今日のMSN産経ニュース(7/23分)(追記・訂正あり)

■「テロたたきのめす」 中国治安部門トップがチベット視察 
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140723/chn14072323350012-n1.htm

 23日の中国国営新華社通信によると、中国共産党の治安部門の責任者、孟建柱*1政法委員会書記が18〜22日にチベット自治区を視察し、「分裂破壊活動やテロ活動などの重大犯罪をたたきのめす」よう求めた。

 まあ何というかダライ側にとって明るい兆しが見えないなと。


■【期限切れ鶏肉】「中国で信頼できる相手探す」、ファミマ社長
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140723/biz14072312360013-n1.htm
 産経当たりは「中国の食は危険だ!」と中国叩きをするのでしょうが興味深いのは

今後の中国企業との取引に関し「中国だから輸入しないということはない。信頼できるパートナーを見つける努力をする」と述べた。

と言うことでファミマ側は当然「問題の企業とは取引を止め損害賠償請求もする」のでしょうが、かわりの企業は中国で探す予定のようです。


■【島が危ない 第3部 五島列島 かすむ国境(上)】中国の触手 過疎化につけ込み無人島買収 瀬戸際で回避
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140722/plc14072208270007-n1.htm
 産経の「島が危ないシリーズ」「島を外国(中国、韓国)が狙ってるシリーズ」の新作です。第1部が長崎の対馬。第2部が新潟の佐渡。第3部、つまり今回は長崎の五島列島だそうです。

 今年5月8日、有識者らによる政策発信組織「日本創成会議」人口減少問題検討分科会(座長・増田寛也*2総務相)が2040(平成52)年時点の「消滅可能性都市」を発表した。そこには、五島列島自治体の衝撃的な数字が並んだ*3
 試算によると五島市の場合、若年女性(20〜30代)が2010(平成22)年に比べて75・9%減り、全体の人口は4万622人から1万9201人に減少。従来の他の推計より厳しい数字が示された。新上五島町も若年女性が80・45%減少し人口は2万2074人から8549人になるという。九州・沖縄ブロックで1位と2位の減少率だ。
 現時点でも人口減少は激しい。国勢調査によると、五島市の人口は昭和30年に9万1978人だったが、平成22年には4万622人に減少。6・2%だった65歳以上の割合は33・4%に増え、逆に40・4%を占めていた15歳未満は、11・8%にまで減った。
 五島市の久保市長公室長は「市には高校が4校あり、毎年300〜400人が卒業するが、95%程度は島外に出てしまい、戻ってこない」と嘆く。空き家も増え続け、市内に約3900軒あるという。
 高齢化と過疎化は、主要産業の漁業も直撃している。五島漁協の草野正組合長(64)は「平成10年ごろは組合員が千人いたが、今は496人。跡取りがいなくなってきた。平均年齢は60歳代で、80歳代が何人かいる。10年前に年間30億円余りあった水揚げが、今は20億円ぐらいまで減った」と窮状を訴えた。

ということで産経の主張「外国が五島が狙ってる」とは別の意味、「過疎化による限界集落化の恐怖」で「島が危ない」ことがわかります。


■【島が危ない 第3部 五島列島かすむ国境(中)】遠のく本土、近づく中韓 過疎化と物価高が演出
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140723/plc14072312320017-n1.htm

 五島にとって本土は年々遠い存在になっている。象徴的なのが、交通事情の悪化だ。
 五島列島最大の福江島と本土を結ぶ空路は、福江−福岡の1日4便と福江−長崎の1日4便だけだ。伊丹(大阪)などと結ばれていた時期もあったが、搭乗率の低さなどから廃止になった。
 料金も高い。福岡までの場合で正規料金は1万8800円、島民向けの割引料金でも1万2850円だ。五島市の荒尾正登市議会議長(52)は「(注:飛行機の)早割料金だと福岡から東京に行くのと(注:福岡から五島に行くのと)そんなに変わらない。これでは、いくら観光客を呼んでも来てもらえない。議会でも国に是正を要望し続けているが、いい答えは返ってこない」と嘆く。
 海の便も島民の期待に十分には応えられていない。こちらも福江と福岡、長崎を結ぶフェリーなどの航路があるが、(注:円安などによる)燃料費の高騰で(注:料金の)値上がりが続き、今では長崎への便で1万円を超えた。「同じ県内の長崎市にさえ、簡単には行けない」と荒尾議長は話す。
 地元紙「五島新報」(廃刊)の元社長、永冶克行さん(65)によると、フェリーの無料化は島民たちの長年の願いだという。
 「国や県に補助を要望しているが、受け入れられない。過疎化が進み、この国境の島に人がいなくなったら、結局、日本全体の安全が脅かされる事態になることを分かってほしい」
 島内での移動でも本土より条件が悪い。土岐さんは「五島は日本で一番ガソリンが高い」と話す。
 「五島では車なしで生きていけないのに、どんどん値上がりして、1リットル200円ぐらいだったこともある。本土で160円になったというようなニュースを聞くと、何年前の話なんだと思う」

