が立てる候補(恐らく事実上の石原後継)」
「石原について聞かれ彼を全面支持するような候補」ではダメだろう。


【2011/3/12追記】
 石原はやはり出ると言いだしたらしい。デタラメな男だ。いい加減こんなふざけた男には落選して欲しいのだが。
 なお、最近刊行された斎藤貴男「東京を弄んだ男・「空疎な小皇帝」石原慎太郎」 (講談社文庫)*1を読めば「金の問題」以外の石原の問題が分かるだろう。 


【2012/2/10、4/6追記】
・2/10現在漫画ゴラクの「白竜」で連載されてるネタがどこかで読んだ覚えがあるなと思ったら、この本の第1章「羽田空港国際線オープンの黒い霧」で書かれてることがモデルであることに気づいた。
 あの漫画の「越中建設」は鹿島がモデルであり、
1)石原はあの漫画の都知事同様、鹿島が工事を落札できるように、鹿島に有利な工法になるよう国交省自民党に働きかけた疑惑*2があり
2)また、鹿島はあの漫画に書かれてるとおりの不正(埋め立てに天然の岩を使うとして工事を受注しながら、実際にはコストの安いコンクリ廃材を使い差額を不正に利得しようとした)をやらかし、あの漫画に書かれてる通り、やくざを使って脅すことで「下請けを黙らせ、すべて下請けが勝手にやったことにしようと画策した」らしい。
3)なお、ネタばらしするとマンガでは主人公のやくざ、白竜が越中建設の弱み(不正の実行とやくざを使った下請けへの脅し)をネタに越中建設から利権を得る(白竜の組のフロント企業越中建設の下請けとなった)と同時に、「自分らだけが悪者にされてはたまらない」という「やくざに脅された下請け」に頼まれて、「マスコミによる疑惑報道のほとぼりが冷めた頃、下請けにもそれなりの待遇をするよう」話をつけることで落ちがついている。

*1:以前、岩波から出版された本に2011年現在の状況を加筆訂正したもの

*2:ただこの漫画では空港は国の工事ではなく、都の工事(つまり都営空港)としており、国に働きかけるまでもなく都知事の一存で特定の建設業者にすべてが有利に動くような設定になっている。その点が実際とは違う