今日の産経ニュース(1/14分)(追記・修正あり)

■【iRONNA発】西郷隆盛 幕末維新の立役者は「工作員」だった? 倉山満
http://www.sankei.com/premium/news/180114/prm1801140008-n2.html
 「歴史研究の素人」倉山なんぞに書かせるあたりがさすが産経です。
 まあ我々は工作員というと

・CIA工作員によるチリ・ピノチェトクーデター工作
KGB工作員によるトロツキー暗殺
北朝鮮工作員による大韓機爆破や拉致、ラングーン事件
KCIA工作員による金大中拉致

などを連想して「ぎょっとする」んじゃないかと思います。
 ただよく考えれば工作とは必ずしもそういうこと(暗殺など非合法組織による汚れ仕事)を意味しない。
 政治工作といった場合の工作は必ずしも違法ではない。例えば細川非自民政権誕生までの野党間の水面下工作つうのは別に違法でも何でも無い。
 つうことでここで倉山が言う「西郷・工作員」つうのはそういう意味です。
 言ってることはまるきり平凡なことでしかない。「工作員」という言葉で我々がつい「非合法組織による汚れ仕事」を想像して「いや西郷は、そういう汚れ仕事を益満休之助あたりにやらせてたかもしれないけど、自分ではやってないだろ」と思ってしまいますが、まあそういう誤読を狙っての「注目を集めるための釣り行為」でしかない。ある意味くだらない。
 主君・島津斉彬が存命の時は斉彬の命令で西郷は朝廷や幕府、各藩相手に政治工作を行っていたし、斉彬死後も「島津久光の命令*1」で政治工作をしていたわけですから、そういう意味では「西郷・工作員」なんてのは当たり前の話でしかないわけです。
 そういう意味では大久保も工作員だし、長州の木戸孝允工作員です(まあほかにもいますが)。

 最近、明治維新は誤りであったとの説が流布している。

 いやー「明治維新のマイナス点(武力倒幕による人的被害、明治新政府の民主主義性の欠如、アジア侵略路線など)の指摘」はあっても「武力倒幕しない方が良かったなんて話」がそんなに流布してると思いませんけどねえ。まあ、そもそも「もし幕府が薩長を打倒していたら」とか「薩長による倒幕がされても、戊辰戦争のような武力倒幕路線ではなく徳川慶喜など幕府や諸大名を政府要人として入れたら」とかいった「イフ」を言っても今更仕方がないわけです。
 まあ、「戊辰戦争で新政府軍に打倒され多数の死傷者を出した側の被害」を考えればそういう気持ちは大変よくわかりますけどね。
 武力倒幕というのは必然じゃないですから。「幕府や諸大名を新政府から完全に排除したい大久保や西郷が幕府を挑発してかなり強引にそっちに持って行った」わけです。
 で武力倒幕でなければ、近代化は全くされなかったのかというと「大久保、西郷らの進めたような形になったかはともかく」近年では徳川慶喜など幕府側も「一定の改革に着手しており」そんなにばかにしたもんでないということがわかってきたわけです。
 榎本武揚明治新政府逓信相、文相、外相、農商務相など歴任)など幕臣でも新政府に採用される有能な人もいたわけです。
 とはいえ「戊辰戦争の犠牲を避けるべきだった」というならともかく「アジア侵略」「民主主義の欠如」つう問題は「武力倒幕しない場合」でもおそらく変わらないでしょう。幕府側がそんなに「平和主義だった」とか「民主主義的だった」とかはいえないでしょう。


■【紅い浸入 一帯一路の陰で(下)】カンボジア経済特区に積極援助 良港の街、拠点化に躍起
http://www.sankei.com/world/news/180114/wor1801140021-n1.html

 カンボジア支援では日本が伝統的に存在感を示してきた。だが、援助額では中国が10年に日本を抜いて1位となり、影響力を増している。カンボジアへの国別投資認可額の累計(1994〜2016年、日本貿易振興機構資料)でも、中国が122億ドル(約1兆3600億円)と首位で日本はその8分の1にすぎない。

