新刊紹介:「経済」6月号

「経済」6月号の詳細については以下のサイトをご覧ください。興味のある記事だけ紹介してみます。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■巻頭言「家族経営と農協」
(内容要約)
・安倍政権の「農協改革論」への批判。

参考
赤旗
■『安倍政権の農協「改革」どうみる、党農林・漁民局長 紙参院議員に聞く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-12/2015021203_01_1.html
■『農協を強権的に壊すのは許されない、「農協改革」 志位委員長が会見』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-13/2015021302_03_1.html


■コラム「イタリア版『金銭解雇』」
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

参考
赤旗
■『100万人“解雇規制緩和ノー”、ローマで集会、デモ、労働総同盟よびかけ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-27/2014102706_01_1.html
■『イタリア 労働法改悪に抗議、二大労組がスト・150万デモ、政労使協議無視に反発』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-16/2014121601_04_1.html


■世界と日本
【中国、安定成長へシフト:3月の全人代で「新常態」を掲げる(平井潤一)】
(内容要約)
・3月に開催された中国全人代の解説。タイトルにもあるように「新常態(ニューノーマル)」路線の解説がメインであるが「PM2.5に代表される環境問題」「汚職追及問題」など他の問題についても簡単に触れている。
・「新常態」とは平たく言えば「中国が一時期の高度成長」から「低成長時代に移行したことは必然」と見なし、GDP目標を7.5%から7%に引き下げ、「低成長時代に対応した経済政策を行っていく」「もはや高度成長は常態ではない」と言う意味である。要するに高度成長を無理にでも達成することはしないということである。まあ、日本に置いても「高度成長がいつまでも続いたわけではない事」を考えればある意味「当然の政策」だろう。

参考
■人民日報『政府活動報告 中国の2015年の経済成長率目標は7%前後』
http://j.people.com.cn/n/2015/0305/c94474-8857780.html
赤旗『腐敗防止の仕組み作りへ、「経済の質高める」、李克強首相、会見で強調、中国・全人代閉幕』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-16/2015031607_01_1.html
■(新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々『持続可能な成長を目標に/中国の「新常態」 経済これって何?・・・「赤旗」日曜版記事』
http://blog.goo.ne.jp/uo4/e/3ad566e2a1a2d6726c36a1729d98a7da


【反国民性強めた政府予算:社会保障に冷たく軍事費大盤振る舞い(桜田氾)】
(内容要約)
赤旗記事の紹介で代替。
赤旗
■『社会保障削り 軍事費最大 15年度政府予算案 閣議決定、大企業に減税 格差拡大』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-15/2015011501_01_1.html
■主張『15年予算閣議決定、暮らし切り捨て未来壊すのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-15/2015011501_05_1.html
■主張『15年度軍事予算案、国を危うくする異常な拡大だ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-15/2015031501_05_1.html 
■『15年度予算 大企業減税社会保障切り捨て・大軍拡、寄り添う相手は財界とアメリカ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-10/2015041004_01_1.html


【政労使による「官製春闘」:大企業は最高益でも賃上げはわずか(藤田宏)】
(内容要約)
 安倍政権や「安倍政権翼賛メディア」は「賃上げ」を特筆大書しているが、そうは評価できないという批判。批判理由は以下の通り。
1)賃上げは安倍政権の賃上げ要請によるものであり、いわゆる「官製春闘
2)賃上げしたとは言え、それは「消費税増税」「アベノミクスによる物価上昇」を考慮に入れれば実質的には賃下げの疑いすらある
3)賃上げはもっぱら「大企業の正規社員」に限られている
4)賃上げしたとは言え、それは「連合や各企業労組の要求額」を下回っている

参考
赤旗
■『大手、ベア満額応じず、春闘集中回答 最高益トヨタ4000円』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-19/2015031901_03_1.html


