珍右翼・高世仁に突っ込む(2023年7/4日分)

歌のちから ビートルズの革命 - 高世仁のジャーナルな日々

 ジャーナリストの有田芳生さん*1が先月12日放送の文化放送大竹まこと ゴールデンラジオ!」に出演したことがニュースになっていた。
 有田さんは去年8月の日テレ系「スッキリ」で、統一協会について「霊感商法をやってきた反社会的集団だというのは警察庁も認めている」などと発言。10月19日放送の「ゴールデンラジオ」に出演した8日後の27日、教団から「スッキリ」での発言で名誉棄損されたとして東京地裁に提訴された。提訴のあと、テレビ、ラジオの出演がパタッと止まっていたが、8カ月ぶりに出演の声がかかったというのだ。
 10日ほど前に有田さんに会ったさい、テレビも復活ですか?と言うと、いやあのラジオ番組一回だけで、テレビなんかは出演依頼ぜんぜんないよとのこと。日本の放送メディアの軟弱なことよ。
 スラップ訴訟(たくさんのお金、時間、労力を裁判で使わせて消耗させることにより言論を封殺する目的で起こす訴訟*2)がはびこるのは、メディアを萎縮させることに実際に効果があるからだ。取り締まるべし。

 有田氏の出演については以下を紹介しておきます。
旧統一教会から名誉毀損で訴えられた有田芳生が鋭く斬り込む「これが統一教会なんです」 | 文化放送
有田芳生氏 メディアに8か月ぶり出演〝下関は統一教会の聖地〟発言はテレ朝のキリトリ主張 | 東スポWEB
 しかし東スポも書くように「文化放送冠番組『田村淳のNewsCLUB』を持つ田村淳」が有田氏を誹謗*3したのによく、文化放送も有田氏を出演させたもんです。
 上層部から番組担当者に「田村や田村が所属する吉本興業の顔を潰すのか」的な圧力はなかったのか?
 なお、スラップの取り締まりに異論はないのですが有田氏の出演がなくなったことに話を限定すれば、話はそういうことではなく
1)一時期と違って統一協会を扱ってもあまり視聴率が取れない
2)

細田*4衆院議長
 例えば赤旗細田衆院議長の統一協会癒着/幕引きどころではない(2023.1.27)参照
◆萩生田*5自民党政調会長
 例えば旧統一教会信者「萩生田さんとの絆は深い」 政界復帰は「神の計画」 [自民]:朝日新聞デジタル(2022.9.22)参照
◆木原官房副長官(岸田派所属、岸田の側近の一人とされる)
 例えば木原官房副長官が旧統一教会友好団体から推薦状 昨年の衆院選で [岸田政権]:朝日新聞デジタル(2022.10.28)参照

など「統一協会との関係が指摘される自民党幹部政治家」や「前会長である安倍元首相が統一協会とズブズブだった安倍派(なお、萩生田は安倍派所属、細田は安倍派の前身の細田派会長)」の反発を恐れてる』
3)有田氏が「山口4区補選」に立民候補として出たことで「立民党を応援するのか」という自民党の因縁を恐れてる
という話ではないか。有田氏以外の「統一協会批判者」鈴木エイト氏*6などの出演がなくなったのは1)、2)が該当するでしょう。
 あるいは文化放送に話を限れば

◆有田氏を過去に誹謗した田村淳の存在(文化放送冠番組『田村淳のNewsCLUB』がある)
◆安倍シンパの右翼である上念司、田中秀臣三橋貴明等をコメンテーターとして自分の冠番組『おはよう寺ちゃん』に出演させる寺島尚正(元文化放送アナウンサー、今はフリー)