 もうこうなっちゃうとどうにもならないでしょうねえ。
 カンボジアで「何が何でも中国の援助や投資を超えるんだ」つうわけにもいかないでしょう。

 30年以上権力の座にあるフン・セン氏は、今年7月の総選挙を前に「今後も10年間は首相にとどまる」と豪語している。中国寄りの姿勢とともに独裁色を鮮明にし、昨年6月の地方選で躍進した野党カンボジア救国党を(ボーガス注:違法行為を理由に強制的に)解散させるなど基盤固めに躍起だ。
(中略)
 中国が圧倒的なヒトとカネでカンボジアへ“浸入”すればするほど、フン・セン氏は強権化する。日本が民主主義のもとで「質」や「信用」を武器に「自由で開かれたインド太平洋戦略」をどう展開するのか。その手腕が問われている。

 「はあ?」ですね。
 「独裁的なフンセン首相のカンボジアにガンガン支援する中国は民主主義を軽視しています(産経)」。うん、まあここまではいいでしょう。
 「日本は民主主義を重視した支援をしないといけません(産経)」。ここで「え?」ですね。
 「今までそんなことやってきたのか?」と。カンボジアに対しては日本も別に民主主義云々なんて気にせず支援したのと違うのかと。


■【新聞に喝!】新聞は「現実」を見据えよ 若者は「見限っている」 元日・朝日の社説は意味不明 作家・ジャーナリスト・門田隆将*2
http://www.sankei.com/column/news/180114/clm1801140006-n1.html
 若者でも何でも無いおっさん・門田が根拠レスで「若者は朝日を見限ってる」つうんだから失笑物です。
 むしろデマ記事常習で「フジテレビの支援なしではやっていけない」産経の方が社会に見限られてるでしょうに。
 しかもそのおっさんがジャーナリストを自称してるんだから呆れます。まあ門田のような輩は本心をそのまま記述してると言うより商売右翼でしょうが。奴の出世作である『なぜ君は絶望と闘えたのか:本村洋の3300日』(2010年、新潮文庫)も橋下の無茶苦茶な光市事件弁護団懲戒請求扇動を助長するだけの代物ですしね(つまりは門田が橋下の同類ってことですが)。


