【ネタ】今年もみんなの期待を裏切らない産経のネタ芸人ぶり

「【from Editor】特別版 キーワード外さぬ“物言う新聞” (2010.1/1)(編集局長・片山雅文)」(http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100101/stt1001011507000-n1.htm)から一部引用。

 報道に際してはいつも「キーワード」を間違えないよう心がけている。見出しだけでなく、ニュースの本質や背景をきちんと押さえるという意味である。
 例えば、ノーベル平和賞授賞式でのオバマ米大統領の演説。核廃絶を訴えたプラハ宣言などが評価されての受賞だったが、演説では「平和維持で一定の役割がある」と戦争の意義を認めた。シビアな国際政治の世界に生きる米大統領として当然ともいえる発言だが、崇高な理念がうたいあげられると信じていた人々には驚愕だったろう。
 いうまでもなく、このニュースのキーワードは「核廃絶」ではなく、「戦争の意義」となる。

 「いうまでもなく」じゃねーよ!。じゃ、産経記事の見出しは「戦争の意義」だったのかよ!。
と思って調べてみると

・【主張】オバマ受賞演説・対テロ戦争の場に変えた(2009.12.12)*1
ノーベル平和賞を受賞したオバマ米大統領は、2つの戦争を抱える「現実」と核廃絶の「理想」のジレンマに陥っていたのだろうか。そうではない。オスロの受賞演説ではむしろ、犠牲を伴っても対テロ戦争を戦い抜く決意表明の場に授賞式を活用していた。
 オバマ大統領の平和賞受賞をめぐっては「就任1年で何の実績もない」とする批判が米国内で広がっていた。大統領が掲げた「核なき世界」への理想論に対しても、核超大国として現実からの遊離が懸念されていた。
 ノーベル賞委員会もそれと知りながら、大統領が理想から逸脱しないように平和賞で縛りつけたともいえる。これに対し、大統領の受賞演説は「私は2つの戦争の渦中にある国の最高司令官である」という事実をあげ、世界の聴衆を現実世界に引き戻した。
 その上で「望ましいというだけでは平和は達成できない」「平和には責任と犠牲が伴う」と指摘して、やむを得ぬ武力の必要性を強調した。アフガニスタンへの3万人増派の正当性を訴えたのだ。
 日本でオバマ大統領といえば、4月のプラハ演説によって、核廃絶を目指す「平和の司祭」と受け取られていた。
 しかし、武力行使を伴わない外交戦略には、(1)法律戦(2)世論戦(3)心理戦−の3つが含まれている。法的な優位を獲得した後に、世論を啓発し、自国の利益に引きつける。大統領の核廃絶という理想主義のウラには、国際テロリストへの核流出や拡散を防ぐ狙いがあったことに気づくべきだ。
 さらに、中国の「核兵器増強」への牽制、核拡散防止条約(NPT)体制の維持も含まれ、国益に基づく緻密な計算があった。その意味で、4月のプラハ演説と今回のオスロ演説の間には表現の違いだけで何の矛盾もない。
 プラハ演説はまず、米国の道義的責任をうたい、「核なき世界」を目指すとして倫理的な優位を巧みに印象づけた。だが、真意はその次にくる。「核兵器が存在する限り、いかなる敵であろうとこれを抑止する」とし、「規則を破れば必ずその報いを受ける制度を構築する」と織り込んだ。
 鳩山由紀夫首相のように、オバマ発言をもって、彼が「平和主義の司祭」であると考える人はよほどの楽天家である。首相が行うべきは、日米の共通利益と互いのコストをはじき出すことである。

「主張」(産経の社説)は確かに、片山局長のおっしゃる通りの方向性。
しかし、
『「核なき世界追求」オバマ米大統領ノーベル平和賞授賞式に出席(2009.12.10)【オスロ=木村正人】』(http://sankei.jp.msn.com/world/america/091210/amr0912102312012-n1.htm)はかなり方向性が違う。

 ノーベル平和賞の授賞式が10日午後(日本時間同日夜)、ノルウェーオスロ市庁舎で開かれ、「核兵器のない世界」を目指すなど国際協調と対話に基づく外交を進めるバラク・オバマ米大統領(48)に、記念メダルと賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億2400万円)が贈られた。大統領は記念演説で「核兵器拡散を阻止し、核兵器のない世界を追求する取り組みが急務だ」と改めて決意を表明。「米国は単独で行動できない」と、多国間協調主義に基づき指導力を発揮していく考えを強調した。
 大統領は平和賞について「深い感謝と大きな慎みをもってこの名誉を受ける」と述べた。そのうえで「私たちは今、戦争を遂行している。祖国から遠く離れた地で命を危険にさらしている若き兵士たちへの責任を私は負っている」と、イラクアフガニスタンという「二つの戦争の最中にある米軍最高司令官」としての立場に正面から言及した。
 また「交渉は国際テロ組織アルカーイダの指導者に武器を放棄させることはできない」と対話には限界もあるとし、「戦争は平和を維持する一定の役割をもっている。米国が先の大戦後60年間にわたり血を流し軍事を増強することで、世界の安全を支えてきたことは明白な事実だ」と述べた。
 同時に、「米国は世界の安定への責務を決して放棄しないが、1国では行動できない」と強調。米国が単独で軍事力を行使する可能性も否定した。
 「核拡散防止条約(NPT)体制は私の外交政策の要だ」とし、北朝鮮とイランに警告。コペンハーゲンの気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で協議中の地球温暖化対策で「世界は協力しなければならない」と述べた。
 大統領は授賞式に先立ちノーベル研究所で記念の記帳を済ませ、米公民権運動指導者キング牧師の平和賞受賞(1964年)について「世界に衝撃的な影響を与えただけでなく、米国内での彼の影響力を増した」と感慨深げに語った。記念講演でも「暴力は永遠の平和をもたらさない」という同牧師の言葉を引用した。

片山局長の立場だと、木村記者の記事はどうなるのだろうか?
「キーワードを外しただめな記事」ですか?
まさか、編集局長なのに、この記事の存在を知らない訳じゃないよね?

*1:なお、この産経社説にはすでにid:pr3氏が「産経、オバマ大統領を熱烈支持。」(http://d.hatena.ne.jp/pr3/20091212/1260630262)で突っ込んでいる。