今日の産経ニュース(2020年7月1日分)

【正論】教科書調査官「無謬神話」の愚かさ 教育研究者・藤岡信勝 - 産経ニュース
 タイトルからしてばかばかしい。どこにそんな無謬論があるのか。

 (ボーガス注:不合格になったつくる会の教科書には)1930年のロンドン海軍軍縮会議で【米英日の補助艦の比率が10対10対7に定められ】と書いてある。これに検定意見が付き「欠陥箇所」に指定された。指摘事由は「不正確である(日本の比率)」というものだった。
 日本に認められた補助艦の比率は厳密に言うと「6.975」だから、この指摘は一見もっともに見える。
 だが、その細かな数字を出すと、なぜそういう数字になったのかという事情や「統帥権干犯」の意味などを教えなければならなくなり、それは中学校の学習課題のレベルをはるかに超える。
 自由社はこの事例を含む175箇所について反論書をつくり提出した。結果は、ただの一箇所の反論も認められなかった。
 文科省から交付された「反論認否書」には、【「69・75%」は歴史的に大きな意味があり、「7割」とするのは不正確である。反論は認められない】と書かれていた。
 教科書展示会で各社の教科書を開いた。驚くべきことが分かった。日本文教出版の教科書の「軍備縮小と平和へのあゆみ」というタイトルのついた表に、次のように書いてあるではないか。
 【補助艦(主力艦以外)の保有国の割合を米10、英10、日7と定めた】
 教科書調査官はこの記述には、何の検定意見も付けていないのである。これほどのダブル・スタンダード二重基準)があるだろうか。特定の教科書会社への悪意に満ちた差別的処遇であり、「不正検定」の、言い逃れのできない決定的な証拠である。

 上を見れば分かるように「6.975は四捨五入すれば7だから揚げ足取りだ」「大体、日本文教出版自由社と同じで10対10対7と書いてるのに修正意見がついていないで合格した。言いがかりだ、不正検定だ。つくる会を何が何でも不合格にするためのダブスタだ」と悪口する藤岡です。
 しかし「そう思う」のなら「とっとと家永三郎氏のように訴訟しろ」と言う話です。
 もちろん「訴訟しなくても自由社つくる会)の言い分が通る」のなら訴訟する必要は無い。しかしどう見ても通りそうに無いですからね。
 もちろん「何故訴訟しないのか」はよくわかります。安倍自民ともめたくないからでしょう。どこまで腰抜けなのか。藤岡らつくる会こそ「安倍無謬論」から脱却してとっとと行政訴訟したらどうなのか。

 山川出版社の教科書には【戦地に設けられた「慰安施設」には、韓国・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)】という記述がある。これについて「新しい歴史教科書をつくる会」などが(ボーガス注:萩生田文科大臣宛に)出した公開質問状には「学術的・専門的な審議」の結果検定意見が付かなかったと答えた。文科大臣はもはや官僚の反政権クーデターの庇護(ひご)者となった。

 ばかばかしい。モリカケ桜を見る会、布マスク疑惑(ユースビオへの利益誘導の疑い)や給付金疑惑(電通への利益誘導の疑い)、「安倍友・山口のレイプもみ消し疑惑」の「無法者・安倍」が部下である萩生田文科相や文科官僚が自らの意向に反することをすることを認めるわけも無い。そんなことをすれば安倍は容赦なく萩生田を大臣から更迭しているでしょう。
 「安倍がそうした理由が何か(つくる会不合格は勿論、育鵬社アシストでしょうが、慰安婦記述復活は習主席の訪日を前に中国の反発を買いたくない?)」はともかく「つくる会不合格」も「従軍慰安婦と言う言葉の復活」ももちろん安倍の意思です。
 現首相が安倍でなく民主党の菅*1首相や、あるいは自民党総理でも「リベラル派で天皇訪中の宮沢*2首相」辺りならためらいなく首相にも悪口でしょうが、相手が安倍なら「これは萩生田や文科官僚が安倍首相に反逆したのだ」と言い出すのだから唖然です。
 いやそもそも仮に「萩生田と文科官僚の反逆」だとしても*3、藤岡らつくる会は「萩生田や文科官僚の反逆」になすすべのない安倍を「安倍は何をやってるんだ、無能、腰抜け!」と罵倒すべきでは無いのか。
 しかし「育鵬社の合格」を考えればつくる会の不合格は明らかに「産経グループの謀略」でしょうにこんな記事を掲載する産経もいい度胸です。産経の謀略で不合格にされたにもかかわらず、こんな記事を産経に執筆して恥じない藤岡ら「つくる会側」も呆れたバカですが。


