新刊紹介:「前衛」7月号(追記あり)

「前衛」7月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。興味のある内容だけ簡単に触れます。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/

■「スターリン*1秘史・巨悪の成立と展開:1951〜53年」(不破哲三*2
(内容要約)
・連載の第30回目。今回で最終回である。まず前半が前回の続き。朝鮮戦争の顛末である。
 朝鮮戦争についてはスターリンの態度は「ヨーロッパ進出のための捨て石」というものであり「北朝鮮、中国が崩壊し、米国の支援する韓国、台湾が統一韓国、統一中国を建設しない限り勝てなくても御の字」と言うとんでもない代物であった。当然ながら勝利を収めることはできず、「また攪乱工作として日本共産党に武力闘争を強要したため」日本共産党の党勢に大きなダメージが与えられた。
 またこうしたスターリンの態度は
1)「在日米軍」「在韓米軍」「軍事同盟SEATO(東南アジア条約機構)」の存在
2)アメリカによる「李承晩独裁支持」「岸信介ら極右政治家の復権」を
正当化し、アジアの民主化に大きな障害をもたらすことにつながった。
・次に後半。晩年のスターリン側近グループがいわゆる「4人組(秘密警察長官ベリヤ*3、副首相マレンコフ*4、国防相ブルガーニン*5フルシチョフ*6)」である。
 しかし不破に寄れば、晩年のスターリンは4人組を評価しておらず、むしろ彼が後継者として評価していたのはスースロフ*7だったという。
 しかしスターリンが本格的にスースロフを担ぎ出す前に彼は死亡。スターリン死亡をこれ幸いとばかりに「4人組」が巻き返しを展開。スースロフは「フルシチョフ、ブレジネフ体制の最高幹部の一員」とはなったものの「スターリン晩年の構想」ほどの権力は握れないまま、その生涯を終えることになる。

【追記】
 赤旗の関連記事を紹介しておく。
赤旗
■『「スターリン秘史:巨悪の成立と展開」第3巻「大戦下の覇権主義(上)」を語る(上):独ソ同盟下、コミンテルンの迷走』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-07/2015070709_01_0.html
■『「スターリン秘史:巨悪の成立と展開」第3巻「大戦下の覇権主義(上)」を語る(下):世界再分割の四国同盟構想、ヒトラーの提案をスターリン受諾』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-08/2015070808_01_0.html


特集『教科書と歴史の真実』
■「2014年度教科書検定の結果が示したもの」(吉田典裕)
■「育鵬社教科書が描く歴史像の矛盾:育鵬社『新しい日本の歴史』2015年検定済み教科書を読む」(佐藤広美*8
(内容要約)
 赤旗記事の紹介で内容要約に代替する。

赤旗
■『「慰安婦」記述を大幅削除、中学校教科書検定 歴史問題など安倍色 前面』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-07/2015040701_02_1.html
■『中学校教科書検定結果について:党国会議員団文部科学部会長 畑野君枝議員の談話』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-07/2015040702_02_1.html
■『教科書検定 倫理・哲学・教育学会長が声明、適正基準に改定を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-13/2015051301_04_1.html


■「「教育委員会に採択権限」と「教育基本法との合致」:極右教科書採択運動の論理の矛盾」(藤森毅*9
(内容要約)
つくる会など右翼グループの「極右教科書採択運動の論理」への批判である。
【A)「教育委員会に教科書採択権限がある」論への批判】
・確かに「現在の政府見解」はそうだが、「教育委員会に採択権限がある」とする明文規定は実はどこにも存在しない。そのように解釈可能な規定(義務教育教科書無償制度に関して「教科書無償に関する事務は教委が行う」とした法令)を「政府がそのように解釈している」だけの話なのである(なお、教委権限論批判派は「採択については学校ごとだが、細かい事務については教委が行うに過ぎない」と解釈している)。
 「当初の政府見解」は「採択権限の所在については法的な規定はない」として、「学校ごと採択」は禁止されないとしていたし、実際、学校ごと採択も行われていたのである。その点にまず注意が必要である。
・第二に「教委に採択権限がある」は「教委が何をやろうと問題はない」と言う意味では全くない。教委に限らないが行政の行為にはそれなりの説明責任が求められる。またその採択が「教育的見地から見て適切かどうか」という専門性が求められるのも当然のことである。その点では「必ずしも教育の玄人ではない教育委員会委員」の権限を強調して現場教員や歴史学者の意思を排除しようとする右翼勢力の態度は専門性の無視であり、異常である。
 右翼勢力が攻撃する「現場教員による事前の絞り込み(文学賞での事前の絞り込みの様なもん)」についても

