https://www.youtube.com/watch?v=M30wFXBJ4Z0
三浦が3月30日出版記念講演会を行います | 三浦小太郎BLOG Blue Moonで宣伝していた講演会の動画です。
拙著「なぜ秀吉はバテレンを追放したのか」2月21日発売です。興味のある方はぜひよろしくお願いします | 三浦小太郎BLOG Blue Moonで宣伝していた駄本についての講演会ですね。1時間25分程度で少し長いです。
適当に要約して、三浦のしゃべりを紹介していきます(一言一句同じではないので、正確に知りたい方は動画を見て下さい)。
三浦「秀吉はバテレン追放令は出しましたが、西欧文明には理解がありました」
まあ、そうでしょうねえ。思想弾圧と「文化や科学技術の愛好」は違うわけです。今の中国なんかわかりやすいですが、どんどん科学技術を導入して今の近代化があるわけです。でもそれは民主化という話とは別です。何も中国だけじゃない。旧ソ連もそうだし、ナチドイツもそうだし、戦前日本もそうです。
次に三浦曰く
「黒澤映画「7人の侍」で野武士と百姓が対決し、百姓が被害者のように描かれる。しかし歴史研究に因れば、実際の戦国時代では、百姓が戦国大名に兵隊(雑兵)として徴兵され、戦地で略奪をやっていた。現実社会では百姓と野武士の区別は映画ほど明快ではなかった」
「時代劇だから仕方がないがそういう意味では、あの映画は歴史的事実とイコールではない」
「戦国時代はいわゆる兵農分離がされてない状況*1であり、秀吉の刀狩りによって兵農分離が行われた」。
「それについては例えば戦国時代研究で知られる藤木久志氏(立教大学名誉教授)の『雑兵たちの戦場:中世の傭兵と奴隷狩り』(2005年、朝日選書)を読んでほしい。」
「藤木さんの本の副題は『中世の傭兵と奴隷狩り』ですが、戦場では奴隷狩り(人身売買)も行われていた。」
まあ、そうらしいですね。三浦のような「右翼」が「奴隷狩り」「略奪」と日本の負の歴史に触れるのは異例ですが。たぶん「イエズス会の奴隷売買云々→秀吉のバテレン追放は正しかった」つう話へ後でつなげるための前振りでしょうが。
いずれにせよここで、三浦が「三浦のような極右ではない、むしろ極右に否定的な藤木氏*2」の著書を紹介していることを指摘しておきます。結局、まともな歴史の議論をしようとしたら、三浦ですらまともな研究者の本を持ってくるしかないわけです(三浦が藤木本をまともに理解しているかどうかはひとまず置きます)。そしてそういうまともな歴史学者には三浦のようなウヨ同調者はまずいない。
次に一向一揆に触れる三浦です。まあ、一向一揆を十字軍だの、ホメイニ・イラン革命やISだの、古今東西の宗教をバックにした軍事行動と同類扱いし、「宗教の危険性」を強調する三浦です(浄土真宗に対する悪意はありません、とさすがに断る三浦ですが)。これまた「イエズス会の危険性→秀吉のバテレン追放は正しかった」つう話へ後でつなげるための前振りでしょうが。
まあ、一向一揆評価もなかなか難しいでしょうね。三浦が言うように「一向宗僧侶が大名に変わって支配者になっただけじゃないのか?」つう面もあるでしょうから、安易に美化していいとは思いません。ただし、三浦ほどくそみそに罵倒していいのか。
次にキリシタン大名の領土において、ぼんぼこキリスト教会が建てられる反面、寺院や神社が破却された、イエズス会は無茶苦茶だ、まるで文化大革命だ*3という三浦です。
そしてイエズス会側は、キリシタン大名の歓心を得ようと金銭支援したり、貿易の利益を提供したりした。
三浦らしく、途中で話がところどころ脱線します。
「一向一揆やイエズス会のような信念に基づいた行為は、その信念が間違っていると問題を起こすことがある。例えば文革だ」。
「いわゆる天正遣欧少年使節の記録にはイエズス会に都合のいいことしか書いてない。少年使節側はヨーロッパへの憧れがあったし、一方、宣教師はヨーロッパのいいところしか見せなかった。まるで文革時の友好人士歓迎のようだ*4」
