「前衛」12月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/publish/teiki-zassi/zenei/zenei.html
以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは12月号を読んでください)
■鼎談「いま沖縄のたたかいが問いかけていること:米軍基地・安保、教科書問題、民主主義」(伊波洋一、仲山忠克、赤嶺政賢)
(内容要約)
「基地問題で県内移設を主張して県民を裏切り」、「つくる会教科書を竹富町に押しつけようとしている」民主党政権は許し難い。
■「「社会保障と税の一体改革」のねらいと矛盾」(谷本諭)
(内容要約)
・政府の主張する「社会保障と税の一体改革」は要約すると「消費税増税」と「社会保障の削減」と言える。明らかに「国民の生活が第一」という公約に違反する行為であり、そこに民主党政権の矛盾がある。
■「大震災・原子力災害からの復旧・復興と戦後日本の経済体制の根本的転換」(米田貢)
(内容要約)
・原発はもはや日本に於いて推進すべき政策ではないことが、福島事故によって明らかになったと言える。原発から早急に撤退することが求められている。
・野田政権は消費税増税をもくろんでいるが、復興に於いては「持てる者が応分の負担をすべき」である。所得税や法人税の累進課税強化がまずは求められる。
・復興に於いては上からの復興ではなく「地元住民の意見に耳を傾ける」下からの復興が求められる。
■「無謀な推進政策を断ち、原発ゼロの日本を(上)」(小野秀明)
(内容要約)
原発には「放射性廃棄物の問題(所謂トイレのないマンション問題)」「事故の危険性(特に地震大国日本では事故の危険は高い)」といった問題があり、早急に撤退の方向に向け動くべきである。
・撤退するにせよ、推進するにせよ、「規制する側(保安院)と推進する側(経産省)」が明確に別れていない日本の現状は異常である。これを機に保安院を経産省から独立の組織にすべきだ。
■「「原発利益共同体」の実態を抉る(中)」(小松公生)
(内容要約)
・原発の危険性が軽視されてきた背景には「財界、政界、官僚、御用学者、巨大メディア」5者のもたれあい(志位同志いわく『財界、政界、官僚、御用学者、巨大メディアによる原子力村のペンタゴン(五角形)』があった(筆者はペンタゴンとして名を上げていないが御用労組もこれに入れていいだろう)。
参考:
kojitakenの日記『志位さん、ペンタゴンはいかんよ、ペンタゴンは(笑)』
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20110803/1312326353
こうしたペンタゴンのわかりやすい例として次のような人物を上げることが出来る。
・加納時男
元自民党参院議員、現在、東京電力顧問
・小林正夫、藤原正司
電力総連出身の民主党参院議員
・一部で「御用学者の見本」と大人気の大橋「プルトニウム飲んでも大丈夫」*1弘忠氏(←id:agricola氏の命名。
【追記】「飲んでも大丈夫」が正確な命名だそうです)
参考
NATROMの日記「それはホルミシス効果なのか?東電顧問・加納時男氏のインタビュー」
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20110505#p1
kojitakenの日記『民主党の電力総連出身&小沢派議員・藤原正司の寝言があまりにひどい』
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20110421/1303392406
「大橋弘忠」(ウィキペ参照)
・2005年12月25日、佐賀県主催で開かれた玄海原子力発電所3号機プルサーマル計画についての公開討論会に出席し、プルサーマルを推進する立場で発言。「プルサーマルは現行の軽水炉と同じく安全」、「我々専門家は水蒸気爆発など夢にも考えていない」、「(原子炉)格納容器が破損するなど物理的に考えられない。一億年に一度も無いようなことを問題にする人がいる」、「プルトニウムを水と一緒に飲んでもすぐ体内から排出される」などと述べた。
・2011年の福島第一原発の事故後、過去の“プルトニウムを飲んでもすぐ排出される”との発言について、週刊現代から取材を受けたが「大学からマスコミには何も言うなと言われている」として取材には応じなかった。東大教授・東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦からは、「東大の教授でプルトニウムを飲んでも大丈夫などと言った者がいるが、とんでもない!」と批判された。
最後に赤旗の記事紹介
「原発推進法人は「天下り」指定席、「理事長」に経産省OB、塩川氏が追及」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-05-26/2011052615_01_1.html
「原発マネー 09年「原産協会」会員企業献金、自民7億 民主2300万」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-18/2011091801_01_1.html