等、つまり「文化放送内部の右翼分子の存在」もあるかもしれない。なお、俺は朝はもうTBSラジオ森本毅郎スタンバイ」一択ですね。
 文化放送も朝の番組が『吉田照美 ソコダイジナトコ』(2007~2013年)、『福井謙二 グッモニ』(2013~2017年)の時は今の寺島番組ほど酷くなかったのですが、今の寺島番組は「コメンテーターが極右ばかり」であまりにも酷すぎる。コメンテーターが「山田惠資氏*7」「酒井綱一郎氏*8」「伊藤芳明*9」「渋谷和宏氏*10」などそれなりにまともで、それらのコメンテーターがある程度、自民党批判もする「森本毅郎スタンバイ」とははっきり言って「比較にならない」。
 寺島や田村がどうこう言うより、文化放送上層部が「自民党にすり寄ってる、頭がおかしい集団」なんでしょう。
 勿論「出演がない理由」が「自民党(特に安倍派)への遠慮」等の場合も、「それはそれで問題」ですが。それにしても未だに統一協会に解散命令請求が出ないことには「うんざり」ですね。
 「安倍派(松野官房長官、西村経産相、萩生田政調会長、高木国対委員長など)などに忖度して解散命令請求を出さない気なのか?」と疑います。とはいえ今の内閣支持率では「支持率下降が怖くて」岸田は正式に「出さない」とは言えないでしょうが。
 逆に「支持率アップ狙い」で小泉首相の「訪朝(拉致被害者5人帰国)」「ハンセン病訴訟での控訴断念」のように「解散命令請求」を岸田が出せば、理由はどうあれ出したことは評価するという意味でも、安倍派の反発を抑え込み、衆院戦勝利に向けて打てる手を全部打つ気か、侮れないなと言う意味でも「敵ながらあっぱれ」ですが、岸田にそんなことはできそうもないのが何ともかんとも。
 なお、高世に寄れば「ソ連、東欧で抑圧がかかった」と言うビートルズですが、以下の通り「ソ連、東欧とは性格が違う」とはいえ、「彼らを敵視した守旧派(?)」は西側にも(少なくとも彼らの活動初期には)多数いたわけです。

ビートルズ - Wikipedia
 風紀の乱れ、青少年への悪影響といった批判が増大していき、母国イギリスでは1965年のMBE勲章の叙勲時にその批判が顕在化した。ビートルズへの叙勲*11に抗議する形で勲章を返却する者も現れ、この時は863個の勲章が返却された。
 1965年、イスラエル政府はビートルズの公演を拒否した(ただし、2008年になってイスラエル政府は謝罪の意を公式に表明。これを受けてポール・マッカートニーは2008年9月に同国での公演を行っている)。

ジョン・レノン - Wikipedia
 1966年3月4日、インタビューでジョンは次のような発言をした。
キリスト教は逝っちゃうだろうね。今やビートルズはイエスより人気がある。」
 この発言はイギリスではほとんど問題にならなかったが、7月にアメリカのファンマガジン『デートブック』に再収録されると、アメリカ南部や中西部の保守的キリスト教団体による反ビートルズ活動に結びついた。ラジオ局はビートルズの曲の放送を禁止し、ビートルズのレコードやグッズが燃やされた。ヴァチカンはジョンの言葉を非難し、南アフリカビートルズ音楽のラジオ放送を禁止した。最終的に、1966年8月11日にジョンはシカゴで以下のように釈明会見を行いヴァチカンも彼の謝罪を受容した。
「あの発言には後悔してるよ。神を否定していないし、反キリストでもなければ、反教会でもない。イエスを攻撃したわけでもなければ、貶めたわけでもない。ただ事実を話しただけで、実際アメリカよりイギリスではそうなんだ。ビートルズがイエスより良くて偉大だとは言ってないし、イエスを人として僕らと比べたりもしてない。」
「『今のビートルズは何にもまして大きな影響を若者や状況に与えている、あのキリストよりも』って言ったんだ。そう言ったことが間違って解釈された。」