日本教育再生機構が「教育委員が自らの視点で教科書を選ぶことができるように」と主張し、教員らによる調査研究を攻撃している問題についても小松(注:文科省初等中等教育)局長は、「必要な専門性を有し、児童生徒に対して直接、指導を行う教員が果たす役割は決して小さくない」と答弁。調査研究で教科書の“順位付け”などの評定を行うことについても「不適切ではない」と述べています。

ということで文科省も公式見解では「何ら問題ない」としている。
・なお、この論点に関連して、右翼勢力は「地方教育行政法改正により教科書採択に首長が介入する道が開かれた」などとしているが全くの偽りである。
赤旗『特定教科書の押し付け 首長に権限無し、国会答弁でも明白、公立小中の採択』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-06/2015050602_01_1.html
によれば、「地方教育行政法改正で教科書採択について首長の権限は強化されたのか」と言う主旨の畑野君枝衆院議員(共産)の質問に対し、小松・文科省初等中等教育局長は「改正前と改正後と変化は、何もない」と答弁して右派勢力の主張を否定している。
【B)「教育基本法と合致した教科書」論への批判】
・先ず第一に当然ながら現行教科書は全て「教科書検定を通過している」。教科書検定の実施者が文科省である以上「教科書としての出来不出来」はありえても「教育基本法に反する教科書」などありえないはずである。なぜならそれは「政府が違法行為を自ら実行している」と言うトンデモない話なのだから(実際文科省もそのような主旨の国会答弁を行っている。)。
 第二につくる会など右派勢力は「南京事件慰安婦」などの記述を自虐史観と攻撃し、「そうした記述について教基法の愛国心規定に反すると攻撃している」が、「南京事件慰安婦」については「実在性を認めた上でその非を認め謝罪すると言う態度(村山談話河野談話など)」が「安倍首相も一応踏襲した日本政府の公式的立場」である。むしろ右翼勢力の立場こそが「日本政府公式見解を正当な理由もなく否定する」不当なものなのである。
 第三に右翼勢力は教基法の

第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
五  伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

をもとに「自虐史観愛国心の育成に反する」と強弁しているが教基法2条5項には

他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと

と明記されていることに注意しなければならない。教基法のいう愛国心とは「他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」と両立する物でなければならないことは「条文を素直に解釈すれば当然に出てくる」話である。その意味では「他国(例:中国)を誹謗し国際社会の平和を害している」つくる会教科書こそがむしろ「教基法2条5項の精神に反する教科書」なのである。


■「「戦争法案」阻止のたたかいの発展、党躍進の新たな条件くみつくし強く大きな党を:参院選での躍進、民主連合政府実現へ志高く」(中井作太郎)
(内容要約)
・常任幹部会声明『躍進した力でたたかいと党勢拡大へ:いっせい地方選挙後半戦の結果について(2015年4月27日 日本共産党中央委員会常任幹部会)』(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-28/2015042801_01_1.html)の解説。
 タイトルで分かる様に「戦争法案阻止」にポイントが置かれている(もちろん脱原発、労働法改悪反対など戦争法案以外での反安倍共闘を無視しているわけではないが)。
 なお常任幹部会声明について簡単に小生なりにコメントしてみましょう。

 今回の選挙では、全体としての議席増、得票増のもとでも、議席や得票を減らした選挙区もあり、個々の選挙戦の自己検討を、中央としても、地方党機関、支部としても、すすめたいと思います。
 そのなかでも最大の問題は、党の自力の弱点という問題です。
(中略)
 党建設の立ち遅れなどから、これまで議席を持っていたのに後継候補者を擁立できず、みすみす議席を後退させた選挙区も少なくありません。

 「議席増」の中でも党の自力不足を素直に認めているところは好感が持てる様に思われます。もちろん「その自力不足をどう解消するか」は難しい問題であり、常任幹部会声明もそうした問題について必ずしも明快な解決案を示せていない様に思われますが、まずは現実直視することが重要なことです。

5月17日投票で「大阪都」構想=「大阪市廃止・解体」構想の是非を問う住民投票が行われます。大阪の自治と暮らしをつぶす「維新の党」の野望を許さないことは、全国的意義をもったたたかいであり、支援を集中することを呼びかけます。

