今日のMSN産経ニュース(1/14分)

 以前「対馬が危ない。韓国が買い占めようとしている(一部の土地がリゾート開発目的で韓国企業に買われただけで、そのパーセントは対馬全体の1パーセント以下であることが後に産経批判派によって指摘されました)」「韓国が買った土地の隣は自衛隊基地、スパイ目的かも知れない(はあ?。そんなに簡単にスパイができるとでも?)」「観光客の多くが韓国人だ(それの何が悪いのか?)」などトンチキ連載「対馬が危ない」をした「おつむが危ない」産経が「対馬が危ない・パート2」を始めました。

■【島が危ない 第1部・再び対馬を行く(1)上】日韓海底トンネル構想 進む土地買収 根を張る「韓国」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140119/plc14011909270004-n1.htm

■【島が危ない 第1部・再び対馬を行く(1)下】日韓海底トンネル構想 相次ぐ不動産買収 「心も取られた。これが現状」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140119/plc14011909320005-n1.htm

■【島が危ない 第1部 再び対馬を行く(2)】「韓国人お断り」張り紙消えた
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140120/plc14012011050009-n1.htm

■【島が危ない 第1部 再び対馬を行く(3)】「バスもホテルも韓国優先に」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140121/plc14012111160010-n1.htm

■【島が危ない 第1部 再び対馬を行く(4)】温暖化、燃油高騰…苦しむ漁民
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140122/plc14012210300012-n1.htm

■【島が危ない 第1部 再び対馬を行く(5)】韓国人客増加「漁師にマイナス」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140123/plc14012309090004-n1.htm

■【島が危ない】第1部 再び対馬を行く(6)国境離島振興 高い運賃足かせ
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140126/plc14012611400007-n1.htm


ブクマも既につけましたが、改めて突っ込むことにしましょう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140119/plc14011909270004-n1.htm
昨年9月上旬、対馬市内のホテルで、ある会合が開かれた。実質的な主催者は韓国系宗教団体「世界基督教統一神霊協会」。いわゆる「統一教会」である。
(中略)
 「幹部らしい男性が『われわれは対馬で何万平方メートルの土地を買った。対馬だけではなく、福岡や壱岐でも買った』と切り出したので驚いた。『日韓トンネル』『自分たちの夢だ』という言葉も飛び交っていた」

 統一協会が「中曽根康弘*1内閣時代から」熱心に日韓トンネル建設を主張してること、福岡選出自民党議員(山崎拓*2元幹事長、麻生太郎*3・第二次安倍内閣財務相など)が「本心かしがらみかはともかく」日韓トンネルに好意的なことは有名な話です。何を今更としか言いようがありません。つうか「統一協会と仲良し」だったのが産経ではなかったんでしょうか?。教祖・文鮮明の死去で関係を断つことにでも決めたんでしょうか?

対馬市議会は昨年3月26日、「日韓海底トンネルは、島国日本とアジア大陸を結び、東アジア一体化と平和を求める歴史的な試み」として「日韓海底トンネルの早期建設を求める意見書」を可決した。
意見書が可決された直後、対馬市議会には全国から300件もの抗議の電話が殺到した。

まあ、抗議とやらは嫌韓国バカ右翼でしょうね。迷惑な話です。なお、小生は「大金をかけてトンネルを建設しただけのメリットがあるのか」疑問に思うので正直建設には「現時点では」反対です。

ただし

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140119/plc14011909320005-n2.htm
対馬は(注:外部との)交通手段が船と飛行機しかない。」
対馬では高校生が卒業すると、毎年400人、500人と島から出て行ってしまう。働く場所がないからだ。島が疲弊する中で、何か生き残りの道を探さないといけない」

という建設賛成派の声にはこたえないと行けません。「日韓トンネルに反対だ」ですませるわけにはいかないわけです。なお、産経記事で興味深いのは「韓国側が日韓トンネルについてどう考えてるか」全く触れてないことです。「統一協会」は一宗教団体に過ぎず、韓国側とは言えないでしょう。

