新刊紹介:「経済」2月号

「経済」2月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■巻頭言「アスリートの心意気」
(内容紹介)
 取り上げられているのは『バンクーバー五輪女子チームパシュート(団体追い抜き)銀メダリスト』で、ピョンチャン五輪での金メダル(500メートル、1000メートルのスピードスケート)が期待される小平奈緒です。
 何が心意気かと言えば以下のようなことですね。

http://www.sankei.com/west/news/171226/wst1712260019-n1.html
■産経【平昌五輪】スピードスケート小平奈緒支援は「僕らの誇り」 所属先の相沢病院
 平昌冬季五輪のスピードスケート女子500、1000メートルで、日本女子初となる金メダルを目指す小平奈緒(31)。今月10日に1000メートルの世界記録保持者にもなったが、2009年には信州大卒業後の所属先が見つからず悩んだ時期もあった。そんな小平に手を差し伸べたのが地元・長野県松本市相沢病院。理事長の相沢孝夫さん(70)は8年間、小平を支え続けてきたことを「僕らの誇り」と胸を張る。
■記者
「小平が3度目の五輪に金メダル候補として挑む」
■理事長
「支援する選手が金メダルを取ったらうれしいですよね。もともとは『行く先がなくて困っているんです』と訪ねて来て、あまりお金は出せないけど職員として思い切りやらせてあげるくらいならできるよ、と始まったことでした」
■記者
「小平を支援するメリットは」
■理事長
「何がメリットかなんて考えたことはないです。『1億円の宣伝効果』『病院が有名になった』とか言われるけど、有名になったからといって患者さんが来るわけじゃない。とにかく、彼女が地元で、信頼するコーチとやりたいというのに、できないのはおかしい。そんなばかなことはないだろうという思いが一番でしたね」
■記者
「病院にとって初めての現役スポーツ選手採用に反対はなかったか」
■理事長
 「もし言われたら、『俺の給料を削る』と言えばいいんです。一度も言われたことはありませんけど。小平さんは大学時代に診察やリハビリに来ていたので、現場からも『なんとかしてあげてくれ』と言われましたし、職員を1人雇うくらいのお金ならなんとかなりますから」


■世界と日本
【韓国での不法派遣】(洪相鉉)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

ハンギョレ『韓国雇用部「パリバケットは製パン職人5378人を直接雇用せよ」』
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/28536.html
■レイバーネット日本『パリバゲット対策委発足…「パリバゲットは『現代版人身売買』」』
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2017/1510009092248Staff


メガバンクのリストラ計画】(田中均
(内容紹介)
 メガバンクのリストラ計画について企業の社会的責任の放棄として批判すると共に、政府の雇用対策や労組のリストラへの対抗運動を主張している。


■コラム「ポーランドの休日」
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

http://www.afpbb.com/articles/-/3152949
■AFP『ポーランド議会、日曜営業制限法案を可決 18年3月から段階的に実施へ』
 ポーランド議会は24日、小売店の日曜営業の大半を2020年までに禁止する法案を可決した。これについてカトリック教徒が多い同国の消費者は、複雑な心境を示している。
 これは昨年同国の自主管理労組「連帯(Solidarity)」が、市民イニシアチブ法案として最初に提出した。この法律により2018年3月以降、各月の第1および最終日曜しか営業できなくなる。
 さらに2019年には各月の最終日曜のみ営業を認め、2020年にはクリスマス前の2度の日曜とイースター(復活祭)前の1度の日曜など年に7日間だけ日曜営業が認められるようになるという。
 同法は、大型スーパーチェーンをはじめ、国内で営業するあらゆる外資系小売店にも適用される。ただしオンラインショップに加え、パン店やガソリンスタンドといった地元住民が経営する小規模店舗は適用が除外される。
 これについて消費者の間では、複雑な心境がうかがえる。ポーランド世論調査センター(CBOS)が今週発表した調査結果によると、日曜営業の全面禁止に賛成と答えたのは回答者のうち58%で、反対は37%にとどまった。一方で回答者の52%が、日曜日に買い物をすると答えたという。


特集「2018年の日本経済をどう見るか」
■新春討論『岐路に立つ日本経済』(工藤昌宏、小西一雄*1、藤田実*2、小越洋之助*3
(内容紹介)
 アベノミクス法人税減税により大企業は空前の収益をあげ、また、日銀の国債、株式大量購入により、株価は高値となっているが、「消費増税社会保険料負担増」「賃金の上昇がないこと」で国民消費は低いままであり、消費不況の状況である。
 景気は決して良くなっていない。
 株価高を演出している「日銀の購入」にもさすがに限界が近づいている。すぐに購入を打ち止めると反動で株価安が襲う危険性があるのでいわゆる「出口戦略」には注意が必要だが、今の大量購入路線は早急に取りやめるべきである。
 そして消費税減税、国民負担料減で国民の消費意欲をあげることによる不況脱出こそが経済政策の本道である。
 企業も不況脱出のため、賃金アップに努めるべきであるし、労組も強く賃金アップを訴えてしかるべきである。