 もちろん言うまでもなく「大阪都構想住民投票」では橋下維新が敗北しました。もちろん橋下が市長を辞めたわけではなく、橋下は何らかの巻き返しを企んでいるでしょうが都構想での橋下敗北それ自体は極めて重要な意義のある物と言えるでしょう。



■「戦後70年と安倍政権(上):空前の歴史的岐路を迎えた憲法の平和主義」(小松公生*10
(内容要約)
 上中下と3回にわたっての安倍政権批判の第1回目。
 タイトルで分かる様に安倍政権の「安保法制」が批判されている。

参考
赤旗
■主張『日米ガイドライン大義なき世界規模の戦争協力』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-28/2015042801_05_1.html
■主張『戦争法特別委審議、恥ずかしいのは首相の姿勢だ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-29/2015052901_05_1.html
■『米国の戦争に「ノー」と言えない政府 集団的自衛権問題の核心はここに、志位委員長が会見』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-29/2015052901_04_1.html
■『戦争法案 全参考人が「違憲」、衆院憲法審査会 憲法学者3氏表明』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-05/2015060501_01_1.html
■『派兵恒久法案 国連決議の内容は無関係、「軍事」要請なくても米軍支援。衆院特委で赤嶺氏が追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-06/2015060601_01_1.html


シリーズ「格差と貧困はどうすすんだか」
■「若年・未婚・低所得層の住宅事情調査から見えてきたもの」(稲葉剛*11
(内容要約)
 赤旗記事や稲葉氏のブログエントリの紹介で代替。

赤旗『「家賃で月収マイナス」、貧困の若者 厳しい住宅事情、NPO調査』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-19/2014121914_01_1.html
■稲葉剛ブログ『『若者の住宅問題〜住宅政策提案書 調査編』が完成!17日に記者会見を開きます。』
http://inabatsuyoshi.net/2014/12/14/1275


■「最低賃金は少なくとも1000円以上にすべきである:早期の全国一律最低賃金制度の立法化を」(水谷正人)
(内容要約)
 「労働者の生活向上」という意味でも「景気回復」と言う意味でも「全国一律最低賃金制度の導入」「最低賃金1000円」が求められているという話。

参考
赤旗
■主張『最低賃金引き上げ、暮らしの「底上げ」のため急務』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-09/2014070901_05_1.html


シリーズ「いま「大学改革」を考える」(10)
■「軍学共同と大学の危機」(池内了*12
(内容要約)
 赤旗の記事紹介などで代替。

■『軍学共同(大学・研究機関における軍事研究)反対アピール署名』
http://no-military-research.a.la9.jp/
 池内氏が呼びかけ人の一人を務める市民運動
赤旗
■『軍学共同反対 輪大きく、アピール署名 研究者呼びかけ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-01/2014080115_01_1.html
■2014 とくほう・特報『米日政府の大学動員など加速、「軍学共同」研究待った』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-24/2014122403_01_0.html
■主張『防衛省の研究連携、大学は一切の軍事研究拒否を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-03-28/2015032801_05_1.html


■論点
【遺族行政に風穴 「戦没者の妻」国賠訴訟その後】(柿田睦夫*13
(内容要約)
 柿田氏が前衛2011年10月号で報告した「戦没者の妻」国賠訴訟の続報である。
戦没者の妻」国賠訴訟については
赤旗『大阪地裁、戦没者妻に不当判決、給付金不支給 国の怠慢追認、原告、控訴へ』 
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-10-16/2010101614_01_1.html
参照。ざんねんながら地裁の判決は最高裁(2013年)でも覆らなかったのだが、従来ホームページや官報での通知などにとどまっていた広報は、2013年給付から「妻への個別通知に改正」されている。
 その結果

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-22/2015032204_02_1.html
 高橋議員らが国会で時効を撤廃せよとくり返し要求する中で、厚労省は、総務省の恩給データの情報も得ながら、妻本人に制度案内を個別に送付。戦傷病者の妻に対する特別給付金の時効失権者は11年にはゼロになりました。

と言う「時効失効者ゼロ」という成果が生まれている。


■暮らしの焦点
最高裁大法廷で審理されている民法改正:夫婦別姓と再婚禁止期間をめぐって】(武田恵子
(内容要約)
 赤旗記事紹介で内容要約に代替。

赤旗
■2015とくほう・特報『夫婦別姓 女性再婚禁止期間、最高裁大法廷 何が問われる、民法改正促す違憲判断を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-17/2015031703_01_0.html
■『選択的夫婦別姓制度の導入めざし、民法改正、新たな動き』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-20/2015042002_02_1.html