■【海峡を越えて:「朝のくに」ものがたり】(1)日本ほど「お人よし」の統治者はいない(文化部編集委員 喜多由浩*3
http://www.sankei.com/column/news/180114/clm1801140007-n1.html
 「台湾や朝鮮という植民地に金をつぎ込んだ」ってそれは別にお人好しでも何でも無い。米国(フィリピン)、英国(インド、エジプトなど)、フランス(ベトナムカンボジアなど)、オランダ(インドネシア)などもおそらく同じことをしていたでしょう。
 植民地支配ってのは焼き畑農業や海賊行為、銀行強盗やオレオレ詐欺と違って「永久的に利潤を獲得しよう」つうもんです。
 工場や道路、鉄道などのインフラを建てるのも金儲けのためなら「現地民にそれなりの教育をする」のも金儲けのためです。極端な話、「現地民が皆文盲だったら」工場をどうやって稼働するのか。
 「全員日本人で工場を稼働します」つうのは合理的じゃないでしょう。そして「現地民がそれなりに豊かになれば」日本の商品を買ってくれるわけです。「現地民をそれなりに豊かにすること」も当然ながら単純な人道主義ではない。
 「現地民からは徹底的に搾取します。現地民は貧乏でかまいません。植民地でつくったもんは植民地の外で全て売ります」つうのが果たして合理的なのか。
 結果として「投じた金よりリターンが少なかった」としても、それは単に「見込みが甘かった」だけでお人好しでも何でも無い。
 大体この産経の理屈なら「焼身自殺とか厄介なことをやらかされながら、青海チベット鉄道を作る」などしてる中国政府は「チベットに対して中国共産党ほどお人好しはない」つうことになってしまう。
 もちろん中国のチベット統治をどう評価するにせよ「鉄道作ったから偉いね、お人好しだね、すばらしいね」つう単純な話の訳がない。鉄道作ることによって観光客呼んでもうけよう、つうのは別に「ダライラマは間違ってる、中国はチベット自治権をキチンと保障してる」つう話じゃないわけです。
 もちろんこれは鉄道に限った話じゃない。チベットの大学だって医療機関だって何だって同じ話です。
 もちろんつくって悪いわけじゃない。むしろいいことではあるでしょう。しかし、『繰り返しますが』「作ったから偉いね、お人好しだね、すばらしいね」つう単純な話の訳がない。
 あるいは「韓国語教育が禁止されていわゆる同化政策がされてようとインフラとかつくったんだから日本は韓国民に感謝されて当然」つうなら、仮に中国がチベット自治区で「ダライらが言うように」、『チベット伝統文化を否定する同化政策』をしてよう*4と「鉄道とかインフラつくってるんやから感謝して当然」になるわけです。
 まあ前も書きましたが日本ウヨが「経済開発を理由に朝鮮、台湾植民地統治」を正当化すればそれは日本ウヨが否定したいらしい「欧米の植民地統治」「中国のチベット統治」にも当然跳ね返ってきます。欧米にせよ中国にせよその統治によって経済的に豊かになってることは否定できないからです。
 一方は肯定し、一方は否定するつうのは「歴史の捏造、歪曲」でしかありません。まあ産経だってそんなことは百も承知で捏造に励んでるのでしょうが。
 まあ、そもそも自分で「俺はお人好しなのになぜお前ら感謝しない」とわめいてる時点で「どこがお人好しなんだ」つう話でもありますが。
 ストーカーが「君のことをこれほど愛してるのは僕だけしかいないのにどうして君は僕のことを(以下略)」というくらい迷惑な話です。

 海峡を越えて、日本へやってきた朝鮮人には、戦後のスーパースターのひとりに数えられるプロレスラーの力道山紅白歌合戦にも出場した歌手の小畑実、日本一の美声とうたわれたテノールの永田絃次郎(げんじろう)ら文化・スポーツ関係者も多い。

ウィキペディアによれば小畑(1923年生まれ)は

・第4回NHK紅白歌合戦(1953年):ロンドンの街角で
・第5回NHK紅白歌合戦(1954年):長崎の街角で
・第8回NHK紅白歌合戦(1957年):高原の駅よさようなら

と3回紅白に出場しています。
力道山らの存在は別に「日本の植民地統治の正当化」にはならないでしょう。
 特に力道山なんか、死ぬまで「朝鮮半島出身であることを隠していた」わけです。そこには明らかに「差別への恐怖」があったでしょう。
 なお、

力道山(ウィキペ参照)
 1963年1月、韓国政府(当時は朴チョンヒ政権)の招きで韓国を訪問し、金浦空港で体育協会、レスリング関係者約60人に出迎えられた。記者会見で「20年ぶりに母国を訪問でき感無量です。長い間日本語ばかり使っているので、韓国語はさっぱり…」と言い、最後に「カムサ・ハムニダ」と付け加えた。その模様を『東京中日新聞』が「力道山、二十年ぶりに母国へ」の見出しと写真入りで掲載したところ、これまで朝鮮半島出身であることを隠し続けていた力道山は、帰国後これを知り激怒したという。

というウィキペディアの記述からは
1)力道山にとって朝鮮半島出身と言うことは絶対に隠さなければ行けなかったこと
2)東京中日が報じたことは他メディアも知ってると思われるがメディア各社もそうした「力道山の出自隠し」に協力していたこと
がうかがえます。