 このように生活が不便な五島。そして五島の産業「観光業」も最近では落ち目です。

 五島列島は、西海国立公園に代表される自然景観や遣唐使の寄港地だった歴史、世界遺産登録を目指している「長崎の教会群とキリスト教関連遺産*4」を構成するカトリック教会など、観光資源が少なくない。
 その一方で観光客は減り続けている。五島市の観光客は平成17年に年間22万人だったのに、24年には19万5000人と20万人を切った。観光によって消費される金額も年間71億円から67億円にしぼんだ。

さてここで勘の鋭い人は気付いたでしょうが「中韓の観光客を誘致する」という第1部(対馬)、第2部(佐渡)でも出た話が登場します。

 荒尾議長によると、復活のために参考にしているのは長崎県対馬だ。対馬市には、年間で人口の6倍にあたる18万人もの韓国人観光客が押し寄せている。五島市は昨年4月から、国際交流員に韓国人を採用、精力的に観光客誘致作戦を展開している。
 対馬では、韓国との接近の結果、観光客の増加の一方で、韓国資本に不動産を次々に買われるという深刻な問題*5も起きているが、荒尾議長は期待のほうが大きいという。
世界遺産登録を目指しているのは追い風。韓国はカトリック教徒がかなりいる。観光業者だけでなく、神父さんもツアーを組んでいるらしい。先日も韓国人観光客が30人ほどきていた。これからは中国や韓国が狙い目だ」

 これで(中)は終わり。明日以降の(下)で「五島の中韓観光客誘致路線」に産経がまた悪口雑言するんでしょう(追記:と思ったんですが別にそうではなく『【島が危ない 第3部 五島列島 かすむ国境(下)】押し寄せる中国からの密航者「自衛隊基地を作って」』(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140724/plc14072409020005-n1.htm)というものでした。「自衛隊基地を作って」と言うのは建前は国防でも本音は「手っ取り早い人口増と、自衛隊目当ての産業(例:自衛隊員とその家族相手のスーパーなど)の発生期待」といったところでしょう。自衛隊がないと五島が侵略されるなんてことは住民も思ってないでしょう)。
 しかし「日本国内、東南アジア、欧米など」、「中韓以外から観光客が来ることが望み薄」なら中韓観光客を誘致するしかない。産経のような「中韓の観光客は嫌だ」なんて贅沢を言ってられる余裕は「対馬佐渡同様」五島にはないでしょう。
 というかよほど中韓に対して差別意識でもない限り、普通「金さえ払ってくれるなら誰でもウエルカム」でしょう。

*1:江西省党委員会書記、公安大臣などを経て現職

*2:岩手県知事。第1次安倍、福田内閣総務相麻生内閣内閣官房参与、第2次安倍内閣日本経済再生本部産業競争力会議委員などを歴任。

*3:お断りしておけば増田試算で「過疎化と高齢化」という衝撃的な結果が出たのは五島のような離島限定ではありません。多くの地方で衝撃的結果が出たわけです。

*4:詳しくは公式サイト(https://www.pref.nagasaki.jp/s_isan/)参照

*5:別に韓国企業が土地を買ったからと言って何ら深刻ではありません。また、どいつもこいつもいっぺん死ね『「週刊金曜日」で産経の「対馬が危ない」キャンペーンを嘲笑している件』(http://georg-agricola.seesaa.net/article/132991550.html)などの産経批判に寄れば「韓国企業の購入した土地は対馬全体の1%にも満たない」のです。