「玄海町長 九電と密接関係、受注建設業者の大株主」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-11-02/2011110215_04_1.html
■特集 人間らしい雇用を求めるたたかい
【震災を口実にした「弱者切り捨て」を許さない(大木寿)】
(内容要約)
・震災を口実にした解雇への批判
参考
赤旗
「震災便乗解雇やめて、全労連や自由法曹団」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-14/2011071405_01_1.html
「ソニーの被災地解雇許すな、副会長が政府復興会議委員、参院予算委 山下議員が追及」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-23/2011072301_01_1.html
「震災口実 リストラ許さず、非正規との連帯提案 電機懇が総会」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-18/2011091804_02_1.html
「1カ月雇用を延長、ソニー労組期間社員 会社と協議継続」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-11-01/2011110105_01_1.html
【非正規労働についての国際基準はなにか(筒井晴彦)】
(内容要約)
「非正規労働についての国際基準」はILO規約だが、日本は批准していない規約が多い(こういう時は国際基準を守ろうとは絶対に言わないのが保守の皆さんです)上、批准している規約もまともに遵守しているとは言い難い。「批准した規約を守らせること」「批准していない規約は早急に批准させること」が急務だ。
【働くルール 仏・英の常識と日本の非常識(藤田宏)】
(内容要約)
・「不当解雇の防止」「長時間労働の防止」「失業者のサポート」などどれをとっても日本の労働政策はフランス、イギリスと言ったヨーロッパ先進国に遅れている。ヨーロッパ並みにすることは決して不可能なことではなくむしろ当然のことである。
【パート労働法改正問題とパート・非正規労働者(江花新)】
(内容要約)
・まず現行パート労働法への批判。
1)法8条は差別待遇を禁止しているが、全てのパート労働者ではなく特定の要件を満たしたパート労働者のみに適用されるため、ほとんどのパート労働者が対象外となっている。
2)法9条は「均衡処遇」を定めているが何が均衡処遇かは明確ではない。
3)法はほとんどが企業の努力義務で、罰則もないため実効性に乏しい。
こうした状況を法改正で改善することが求められている。
■「馬毛島への米軍移転計画:住民・自治体ぐるみで広がる反対運動」(野口寛)
(内容要約)
赤旗の紹介で内容要約にかえる。
赤旗
「馬毛島訓練 島のため反対、赤嶺議員 西之表市長らと懇談」
http://jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-23/2011072301_02_1.html
「主張:「馬毛島」基地計画、ごまかし説明で強行するのか」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-19/2011081901_05_1.html
「馬毛島 米軍来るな署名1万、「一歩も譲れない」、屋久島住民の3割」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-08-19/2011081901_01_1.html
■「司法の一大汚点晴れず:レッドパージ国賠訴訟一審判決の不当性」(佐伯雄三)
(内容要約)
先ずは赤旗記事の紹介。
赤旗
「レッド・パージ国賠訴訟、神戸地裁が不当判決、国の被害救済の義務否定」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-05-27/2011052714_01_1.html
上級審で適切な判決が出ることを望む。また原告が求めていることは名誉回復なのだから「政府が謝罪する」「国会がレッドパージ批判決議を可決する」「経済的損害について国が経済補償措置を執る」と言ったことも考えられるだろう。裁判所が適切な判断を下さないからと言って放置していい話ではない。
人権意識の低い国日本では、実現が難しいのが情けない話だが。
記事にも少しコメント。
原告側は、GHQ(連合国軍総司令部)はレッド・パージを指示・指令ではなく示唆したのであり、日本政府はレッド・パージの実施を回避できた(注:と主張)
これに対し、神戸地裁は「示唆ではなく命令だった」として事実認識からして原告主張と異なっている。この点についても筆者は裁判での専門家証言(筆者に寄れば明神勲・北海道教育大学名誉教授)を無視した不適切な事実認定として批判している。
■学生連続講座「どうしたら貧困をなくせるか:貧困研究と「資本論」」(唐鎌直義)