 亡くなった後に、祖国から名誉を傷つけられ、親族が身を縮めている姿を見るのは切ないし、タブー視して功績がなかったことにされてしまうのはしのびない。

 お断りしておけば力道山小畑実、永田絃次郎は別に否定されてないと思います。まあ永田の場合、戦後、帰国事業で北朝鮮に渡ったそうですので「日本や韓国では忘れられてる」かもしれませんが

 最初に取り上げるのは日本統治時代の朝鮮で、異例の覆審法院検事局検事(現在の高検検事に相当)になった大和田元一(げんいち)(朝鮮名・李炳●=1905〜92年)だ。
(中略)
 大和田がどんな思いで、検事の仕事を務め、そして戦後、韓国でどんな仕打ちをうけたか…。それは次週に書きたい。

 産経が何がやりたいか、おそらく大和田(李)の人生で「日本の植民地統治」を正当化しようとするのだろうと、概ね見当がつきますが、それは次週とやらで突っ込みたいと思います。
 いずれにせよ大和田の人生で「日本の植民地統治」を正当化しようとするのは、たとえるなら「プンワン(プンツォク・ワンギャル)の人生」で中国共産党チベット統治を正当化しようとするようなもんでしょう(まあ例はプンワンでなくてもいいですが)。
 「ある一個人が、与えられた制約の中で、苦闘しながら誠実に生きようとしたこと」は「彼のしたことが客観的に見てどう評価できるか」ということとはまた別問題ですし、「何らかの好意的評価をする場合」でも「大和田の人生への好意的評価=日本の朝鮮植民地統治への好意的評価」「プンワンの人生への好意的評価=中国共産党チベット統治への好意的評価」でもないわけです。


■【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(2)創氏改名は「強制ではない」 是々非々貫いた朝鮮人検事(文化部編集委員 喜多由浩)
http://www.sankei.com/column/news/180121/clm1801210008-n1.html

 だが、大和田の輝かしい経歴も戦後の韓国ではマイナスとなった。
 日本統治時代の“協力者”をリストアップし、韓国で2009年に出版された『親日人名辞典』の大和田の項では、「創氏改名」(昭和15年実施)の記述に大きなスペースを割き、大和田が当時の新聞や雑誌に発表した見解を紹介した上で、同制度を積極的に支持したと書いている。

 「何だかなあ」ですね。
 「戦後の韓国ではマイナスとなった」として出てくる話が終戦直後や1950年代ではなく、大和田死去後の「2009年」というのはどういうことなのか。普通に考えて「おそらく大和田の人生においてマイナスにはならなかった」ということでしょう。
 なお「創氏改名が強制かどうか」については残念ながら小生、無知なので特にコメントはしません。
 ただ一点だけ指摘しておけば、こうしたケースで「建前では強制性はなかった」といっても無意味ではあるでしょう。問題は「建前が何であれ、実態が強制ではなかったか」ということです。
 例の「特攻は強制ではなかった」という与太がそのいい例ですが。確かに建前では特攻は「任意」ですが当事者の多くが「特攻したくないといえる雰囲気ではなかった」と後に回想してるように「同調圧力による事実上の強制」だったわけです。
 あるいは「過労死は自己責任、死ぬまで働けとは言ってない」なんてのもそうした「強制ではない」という詭弁の一例としてあげていいでしょう。
 実際問題、過酷なノルマが課されてる上、周囲がそのノルマに沿って働いている以上、自分一人だけ休むことはできないわけです。
 なお、「大和田の検事という立場と発表時期」を考えれば「戦前の大和田の創氏改名評価」が本心といえるかどうかは疑問でしょう。


■【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(3)慰安婦の実態 当時検診した95歳の元軍医が証言(文化部編集委員 喜多由浩)
http://www.sankei.com/column/news/180128/clm1801280007-n1.html
 もちろん「慰安婦は性奴隷で戦争犯罪」という事実は産経が何を言おうと変わるもんではありません。
 だから河野談話、クマラスワミ報告、マクドガル報告、米国下院決議などがでたわけです。
 本気で産経が「慰安婦は問題ない」と思ってるとはとても思えませんが、仮にそう思ってるとしたら
1)慰安婦問題について無知だから
2)戦争犯罪戦争犯罪と認識できないくらい人権感覚が欠如してるから
のどちらかでしかありません。