【政界徒然草】都知事選でまたぞろ動く小沢氏 野党は依然近親憎悪 - 産経ニュース
 野党各党は価値観が違うからこそ「宇都宮支持(立民、共産、社民)」「山本支持(山本が党首のれいわ、国民民主の玉木など)」に割れてるのであって「近親憎悪」と言う表現自体が不適切ですね(それにしても繰り返しますが山本の出馬強行が実に不愉快です。マスコミ世論調査では最も小池に肉薄してるのが宇都宮で、しかし、僅差とは言えない苦戦なので、このまま世論調査通りの結果に終われば、山本の行為は野党共闘にもひびを入れかねない利敵行為でしかありません)。

 東京都知事選(7月5日投開票)は現職の小池百合子*4の優勢が伝えられている。新型コロナウイルス禍での特異な状況で、関係者が注目するのは小池氏の次に票を集めるのは誰か、ということだ。その候補者、あるいはその候補者を支援している政党が、次期衆院選に向けて主導権を握ることが予想されるからだ。そんな中、国民民主党小沢一郎*5衆院議員がまたぞろ動き出した。

 以下、有料記事で読めませんが、世論調査通りならば「宇都宮>山本」であり、最大野党の立民、次いで「議席数はともかく支持率では国民民主を上回る共産」が今まで通り主導権という話にしかならないでしょう。
 まあ、「山本>宇都宮」でも、れいわならまだしも、「自主投票にとどまった国民民主」が主導権などとれるわけもありませんが。
 なお、産経が取り上げる小沢氏ですが

都知事選 宇都宮候補を応援/各野党代表の訴え
 東京都知事選(7月5日投票)が告示された18日、宇都宮けんじ候補の応援で、日本共産党志位和夫委員長、立憲民主党枝野幸男*6代表、社民党福島みずほ*7党首らが港区・新橋駅前に駆けつけました。枝野、福島両氏の訴え(要旨)と小沢一郎・国民民主党衆院議員によるメッセージを紹介します。
◆国民・小沢一郎衆院議員 メッセージ
 東京都知事選挙初日の街頭演説会へのご参加ありがとうございます。野党各党の代表の参加のもと、私も末席に並び訴えるべきところ、よんどころない事情のため欠席しましたことお許しください。
 宇都宮けんじさんは、派遣村村長さんの折りから注目してまいりました。頑固なまでに反貧困を掲げ、弱者に寄り添い、弱者とともに心寄せる活動は、私が提唱してきた「国民の生活が第一」に相通ずるものではないかと思っております。
 宇都宮さんは都民の生活が第一の候補者です。国政野党が一丸となって推している*8候補です。勝利のためにあらゆる努力をお約束して、メッセージとします。