 対馬市商工会の浦田会長は「(注:外国資本に)買収された民宿や釣り宿は実数で10軒か15軒か、そんなもんですよ。
(中略)
 自分が経営しきらんようになって、売っとる人もおります。自分がもうかりよったら、売るはずがないわけですから。売りたくて売っとるわけですから。それに、田舎に行くと、おじいちゃん、おばあちゃんが死んだら、若者はみんな島外に行っとるわけですから、空き家になって、固定資産税がかかるから、売ってしまう。だれも責められないでしょう」と言う。
 (注:対馬市議会の)長市議は「金銭的に問題のある方が手放す。島民の中に買ってくれる人がなかなかおらんのですね。そうすると、相手が外国資本であれ、なんであれ、自分が思った値段に近い値段、あるいはそれ以上の値段であれば売ってしまう。それを食い止めろと言っても止めるすべがない」と島民の心の内を代弁した。
 60歳代の厳原町の建設会社社長も、「島で暮らしていけなくなり、いくらかでもお金になれば売って出て行きたいという島民も多い。将来の見込みがあればいいけどね」と口をそろえた。
 浦田会長は、半ば自嘲気味にこうつぶやく。
 「韓国の人が買うならどうぞ、買ってくださいです。だれも買ってくれんのやから、買っていただいた方がいいじゃないですか。嫌々売る人はいないですからね。売る人は喜んで売るわけや。お金になるわけですから」

 要するに「民宿や釣り宿が儲からないから売る」「日本人が買わないから韓国人に売る」ただそれだけの話です。産経が騒ぐような問題は何一つない。仮に問題があったとしても「外国人への売買規制」なんかされても、島民が迷惑するだけでしょう。「政府からの生活保障もないのに」「日本人が買う保障もないのに」売買規制なんかされたら生活に支障を来すだけです。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140120/plc14012011050009-n1.htm
【島が危ない 第1部 再び対馬を行く(2)】「韓国人お断り」張り紙消えた

・産経は張り紙が消えたことが、まるで残念であるかのような書き方ですが、そりゃ消えるでしょう。消えて当然です。民族差別じゃないですか。
 「韓国人観光客に、酒を飲んで暴れるなど、傍若無人な人間が仮に多い」のだとしても「店の中で大声で騒ぐ方には退出を求めます」などと書けばいいのであって民族差別と疑われることを書くのは馬鹿げています。まして「韓国人観光客」は「今や対馬観光客のメイン」だそうですからなおさらそんなことは書けるわけがない。
・昔の日本人の外国観光は相当酷かったと良く言われます(例:筒井康隆『農協、月へ行く』(角川文庫))。
 が、その当時、産経は「日本人お断り」という張り紙が外国にあったとして容認するんでしょうか?
 たぶん「日本人差別だ」と激怒するんでしょう。

 「本土から観光客が来よったころは本当によかった」。釜山在住の韓国人が実質経営する飲食店の男性従業員、Aさん(54)は懐かしんだ。
(中略)
 「昔は肩がぶつかるほど混み合っていた。1日のあがりは8万円とか12万円とかはざら。ところが、(注:本土からの観光客が減った)15年ほど前からは、よくて5、6万円。」

・減った日本人観光客のかわりに韓国人観光客が増えたわけです。韓国人に感謝するのならわかりますが、産経のように糞味噌にいうのはわけがわかりません。
・「対馬に韓国人観光客が増えた」から「韓国人観光客相手の商売をしよう」と考えた韓国人が「対馬の民宿や釣り宿、飲食店などを購入しよう」とし、「儲からないので経営をあきらめた日本人がそれらを売却する」。通常の商行為であって何の問題もないでしょう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140121/plc14012111160010-n1.htm
 対馬の韓国人観光客が増え始めたのは、11年7月に韓国・釜山と厳原を結ぶ国際航路が就航して以降。13年4月に島北部の比田勝港釜山港を約1時間20分で結ぶ航路も運航され、年間1600人程度だった観光客が急増、16年には2万人を超えた。
 その後も増加の一途をたどり、23年10〜11月にはJR九州と韓国資本の未来高速が相次いで釜山との間に高速船を就航。24年の韓国人観光客は一気に15万836人に跳ね上がった。
 対馬市商工会の浦田一朗会長(70)は「25年は、18万人までいくと思いますよ。船会社が3社になり、1日3便、多い時は4便くらいあり、ウイークデーでも(観光客が)来ます」と話す。
 観光客が増えれば当然経済効果を期待する。対馬市がまとめた19年度分のデータによると、年間の韓国人観光客は6万5490人。島内消費額は、旅費や宿泊費、飲食費、お土産代などで21億6万4704円にのぼったという。
(中略)
 観光客を乗せるバス業界も景気がいい。浦田会長によると、韓国人の団体観光客を扱うバス会社は4、5年前から増え始め、今では10社ぐらいになり、バスの総台数も40台ぐらいまでに増えたという。

