今日の中国ニュース(2020年8月17日分)

欧州で中国への傾斜を強める「怨念の民族」とは【コメントライナー】:時事ドットコム追手門学院大学教授・佐藤伸行*1

 セルビア人と聞けば、100年以上前、民族主義過激派の青年がサラエボオーストリア皇位継承者夫妻を暗殺し、第1次世界大戦のきっかけをつくったことを思い出す向きもあるだろうが、端的に言ってしまえば、「怨念の民族」である。他民族から受けた屈辱は、そう簡単に忘れるものではない。

 いやいやその程度で「怨念の民族」呼ばわりねえ(苦笑)。そりゃ「セルビア人」に限らず、ほとんどの民族は「外国(異民族)による侵略や植民地支配などの屈辱」は忘れないでしょうよ。「太平洋戦争で米国で戦った歴史を忘れてしまった」のか、米軍が沖縄で無法を働こうと黙認する日本人の方がおかしい。

 今から20年ほど前、一向にやまないコソボ紛争に業を煮やした北大西洋条約機構NATO)軍が、当時のユーゴスラビア(実体はセルビア)を2カ月以上にわたって空爆した。
 その間、孤立無援の絶望的なムードが重く垂れこめる首都ベオグラードでは、「中国人民解放軍が救援に来てくれる」という流言が広まっていた。

 「ホンマかいな?」ですね。セルビアと軍事同盟を結んでるわけでも無いのに中国がそんなことをすると思う人間が本当にいるのか。

 ベオグラードの中国大使館がNATO軍機に「誤爆」された際には、セルビアと中国は「血の友情」を固めたかのようだった。

 何をどう固めたのかさっぱり分かりません。

 セルビア人には長らく、欧米よりも中国に近寄っていく外交メンタリティーが醸成されていたと思われる。
 セルビアは今、「欧州における中国のトロイの木馬」と呼ばれるまでになったが、 中国の「一帯一路」構想が動きだす前から既に、中国とセルビアの戦略的な提携は形成されていた。
 2008年、セルビアから独立を宣言したコソボを、中国は承認しなかった。翌年、中国とセルビアは、戦略的パートナーシップを締結した。劉暁波氏のノーベル平和賞授与式も、セルビアは一時、ボイコットする構えを見せた。
 その後も、セルビアの中国への同調は続く。セルビア民族主義者であるブーチッチ大統領の与党は、新疆ウイグル自治区における中国の過酷な対ウイグル民族政策について、テロリズムと過激主義に対する戦いであると位置づけ、これを支持すると公言した。
 最近も、ブーチッチ大統領自身が、香港の「一国二制度」を事実上廃棄する国家安全維持法を支持する旨を明言した。
 セルビアは、欧州の国として初めて、中国の攻撃用無人機を導入するなど、軍事協力も緊密化している。

 単にギブアンドテイクの関係にすぎませんよねえ。中国はセルビアへの経済進出をもくろみ「コソボ独立不承認」などでセルビアに「好意」を示した。一方で、「経済大国・中国の経済進出ウエルカム」が最大の理由でしょうが、セルビアもそんな中国に「中国のウイグル統治擁護」「国家安全維持法支持」等で応えたわけです。「経済大国・中国の経済進出ウエルカム」で「中国のウイグル統治擁護」「国家安全維持法支持」等を表明している国はもちろんセルビアだけでは無い。
 これについては

どこか違和感が……。「習近平兄さん、ありがとう」巨大看板の不思議(西岡省二) - 個人 - Yahoo!ニュース
 AP通信によると、中国のセルビアへの近年の投資には、高速道路、鉄道、発電所への融資の推定60億ドル(約6400億円)に加え、第5世代移動通信システム(5G)ネットワークや顔認識監視機器の契約もある。
 一方で、セルビア欧州連合(EU)加盟を「外交の最優先課題」と掲げる。2009年に加盟を申請し、2014年に交渉を開始し、順調にいけば2025年に実現するとされる。
 セルビアは(ボーガス注:中国のセルビアへの経済進出をもくろんで)中国にすり寄りつつ、EU加盟を目指す。このため、両者の間で板挟みになることもある。
 中国の民主活動家、劉暁波氏が2010年12月、ノーベル平和賞を受けた際、これに反発する中国への配慮から18カ国の大使館が授賞式への招待を断った。その中に当初、セルビアも含まれていた。イェレミッチ外相(当時)は「セルビアの最も重要なパートナーとの良好な関係を維持するため」と表明していた。
 ところが欧州委員会セルビアに対して「極めて遺憾」「人権擁護はEUの基本的価値観の一つであり、EU加盟を目指す国が価値観を共有することを望む」と求めた結果、セルビアは首相特使を派遣する方針に転換した――という例がある。