だそうです。
 ここで重要なのは
1)枝野代表、福島党首が自ら演説に立ったのに対し、小沢氏はメッセージの送付にとどまったこと
2)しかし、とにもかくにも小沢氏はメッセージを送ったことです。
 つまりは「もともと、山本が所属した自由党の元党首」で、今は「山本支持を表明する玉木が代表の国民民主党(ただし玉木個人の山本支持表明で政党としては自主投票)」に所属するしがらみがあるとは言え、それでも小沢氏は「宇都宮応援メッセージは送った」わけで、ここからは
1)彼が「宇都宮>山本」と認識していること、あるいは
2)仮に「山本>宇都宮」でも山本や、山本支持の玉木には野党共闘を動かすだけの力量は無い(野党共闘の中心は立民や共産)と認識している
であろうことが読み取れます。
 一方で彼は「山本と宇都宮の候補者一本化」も「山本支持、あるいは宇都宮支持で、彼が所属する国民民主党をとりまとめること」も出来ませんでした。国民民主党は結局党としては自主投票です。
 「山本と宇都宮の候補者一本化」あるいは「山本支持、あるいは宇都宮支持で国民民主党をとりまとめること」ができれば彼は「山本サイドあるいは宇都宮サイドでの株が大いに上がった(政治家として野党共闘で主導権も握れた?)」でしょうが彼はどっちつかずの態度しかとれずに埋没しました。
 これでは「宇都宮>山本」でも宇都宮陣営(立民、共産、社民など)の評価は「枝野、福島>越えられない壁>小沢」でしかないでしょう。
 もちろん「山本>宇都宮」なら山本サイドが「今は山本に対し距離を置く」小沢氏を評価するとは思えない。
 今の小沢氏は「自民党幹事長や民主党幹事長だった」昔と違い、政局を動かすほどの力は無いわけで産経は彼に注目する様ですが今の彼はそれほどの政治家では、はっきり言ってないでしょう。彼は「宇都宮>山本」の時に「玉木や山本と一緒に沈没したくないが故に」宇都宮応援メッセージは送るが、「山本>宇都宮」の時に玉木や山本と全面対決したくもないが故に「宇都宮陣営を応援しながらも山本サイドとの全面対決も回避しようとする」日和見政治家にすぎません。結果としてどんな結果が出ようとも彼は野党勢力の中心になど到底なれません。

【参考】

山本太郎が知事選に強行出馬した背景とは? 説得した小沢一郎が「さじを投げる」まで〈AERA〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース
 今回の都知事選では、出馬を念頭に準備する宇都宮氏のもとに、山本氏が無所属の野党統一候補として出馬するという報告が入っていた。仕掛け人は、山本氏の恩師であり、野党結集を持論とする国民民主党小沢一郎衆議院議員
 だが小沢氏の思惑は完全に空振りに終わる。ある野党幹部はこう証言する。
「小沢さんが野党各党の党首を回って、山本氏を無所属の野党統一候補として支援するという合意をとりつけたのです。ところが、最後の最後になって山本氏が無所属ではなく、れいわ新選組からしか出馬しないと、その提案を蹴ったのです。それでは各党も支援はできない。メンツを潰された小沢氏は勝手にしろとさじを投げたのです」
 この(ボーガス注:山本氏の)態度に古参の支持者からも異論が噴出している。
「(宇都宮陣営との間に)取り返しがつかない禍根を残す。宇都宮さんと敵対してまで選挙に出る理由は党そのものが実は資金難で、次期衆議院選挙に向けてカネ集めと、政治的に埋没しないよう知名度を上げておくための戦略だとの見方を示す人さえいます」
(編集部・中原一歩)
AERA 2020年6月22日号を一部修正

 まあ、山本の無茶苦茶な態度は「その種の売名」と疑われても仕方がないほど酷いもんだと思います。「山本が都知事選勝利」しない限り、どんな結果がでるにせよ山本に明るい未来は無いでしょう。宇都宮、小池に敗北し、3位以下ならもちろんですが、2位止まりでは「1位が宇都宮氏であれ、小池でアレ」山本の政治力は急速に衰えるのではないか。
 いずれにせよ、アエラのネタ元は小沢氏周辺でしょう。
 こんな「山本は自分勝手なお子様」などという「山本にとって不名誉な話」を山本サイドがアエラに提供はしないでしょうし、一方、この話が小沢氏の意思に反する物なら彼は「そんな事実は無い」と抗議してるでしょうから。

*1:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相などを経て首相。現在、立憲民主党最高顧問

*2:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*3:そんなことはありえませんが

*4:小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を経て都知事

*5:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、自由党代表、民主党幹事長など歴任

*6:鳩山内閣行政刷新担当相、菅内閣官房長官、野田内閣経産相民主党幹事長(海江田、岡田代表時代)、民進党代表代行(前原代表時代)などを経て立憲民主党代表

*7:社民党幹事長、副党首、鳩山内閣少子化等担当相などを経て党首

*8:国民民主は自主投票で、代表の玉木は山本支持を表明してるのでとてもそうは言いがたいですが。