「前衛」12月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは12月号を読んでください)
■「スターリン秘史――コミンテルンの迷走」(不破哲三*1)
(内容要約)
連載の第11回目。1939年8月の独ソ不可侵条約締結後、スターリンは「反ファシズム人民戦線論」を引っ込めたあげく、過去に封印したはずの「社民ファシズム論」「社民主敵論」をまたぞろ引っ張り出すという暴挙を実行した。しかも過去の「社会ファシズム論」当時には「ヒトラーナチズム」を批判していたにもかかわらず、条約締結後は「ナチズムへの態度を曖昧にしており」スターリンの行為はナチズム容認以外の何物でもなかった。こうしたスターリン路線はナチスドイツが独ソ戦に踏み切るまでほとんど変わらなかった。
こうした無茶苦茶な路線はスターリンの一存によって決定された。こうしたスターリンの路線変更にナチスの脅威を受ける「西欧、東欧の共産党」は到底従うわけにはいかなかったが、当時のソ連の権威の強大さから簡単に無視するわけにも行かず各地の共産党に混乱をもたらすことになる。
少なくない支持者が離反したり、保守政党や社民政党から「共産党はナチスの手先」と攻撃されるなどスターリンの無法のため、各国共産党は苦難の道を歩むこととなる。
■「インタビュー:安倍政権の暴走とたたかい、消費税増税ストップ、くらしと雇用破壊の政治の転換めざす」(小池晃)
(内容要約)
批判内容は多岐に亘っているがタイトルの「消費税増税」と「暮らしと雇用破壊(ホワエグ導入などの労働法改悪、水際作戦合法化をねらった生活保護法改悪など社会保障制度改悪)」が主たる批判内容となっている。
小池論文では言及が比較的少ない「安倍政権の安保・防衛政策での極右性」については森論文、右崎論文、山下論文、土井論文で論じられることになる。
■「九条の改憲と壊憲:そのねらいと矛盾」(森英樹*2)
■「クーデター的手法で集団的自衛権行使をくわだてる安倍政権」(土井洋彦)
(内容要約)
・九条改憲の主たる目的は「集団的自衛権の容認」、つまり「アメリカとともに湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争など専守防衛以外の戦争に乗り出すこと」である。
・当面、安倍政権は「明文改憲は困難」との判断のもと「従来の政府解釈・集団的自衛権は行使できない」を改め「事実上の九条改憲」を行うため、内閣法制局長官を「集団的自衛権容認派」にすげ替えるというクーデター的手法に乗り出している。
・現在、憲法九条は危機的状況にあるが一方で改憲がそう簡単にできるわけではないことも指摘しておきたい。
まず第一に国民世論は必ずしも「集団的自衛権容認」の立場ではない。
第二に国際世論も必ずしも「集団的自衛権容認」の立場ではない(特に日本の侵略被害国である中国、韓国は)。また基本的には「集団的自衛権容認論」の米国も「安倍の極右ぶり」には警戒の念を隠しておらず今後、米国の動向が注目される(集団的自衛権容認論について国際的に支持を得るという意味では戦前礼賛極右・安倍首相は最悪の選択だったと言える。とはいえ安倍のような極右でもなければこれほど集団的自衛権にはこだわらないかもしれないが)
赤旗
主張『「集団的自衛権」、改憲ねらう暴走は許されない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-18/2013081802_01_1.html
主張『集団的自衛権行使、立憲主義否定する解釈改憲だ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-19/2013091901_05_1.html
■「特定秘密保護法と日本国憲法の原理」(右崎正博)
■「知る権利を圧殺し、民主主義を破壊する秘密保護法:国民の目と耳、口をふさぎ、日本を「海外で戦争する国」づくりは許されない」(山下唯志)
(内容要約)
問題点はいろいろと指摘されてるわけですが小生としては
1)特定秘密の決定が事実上大臣の一存
2)特定秘密の秘密解除規定がない
3)にも関わらず法令違反は最高10年の懲役刑ということ
だと思う。
つまり「政府にとって公開は都合が悪い」と言う自分勝手な理由でどんどん秘密指定し、米国のような解除規定もないので永遠に秘密。マスコミが「不当に情報が隠されている」として追及すると処罰されかねないというとんでもない話のわけである。過去にメディアや野党などによる追及があった「日米核密約」や「沖縄返還密約(これに関して起こった事件が西山記者事件)」などもこの法律によれば「最高10年の懲役で追及者が弾圧される」ことになりかねないわけである。
参考
赤旗
主張『特定秘密保護法案、知る権利侵害の悪法許さない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-06/2013090601_05_1.html
主張『秘密保護法「修正」、「配慮」では危険性変わらない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-20/2013102001_05_1.html