■文化の話題
【音楽:テレジンでの志村泉リサイタル】(小村公次)
(内容要約)
テレジンにピアノを贈る会」結成15年を記念して、テレジンで行われた志村泉氏のピアノリサイタルの紹介。


【美術:手のひらサイズの文化運動】(朽木一)
(内容要約)
 美術鑑賞は往々にして「美術館の建設」のような「大きな話」になりがちだが、もっと「小さな掌サイズの文化運動」でもできることはあるのではないかと言う話。話がやや抽象的なのでできれば具体的取組を紹介してほしかったところではある。


【演劇:『華と石と』 劇団朋友】(水村武)
(内容要約)
 劇団朋友(http://www.gekidanforyou.com/top.htm)の『華と石と』の紹介。
 朋友のキャッチコピーやネット上の劇評に寄れば内容は次の通り。まあ、何というか日本人って「藤沢秀行みたいな豪放磊落イメージ」が好きですよねえ(実は小生もそう言うのが好きなベタな日本人だが)。
 藤沢以外でも小説『王将』(北条秀司)のモデルとなった阪田三吉とか。もちろん阪田や藤沢に才能がないとは言いませんがそう言うのとは違う意味で彼らは人気があるわけですよね。そう言う意味では、羽生善治なんかどんなに強くても阪田や藤沢のような人気はあり得ないでしょうね。

http://hanaishi.exblog.jp/23821705
・天才棋士藤沢秀行*14の破天荒な生き方に最後まで添い遂げた妻モト*15の想像を絶する物語。

http://blog.feldenkrais-y.net/?eid=223
 古巣の劇団の公演です。
 『天才棋士 藤沢秀行の破天荒の生き方に最後まで添い遂げた 妻モトの想像を絶する物語。』
 藤沢秀行は、天才棋士で数々のタイトルを手にする反面、酒、女、賭け事、借金。
 外に子供を作り、酒で身体を壊し、癌と闘い、 ほとんど家に戻らない夫の『負』 の部分を一手に引き受けて支え続けた妻モト。
 藤沢秀行は舞台には登場せず、言葉を発することのない碁盤(と黒子)がその代わりに舞台に現れる。
 たぶん、人物として舞台に登場したらドロドロとした救いようのない場面が展開するだろうが、どこか明るく、あっけらかんとしたような独特の雰囲気が舞台に漂っているのはそのせいなのでしょうね。
 モトの強さ、明るさ、愛情がその分いっそう引き立つ。
 内容の割にすがすがしい舞台でした!

参考

http://blog.livedoor.jp/shogitygoo/archives/51601345.html
■ものぐさ将棋観戦ブログ『藤沢秀行坂田栄男封じ手をめぐるせめぎあいーNHK「迷走〜碁打ち・藤沢秀行という生き方〜」より』
 私は囲碁のことを何も知らない。でも、NHK藤沢秀行特番はとても面白かった。
(中略)
 その中から、昭和38年度の名人戦、名人藤沢秀行本因坊坂田栄男の頂上対決における封じ手をめぐるせめぎあいを取り上げてみよう。
(中略)
 坂田栄男もインタビューで登場する。

 ボクはね、秀行のね。ちょうちん持つような番組なんか出たくないんだけどね、本当は。
 秀行はね、無頼派棋士という、最後の無頼派無頼派っていうのは嫌いなの僕は、正反対だよ。

(中略)
 当時の局後の坂田の笑う写真が映し出されるのだが、これがすごい。なんというか、謙虚に勝ちを喜ぶとかホッとするとか言うのでは全然なく、してやったり、どうだみたかといわんばかりに勝ちを喜ぶ笑顔。そこには敗者に対するいたわりのようなものは、ほとんど感じられないのだが、私はそういうところに坂田の凄みを感じてしまう。勝負の鬼、本物の鬼。
 藤沢も、私生活などではとんでもない人だったらしい。手のつけられない荒ぶる魂ということでは、二人とも共通しているのかもしれない。しかし、秀行には、どことなく人間的な弱さの美しさのようなものも、そこはかとなく感じてしまう。
 番組中で小西泰三八段がこんなことを語っていた。

 (藤沢には)自分の形がない。虚像かもしれない。実際はすごい神経質で。(注:無頼派という)自分の虚像をつくりあげることで、自分の実像を保っている、そういう部分が本人の中であったという気がする。