どんだけお前、中国と共産主義、そして文革が嫌いなんだって話です(いや俺だって「中国*5や共産主義*6はともかく」もちろん文革は好きではないですが)。こういうときに「誤った信念に基づいた問題行為」として「515事件」「226事件」とか「日本ウヨ関係」が出てこないのはさすが「ウヨの三浦」です。
あるいは「都合のいいところしか見せない例」として「満州は素晴らしい新天地なんです。是非皆さん来て下さい」と日本政府が宣伝して、日本国民を多数満州に開拓民として呼び寄せ、「中国残留日本人孤児の悲劇」を作り出した戦前日本に触れないのはさすが「ウヨの三浦」です。
たぶん「間違った信念に基づく愚行。まるで515事件や226事件のようですね」「都合のいい虚偽宣伝による悲劇。まるで中国残留日本人孤児の悲劇のようですね」といったらマジで三浦の様なウヨは怒るんでしょうね。
次に秀吉の政策に触れる三浦です。いわゆる「惣無事令(刀狩令や海賊船禁止令、喧嘩停止令など。豊臣平和令とも呼ぶ)」について触れています。
この惣無事令もウィキペディア「惣無事令」によれば藤木『豊臣平和令と戦国社会』(1985年、東京大学出版会)が初期研究であり、また藤木氏の名前が出てくるわけです。繰り返しますが三浦ですら歴史についてそれなりに真面目に語ろうとしたら藤木氏のようなまともな学者しかもって来れないわけです。「三浦のお仲間」ウヨ連中にまともな学者なんかいませんので。
なお、「惣無事令」については藤木氏は他にも『刀狩り』(2005年、岩波新書)などの著書があります。
つまり秀吉が「惣無事令」によって下克上を否定し、天下人になったことによって、日本は「一応、統一国家」となり、戦国時代が終了し、それなりの平和が実現したわけです。
次にバテレン追放令に触れる三浦です。三浦曰く、追放令の文章を解釈すれば「キリシタン大名がイエズス会の支援のもとに秀吉を反抗することを恐れたのではないか」「宗教勢力でしかない一向宗の一揆でも厄介なのに軍事のプロである大名に反乱されては困る」と。
それプラス「サブの理由」として「イエズス会による寺院、神社の破却や人身売買*7」が「追放の理由」としてあげられてると。
まあここまでで予想できるでしょうが「バテレン追放令に何の問題もない。惣無事令と同じ流れなんだ。秩序の維持だ」とする三浦です。
三浦曰く「なぜ惣無事令で国内を平和にしたのに朝鮮出兵したのでしょうか?」
まあ、これは例えば「戊辰戦争終了後の日本の韓国侵略」などと同じでしょうねえ(もちろん時代背景は違いますが)。
「国内を平和にすること」は「国外を平和にすること」とはまた別なわけです。「日本人で殺し合うのはやめよう」つうのが「日本人じゃなくても殺し合うのはやめよう。殺人なんて悪徳行為だ」つう平和主義だったら、「国内の平和」は「国外の平和」と直結するわけです。
そうではなく「日本人で殺し合うのはやめよう。同じ仲間だ。でも外国人なら仲間じゃないから、よそ者だからぶっ殺してもいいよ」「外国人ぶっ殺してどんどん日本の領土を増やそうじゃないか」「日本で争いがなくなったから安心して外国を侵略できる」という話なら「国内の平和」は「国外の平和」に全然つながらないわけです。
なお、三浦も指摘していますし、歴史的事実ですが、当初の秀吉の最終目標は「中国支配」です。朝鮮支配は「中国支配の前段階」のわけです。
だからこそ、秀吉の朝鮮侵略に対して明軍(中国軍)も出兵してくる。もちろん「朝貢している朝鮮」を日本に勝手に侵略されては、明(中国)のメンツ丸つぶれですが、それ以前に「中国侵略が最終目標であることがモロバレ」である以上、明は出兵せざるを得ないわけです。