 日本軍に慰安婦は存在した。ただし、高地の証言にあるように民間業者が連れてきた慰安婦を使って商売をし、軍はそれを監督した。

 嘘八百ですね。
 慰安婦と軍の関係はそんな生やさしいものではなく、「軍の福利厚生施設=慰安所」であり、その施設の管理業務を業者に委託していたわけです。軍と無関係の存在どころか、軍と密接に関係していた。
 なお、委託ではなく軍直営という物もありました。
 それほど慰安所と軍の関係が深いからこそ、中曽根元首相(元海軍主計中尉)も「軍の経理学校で慰安所の運営方法を教えられた」と回顧録*5の中で証言してるわけです。

参考
赤旗『「土人女を集め慰安所開設」、中曽根元首相関与示す資料、高知の団体発表』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-28/2011102814_02_1.html
リテラ
■中曽根元首相が「土人女を集め慰安所開設」! 防衛省に戦時記録が
http://lite-ra.com/2014/08/post-413.html
■『報道特集』 がついに中曽根*6元首相の「土人女を集め慰安所開設」文書を報道! 息子の弘文*7慰安婦否定の責任者ってなんの冗談?
http://lite-ra.com/2015/07/post-1323.html

 貧しい家の娘たちがお金のために身を売られ、慰安婦となったのは朝鮮人だけではない。日本人にもいた。

 だからなんだという話です。
1)全てが身売りではなく暴力的な連行ケースもあったし
2)身売りなら性奴隷ではない、という話でもない。
 産経は
A)問題の所在を理解していないか
B)理解した上で故意に話をすり替えてるかどっちかでしょう。
 どちらでもくだらないですが。


■【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(4)「最後の総督府官吏」の“遺言” 朝鮮人とは仲良くやっていた(文化部編集委員 喜多由浩)
http://www.sankei.com/life/news/180204/lif1802040033-n1.html
 もちろん一方では「そんなに単純な話じゃない」つう批判もあるわけです。
 仮に日本人が「俺は差別なんかしてないし仲良くやってる」と思っても向こうもそう思ってる保証はどこにもありません。産経は故意にデマ飛ばしてるのか、バカなのか知りませんが「宗主国の人間と植民地住民」の関係をあまりにも甘く考えすぎでしょう。


■【あめりかノート】米中関係が険悪になると二階氏*8が訪中…その裏に潜む危険 ワシントン駐在客員特派員・古森義久*9
http://www.sankei.com/world/news/180114/wor1801140015-n1.html
 古森が、米中関係が悪化すると「米中関係悪化を日中関係改善でフォローするために中国側が二階氏を招待する」と考えてるのか、はたまた「この機会に日中関係をいっそう改善したい、米国との対立を日本を仲介に解消したいと中国は思ってるだろうから、ということで二階氏から中国にアプローチする」と考えてるのはともかく、そもそも「米中関係が険悪になると二階氏が訪中」なんて事実はどこにもないでしょう。
 そもそも
マティス米国防長官、今春に訪中 習近平*10と会談の可能性も
http://www.sankei.com/world/news/180113/wor1801130033-n1.html
という記事で解るように少なくとも古森が言うほどには米中関係は対立はしていませんし。
 なお、二階氏に悪口する古森ですが、安倍についてはノーコメントです。「安倍の親書を中国側に渡した」という報道もありましたし、自民党幹事長・二階氏の訪中に安倍がノータッチの訳はないのですが。ましてや昨年12月末の訪中は、公明党幹事長と一緒の訪中ですからね。


