新刊紹介:「経済」4月号

「経済」4月号の詳細については以下のサイトをご覧ください。興味のある記事だけ紹介してみます。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■世界と日本
【米・キューバ国交回復交渉:米国の対キューバ政策の転換の背景】(新藤通弘*1
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■『米・キューバ国交正常化へ、米大統領表明 敵視政策が破綻』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-19/2014121901_02_1.html
■『米国のキューバ国交正常化表明、破綻の敵視政策 転換へ、中南米との新たな関係へ一歩』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-19/2014121903_01_1.html
■『米政権 キューバ国交正常化表明、背景に世論の変化 経済界の要求も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-26/2014122607_01_1.html
■『国交正常化交渉、米国 人権と自由を提起、キューバ 内政不干渉を要求』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-25/2015012506_01_1.html
■『米・キューバ第2回交渉、テロ国家指定解除で相違、大使館設置は次回以降に』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-01/2015030106_01_1.html
■主張『米国とキューバ、国交正常化交渉を歓迎する』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-19/2014121901_05_1.html


ギリシャ新政権の課題:公約実行、対EUトロイカ交渉】(宮前忠夫*2
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■『仏大統領 ギリシャ首相を支持、反緊縮は明確な民意』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-06/2015020607_01_1.html
■『ギリシャ改革案を承認、ユーロ圏財務相 改革拡充の要求も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-26/2015022607_02_1.html


【韓国・労働市場の柔軟化:労働者を追い込むチョイノミクス】(洪相鉉)
(内容要約)
 チョイノミクスとは韓国のチェ・ギョンファン経済副首相が推進している経済政策(景気回復策)のことである。筆者はチョイノミクスが「雇用コスト削減」を理由に派遣労働の増加を目指していることを労働者いじめとして批判している。


特集「産業再生・対抗軸を探る」
■誌上シンポジウム「空洞化する産業・地域:政策転換の課題」(吉田三千雄*3、米田貢*4、藤田実*5 、入谷貴夫*6
(内容要約)
 細部はともかく大筋としては
1)いわゆる「産業空洞化」は地域経済の地盤沈下を防がなくてはいけない
2)産業空洞化の解決策として
ア)内需の拡大
イ)性質上、海外移転できない産業(教育、福祉など)の育成
があげられる。


■産業レポート
【工作機械・産業用ロボット(吉田三千雄)】
(内容要約)
 産業空洞化を反映し「工作機械・産業用ロボット」産業は海外需要に大きく依存する構造となっている。


【電機(藤田実)】
(内容要約)
 サムスンなど中韓企業の追い上げにより、日本電機産業はかつての優位を失いつつある。日本企業は各社とも事業の再構築にとりくんでいるが、それが成果を上げるかは現時点では未知数である。

参考
東京新聞『シャープ 太陽電池撤退へ』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015030402000127.html
■読売新聞『シャープ、再生ファンドに300億円の出資要請』
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150307-OYT1T50033.html
産経新聞『【書評】経済評論家・山崎元が読む『シャープ「液晶敗戦」の教訓』中田行彦著』
http://www.sankei.com/life/news/150308/lif1503080027-n1.html


【自動車(久山昇)】
(内容要約)
・電機、鉄鋼など「中韓の追い上げが厳しい産業」に比べて現時点では自動車産業は日本企業がかなりの優位性をもっている。
・国内の自動車需要は低迷傾向にあり、自動車各社は「海外への輸出」にシフトしており、その結果、産業空洞化が助長されている。


【鉄鋼(大場陽次)】
(内容要約)
 現在、鉄鋼は過剰供給状態にある。それに対応するため「2003年のJFEスチール誕生(川崎製鉄日本鋼管の統合)」、「2006年のアルセロール・ミッタル誕生(アルセロール社とミッタル社の統合)」など経営統合が相次いでいる。


【建設(市村昌利)】
(内容要約)
 アベノミクスの公共事業大盤振る舞いにより、建設需要は一時的には増加しているが傾向としては「財政再建を目的とした公共事業の削減」により需要は減少傾向にある。無駄な公共事業を増やさない形でどうやって建設需要を高めていくかは重要な課題である。一つの案としては「老朽化した建設物のリフォーム」が考えられる。 


【農業(佐藤加寿子*7)】
(内容)
 日本農業の生産額が減少していること、こうした中、日本政府が「国際分業論」の立場から事実上「食料自給率の向上」を放棄していることが指摘される。


特集「3・11から4年:復興・防災政策の転換」
■「火山国・日本で後手に回る観測体制」(宮粼高明)
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■『同様の噴火 他の山でも、「観測体制十分でない」、火山予知連会長が会見』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-09-30/2014093014_01_1.html
■『現場近くで火山観測を、高橋氏、測候所の無人化批判、衆院災特委』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-11/2014101102_01_1.html
■主張『御嶽山の噴火被害、火山国に見合った対策強化を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-09-29/2014092902_01_1.html