 対馬にとって何ら悪い話ではないでしょう。

一方で、観光業界の関心が韓国人ばかりに向くことを憂慮する声も聞かれ始めている。「日本の旅行会社のツアーは3カ月前に予約するが、韓国がバスやホテルを押さえているので取れなくなるという事態にも陥っている。バスもホテルも韓国優先になってしまった」(友納事務局長)

 憂慮も何も「韓国人観光客が一番多い」のだから最優先になるのは当然でしょう。つうか、それは韓国が悪いわけでも何でもないでしょう。「日本人観光客も増やしたい」と対馬関係者が思うのなら「日本人観光客の枠を設けてどんなに韓国からの申し込みがあってもその日本人枠は守る」という方式にすればいいだけでしょう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140122/plc14012210300012-n4.htm
磯焼けに燃油の高騰、イルカや鯨による被害…と、二重苦三重苦に苦しむ対馬の漁民。高齢化が進み、後継者がいないことも悩みの種だ。

なかなか難しい問題ですね。ただ、これは「漁業一般の問題」であって「対馬限定の問題」「離島限定の問題」ではないでしょう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140123/plc14012309090004-n1.htm
 厳原(いづはら)町漁業協同組合の二宮昌彦組合長(55)は、韓国人観光客が年々増えていることに、ある程度の経済的効果を認めながらも、「漁師にとってはマイナスだ」という。
 観光客に交じって来島する何万人にものぼる釣り客が問題で、(中略)二宮組合長によると、海底に残った餌が岩に付着して海藻がはえなくなるなど、自然環境に影響が出るほど過剰な撒き餌が行われているという。

 やれやれですね。「無茶苦茶な撒き餌をする人=全員韓国人」でもなければ、「韓国人は全員無茶苦茶な撒き餌をする」わけでもないでしょう。日本人や「韓国人以外の外国人」は無茶苦茶な撒き餌なんかしない、なんてことはないでしょう(大体この種の『釣り客が漁業に迷惑かける話』は対馬に限った話ではないと思いますよ。)。
 二宮組合長の主観はともかくこれは民族差別暴言以外何物でもないと思います(もしかしたら二宮氏の発言を産経がねじ曲げてるのかも知れませんが)。
 とはいえ、二宮氏は「無茶苦茶な撒き餌は違法行為だと思うから役所(警察、対馬市役所、長崎県庁、水産庁などでしょう)で取り締まって欲しい」というだけでさすがに産経のように「韓国人観光客は対馬に来るな」という乱暴な態度ではないですが。

 漁業不振で漁に出るのをやめた漁師の中に韓国人釣り客の違法行為を手伝う者も出てきたという。
 二宮組合長によると、対馬にはこれまで、韓国資本で遊漁船を営む7つの業者があったが、厳原町漁協の中からも昨年だけで組合員4人が遊漁船の許可を取得し、韓国人釣り客の水先案内人をしているという。

 産経の手にかかると「韓国人釣り客の水先案内人、韓国人釣り客相手の遊漁船=韓国人釣り客の違法行為(無茶苦茶な撒き餌)を手伝う」んだそうです。絶句ですね。なかには「客に嫌われると嫌だから」と客が無茶苦茶しようとなあなあの態度の人もいるのかも知れませんが、「韓国人釣り客の水先案内人、韓国人釣り客相手の遊漁船=韓国人釣り客の違法行為を手伝う」扱いされてはたまったものではありません。「韓国人釣り客相手の遊漁船それ自体が違法」なんてことはないでしょうから。

 対馬漁民の足を引っ張っているのは、韓国人釣り客だけではない。
 対馬市議会の作元義文議長(64)は、対馬以外の地域から来る日本の漁船の大がかりな巻き網漁による被害も大きいと訴える。
(中略)
 マグロの養殖と一本釣りを中心に漁業を営む吉村元嗣さん(63)も「大手水産会社の子会社みたいな立場でやってきては、ごっそり取っていく。ところが政府は何ら手を打とうとしない。やりたい放題ですたい。巻き網をやめん限りは本当の資源の回復にはならんと思うとるとです」と声を荒らげた。