中国人客の誘致に力入れるセルビア 「一帯一路」で緊密、夏の観光復興期待 (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
 セルビアは5月15日、新型コロナ感染症が最初に発生した中国の観光客を対象に誘致キャンペーンを開始した。国内の遺跡や山岳リゾート、首都ベオグラードでの充実したナイトライフを売り込むために、中国の電子商取引(EC)会社アリババ傘下の中国人向けプラットフォームを活用している。
 今回の中国人観光客の誘致計画は理にかなう。今の中国の新型コロナ感染率は感染拡大に後から見舞われた欧州の大半の国々をはるかに下回る。また昨年、セルビアを訪れた中国人観光客は前年より4割余り増えて14万5000人と、国別では最も多かった。

と言う指摘もあります。もちろん何も「経済大国中国」に期待しているのはセルビアに限りません。「日本」も期待している国だからこそ「今年秋に習主席訪日予定」のわけです。


尖閣管理へ議員立法 自民有志が勉強会発足、中国を批判 - 産経ニュース

 自民党有志は17日午前、沖縄県尖閣諸島の管理強化を目指す勉強会「尖閣諸島の調査・開発を進める会」を発足させた。呼び掛け人代表の稲田朋美*2幹事長代行は設立総会で「力を背景にした中国の侵犯行為はエスカレートしている」と批判。実効支配を確実にするため、政府に尖閣固有の生態系や周辺海域の調査を求める議員立法の策定に意欲を示した。

 夫婦別姓支持、シングルマザーの経済支援などを口にしたところで結局、稲田は「ウヨ的な方面」から完全に手を引くことはないのでしょう。


習氏「食べ残し断固阻止」 食料不足懸念か―中国:時事ドットコム
 今風に言えば「食品ロス(フードロス)」について習主席の発言があったという話です。
 しかし日本や欧米だって食品ロスは問題になってるのに

 中国では今年、長江流域を中心に大雨による水害が起きている。食料の輸入先である米国との関係が極めて悪化していることも不安材料だ。習氏は米国との対立が深まる中、「自力更生」「持久戦」を訴えてきた。今回の「食べ残し禁止」の呼び掛けも長期的な覚悟を国民に求めたものといえる。

なんて特異な理解をする必要があるんでしょうか?

参考
食品ロスについて知る・学ぶ | 消費者庁
食品ロスとは:農林水産省

食品ロス - Wikipedia
・2018年12月に超党派の「食品ロス削減及びフードバンク支援を推進する議員連盟」が設立され、翌2019年5月24日に食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)が議員立法として成立した。

【近ごろ都に流行るもの】賞味期限切れ食品「20円」 食品ロスの究極対策(1/4ページ) - 産経ニュース(2019.3.16)
 「ルピシア ボンマルシェ」代官山店(東京都渋谷区)では、賞味期限切れのクッキー缶やチョコレート、お茶、梅干し、調味料などを20円均一で販売している。
 賞味期限切れの販売は昨年1月からスタートした。
 ルピシアグルマン相談役の中江昭英さん(64)は「法律上の問題はないが、売ってもいいのかという議論はありました。しかし、デンマークには賞味期限切れ食品専門店もあり、日本人だって昔は個人の判断で食べていた。自己責任でお召し上がりいただくことは、食品ロス問題を考える契機になる」と語った。
 筆者も取材を機に、1カ月前に賞味期限が切れたタイカレーのペーストを20円で買ってみた。さっそく自宅で調理すると、本格的なスパイスが複雑に香り立ち「賞味」にも全く問題なし。保管状況や期限切れの期間にもよるのだろうが、これは活用しない手はない。率直な感想だ。

*1:時事通信ワシントン支局長、編集委員などを経て追手門学院大学教授。著書『世界最強の女帝 メルケルの謎』(2016年、文春新書)

*2:第二次安倍内閣行革相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣防衛相などを経て現在、自民党幹事長代行