■日本の軍事産業2「日本の兵器産業の展開と現状」(井上照幸*8
(内容要約)
 論文内容は多岐にわたっていて要約が難しいが、「兵器産業の現状」「宇宙の軍事利用」について赤旗の記事紹介で内容要約に代替する。

赤旗
■『“死の商人 ”(軍需産業)を支援、安倍政権が「新戦略」 軍国主義復活 ここまで』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-20/2014062001_01_1.html
■『「自衛隊が活用」明記、安倍内閣 宇宙基本計画を正式決定』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-10/2015011001_04_1.html
■主張『新宇宙基本計画案、軍事一辺倒の暴走許されない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-11-15/2014111501_05_1.html


■「ODA大綱の改定:安保と国益優先が浮き彫りに」(金子豊弘)
(内容要約)
  赤旗の記事紹介で代替。従来から、日本のODAについては「現地の独裁政権との癒着(贈収賄)」「民主主義の欠如」「環境破壊」「箱物偏重」など様々な問題が指摘されてきたが今回の大綱改定ではこれらの問題点が解決されないまま「軍事への傾斜」という新たな問題点まで生まれたと言える。

赤旗
■『ODAで他国軍支援、政府、新大綱を閣議決定
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-11/2015021101_02_1.html
■主張『ODA大綱改定、「非軍事」原則の骨抜き許すな』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-11/2015021101_05_1.html


■「タイの現状と将来を考える」(松本眞志)
(内容要約)
 タイで何故クーデターが起こったか。
 それは
1)旧勢力(王室、軍部、旧来型の財閥など)がタクシン派を「旧勢力の既得権益を侵害しようとしている新勢力」と認識*9
2)「自らの権益を守るためにはクーデターしかない」と判断したから
である。
 この旧勢力の判断の背景には「農村への税金ばらまき(大衆迎合ポピュリズム)」という批判もあるものの、「従来、旧勢力が無視してきた農村部」にタクシン派が目を向け「農村部においてはタクシン派が絶大な支持を得ている」ことがある。タイは「農民が国民の過半数を占める農業国」である以上、「農村で絶大な支持を得るタクシン派」を民主的手法で反タクシン派(旧勢力)が打倒することは不可能なのである。これが旧勢力がクーデターを発動した理由である。
 タイの民主化のためには「軍部と王室」という反民主勢力をどう「無力化していくか」が重大な課題である。多くの国ではもはや「王室」は象徴的存在に過ぎず、「軍部」も「首相、大統領など国家元首のコントロール下にある」がタイではこの両者は今だ「政治勢力」として無視できないパワーを持っている。「王室、軍部の無力化」の前段階として「枢密院制度の改廃」「憲法裁判所の改廃*10」が必要であろう。

赤旗
■『タイ新憲法 起草進む、「軍政延長」「非民主的」批判も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-06/2015010607_01_1.html

*1:著書『現代キューバ経済史:90年代経済改革の光と影』(2000年、大村書店)、『革命のベネズエラ紀行』(2006年、新日本出版社

*2:著書『週労働35時間への挑戦:戦後ドイツ労働時間短縮のたたかい』(1992年、学習の友社)、『人間らしく働くルール:ヨーロッパの挑戦』(2001年、学習の友社)

*3:著書『戦後日本重化学工業の構造分析』(2011年、大月書店)など

*4:著書『現代日本金融危機管理体制:日本型TBTF政策の検証』(2007年、中央大学出版部)など

*5:著書『3.11からの復興と日本経済再建の構想:個性豊かな地域の集合体としての日本へ』(2011年、かもがわブックレット)、『日本経済の構造的危機を読み解く:持続可能な産業再生を展望して』(2014年、新日本出版社)など

*6:著書『第三セクター改革と自治財政再建』(2008年、自治体研究社)、『PFI神話の崩壊』(共著、2009年、自治体研究社)、『地域と雇用をつくる産業連関分析入門』(2012年、自治体研究社)など

*7:著書『新大陸型資本主義国の共生農業システム:アメリカとカナダ』(共著、2011年、農林統計協会)

*8:著書『電電民営化過程の研究』(2000年、エルコ)など

*9:その認識が正しいかどうかはひとまず置く。またここからは「タクシンが問題」なのではなく「タクシン派でなくても」「既得権益の剥奪、縮減が正当な理由でも」、旧勢力は自らの権益を侵すと判断したものは打倒すると言う事が分かる。

*10:タイの憲法裁判所は判決でタクシン首相を失職させるなど、王室、軍部の意向によって動く政治的存在と化している。