ビートルズ騒動に思う湯川れい子)2005.9.1
 ビートルズが来日して、来年で満四十年になる。そのせいか、ここにきてビートルズ来日時の取材や、原稿依頼が多く、当時の雑誌などを面白く読み返しているところだ。結局は、そのご当人の鶴の一声であっけなく落着するのだが、ビートルズ招聘元の読売新聞社主で、日本武道館の会長であった正力松太郎*12が、東京公演決定の広告が出て、来日まで一ヶ月しかないという時になって、『べートルスとかペートルスとかいうのは何者か。そんな者を武道館に入れる訳にはいかない』と言ったという報道が出て、大騒ぎになったものだった。そのほんの数日前に、テレビの『時事放談*13』で、時の人気政治評論家の細川隆元*14小汀利得*15が、『あの薄汚い西洋乞食のような連中に、天下の大新聞ともあろうものが、貴重な外貨を使うとは何事か』と噛みついた、といういきさつがあり、右翼の街宣カーまでが、『神聖な武道館を貸すな!』と走り回って、私のような吹けば飛ぶような人間は、ふるえながらも頑張って発言していた。でも、すでに読売側は武道館と印刷した切符を作っていたので、事業部長から頼まれたプロモーターの永島達司氏は、一応飛行機でロンドンまで飛んで、一泊もせずにとんぼ返りで帰る。正力氏に『ビートルズが野外では駄目だと言っています』『あ、そう』で一件落着。あとは正力さんが政治家や右翼を説得。警察庁長官には国を挙げての警備を約束させたという話を、後に永島氏本人の口から聞いて、国というのは怖いものだと知ったのだった。

日本武道館 - Wikipedia
 設立された頃は「日本武道の聖地」的な意味合いが現在以上に強かったため、1966年にビートルズのコンサートが行われた際には、政治評論家の細川隆元を始め「日本の武道文化を冒涜する」などとして異を唱える者も多かった。ビートルズのコンサートが実現して以後は日本における音楽の聖地としても知られるようになり、多くのミュージシャンにとっての憧れの舞台になっている。

*1:著書『歌屋・都はるみ』(1997年、文春文庫)、『テレサ・テン十年目の真実』(2007年、文春文庫)、『ヘイトスピーチとたたかう!』(2013年、岩波書店)、『改訂新版・統一教会とは何か』(2022年、大月書店)、『北朝鮮拉致問題』(2022年、集英社新書)等

*2:有本恵子氏の両親が田原総一朗氏を訴えた訴訟(救う会や家族会が支援)も俺は「救う会、家族会に批判的な言論を封殺する目的のスラップの一種」と思っていますが、「救う会、家族会べったり」高世には恐らくそんな非難はできないでしょうね。

*3:これについては例えば「下関は統一教会の聖地」は統一教会幹部の発言なのに…事実を捻じ曲げて有田芳生を叩いたロンブー田村淳の卑劣|LITERA/リテラ参照

*4:小泉内閣官房長官自民党幹事長(麻生総裁時代)、総務会長(第二次安倍総裁時代)等を経て衆院議長

*5:第四次安倍、菅内閣文科相、岸田内閣経産相等を経て自民党政調会長

*6:著書『自民党統一教会汚染』(2022年、小学館)、『自民党統一教会汚染2』(2023年、小学館)、『「山上徹也」とは何者だったのか』(2023年、講談社+α新書

*7:時事通信政治部長、解説委員、編集部長、解説委員長など歴任

*8:日経ビジネス編集部長、日本経済新聞社常務執行役員デジタル営業局長など歴任

*9:毎日新聞外信部長、編集局長、主筆など歴任

*10:日経ビジネス副編集長、日経ビジネスアソシエ編集長など歴任

*11:なお、ジョン・レノンは1969年に英国のビアフラ戦争への介入に抗議する目的で勲章を返却している(例えば「勲章返します」レノンさんの女王宛て手紙下書き、フリマで - BBCニューステレビ朝日ジョン・レノンさんが英女王に宛てた手紙見つかる参照)

*12:1885~1969年。読売新聞社長、日本テレビ社長など歴任。鳩山、岸内閣で科学技術庁長官

*13:1957~1987年までTBSテレビで放送。1987年からは『日曜放談』に改名して1992年まで放送。その後、復活し、2004~2018年までTBSテレビで放送(時事放談 - Wikipedia参照)

*14:1900~1994年。朝日新聞政治部長、ニューヨーク支局長、編集局長を歴任(細川隆元 - Wikipedia参照)

*15:1889~1972年。中外商業新報(日経新聞の前身)経済部長、編集局長、副社長、日経新聞社長を歴任(小汀利得 - Wikipedia参照)