 「被害」というからには違法操業なんでしょうか?。そういうのは当然、取り締まらないと行けません。
 それとも「違法ではないが漁民が困ってる」のか?。まあ、その場合も何らかの政治的対応が必要なわけです。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140126/plc14012611400007-n2.htm
 現在、誘致した企業で持ちこたえているのは、対馬グランドホテルと韓国資本の大亜高速海運*4だけだ。
 平成16年3月の6町*5合併で対馬市が誕生した後は、新規誘致は実現していないという。
 それでも、経済再生への模索は続いている。長市議は例を挙げる。「対馬は歴史的に貴重な遺跡も多く、観光資源の宝庫だといわれる。こうしたものを生かして本土からの観光客を増やせないかとか、海洋大学を誘致できないだろうかとか、知恵を絞っている」
 対馬観光物産協会会長の江口栄さん(59)も「コールセンターや介護施設を誘致できないかとか。刑務所の誘致を考えたこともある。考えられることは、みんな考えとっとですよ」と話した。
 ところが、こうした案も高い運賃などが足かせになって実現にはほど遠い。
 対馬と本土とのアクセスは、福岡−対馬*6、長崎−対馬*7の空路と、博多−厳原などの海路がある。空路は福岡−対馬が片道1万4200円、長崎−対馬が片道1万5400円。海路の博多−厳原は、ジェットフォイルが6160円で、フェリーは3560円から5160円だ。
 長市議は運賃値下げを訴えているが、壁は高いという。「福岡−対馬はわずか30分の飛行なのに、福岡から東京に行ける額なんです。安くならない理由は、海路*8も空路*9が運営も、ほぼ1社の独占状態だから。
 運賃を下げてほしいと要望すると、『便数を減らします』と言われる。そうなると、引き下がらざるをえない」
 長崎県の航路対策委員を務める対馬市商工会の浦田一朗会長(70)も「島民は、あと1社入れて競争させえというけど、来るところがないです」と嘆く。
 浦田会長は、行政の補助金が実態を反映していないことにも不満を持っている。「(注:長崎)県は、(注:長崎県が出資する第3セクターの航空会社・オリエンタルエアブリッジ(ORC)が運営する)長崎−対馬が生活路線だと言って、補助金を出している。でも、島民の8割は福岡行きに乗っている。『ならば、それが生活路線でしょう』と言うが頑として聞かない。福岡−対馬の便は生活路線として認められていないから補助金を出さんて」
 博多−厳原のジェットフォイルの運賃値上げの話も浮上しているという。「4月から2千円値上げするらしいが、べらぼうな話ですよ。1社が独占しているから、手の打ちようがない」と浦田会長。
 対馬市と市議会は、政府に対し、国境離島特別措置法(仮称)の制定に向けた提言書を提出している。新航路導入方策や漁船の燃油に対する減免支援措置、磯焼け対策研究機関の設置、離島進出企業への特例措置などを盛り込んだ。
 「(政府は)国境離島をどうするのか。国境離島振興を法律化してもらうほかない」。市議会の作元義文議長(64)は語気を強めた。

 産経の「韓国が対馬を乗っ取る」云々という馬鹿げた嫌韓国与太話はともかく「対馬に仕事がないから若者がどんどん外に出て行って過疎化、高齢化が進む」と言う意味では「対馬は危ない」ようです(まあ、対馬に限らない話でしょうが)。
 そうした危機を克服する何かいい手を打つ必要があるでしょう。その手として『国境離島特別措置法(仮称)の制定』が有効かどうかはわかりませんが。

*1:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*2:宇野内閣防衛庁長官、宮沢内閣建設相、自民党幹事長(小泉総裁時代)などを歴任

*3:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相などを経て、現在、第二次安倍内閣財務相

*4:「釜山−対馬間」、「釜山−福岡間」、「鬱陵島竹島間」、「浦項市鬱陵島」を結ぶ航路を運営

*5:厳原町美津島町・豊玉町・峰町・上県町・上対馬町

*6:全日空ANA)が運営

*7:長崎県が出資する第3セクターの航空会社・オリエンタルエアブリッジ(ORC)が運営

*8:九州郵船が運営

*9:全日空ANA