■「ドイツ「再生可能エネルギー資源法」とその成果:脱原発・脱化石のエネルギー転換実現へ」(遠州尋美*3)
(内容要約)
ドイツの「再生可能エネルギー資源法」を参考に日本でも「再生可能エネルギー」を支援する法制度を構築すべしという話です。詳細については原文に当たって下さると幸いです。
■座談会「『古典教室』第1巻を語る」(石川康宏*4、不破哲三*5、山口富男)
(内容要約)
不破の著書「古典教室第1巻:第1課・マルクス『賃金、価格および利潤』、第2課・マルクス『経済学批判・序言』」(2013年、新日本出版社)についての座談会。
なお、第1巻の続きとして「古典教室第2巻:第3課・エンゲルス『空想から科学へ』」、「古典教室第3巻:第4課・エンゲルス『フランスにおける階級闘争』(マルクス)への「序文」、第5課・マルクス、エンゲルス以後の理論史」(2013年、新日本出版社)がある。
参考
綱領・古典の連続教室
http://www.jcp.or.jp/kk_kyousitu/#fragment-1
特集「国民、たたかいとともに歩む「赤旗」」
■「暴走政治、大手メディアの退廃と日刊紙」(藤田健)
(内容要約)
消費税問題、原発、TPPでまともに政府批判が出来ない大手メディアに対し、赤旗はきちんと政府批判することでその存在意義を示してきたと自負している。今後もこうした姿勢で頑張りたい。
【参考:大手メディアの退廃】
赤旗
『これでいいのか大手メディア、首相と会食 とまらない、社長に続き政治部長・論説委員長らも』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-11/2013041101_01_1.html
■論点
【TPPを先導する安倍内閣のだまし討ち(北川俊文)】
(内容要約)
安倍政権のTPP推進への批判です。赤旗記事紹介で代替しておきます。
【自民の公約違反】
赤旗
『TPP これが自民党全議員の衆院選公約だ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-04/2013030407_01_0.html
『自民 TPP公約破り、重要5項目譲歩発言 列島各地に怒り広がる』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-09/2013100901_01_1.html
【交渉の秘密主義】
赤旗
『交渉前も 交渉中も 交渉後も、TPP 情報公開されず、衆院予算委 宮本氏追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-29/2013032901_03_1.html
『他国公表内容も拒否、TPP秘密交渉 政府が答弁書、紙議員に提出』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-14/2013081401_03_1.html
『TPP秘密交渉の弊害、共産党が当初から警告』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-25/2013082502_02_1.html
『TPP「特定秘密」指定も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-03/2013110301_06_1.html
【農業へのダメージ】
赤旗
『農業所得 3483億円減、TPP試算 地域への影響明らかに、富山、米だけで4分の1喪失』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-23/2013052304_01_1.html
『TPP 10.5兆円生産減に、農業はじめ全産業へ波及、大学教員チーム試算』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-23/2013052301_03_1.html
『農家半減・雇用11万人減、TPP試算 北海道1.6兆円損失』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-20/2013032001_02_1.html
【ISD条項】
赤旗
『ISD条項は主権揺るがす、孫崎元外務省局長』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-03/2013050302_03_1.html
『米国無敗のISD、佐々木氏“主権侵害は明白”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-24/2013032402_02_1.html
【JR北海道―何が問題で何を解決したらいいのか(畠山和也)】
(内容要約)
「何が問題か」についての答えは「分割民営化の失敗」というのがこの論文の考えです。
まず、北海道、四国、九州のような「ドル箱路線がないところ」では「分割民営化で単独でやっていく」のは至難の業で、「貧すれば鈍する→安全対策に時間や人手、金がかけられず事故の発生」となったというのが論文の分析です。
