性に関しては、著名人でも「凡人以下」のことがあるのが何ともげんなり(2023年2月23日記載)

 金と性に関しては、万人が凡人以下だと思う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)を読んでの感想ですね。
 業務上横領、収賄、脱税など「金銭欲のために人生を棒に振る」というのは「秘密裏にやり、二重帳簿などで隠蔽工作すれば被害が発覚しないことがあり得ること」もあって「ある意味理解もしやすい(支持するでは勿論ない)」のですが、性犯罪の場合は「被害者がいるので発覚の可能性が高い」上にどう見ても「依存症(病気)」ですからねえ。しかも

ケヴィン・スペイシー - Wikipedia
 1995年に『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー助演男優賞を、1999年に『アメリカン・ビューティー』でアカデミー主演男優賞を受賞し、俳優としての地位を確立。しかし2017年、複数の俳優が彼のセクハラを告発。その結果、主演ドラマ『ハウス・オブ・カード』を降板(彼が演じたフランシス・アンダーウッドは第6シリーズでは死亡した設定に変更し、主役を変更)。
 撮影を終えて公開間近であった映画『ゲティ家の身代金』は、クリストファー・プラマー*1が代役に立てられ、スペイシーの全出演シーンが撮り直された。なお、スペイシー降板後の報道によると、リドリー・スコット*2監督は最初からプラマーを「ゲティ石油社長」ジャン・ゲティ役に起用する予定だったが、スタジオが大物俳優の起用を望んだため、スペイシーにオファーが出たのだという。
 2018年公開の映画『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』は、告発より前の2016年に完成していたこともあり、セクハラを黙認しない旨とキャスト・スタッフの努力を届けたいという思いを配給側が発表した上で、スペイシーの出演シーンに手を加えず公開に踏み切った(スペイシーは事実上、業界から追放)。
朴元淳 - Wikipedia
 ソウル市長在任中に浮上したセクハラ疑惑を苦にして自殺

など「何でそんな著名人が?」というケースあるいは「(警官、教師、宗教者など立場上そんなことがばれたら大問題になる)何でそんな立場の人間が?」と言うケースが往々にしてある。
 植草一秀 - Wikipediaなんか「痴漢→2004年に早大教授を懲戒解雇→また痴漢→早大教授解雇後に採用された名古屋商科大教授を2006年に懲戒解雇」ですからねえ。植草*3の学者としての能力を評価し、「もう二度としない」と言う反省の弁をあえて信じたのだとしても名古屋商科大も随分リスキーなことをしたもんですが、それでもその信頼を裏切ってしまうのだから植草も本当にどうしようもない。以下、ググってヒットしたセクハラ等関係記事をいくつか紹介しておきます。

蟻川恒正 - Wikipedia
 1964年生まれ。東大助手、東北大助教授、教授などを経て2006年4月から東大教授。2007年5月11日、東京都迷惑防止条例違反(山手線内での20歳女性会社員の尻に触れた痴漢容疑)で、被害女性に取り押さえられ、新宿駅で駅員に引き渡されたところを警視庁新宿署の警察官に現行犯逮捕された。6月29日に辞職届を提出し、東大教授を辞職。2012年4月から日本大学教授に着任。
【著書】
◆『憲法的思惟:アメリ憲法における「自然」と「知識」』(1994年、創文社
◆『尊厳と身分:憲法的思惟と「日本」という問題』(2016年、岩波書店
◆『憲法解釈権力』(2020年、勁草書房

 「植草の解雇」があれほど報道されても痴漢するというのはもはや病気でしょう。
 「今のところ痴漢行為での逮捕はない」「2007年の東大教授辞職から2012年の日大教授採用まで約5年のスパンがある(再犯の可能性は低いと判断?)」とはいえ、日大教授への採用は「早大を解雇された植草」を名古屋商科大が採用したような話(植草はその期待を裏切り再度犯行し、名古屋商科大を懲戒解雇)であり、随分と日大*4も「勇敢」です。なお、逮捕後の「単著の刊行」が2016年と「逮捕の2007年」「日大採用の2012年」からしばらく間が開いてるのはいかに有能な人間とは言え「また痴漢で日大解雇のリスクがある人間」の著書を出すことを岩波もさすがに躊躇したのでしょう。で岩波の刊行後から4年経って勁草書房も出すことを決意したと。


セクハラは1回でも降格を前提 パナソニック子会社が罰則を導入:朝日新聞デジタル
 「本当にどんなレベルのセクハラでも降格で臨むのか?」と疑問に思いますが普通の人間ならここまで発表されたら「悪質なセクハラは絶対にしない」でしょうがまあ、これでも「性依存症」と言っていいレベルの人間はやってしまうのでしょう。