■日本の情報通信産業が抱える課題(高野嘉史)
(内容紹介)
 情報通信白書は「情報産業の重要性」を訴えるが、日本の情報通信産業はシェアにおいて既に米国のアマゾン、グーグル、マイクロソフトなどに大きく後れをとっている。
 これをどう巻き返していくかが問題であり、日本における情報通信産業は決してバラ色ではない。


特集「日本農業・漁業の再生へ」
■座談会「食料・農業・農村の再生に向けて」(村田武*4、冬木勝仁*5、東山寛)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■主張『17年の農政・農民:食と農、地方の展望開く年に』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-10/2017011001_05_1.html
■主張『総選挙と農業・農村:安倍農政ストップのチャンス』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-10-14/2017101401_05_1.html


■漁業権の開放を考える(加瀬和俊*6
(内容紹介)
 いわゆる「漁業権開放論」について批判的立場から論じられている。

参考
赤旗
■漁業権開放に懸念表明、畠山氏「漁協から反対の声」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-06-07/2017060704_03_1.html
■企業への漁業権は危険、沿岸漁業フォーラム 資源管理の民主化
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-09-02/2017090205_01_0.html


社会保障・教育の財源は消費税に頼らず確保できる(上)(垣内亮*7
(内容紹介)
社会保障・教育の財源は、消費税にたよらずに確保できる:日本共産党の財源提案
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2017/10/2017zaigen.html
について改めて詳しく説明している。
今回の(上)では
<1>富裕層や大企業への優遇をあらため、「能力に応じた負担」の原則をつらぬく税制改革や、歳出の浪費をなくす改革をすすめます
について説明がされている。
 具体的には
法人税減税を中止し、安倍政権以前の税率(37%:現状は30%)に戻します
所得税最高税率を引下げ前の水準(65%:現状は50%)に戻します
相続税最高税率を引下げ前の水準(70%:現状は55%)に戻します
タックスヘイブンを利用した「税逃れ」をやめさせます
・為替取引税を創設します
などといったところ。大きな方向性としては「税は所得再配分が目的」という観点から「応能負担原則の強化(金持ちからとり、貧乏人に配分する)」ということになる。


■進化するAI、ICT革命の新たな段階(友寄英隆*8
(内容紹介)
 筆者がAI、ICTの専門家ではないと断っていることもあって問題提起にとどまっている。
 AI、ICTには「労働時間の短縮」などのメリットの可能性とともに、「失業の増加(AIにより単純労働が人間から機械に移行するなど)」のデメリットの可能性も指摘されている。
 メリットを生かすと共にデメリットをどう是正していくかは、技術の問題と言うより「AI、ICTをどう社会に位置づけていくか」という制度の問題であり、今後そうしたことが現実化して行くに当たって十分な議論を行い緻密な制度設計をしていく必要があるとしている。

*1:著書『資本主義の成熟と転換:現代の信用と恐慌』(2014年、桜井書店)など

*2:著書『日本経済の構造的危機を読み解く:持続可能な産業再生を展望して』(2014年、新日本出版社)、『戦後日本の労使関係:戦後技術革新と労使関係の変化』(2017年、大月書店)など

*3:著書『終身雇用と年功賃金の転換』(2006年、ミネルヴァ書房)など

*4:著書『ドイツ農業と「エネルギー転換」:バイオガス発電と家族農業経営』(2013年、筑波書房ブックレット)、『愛媛発・農林漁業と地域の再生』(編著、2014年、筑波書房)、『日本農業の危機と再生』(2015年、かもがわ出版)、『現代ドイツの家族農業経営』(2016年、筑波書房)など

*5:著書『グローバリゼーション下のコメ・ビジネス』(2003年、日本経済評論社

*6:著書『漁業「特区」の何が問題か:漁業権「開放」は沿岸漁業をどう変えるか』(2013年、漁協経営センター出版部)

*7:著書『消費税が日本をダメにする』(2012年、新日本出版社

*8:著書『「アベノミクス」の陥穽』(2013年、かもがわ出版)、『アベノミクスと日本資本主義:差し迫る「日本経済の崖」』(2014年、新日本出版社)、『アベノミクスの終焉、ピケティの反乱、マルクスの逆襲』(2015年、かもがわ出版)、『「一億総活躍社会」とはなにか』(2016年、かもがわ出版)、『「資本論」を読むための年表:世界と日本の資本主義発達史』、『「人口減少社会」とは何か:人口問題を考える12章』(2017年、学習の友社)など