今日のMSN産経ニュース(10/6分)(追記あり)

産経抄】10月6日
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131006/erp13100603080001-n1.htm

世界中どころか、受賞者が出た国でも全面的に歓迎されるケースは少ない。

そりゃそうでしょう。受賞者について言えば「1935年のカール・フォン・オシエツキー(ドイツ)」「1975年のサハロフ(ソ連)」「1983年のワレサポーランド)」「1980年のアドルフォ・エスキベル(アルゼンチン*1)」「1984年のデズモンド・ツツ司教(南アフリカ)」「1991年のアウンサンスーチーミャンマー)」「2003年のシリン・エバディ(イラン)」「2010年の劉暁波(中国)」なんかは「自国政府批判」でもらってるんだから少なくとも政府が歓迎するわけがない(ウィキペ「ノーベル平和賞」参照)。

1974年、「非核三原則*2」など*3による佐藤栄作*4元首相の受賞を多くの日本国民は素直に喜んだ。だが左翼系マスコミは「資格があるのか」などと、冷淡だった。

 左翼系マスコミって。保守でも「ベトナム戦争を支持した」「造船疑獄の灰色高官」「兄・岸信介*5元首相がA級戦犯容疑者で自分も岸に近い考え」の佐藤の受賞に批判的な人間はいると思いますけどね。大体、国民だからって自国民の受賞を支持しないと行けないわけでもないし、実際支持しない人間なんかいくらでもいるわけです。
 たとえば「太陽政策」で受賞した金大中韓国大統領を「北朝鮮への追従だ」と敵視する極右韓国人なんかは評価しないわけです。
 「温暖化防止運動」で受賞したアル・ゴア元副大統領(2007年受賞)を、「温暖化防止運動を敵視する極右米国人」なんかは評価しないわけです。で金大中やゴアが嫌いな産経はそういう極右米国人、極右韓国人を支持するんだから、まあ、ご都合主義な話です。
 つうかよく考えたら産経って「大江健三郎氏のノーベル文学賞受賞」に対して「日本国民の快挙」って喜んでましたっけ?

1994年、大江健三郎氏のノーベル文学賞受賞を多くの日本国民は素直に喜んだ。だが右翼系マスコミ(例:産経)は「資格があるのか」などと、冷淡だった。

んじゃないんですか?

今年のその平和賞にロシアのプーチン大統領を推す動きがあるという。シリアの化学兵器問題で、米国の軍事行動を防ぐ提案を行い、流血の事態を避けたからという理由だ。

まあ、可能性はあるんじゃないですかね。産経が言うように「シリア問題はまだ解決していない」し、「プーチンの国内政治は独裁的と非難される」けれど「シリアの戦争をロシア提案で避けた」ってのは大きな手柄ですし「この方向でシリア問題を解決してほしい」という期待であえて受賞ってことはありうるんじゃないか。

どうしても平和賞をというなら良い考えがある。北方領土を即刻、無条件で日本に返すことだ。

ばかばかしいですね。この前の文章で「プーチンは独裁的という批判があるからふさわしくないんじゃないか」と言っていたのはどこに行ってしまったんでしょうか。
大体、現実問題としてそんなことがあるわけもないでしょうに。

*1:当時のアルゼンチンは軍事独裁政権です

*2:非核三原則のうち「持ち込ませず」は嘘だったことが後に判明しました

*3:「など」の一つは「沖縄返還」です。何で「沖縄返還」を書かないのかよくわかりませんが

*4:岸内閣蔵相、池田内閣通産相などを経て首相

*5:自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相