【産経抄】7月20日(追記・訂正あり)

 「美貌の女スパイ」といわれたアンナ・チャップマン元被告(28)への注目度は高かった。

 注目度が高かったって、スポーツ紙とかワイドショーとか、そういうゴシップ的な注目度ですけどね。
 それと産経らしく「美しすぎる女スパイ」って書けばいいのに?。

【産経の「美しすぎる」シリーズ】
 一部「美人過ぎる」とか変形パターンもありますが。他にも「美しすぎる海女」とかいろいろあった気がするのですが、今のところ産経新聞サイトで見つかったのは以下の通りです。

■「「美しすぎる市議」が自民党大会で登壇」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100124/stt1001241232011-n1.htm

 一番最初の「美しすぎる」はもちろん藤川優里市議。産経がその後も「美しすぎる」をネタとして乱発するとは思ってもみなかった(苦笑)。

■「美しすぎるスパイの甘すぎた手口」
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100710/amr1007101800009-n1.htm

 アンナ・チャップマン元被告についての記事。

■「“美しすぎる首相”に捜査の手」
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100513/erp1005131851012-n1.htm

 ウクライナティモシェンコ首相についての記事。

■「【W杯】パラグアイの「美しすぎるサポーター」代表選手らに「ヌードの贈り物」」
http://sankei.jp.msn.com/sports/soccer/100708/scr1007081119023-n1.htm

■「美しすぎる日本初の女性機長…素顔は「努力と根性の人」」
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100717/biz1007171201010-n1.htm

 失礼ながら「美人」の部類に入るとは思いますが、「美しすぎる」というのは言い過ぎかと思います。別にモデルとかじゃなくて機長ですからね。顔で勝負してるわけじゃない。
 大体、「日本初(←ここが一番のニュースバリュー)の女性機長」にわざわざ「美しすぎる」ってつける必要もないんですが。

■「「美しすぎる記者」中国国営通信社が激写」
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100305/chn1003050855001-n1.htm

■「今度は「美人すぎる花火売り」ネットで人気沸騰・中国」
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100217/chn1002170901002-n1.htm

■「“美人すぎる管理栄養士”森崎友紀、グラビア初挑戦」
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/100711/tnr1007111053003-n1.htm

 興味本位な報道が目立ったのは、彼女らの活動が、国家の安全保障を脅かすほどではなかったからかもしれない。

 でしょうね。これが冷戦期だったら、全然違う報道になったでしょう。

 金賢姫工作員の自供がなかったら、日本人テロリストの犯行とされ、日本は国際社会から孤立する恐れすらあった。

金賢姫工作員の自供がなかったら、日本人テロリストの犯行とされ」


 それはさすがにないでしょう。金元工作員が共犯者同様、自殺していたとしても北の犯行と断定されたでしょう。生き残ったことで、いろいろと北の内情が分かったこと、北も言い逃れしにくくなったことは良いことですが。
 ちなみに金氏の肩書きはネットニュースによれば次の通りです。どちらかというと「元工作員」の方が多いようです。
 氏とか「さん」って言うのはやはりまずいんですかね。


産経、読売、日経、中日(関東では東京)、時事通信共同通信スポニチ、日刊スポーツ、報知、デイリー、フジ、テレビ朝日テレビ東京:元工作員
朝日、毎日、NHK日本テレビ、TBS:元死刑囚


 こう言う肩書きは誰がどういう基準でつけるんでしょうか?。同じグループなのに朝日新聞とテレ朝、読売と日テレの肩書きが違うのが面白い。
 ネトウヨが愛国認定してるフジ・産経が「元工作員」なのに、反日認定してるTBSや朝日が「元死刑囚」としてることについてネトウヨは「金氏に失礼だ、さすが反日」とか言うんでしょうか?。
 「元死刑囚」は嘘じゃないし、「元死刑囚」より「元工作員」の方が肩書きとして立派とも思えませんが?。
 それと「吊せ吊せ」という死刑愛好家の皆さんは今回は金氏を吊せとは言わないんでしょうか?(毒)
 冗談はともかく、大韓航空機爆破事件の被害者の中には金氏を吊せと言う方もいるようです。吊すより生かした方が、北打倒に役立つし、彼女に罪の償いをさせることも出来ると思いますが、まあ、気持ちは分かります。
 それと今回彼女は特別許可で入国したそうですが、カルデロンさんの時さんざん、特別扱いをdisってた人、どう思いますか(毒)
 そうそう、それと書き忘れてましたけど、ジェンキンスさん(曽我さんの夫)って逃亡兵で、北の情報工作にも荷担してたんですよね(ウィキペディア参照)。日本ではあまり彼を叩く人いないし、私も叩くべきではないと思いますが。民主党政権時代ならネトウヨが「脱走兵を、それも北の情報工作に荷担した男を入国させるなんて」とか言ってたんだろうなあ。


「日本は国際社会から孤立する恐れすらあった」


 日本人テロリストの犯行だとしても、赤軍派よど号グループが犯人のケースなら日本政府が指図してやらせた訳じゃありません。孤立なんかしないのでは?