(内容要約)
・唐鎌氏の言う「貧困解決策」は「まずはヨーロッパ並みの福祉国家を」ということのようだ。
■論点
【陸山会事件で問われる「小沢流錬金術」(森近茂樹)】
(内容要約)
・小沢と秘書の無責任な態度及び小沢の飼い犬と化した一部メディア、文化人(具体的には日刊ゲンダイ、週刊朝日、週刊ポスト、上杉隆、赤旗が批判した山口二郎といったところか。他にもいるだろうが)への批判。
参考
赤旗
『小沢元3秘書に有罪、水谷「裏献金」受領を認定、陸山会事件』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-27/2011092701_01_1.html
『陸山会事件・西松建設違法献金 東京地裁判決、公共工事で「天の声」、献金主体隠すダミー団体』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-27/2011092715_01_1.html
『秘書有罪、この判決は、限りなく重い』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-27/2011092701_05_1.html
『陸山会事件 判決が指摘、「赤旗」スクープ 水谷1億円を認定』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-27/2011092701_04_1.html
『「潔白」いうなら喚問応じよ、小沢氏公判発言 市田書記局長が指摘』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-07/2011100702_01_1.html
『疑惑にフタをせよというのか、山口二郎氏の的外れな共産党非難』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-04-09/2009040904_01_0.html
【浜岡原発の永久停止を決議・牧之原市議会(粂田幸一、前田文治)】
(内容要約)
赤旗の記事を紹介して内容要約にかえる。
赤旗
「浜岡原発 永久停止に、静岡・牧之原市議会が決議」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-09-27/2011092701_03_1.html
■暮らしの焦点
【原発・震災の避難者と被災者の人権をどう守るか(黒岩哲彦)】
(内容要約)
・筆者は東京弁護士会所属の弁護士。以下のことを対策として提言している。
1)ニーズに即した支援体制の構築
2)被災者コミュニティ形成の支援
3)避難者の雇用の確保
4)震災孤児問題への対応
5)冬に向けての対策(暖房、雪かきなど)
■文化の話題
【映画:希望はどこにあるのか−『やがて来たる者へ』(伴毅)】
(内容要約)
・第二次大戦末期に北イタリアで起こったナチによるパルチザン虐殺事件をテーマとした映画の紹介。
参考
『やがて来たる者へ』サイト
http://www.alcine-terran.com/yagate/
【写真:温故知新−写真集『出稼ぎ哀歌』(関次男)】
(内容要約)
・上手く要約できないので他人のエントリ紹介で要約にかえる。
BSマイタウン通信「あと少し、写真集『出稼ぎ哀歌』」
http://blog.mytown-nagoya.com/?eid=979146
■スポーツ最前線
「日本ラグビーの出直し改革を」(大野晃)
(内容要約)
・ニュージーランドでのラグビーW杯で日本は最下位の成績に終わり、一勝も出来ず、カーワンコーチも更迭された。何故このような悲惨な結果になったのか、ラグビー協会はカーワン氏に強化策を丸投げで後はお任せではなかったのか。真摯な反省が求められる。
■メディア時評
【テレビ:暴力団とテレビ業界(沢木啓三)】
(内容要約)
・島田紳助の引退劇を機にテレビ業界、芸能界と暴力団との関係が注目されている。これを機にはっきりと断絶すべきではないか。
・紳助引退で全てが終わったわけではない。なぜなら卑怯にも紳助と吉本は引退に至った事情をまともに説明せず、マスコミ(少なくともテレビ局)も、暴力団疑惑が他の芸能人に広がることや、吉本と対立関係になることを恐れ、全く追及しなかったからである。
そのため、紳助とつきあいのあった芸能人や吉本所属の芸能人が紳助のように暴力団と不適切なつきあいをしていた疑いがなお残る。
・また「東映のヤクザ映画」、「実話雑誌」、週刊漫画サンデーの「静かなるドン」*2等が典型的だが、日本のメディアはテレビも含め、暴力団に対し「美化する傾向」がなかったか?。娯楽とは言え何でも許されるわけではない。今後はそうした反省も必要ではないか。
【追記】
・なお、暴力団問題がなくても俺は「マネージャーへの暴行事件」だけでも紳助と吉本、及び連中に媚びるマスコミ(特に関西マスゴミが酷いらしい)は大嫌いだ。お笑い界の巨人となり、ある種のメディアタブーとなった吉本の没落を願ってやまない。
また紳助に代表される体育会系というかイジメ的な笑いも大嫌いだ。ああいう笑いの存在が「橋下や石原的な物」を助長していることは否定できないだろう。