 私は門外漢でお二人のことを、ほとんどよく知らないが、この番組を観ただけでも、そういう部分は直感した。藤沢の無頼は意図的に作り上げた部分もあり、それとはそぐわない部分を内面にもっていた人のような気がする。一方、無頼は嫌いだと言い切る坂田の方に、本物の精神的無頼派とでもいうべき逞しい何者かが潜んでいたのではないか。勿論、これは私なりの勝負師坂田に対する最大限の賛辞のつもりなのだが。当たっているかどうかはしらない。

 小生も以前「藤沢死後のNHK追悼番組」を見たことがある。そのときの感想はhttp://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20101023/1287784929で簡単に触れています。なお、「作った無頼派」てのは小生も感じましたですね。もちろん「酒・ばくち・女性」が嫌いなわけではないでしょうが。追悼番組には藤沢に指導を受けた人々も出ていましたが、本当に無頼派だったら弟子を育てようなんて思わないんじゃないですかね。だって面倒臭いじゃないですか、明らかに。


■スポーツ最前線「女子サッカー 選手をめぐる環境は改善されたか」(安岡伸通)
(内容要約)
 女子サッカーをめぐる厳しい状況についての紹介。
 参考として、■(新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々『女性スポーツのあり方語り合う/国際女子サッカー開催記念シンポジウム・・・今日の赤旗記事』
http://blog.goo.ne.jp/uo4/e/aab5c5313d261ad31d5eafa758a885bb
を紹介しておく。

【追記】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150714-00000271-sph-socc
■スポーツ報知『“シンデレラガール”有吉、職場復帰した最初の仕事は』
 なでしこジャパンの“シンデレラガール”、DF有吉佐織(27)=日テレ=が14日、約2か月ぶりに職場復帰。準優勝した女子W杯で一躍時の人となった有吉が、最初にこなした仕事は洗濯物干しだった。
 横浜市内のクーバー・コーチング・サッカースクールジョイナス校で受け付け業務。「洗濯は私の仕事なんです」と、前夜に使用した貸し出し用のビブスやユニホームを洗濯機に放り込んだ。出勤前の電車内では初めて声をかけられ「びっくりしてうまく応えられなかった」。職場に訪れた数組のファンには記念撮影にも応じ、最高の笑顔でもてなした。
 所属は日テレだが、アマ契約で給与がないため働いており、勤務は火曜日から金曜日の午前10時〜午後4時。ふだんは個人参加のフットサルに人数合わせで飛び入り参加もあるだけに今後は「なでしこの有吉」との対決を求めて足を運ぶお客さんが増えるかもしれない。同校自慢の受付嬢は「私みたいな(普段は働いている)選手も多い。そういう選手にも目を向けて親しんでもらえたらうれしいです」とほほ笑んだ。(秦雄太郎)

http://www.sankei.com/west/news/150721/wst1507210010-n1.html
産経新聞『【サッカーなんでやねん】「プロなのにアマ」女子選手の不当な扱いにサッカー国際労組が異議 なでしこ宮間発言の真意をくみとれ』
 「なでしこジャパン」のメンバーでも、プロ契約の選手は大黒柱の澤穂希(INAC神戸)らひと握り。W杯ドイツ大会で初優勝し、フィーバーが巻き起こった4年前と実は、あまり変わっていない。今回も、右サイドバックとして脚光を浴びた有吉佐織(日テレ)が普段はフットサル場で働きながらサッカーを続けていることなどが話題となったが、これを単純に「よっぽどサッカーが好きなんだ」と感心したり、「けなげで頑張り屋さん」と受け取ることで済ませてはいけない気がする。

 「なでしこジャパンメンバー」ですらこれですから女子サッカーで食うのはとても難しいわけです。


■メディア時評
【新聞:歴史の偽造許さぬスクラムを】(阿部裕)
(内容要約)
 河野談話否定など、歴史の偽造を企む安倍政権への批判。

参考
日本共産党『歴史の偽造は許されない:「河野談話」と日本軍「慰安婦」問題の真実』
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2014/03/post-556.html
赤旗『歴史を偽造するものは誰か:「河野談話」否定論と日本軍「慰安婦」問題の核心』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-09-27/2014092704_01_0.html


【テレビ:本土メディアが伝えない沖縄】(沢木啓三)
(内容要約)
 「安倍政権へのびびり」及び「沖縄基地問題への無関心」から「沖縄の声」を伝えようともしない本土メディアへの批判。