それプラス「国労差別(国労組合員不採用)」によりベテラン労働者を排除したことが「事故を助長した」とも見なしています。
ここから出てくる「解決策」は「分割民営化の是正」、たとえば「東日本、東海、西日本の収益で北海道、四国、九州を支える体制の構築」になるわけです。
参考
赤旗
『JR北海道、レール異常放置 背景に人減らし』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-09-24/2013092415_01_1.html
『JR北海道の事態なぜ、大幅な人員削減 ずさん安全管理、危険見逃した国の責任も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-04/2013100404_04_1.html
『JR北海道 何が問題、どうしたら、紙議員参加 党道委がシンポ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-28/2013102801_03_1.html
『国の安全責任は重大、国労と共産党が意見交換、JR北海道』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-30/2013103004_02_1.html
『国交省の責任を追及、JR北の安全確保で、穀田議員』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-03/2013110304_03_1.html
■暮らしの焦点「こどもの城、青山劇場の存続を」(染矢ゆう子)
(内容要約)
政府が2015年末で閉鎖するとしている「こどもの城、青山劇場」の存続を求める論文。
参考
赤旗
『宮本徹さんの手記、「こどもの城」守りたい、ネットで広がる存続運動』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-01/2012110103_01_1.html
『「こどもの城」なぜ廃止、厚労相 「経過検証したい」、笠井氏が追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-16/2013041615_01_1.html
(新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々
『こどもの城・青山劇場存続陳情/東京都議会・共産党などは賛成したが・・・昨日の赤旗記事』
http://blog.goo.ne.jp/uo4/e/020e31004c6ef482b0d2e81e72d89986
『こどもの城 青山劇場存続を/署名4万 父母・俳優*6らに広がる・・・今日の赤旗記事』
http://blog.goo.ne.jp/uo4/e/5d7fdf9253ceb8abcf296026364c9466
■文化の話題
【写真:JRPの50年(関次男)】
(内容要約)
JRP(日本リアリズム写真集団)メンバーによる簡単な回顧文章。
【美術:「六本木クロッシング2013展」(武居利史)】
(内容要約)
「六本木クロッシング2013展」(公式サイト:http://www.mori.art.museum/contents/roppongix2013/)の紹介。
【映画:いまや他人事ではない 『日本の悲劇』(伴毅)】
(内容要約)
映画『日本の悲劇』(公式サイト:http://www.u-picc.com/nippon-no-higeki/)の紹介。
■スポーツ最前線「サッカーJリーグ 2ステージ制のもたらすもの」(和泉民郎)
(内容要約)
Jリーグで導入が検討されている2リーグ制についてJリーグ関係者やファンから反対意見が出ていることを指摘、慎重な検討を求めている。
とはいえ、この文章が書かれた後、
産経新聞『Jリーグ、2ステージ制見直しも 「抜け道」発覚…1シーズン維持に含み』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131030-00000583-san-socc
スポニチアネックス『お粗末!!Jリーグ2ステージ制、欠陥発覚で“白紙”に』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131031-00000020-spnannex-socc
スポーツ報知『Jリーグ、2ステージ制差し戻し!致命的欠陥を解決出来ず』
http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/jleague/news/20131030-OHT1T00229.htm
ということで導入するとしてもしばらく時間がかかりそうだ。
■メディア時評
【新聞:新聞週間と臨時国会(金光奎)】
(内容要約)
全国紙のうち産経、読売、日経は露骨に安倍政権を支援し、朝日、毎日はある程度批判しているがその批判スタンスは地方紙と比べればまだまだ弱いものである。