■過労死ラインの2倍 医師の残業、月200時間容認 日赤医療センター労使協定
http://www.sankei.com/life/news/180114/lif1801140012-n1.html
 労基署の勧告に応じて見直すそうですが異常な協定ですね。こうなると「労使協定の残業上限」について規制をかけること(あるいは労使協定を結ぼうとも一定の残業上限は超えられないとする)を考えるべきでしょう。まあその場合の残業上限は最悪でも「過労死ライン(月100時間)以下」でしょうね。


■【イラン核】イラン、米の孤立化狙い欧州との連携強化か 核合意破棄ちらつかせるトランプ政権
http://www.sankei.com/world/news/180114/wor1801140012-n1.html
 「孤立狙い欧州との連携強化」もなにも「合意破棄ちらつかせる」なんて無茶をすればこうなるのは当たり前の話です。


■【主張】原発ゼロ法案 これでは国が立ちゆかぬ
http://www.sankei.com/column/news/180114/clm1801140003-n1.html
 いろいろ突っ込みどころがあると思いますが無能なので「突っ込めるところ」だけ突っ込みます。

 日本が先の不幸な大戦を避けられなかった理由が、海外からの石油の封鎖*11にあったことを思い出すべきだろう。

 「石油禁輸されたのは日本の中国侵略が原因だったこと」を考えれば、先の戦争に突入したことについてこう認識・理解することは疑問です。
 「禁輸されたから戦争しました」でいいなら北朝鮮経済制裁に反発して戦争すること*12もOKになってしまう。
 しかしその認識・理解の是非はひとまず置くとしても『石油禁輸で日本が困ったこと(戦争突入を決意した理由)は戦車、戦闘機、軍艦と言った石油を動力とする兵器が動かなくなることで国内の電力不足ではない』のだから産経がここで「石油云々」と言い出すことは明らかにおかしいでしょう。

 日本の原子力発電は、各原発の立地地域をはじめ再処理工場を抱える青森県の理解と、米国や英仏の協力の上に成立している。
 原発の全面廃止や核燃料サイクル政策からの一方的な撤退は、築き上げた信頼関係を土足で踏みにじる行為に等しい。

 おいおいですね。その理屈だと「もんじゅ廃炉」はどうなるのか。「福井県など地元自治体との信頼関係」を土足で踏みにじったことになるのか。
 問題は「何が国益に資するか」であって、「しがらみの存在」はそうした国益の無視にはつながりません。
 産経の物言いは「今中国から撤退したら、英霊の犠牲と、戦争につぎ込んだ金が全部無駄になる」と主張したという東条英機関東軍参謀長、近衛内閣陸軍大臣、首相など歴任)と全く変わりません。


■【山本一力の人生相談】「専業主婦」の立場が嫌
http://www.sankei.com/premium/news/180114/prm1801140011-n1.html
 小生なら「そんなん相談されても困るがな」つう内容の相談です。
 「ただ毎日専業主婦をするのが嫌、何か新しいことをしたい。たとえば働きたい(あるいは何か趣味をしたい)」つうなら「なら働いたら(あるいは趣味をしたら)どうですか」としかいいようがない。
 それで「でもいい働き口が見つからない」などといわれても「あんたの知り合いでもないのにそこまで面倒見れないがな」ですね。
 あるいは「ただ毎日専業主婦でも恥じることはないんだと言ってほしい」つう話だとしても「え、それ夫とか身内ならともかく、赤の他人の俺が言ってあなたうれしいのか?」ですね。
 「子育てに不安がある」つうなら「行政のサービスを使ったり、ネットでそういうママ友の集まりを探したりしてはどうか」としかいいようがない。結局たいしたサジェスチョンはできないですからねえ。山本氏も「煮詰まりすぎないように夫や親きょうだい、知人友人など周囲にまず相談してみては」位のことしかいえてません。


