今日のMSN産経ニュース(11/28分)(追記あり)

■「差別的言葉で名誉毀損」NHKに賠償命じる 台湾先住民族ら逆転勝訴
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131128/trl13112823060006-n1.htm
 本当かよ?、と信じられないですけどね。
 ただ注意しないと行けないのは

・1審で原告側は計約1億1000万円を請求していたが、原告数*1の減少に伴い2審では計710万円の支払いを求めていた。
・(注:2審判決はNHKに)100万円の支払いを命じた。
・1審は「人間動物園」の表現について、「過去の歴史的事実として紹介したにすぎず、番組が原告の父親を動物扱いしているものではない」と認定。しかし、2審で須藤典明裁判長は「深刻な人種差別的意味合いを持つ言葉で、パイワン族が野蛮で劣った人間で動物園の動物と同じように展示されたと放送した」とし、1審の判断を覆した。

ということで産経一派が勝った、勝ったと手放しで喜べる代物じゃないということです(産経は勝った、勝ったと手放しで喜んでるようですが)。
 記事に寄れば「1億1000万円」も請求してたのを「710万円」に下げて、それで「100万円」しか認められなかったわけです。
 しかも賠償理由は「人間動物園と言う言葉が差別的」ということ「だけ」のようです。
 ライプツィヒの夏『辻元清美への非常に悪質な名誉毀損についての訴訟が、産経・阿比留側の敗訴で確定した』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/037c7400dbbe3acbb32b0ca3de8ce7e4)が紹介する、辻元清美氏相手にデマ記事書いて惨敗した産経の阿比留などとは全然レベルが違うわけです(もちろん阿比留の方が悪質)。そしてそんな阿比留が出世する狂った会社が産経です。
 正直「人間動物園」とは「当時そういう理解があった」という事実紹介にすぎないという1審判決が正当で、「差別だという2審」は狂ってる、安倍の恫喝にでも屈したのかと疑いたくなります。
 これでは「過去の差別について当時の用語を用いて、報道することが出来なくなる」んじゃないか。
 単に過去の事実を説明するために「えた」とか差別用語を使ったら則、不当なんてそんなおかしな話はないでしょう。
 が、いずれにせよ裁判所が認めたのはそこだけ。それ以外の主張は認容されなかったわけです。まあ、NHKは普通なら控訴するでしょうが、問題はNHK経営委員に「控訴するな」と圧力をかける恐れのある、安倍の飼い犬(例:百田尚樹)がいることですね。まあ、控訴しても「不当判決のママ」と言う可能性はないではないですが。
・しかし「ダライ」「カーディル」そして「今回のパイワン族原告」と、彼らは自分たちが「日本ウヨの政治的道具」になってることに疑問を感じないんですかね。何というか「日本ウヨとつるんで恥じない」彼らの愚かさに哀れみを感じますね。なんていうとid:Mukkeさんは「民族侮辱だ」などと怒り出すのかも知れませんが。
 まあ、今回について言えば「70人全てがパイワン族だとしても」「70人しか訴えなかった」わけで、まあ、大半のパイワン族には常識があるんでしょう。
・なお、先住民族でも「靖国に批判的な高金素梅氏(タイヤル族)」のような人は誹謗するのが産経です。自分に都合のいい「産経の操り人形になってくれる人間」だけ持ち上げるわけです。


■【産経抄】本当に少数派? 11月28日
 http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/131128/ent13112803110000-n1.htm
 「本当に少数派?」と言うタイトルですが「いや俺は多数派だ」というわけでもなければ、「少数派で何が悪い、数が全てじゃない」というわけでもないヘンテココラムです。

産経新聞を定期購読している人は決して多くない」。フランス文学者の鹿島茂さん*2の書き出しの一文には、ショックを受けたものだ。しかし、「多くはないが、その数は減ることはない*3。いわば強固なる少数派である」と続いて、ほっとする。

・何でほっとするんですかね。「購読者の数が少ない」から経営難で「フジテレビの支援なしではやっていけない」んじゃないですか。
 人員削減もしてるし、そのあげく「福島香織*4」のようなある程度有能な人間はどんどん産経を見捨ててるわけじゃないですか。
・それに「マイナーなホビー(日本だと何だろう?)の雑誌」とかならともかく産経の場合、購読者が少ないのは「デマ・捏造・誤報常習など、記事内容が異常だから」でしょうに。全然自慢できない。
・しかしこういう書き方を産経がすると言う事は鹿島さんのこの言葉は「褒め言葉」なんでしょうか?。
 まあ、この言葉、産経記者・山口昌子氏*5の著書『シャネルの真実』(2002年、人文書院→2008年、新潮文庫)のあとがきに出てくる言葉なんだから褒め言葉なんでしょう。あとがきを鹿島氏に依頼したのも山口氏なんでしょうし(ただ何で書き手が産経記者とは言えシャネルについて書いた本で産経云々なんていうのかわけがわかりません。産経もシャネルも「強固なる少数派」とでも言ってるんでしょうか。だとしたら「産経と同列扱い」とは随分シャネルに失礼だと思います)。
 ただし褒め言葉だとしたら鹿島さんという人も随分変な人です。まあ、はっきり言って褒め殺しにしかなってないと思います。

*1:1万300人もいたのが42人に減らしたそうです

*2:著書『新聞王ジラルダン』(1997年、ちくま文庫)、『怪帝ナポレオン3世:第二帝政全史』(2010年、講談社学術文庫)、『蕩尽王、パリをゆく:薩摩治郎八伝』(2011年、新潮選書)など

*3:いや長期的には減ってると思いますよ。昔はもう少しまともだったと思いますし、読者が増えなければ当然自然に減少しますから

*4:著書『中国「反日デモ」の深層』(2012年、扶桑社新書)、『現代中国悪女列伝』(2013年、文春新書)など

*5:著書『エリゼ宮物語』(2007年、扶桑社)、『ドゴールのいるフランス』(2010年、河出書房新社)など