【産経抄】9月1日

 年号がまだ昭和だったころ、駆け出しの支局記者だった小欄は、「記事は短く、端的に」「手垢のついた表現はするな」と支局長やデスクからたたきこまれた。とはいっても言うは易く、行うは難し。

・たたき込まれたにしてはアホな文章が抄子に多いのはどういうことでしょう(毒)
 しかもこの文章はオチが民主党叩きだから論理展開のアクロバットにも程がある。
 また、手垢のついた表現は良くないと言いながら「宇宙人」鳩山と、手垢のついた表現を平気で書くのには恐れ入ります。
 だいたい今回の件は是非はともかく「宇宙人」云々というほど鳩山氏の動きは意味不明な行為ではないでしょう。
・ちなみに関口孝夫氏(元・赤旗編集局長)の著書「ザ・取材」には渋川環樹・赤旗編集次長からたたき込まれたといういくつかの格言があるので紹介しましょう。主として「現場主義」+「わかりやすい文章」ということでしょうか。産経の記者には耳が痛いかも知れない。
・渋川氏は元々は読売の記者でしたが読売争議に関わったことで正力松太郎ら右翼幹部ににらまれ、読売を退社、赤旗に移籍したという方です。父親の渋川玄耳朝日新聞社会部長時代に夏目漱石を朝日にスカウトしたことで有名です。(他に読売争議に関わったことで正力松太郎ら右翼幹部ににらまれ、読売から赤旗入りした人間としては「回想の読売争議」(新日本出版社)の著者・宮本太郎氏がいる)

「とにかく現場にいけ、ものになるかどうかは現場を踏まなければ分からないだろう。」
「電話で人に話だけ聞いてすまそうとするな。目で見て確かめてこい。その耳で直接聞いてこい。周りの雰囲気を身体で覚えてこい」
「筆が進まないのは事実が少ないからだ。事実の薄さを修飾語、形容詞でごまかそうとするな」
「前文に力を注げ、そこで苦しめば後は楽だ」
「いったん渡した原稿は割り付け上、整理部にけつを削られても文句を言うな。削られて困るようなことは最初に書いておけ」
「一つの記事に同じ表現を二度使うな」
「文語調のもったいぶった表現は使うな」
「接続詞は要らない」
「記事は単文の積み重ね、志賀直哉型だ」
「長い文章は主語と述語を出来るだけ近づけろ」
「(地方取材でルポを書く場合)その土地の匂いがしない、東京にいても書けるようなルポじゃダメだ」
「ディテール(細部)を書け」