特集「医療・介護大改悪と憲法25条」
■「医療・介護の一体的見直しが狙うもの」(横山寿一*1
■「社会保障制度改悪に人権の旗を掲げよう」(井上英夫*2
■「介護保険サービス抑制の問題点:岐路に立つ介護保障」(井口克郎)
■「介護保険大改悪に抗して:地域からのたたかいと展望」(日下部雅喜*3
■「現場から見た「介護大改悪」と課題」(米沢哲)
■「介護報酬引き下げによる福祉労働者への影響」(西浦哲)
(内容要約)
 論文タイトルで分かるように今回の主たるテーマは「介護保険」です。横山論文、井上論文が総論的内容であり、他の三論文が「介護保険についての個別テーマ論文」である。
 内容紹介については赤旗記事の紹介で代替。

参考
赤旗
■『介護報酬 減収を利用者転嫁、堀内氏 削減の影響、告発、衆院厚労委』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-28/2015032804_03_1.html
■『介護保険 要支援サービスの移行、「安上がり」で進まず』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-04/2015040404_01_1.html
■主張『医療保険改悪法案:「命の格差」拡大は許されない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-17/2015041701_05_1.html
■『新たな社会保障切り 自然増削減毎年3000〜5000億円、財務省が提案 高齢者から若者まで改悪計画ズラリ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-05/2015050501_03_1.html


■座談会「「戦後70年」の日本とメディア」(新崎盛吾、砂川浩慶、池田恵理子桂敬一*4
(内容要約)
・内容的には「報道ステーション・古賀発言問題での自民党のテレ朝攻撃」「慰安婦問題での自民党朝日新聞攻撃」「そうした攻撃を批判するどころか応援する極右マスコミ(読売、産経、週刊文春週刊新潮など)の態度」が批判されています。 

参考
赤旗
■『選挙報道の内容に介入、自民党が在京TV局に要請、メディア関係者から批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-11-29/2014112904_03_1.html
■『安倍政権のメディア戦略 幹部とは会食 現場には恫喝、政権べったりの社を選別、突出する「読売」、フジテレビ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-30/2014123001_01_1.html
■『“政府の姿勢見てから”、「慰安婦」番組制作で NHK会長、放送の自律性・自由否定』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-07/2015020704_01_1.html
■2015焦点・論点『安倍政権の圧力:問われるメディア』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-08/2015040805_01_0.html
■『「放送の自由」への圧力、自民TV幹部聴取 志位委員長が会見』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-17/2015041702_01_0.html
■『自民、「停波」の脅し、川崎氏 テレビ局聴取後に』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-19/2015041902_01_1.html


■「官邸農政*5の展開と矛盾:TPP・農協・地方創生」(田代洋一*6
(内容要約)
 安倍政権の農業政策への批判。内容紹介は赤旗の記事紹介などで代替。

参考
日本共産党『農業つぶしのTPPと農政「改革」に立ち向かい、農地と地域農業をまもる農業委員会に』
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/04/post-561.html
赤旗
■主張『2015年の農業、TPP撤退、持続的発展こそ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-13/2015011301_05_1.html
■主張『農協「改革」、合意なき強行は発展阻害する』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-18/2015021801_05_1.html


■「マルクス・エンゲルスと人口問題(下)」(友寄英隆*7
(内容要約)
・『新刊紹介:「経済」5月号』(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20150415/5421309876)でも「よくわからない」とぼやいたが正直、よく分からない内容である。
マルクスエンゲルスマルサスの出産制限論について「マルサスは貧困について出産制限を持ち出すが、貧困層の多産は貧困の主たる原因ではない。むしろ『貧困であるからこそ多産になる*8』のだ」と批判していた「らしい」くらいのことしかこの論文についてはちょっと小生には理解できなかったですね。当然ながら毛沢東が曲解して、後始末*9トウ小平が困った話「マルクスエンゲルスは出産制限そのものを否定していた」というのは事実ではないわけです。
 現在においては「貧困の主たる原因に多産が持ち出されることは発展途上国はともかく、日本、欧米のような少子化が進行する国ではまずないこと」「むしろ貧困による少子化(貧困だからこそ結婚、出産の余裕がない)が云々されること」を考えれば少なくとも「日本、欧米のような少子化が進行する国」では「マルクスによるマルサス批判論」はそのままの形では通用しない時代であるわけです。


