都知事選について(浅井基文氏に失望する)(追記あり)

http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2014/576.html
選挙結果が雄弁に示すとおり、宇都宮氏が細川氏よりも得票数が多かったという事実は、細川氏擁立・支持に走った人たちに対して、自らが設定した「勝てる候補」という基準に照らしても、その判断は間違いだったことを示すものです。これらの人々はそのことをしっかり認識し、自らの判断について大いに反省すべきです。今後の戒めにしてもらわなければ困ります。
 さらに重要なことは、細川氏が立候補を断念し、あるいは辞退していたならば、宇都宮氏が勝利する現実的な可能性があったということです。

 ここまでは正論だと思いますが恐れ入ることに途中から真逆のことを浅井氏は言い出すので頭痛がしてきます。
 浅井氏が何が言いたいのか正直さっぱりわかりません。

ただし、私の以上の主張*1については、私自身もさらに考えるべき検討点が含まれていると感じています。
(中略)
原発反対を明示した保守の細川氏が立候補したから投票に行ったが、彼が立候補していなかったら棄権していた」、あるいは「宇都宮氏と桝添氏との間の選択ということだったら、共産党*2が支援する宇都宮氏よりも、細川氏と主義主張が近い舛添氏*3を選んでいた」と考える人々が多く、選挙結果は文字どおり「舛添氏圧勝」を絵に描いた結果になっていた可能性があります。
(中略)
宇都宮氏に投票した人々の場合、仮に細川氏への一本化ということで宇都宮氏が降りていたとするならば、そのほとんどは細川氏に投票したかもしれないということです。

 要するに「細川一本化論こそが正義」という主張です。この前での細川一本化論批判との整合性はどうなってるんでしょうか。言ってることがどう見ても矛盾しています。
 やれやれです。この種の人間には何と言ったらいいんでしょうかね。浅井氏はこういう方ではないと思っていたんですがね。
 もちろん一本化すれば単純に票が加算されるわけではないというのはその通りですが、「細川がおりればその支持者のほとんどは宇都宮に投票せず棄権するか、舛添に投票した」が「宇都宮がおりればその支持者のほとんどは細川に投票した(から、細川が三位の結果でも細川に一本化すべきだった)」と言う浅井説の根拠は何なんでしょうか。
 正直宇都宮がおりれば「かなりの部分が棄権したり、舛添に投票したりする可能性もある」と俺は思いますが。浅井氏曰く「細川と舛添は脱原発以外ほとんど変わらない」のですから。
 たとえ仮に浅井主張が事実*4だとして、「宇都宮がおりることによって」細川が舛添に勝利したり、肉薄したりしたとしても「脱原発ワンイシュー選挙」などに意味があると本気で思ってるんでしょうか。浅井氏は悪しき勝敗絶対主義に毒されてるとしか言いようがありません(というか細川の方が勝てたという詭弁を何とかひねり出してるように見えますが)。北朝鮮に対する「マイナーであることを恐れない浅井氏の認識」「北朝鮮の主張にもそれなりに耳を傾けようとの浅井氏の主張」の違いとの差にはびっくりです。

私は時々各地の集会に招かれ、集会後の懇親会にも参加させてもらっています。そこでしばしば耳にするのが、「党の上の方(そもそも共産党に「上」「下」意識が働いていること自体が極めて日本的です)に意見を言っても無視される(取り上げてもらえない)」という声です。「意見を上げたら、批判された」という声を耳にした体験も少なくありません。

 いや、だから何で都知事選の感想でそんな言葉が出てくるんですか?
 小生も共産支持者ではありますが、「他党と比べて相対的に」共産の政策に共感してるに過ぎず、共産党員の知り合いがごろごろいるというわけではありませんので、共産党組織について詳しいわけではありません。
 共産党には上意下達という問題があるのかも知れないし、あるのなら改めるべきでしょう。
 しかし今回の都知事選のどこに「上意下達」だの「党執行部の独善性」だのを感じる事件があったんでしょうか。
 大体、宇都宮支持は共産だけではなく「社民もそうだった」んですが浅井論説において社民党の存在が見事に消えてる当たりが酷い。
 そしてこれは前後の文脈から見て「細川一本化」を正当化する内容としか理解できないでしょう。絶句。一体、党員、支持者のどこに「細川一本化」を熱く語る人間がごろごろいたと言うんでしょうか。党員、支持者が細川一本化論支持者ばかりなのに党がそれを無視したというならともかくおそらくそんな事実はないでしょう。
 少なくとも「都知事選の感想」で「共産党の上意下達」云々などと言い出すことは、それも「細川一本化論を正当化する文脈で持ち出すこと」は小生には到底正気の沙汰とは思えません。「選挙期間中に細川一本化を怒号した鎌田慧よりはマシ」かと思いますが、浅井氏には深く失望したとだけ書いておきましょう。

*1:細川が三位になった事を理由とした細川一本化論批判

*2:何も宇都宮を支援したのは共産だけではないのですが

*3:細川氏と(脱原発以外は)主義主張が近い舛添氏」ねえ。こういう浅井氏の物言いを細川を支持した人々(特に鎌田慧のような自称左派)はどう思うのでしょうね。そして「細川が(脱原発以外は)舛添に近いのであれば」それこそ一本化を求めても宇都宮陣営が乗るわけがないでしょうに。

*4:事実という保障はどこにもありませんが