参考
■アリの一言『辺野古の緊迫、なぜ伝えぬ本土メディア』
http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/e/05face0a0aaeb6f720586f12593ec7c3

*1:ソ連共産党書記長

*2:スターリン関係の著書に『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)。また本連載「スターリン秘史」が既に『スターリン秘史・巨悪の成立と展開(1):統一戦線・大テロル 』(2014年、新日本出版社)、『スターリン秘史・巨悪の成立と展開(2):転換・ヒトラーとの同盟へ』(2015年、新日本出版社)として刊行されている。これについては■赤旗「『スターリン秘史―巨悪の成立と展開』第1巻を語る、人民戦線と「大テロル」が並行』」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-13/2015011308_01_0.html)、「『スターリン秘史―巨悪の成立と展開』 第2巻を語る (上)』」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-29/2015042908_01_0.html)、「『スターリン秘史―巨悪の成立と展開』 第2巻を語る (下)」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-30/2015043008_01_0.html)を紹介しておく。

*3:スターリン死後、第一副首相に就任するがフルシチョフらとの政争に敗れ、「NKVD長官時代の事件捏造の罪」で死刑が執行された。

*4:スターリン死後、首相に就任するがフルシチョフ失脚を狙ったいわゆる「反党グループ事件(1957年)」で首相を解任。後任首相にはブルガーニンが就任した。

*5:スターリン死後首相に就任するがフルシチョフ第一書記との抗争に敗れ1958年に首相解任。後任首相にはフルシチョフが就任した

*6:スターリン死後、党第一書記、首相。しかし政治抗争に敗れ1964年に失脚。後任の党第一書記(後に書記長に改称)にはブレジネフが、首相にはコスイギンが就任した

*7:フルシチョフ党第一書記、ブレジネフ書記長時代のソ連共産党イデオロギー担当書記。その黒幕的な役割から、「灰色の枢機卿」、「陰の実力者」の異名をとった。彼の葬儀は大々的に行われ、1953年のスターリンの葬儀以来最大のものとなった。ソ連全土で4日間の服喪期間が設けられ、1月29日の葬儀の日には小学校から大学まで休校となり、ソ連の全テレビ局が、赤の広場で行われた葬儀をソ連全土に中継で放映した(ウィキペ「スースロフ」参照)。

*8:著書『総力戦体制と教育科学:戦前教育科学研究会における「教育改革」論の研究』(1997年、大月書店)

*9:著書『教育の新しい探究:今こそ「まともなルールを」』(2009年、新日本出版社)、『いじめ解決の政治学』(2013年、新日本出版社

*10:著書『原発にしがみつく人びとの群れ:原発利益共同体の秘密に迫る』(2012年、新日本出版社)、『カジノ狂騒曲:日本に賭博場はいらない』(2014年、共著、新日本出版社)、『政党助成金に群がる政治家たち』(2015年、新日本出版社

*11:個人サイト(http://inabatsuyoshi.net/)。著書『ハウジング・プア』(2009年、山吹書店)、『生活保護から考える』(2013年、岩波新書)など

*12:著書『科学の考え方・学び方』(1996年、岩波ジュニア新書)、『私のエネルギー論』(2000年、文春新書)、『物理学と神』(2002年、集英社新書)、『疑似科学入門』(2008年、岩波新書)、『科学の限界』(2012年、ちくま新書)、『科学のこれまで、科学のこれから』(2014年、岩波ブックレット)、『宇宙開発は平和のために』(2015年、かもがわ出版)など

*13:著書『霊・超能力と自己啓発:手さぐりする青年たち』(1991年、共著、新日本新書)、『統一協会:集団結婚の裏側』(1992年、かもがわブックレット)、『霊・因縁・たたり:これでもあなたは信じるか』(1995年、かもがわ出版)、『現代こころ模様:エホバの証人ヤマギシ会に見る』(1995年、新日本新書)、『自己啓発セミナー:「こころの商品化」の最前線』(1998年、新日本新書)、『現代葬儀考:お葬式とお墓はだれのため?』(2006年、新日本出版社

*14:著書『勝負と芸:わが囲碁の道』(1990年、岩波新書)、『碁打秀行:私の履歴書』(1999年、角川文庫)、『野垂れ死に』(2005年、新潮新書)など

*15:著書『勝負師の妻:囲碁棋士藤沢秀行との五十年』(2003年、角川oneテーマ21