■【主張】阪大の入試ミス 独善性が事態長引かせた
http://www.sankei.com/column/news/180114/clm1801140002-n1.html
 阪大が受験生ともめてるのは「阪大が悪い(受験生は悪くない)」が、日本が中韓ともめてるのは「中韓が悪い(日本は悪くない)」という産経にはいつもながら呆れます。
 まあこの阪大の件だって、「慰安婦問題や加計森友疑惑で安倍をかばうように」産経に阪大をかばう理由があれば「入試ミスを認めて謝罪もした。誤って不合格にした者を合格にもした。これ以上どうしろというのか。ごねるのも大概にしろ」と阪大をかばってるでしょうが。


■韓国の慰安婦問題はもはや憎しみを持ち続ける「宗教」だ 室谷克実*13×加藤達也*14
http://www.sankei.com/premium/news/180114/prm1801140003-n1.html
 故意にデマってると思いますがいつもながら酷い事実認識のゆがみです。
 宮澤内閣で河野談話がでて以来、ここまで慰安婦問題で日韓関係が悪化したのは安倍政権だけです。
 おそらく今も民主党政権なら、あるいは「自民党政権」でも安倍ではなく、谷垣*15元幹事長、石破*16元幹事長、石原*17元幹事長、岸田*18政調会長など「安倍以外が首相」であったならこうした事態にはなっていないでしょう。
 「宮澤*19内閣の河野*20談話」「村山内閣のアジア女性基金」は韓国側に「100点満点評価ではない」にせよそれなりに評価されていたわけです。
 また金大中政権時には

金大中(ウィキペ参照)
・1998年の来日に先立って、政府として天皇を表す「日王」の呼称を取り止め、「天皇」を使用することを公式に宣言。また、愛子内親王の誕生に際しては「皇室と国民が待ちこがれた皇孫が誕生した事を、韓国国民とともに心よりお祝いします。皇室がこの度の慶事を機に、一層繁栄することを確信します」との祝電を送った。
・映画や音楽などの日本文化の公式開放も表明。日韓ワールドカップも共同開催。
・訪日し小渕*21首相と会談。小渕首相と共に『日韓共同宣言 21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」を発表。

といった事実があるわけです。
 「韓国が慰安婦問題を理由に日本を一方的に攻撃し続けている」と見ることは明らかに事実に反しています。

加藤
 李明博に司直の手が向かっていることと、朴槿恵魔女狩りのようにして追い落としたことは、親日派清算するというドクトリンから始まっていることです。

 もちろんそんな理解をしなくても、文政権に善意に理解すれば「李が実際に不正をしていたから」、悪意に理解しても「野党陣営にダメージを与えるための政治的捜査」で十分理解できます。「親日派」とか持ち出す必要も無い。
 大体、「大統領退任後の疑惑追及は政治的報復」つうなら、精神的苦悩から当人が自殺した盧武鉉氏はどうなるのか。「保守政権時代の盧武鉉への追及は問題ありません」と根拠レスで強弁する気なのか。
 まあ「政治的捜査かどうか」はともかく「三木*22内閣でのロッキード事件(田中*23元首相)追及」など、別に「政権の座を去った権力者」への追及は珍しいもんでもないでしょう。
 また「立花隆の田中金脈報道による田中首相の辞任」「ニクソン*24ウォーターゲートでの辞任」のように「疑惑追及による権力者の辞任」も別に珍しくない。
 つうか李はともかく朴クネの疑惑なんか朝鮮日報のような保守マスコミも批判していたし、産経ですら「朴クネ政権時代にソウル支局長の加藤が、朴に対する名誉毀損で起訴されたことがよほど悔しかったのか」、朴の疑惑を批判していたくせに、何が「親日派清算するというドクトリン」なのか。
 また李については「韓国の歴史上初めて竹島に上陸した大統領」ということで産経は散々反日呼ばわりしてきたくせにここでは「日本生まれの親日派扱い」です。全く産経はでたらめです。