教え子との交際は「自由恋愛」か「グルーミング」か…元上智大教授の「セクハラ裁判」判決へ(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース*5

 上智大元教授で、美術評論家林道郎*6から、10年にわたりセクハラを受けたとして、教え子だった女性が訴えている裁判の判決が3月27日、東京地裁で言い渡される。
 裁判で、女性側は林氏による「グルーミング」(手なづけ)があったと主張している。
 これに対して、林氏側は「自由恋愛だった」と反論し、両者の主張は真っ向から対立しており、裁判所の判断が注目される。
 グルーミングは近年、社会問題化しており、現在、法務省の法制審議会で議論が進んでいる性犯罪に関わる刑法改正でも、子どもに対する「グルーミング罪」が新設される見通しとなっている。
 上智大は2022年2月、林氏が女性と不適切な関係にあったことを認め、「教育者の姿から逸脱した行為」だとして、林氏を懲戒解雇している。

 大学が懲戒解雇をしている以上、素直に考えれば「自由恋愛」と言う言い訳は通用しないでしょう。
 しかし「京大教授だった矢野暢*7(1993年に京大教授を辞職に追い込まれる)」など過去にこの種のセクハラが大学で何度も問題になってもこうしてやらかす奴がいるのだから「性依存症は病気」ですね。
 それはともかく「上司、部下」「教師、学生」等といった上下関係を悪用し「セクハラなどの性暴力」を「信頼関係の証であり人権侵害ではない」として洗脳し、被害意識を失わせることをグルーミングと言うそうです。無知なので今回初めて知りましたが。
参考

「かわいいね」から始まる性犯罪 子どもを懐柔、グルーミングとは?:朝日新聞デジタル2023.2.21
 わいせつ目的を隠して子どもに接近し、てなずける「性的グルーミング」を禁じる改正刑法案が今国会に提出される見通しだ。
 グルーミングはもともと「毛づくろい」の意味。性的グルーミングは、性的な目的を隠してSNSで子どもの相談に乗るなどして信頼させる行為を指す。その後、子どもが性行為を求められたり性的画像を撮られたりといった被害につながるおそれがある。
 法制審議会(法相の諮問機関)の部会は3日にまとめた刑法改正の要綱案に「性的グルーミング罪」の新設を盛り込んだ。
 わいせつ目的で16歳未満の子どもを誘惑して会うことを要求した場合、「1年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」を科すなどの内容だ。
 性被害の発覚後も、子どもは周りの大人に「(相手とは)付き合っている」と話すこともあるという。何度も接した相手に心理的に好感を抱きやすくなる「単純接触効果」も影響しているとみられる。
 子どもの多くはグルーミングによる性被害を「普通のことだと思った」「何が起きているか理解できなかった」と振り返るという。

*1:1929~2021年。『人生はビギナーズ』(2010年公開)で、82歳でアカデミー助演男優賞を受賞(現在も最高齢の受賞者)。『ゲティ家の身代金』(2017年公開)で88歳でアカデミー助演男優賞にノミネート(現在も最高齢のノミネート、なお受賞者は『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェル)。

*2:2001年、『グラディエーター』でアカデミー賞作品賞を受賞

*3:著書『金利・為替・株価の政治経済学』(1992年、岩波書店)、『現代日本経済政策論』(2001年、岩波書店)。痴漢逮捕後は『消費増税亡国論』(2012年、飛鳥新社)、『日本経済撃墜』(2013年、ビジネス社)、『「国富」喪失』(2017年、詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強の資産倍増術』(2020年、コスミック出版)、『千載一遇の金融大波乱』、『日本経済の黒い霧』(以上、2022年、ビジネス社)など本は出してるものの岩波のような大手からは出さない(恐らく出せない)植草です。

*4:こんなことを言ったら日大関係者も「馬鹿にするな!」と怒るでしょうが慶応や早稲田に比べたら「東大→日大」は格落ちでしょうが、辞任の経緯が痴漢だけにそんな贅沢も言えないわけです。

*5:一般論で言えば「自由恋愛」といえる場合もあるでしょう。

*6:著書『死者とともに生きる:ボードリヤール『象徴交換と死』を読み直す』(2015年、現代書館)、『静かに狂う眼差し:現代美術覚書』(2017年、水声社

*7:1936~1999年。著書『「南進」の系譜』(1975年、中公新書)、『日本の南洋史観』(1979年、中公新書)、『南北問題の政治学』(1982年、中公新書)など