■「縮小する漁業と水産物消費の減少」(川崎健*10
(内容要約)
 日本における水産物消費の減少*11とそれに伴う「漁業労働者の減少」が指摘されている。 


■「ブラック企業問題とは何か(下):安倍雇用改革との関連で」(小越洋之助*12
(内容要約)
 前号の(上)では歴代自民党政権ブラック企業を助長するような政策を推進してきたことを指摘。今月号の(下)では「ホワイトカラーエグザンプション残業代ゼロ法案)導入」など安倍政権がさらにそうしたブラック企業助長政策を推進しようとしていることを指摘、批判を加えている。

参考
赤旗
■主張『労働法制改悪:正社員ゼロ・残業代ゼロの暴走』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-18/2015041801_05_1.html
■『「残業代ゼロ」制度、「とりあえず通すことだ」、塩崎厚労相に批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-04/2015050413_02_1.html
■『派遣法改悪工作 内部文書の「みなし」発動問題、小池議員の追及受けて厚労省が核心部分削除』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-09/2015050901_02_1.html

*1:著書『社会保障の市場化・営利化』(2003年、新日本出版社)、『社会保障の再構築:市場化から共同化へ』(2009年、新日本出版社)、『安倍医療改革と皆保険体制の解体:成長戦略が医療保障を掘り崩す』(2015年、大月書店)など

*2:著書『患者の言い分と健康権』(2009年、新日本出版社)、『住み続ける権利:貧困、震災をこえて』(2012年、新日本出版社)など

*3:著書『改定介護保険法と自治体の役割:新総合事業と地域包括ケアシステムへの課題』(共著、2015年、自治体研究社)など

*4:著書『現代の新聞』(1990年、岩波新書)、『日本の情報化とジャーナリズム』(1995年、日本評論社)など

*5:従来「TPP=アベノミクス農政」「戦後レジームからの脱却農政」と言った表現をしてきた田代氏だがここでは「官邸農政」と言った表現を使用している。「自民党農業族議員を排除した官邸主導の農政」と言った内容と思われる。

*6:著書『反TPPの農業再建論』(2011年、筑波書房)、『農業・食料問題入門』(2012年、大月書店)、『TPP=アベノミクス農政:批判と対抗』(2013年、筑波書房ブックレット)、『戦後レジームからの脱却農政』(2014年、筑波書房)、『農協・農委「解体」攻撃をめぐる7つの論点』(2014年、筑波書房ブックレット)など

*7:著書『「新自由主義」とは何か』(2006年、新日本出版社)、『変革の時代、その経済的基礎:日本資本主義の現段階をどうみるか』(2010年、光陽出版社)、『「国際競争力」とは何か:賃金・雇用、法人税、TPPを考える』(2011年、かもがわ出版)、『大震災後の日本経済、何をなすべきか』(2011年、学習の友社)、『「アベノミクス」の陥穽』(2013年、かもがわ出版)、『アベノミクスと日本資本主義:差し迫る「日本経済の崖」』(2014年、新日本出版社)など

*8:つまり「子をたくさん産み労働力にすることで貧困からの脱出をはかる」「貧困層にとっては出産制限の知識も、出産制限をするだけの経済的余裕もない」といったことでしょう

*9:一人っ子政策が暫定的措置として導入されるわけです。

*10:著書『イワシと気候変動:漁業の未来を考える』(2009年、岩波新書)など

*11:一方、肉類の消費が増えている。

*12:著書『終身雇用と年功賃金の転換』(2006年、ミネルヴァ書房)、『国民的最低限保障(ナショナル・ミニマム):貧困と停滞からの脱却』(共著、2010年、大月書店)など。個人サイト(http://e-kyodo.sakura.ne.jp/ogoshi/ogoshi-index.htm