 最近になって、金元工作員の同僚だった金淑姫(キム・スクヒ)工作員に日本語を教えていた、横田めぐみさんとも会っていたことがわかった。

 最近って。1年も前の話が最近ですか?。
 しかも田口さんのケースは金氏自らが会っていますが、めぐみさんのケースは違います。その上、1年前の産経記事に寄れば「めぐみさんの可能性がある」。金淑姫工作員の所在は不明だし、現時点ではめぐみさんと断定できるような話ではなさそうです。
 なお、どうでもいい話ですが、何故か1年前の記事のタイトルは今回と違い肩書きが「元死刑囚」になっていますね。


「【疑惑の濁流】「めぐみさんが日本語教えた」女スパイ・金賢姫元死刑囚の同僚工作員はどこで何を」
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090214/kor0902141301001-n1.htm

 きょう来日する金元工作員は、めぐみさんの両親に、知っていることすべてを話すという。

 すでに彼女が知ってることは韓国公安当局に全部話してるでしょうし、日本にも韓国公安から知らされているでしょう。北に対し日韓連携して対抗していく事を改めて示すという政治的パフォーマンス、政治的アピールとしての意味以外あまりないと思います。拉致被害者家族の方にはお気の毒ですが。
 しかし、「民主嫌い」の産経なら「参院選敗戦をごまかすための政治的パフォーマンス」とdisるかと思っていたので意外です。

 金元工作員は、そんな祖国の体制維持を、脅かす存在になりつつある。

 北にとって大韓航空機爆破事件の生き証人の彼女はうざいでしょうが、もはや過去の人ではないでしょうか。
 現時点でかなりの大物(天安爆破事件の最高責任者とか)が北から南に亡命すると困るでしょうが、20年前の北の情報しか知らない、末端工作員の一人にしか過ぎない彼女の存在がそれほど怖いかと言ったら疑問です。

【追記】
1)「本日の産経SHOWと阿久根政界NOW:現代のマタハリ?」(http://d.hatena.ne.jp/slapnuts2004/20100720/p1)にコメント。

 その昔、「マタ=ハリ」という女スパイがいました。第一次世界大戦中、フランスの劣勢を覆い隠すように「稀代の女スパイ」と実際以上に過大に喧伝されて死刑になった、ある意味悲劇の人です。

 マタ・ハリですか?。悲劇の女スパイというと私なんかは「川島芳子」を連想してしまうんですが。そう言えば彼女には「東洋のマタ・ハリ」なんてニックネームがありましたね。
 川島も「死刑になった点」や「本当に諜報活動をしていたのか疑問な点」はマタ・ハリに似ています。

私は、多数の人を殺しておいてのうのうとお天道様の下を歩いているという点において絶対に好きにはなれませんし

その気持ちは分かります。北のような独裁国家ではお国に逆らえないだろうから彼女に同情の余地はあると思いますが。反省してればいいんですがこればかりは分かりませんしね。

2)この問題に対する自民の態度。

【金元工作員来日】「政権のパフォーマンスだ」自民党総務会で批判
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100721/stt1007211257007-n1.htm


 21日午前に開かれた自民党総務会で、大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫工作員の来日について、出席者から「まさに政権のパフォーマンス以外何ものでもない」との批判が出た。
 (中略)
 出席者からの批判に、執行部は「ありとあらゆる機会をとらえて、厳しく追及していきたい」と述べ、国会の場で取り上げていく方針を示した。

 なるほど、特別許可など発動するな、元死刑囚など入国させるなと、こういう事ですか?。国民が「その通りだ」と言ってくれるかどうかが問題ですね。下手すると「北擁護か、バカじゃねえの」と非難されかねません。
 しかしパフォーマンスって。小泉さんの訪朝も1回目は真紀子・宗男問題で落ちた支持率を取り戻すための、2回目(2004年5月)は2004年7月参院選挙を有利にするためのパフォーマンスでしょ?(ただし参院選は敗北)。一応、拉致被害者の帰国とかそれなりの結果は出ているから私は評価しますが。