*1:とはいえ斉彬時代とは違い、西郷や大久保が「こう動いてほしい」という方向に久光を誘導するという「西郷や大久保の独立性が強い話」ですが。

*2:著書『甲子園への遺言:伝説の打撃コーチ 高畠導宏の生涯』(2008年、講談社文庫)、『なぜ君は絶望と闘えたのか:本村洋の3300日』(2010年、新潮文庫)、『甲子園の奇跡:斎藤佑樹早実百年物語』(2011年、講談社文庫)、『この命、義に捧ぐ:台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(2013年、角川文庫)、『蒼海に消ゆ:祖国アメリカへ特攻した海軍少尉「松藤大治」の生涯』(2015年、角川文庫)、『死の淵を見た男:吉田昌郎福島第一原発』(2016年、角川文庫)など

*3:著書『満州唱歌よ、もう一度』(2003年、扶桑社)、『野口健が聞いた英霊の声なき声:戦没者遺骨収集のいま』(2009年、産経新聞出版)、『北朝鮮に消えた歌声:永田絃次郎の生涯』(2011年、新潮社)、『日本から男の子を育てる場所が消えていく:ボーイスカウトの凋落が日本をダメにした!』(2011年、主婦の友新書)、『旧制高校:真のエリートのつくり方』(2013年、産経新聞出版)、『アキとカズ:遥かなる祖国』(2015年、集広舎)、『「イムジン河」物語』(2016年、アルファベータブックス)、『満洲化物語』(2017年、集広舎)

*4:中国は「同化政策などしていない、民族文化はきちんと守ってる」といってますし、実際どうなのか知りませんが。

*5:ただしこの回顧録は1990年代に慰安婦問題が表面化する前に出版されたものです。この回顧録が問題にされるようになると中曽根は「記憶にない」などと言って逃げるようになります。

*6:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*7:小渕、森内閣文相(科学技術庁長官兼務)、麻生内閣外相、自民党参院議員会長など歴任

*8:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを経て幹事長

*9:『日中再考』(2003年、扶桑社文庫)、『中国「反日」の虚妄』(2005年、PHP研究所)、『外交崩壊:中国・北朝鮮になぜ卑屈なのか』(2006年、文春文庫)、『「日中友好」のまぼろし』(2006年、徳間文庫)、『憲法が日本を亡ぼす』(2011年、海竜社)、『「無法」中国との戦い方』、『「中国の正体」を暴く』(2012年、小学館101新書)、『中・韓「反日ロビー」の実像』(2013年、PHP研究所)、『古森義久オバマ習近平朴槿恵金正恩を斬る:反日勢力をのさばらせた朝日新聞と外務省の大罪』(2015年、テーミス)、『戦争がイヤなら 憲法を変えなさい』(2017年、飛鳥新社)などウヨ著書多数

*10:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*11:なんか「日本への石油輸入」が「今の北朝鮮制裁並みに」全面的に禁止されたかのような表現ですが、実際にされていたことは「米国とオランダ領インドネシアからの対日石油禁輸」にすぎません。ただし当時は中東油田は稼働しておらず、日本の輸入石油のほとんどが「米国とオランダ領インドネシア」だったため日本は石油不足に苦しむことになります。

*12:北朝鮮の国力を考えればあり得ない話ですが

*13:『悪韓論』(2013年、新潮新書)、『呆韓論』(2013年、産経新聞出版)、『韓国は裏切る』(2016年、新潮新書)、『崩韓論』(2017年、産経新聞出版)など嫌韓国ウヨ著書多数

*14:産経元ソウル支局長。著書『なぜ私は韓国に勝てたか:朴槿惠政権との500日戦争』(2016年、産経新聞出版

*15:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相、自民党幹事長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*16:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*17:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相を歴任

*18:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*19:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相を経て首相

*20:中曽根内閣科学技術庁長官、宮澤内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任

*21:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相などを経て首相

*22:片山内閣逓信相、鳩山内閣運輸相、岸内閣経済企画庁長官(科学技術庁長官兼務)、池田内閣科学技術庁長官、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*23:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相などを経て首相

*24:アイゼンハワー政権副大統領を経て大統領