しかし、秀吉の目標は挫折する。そこで秀吉は目標を当初の「中国征服」から「朝鮮征服」にレベルダウンさせますが、結局それもうまくいかず、秀吉の病死によって、朝鮮遠征軍は日本に帰国。結局、朝鮮出兵は得るものなく終わるわけです。むしろ、朝鮮出兵は豊臣政権の権威を失墜させ、徳川家康の天下取りを助長した疑いすらあるわけです。
最後に小堀桂一郎『鎖国の思想:ケンペルの世界史的使命』(1974年、中公新書)からケンペルの鎖国論を紹介する三浦です。ケンペルは鎖国に好意的評価だったと。三浦が何言いたいかよく分かりません。安倍の移民政策への批判でしょうか?。あるいは「無謀な対外戦争して、結果、滅んだ豊臣家より、鎖国して長きにわたり政権を担当した徳川家の方が立派だ」つう話か?。
https://www.youtube.com/watch?v=85-46bmHSTM
精神衛生に悪いので動画視聴はお勧めしません。俺も正直見ていて怒りと吐き気に襲われましたので。アイヌ関係者なら俺以上の怒りを感じることでしょう。
三浦小太郎「アイヌ新法には反対だー*8」「日本政府は明治の頃から今に至るまでアイヌ差別なんかしてないー。差別したという輩は反日だ」「明治新政府のおかげでアイヌは近代化したんだー」「アイヌ新法はアイヌ利権だー」「逆差別だー」「アイヌのためにならないー」「そんなことより中国の少数民族差別ガー、安倍総理はいつになったら中国にその件で苦言をー*9」(要約)て。
こういう輩がよくもまあ、「中国政府の少数民族(チベットやウイグル)差別ガー」といえるもんです。自分の物言い「明治新政府のおかげでアイヌは近代化したんだー、アイヌ差別なんかないんだー」が「我々中国共産党のおかげでチベットは遅れた封建農奴制社会、ダライラマ宗教支配社会から今の近代化した社会になったのです。」「我々を多くのチベット人が支持しています。我々に反対しているのは一部のダライ一味支持者だけです」という中国の言い分とそっくりであることをなんとも思わないのか。
「お前らその台詞をアイヌ関係者の前で言えるんだろうな?」つう話です。まあ、三浦ら非常識右翼がアイヌ関係者の前で放言したとしても驚きませんが。
そしてよくもまあ、こんな「右翼結社・頑張れ日本の集会でアイヌ差別暴言を吐く」ごろつき右翼「三浦小太郎」と、例の自称「アンチネトウヨ」「N原さん(本名・Yさん)」もつきあえるもんです。
「N原さん(本名・Yさん)」も「日本政府は明治の頃から今に至るまでアイヌ差別なんかしてないー。差別したという輩は反日だ」「明治新政府のおかげでアイヌは近代化したんだー」なのか?
それとも「アイヌについて私と三浦氏の意見は大きく違いますが、反北朝鮮の同志だから大目に見る」のか?。こんなアイヌ差別暴言に寛大になれるのが「N原さん(本名・Yさん)」の「アンチネトウヨ」なのか?
なお、「利権ガー」云々の可能性はもちろんゼロではないでしょう。ただしそれは基本的に補助金事業全てにいえる事でありアイヌ新法限定ではない。
三浦小太郎「私は安倍政権支持者ですがアイヌ新法には反対です」「そして、アイヌ新法なんかより、いつになったら九条改憲してくれるんですか!」(要約)
うん、三浦君の極右性がわかりやすいねえ。つうかさ、アイヌ新法反対を仮に正当なものとして認める*10として、それと改憲とかけらも関係ねえだろ。まあ、三浦が演説してる場所は極右団体「頑張れ日本」の集会で、改憲右翼しかいないからこうなるんですけど。
万葉集入門には、「清川妙の萬葉集」(ちくま文庫)がおすすめ | 三浦小太郎BLOG Blue Moon
万葉集でググってヒットした本をいくつか紹介しておきます。
・中西進著『古代史で楽しむ万葉集』(2010年、角川ソフィア文庫)、『万葉の秀歌』(2012年、ちくま学芸文庫)
・中西進監修『楽しくわかる万葉集 (図解雑学シリーズ) 』(2011年、ナツメ社)
「政府リークによるマスコミ報道」で令和の考案者と噂される中西氏の著書ですね。やはりミーハーで付和雷同的な日本人らしくこれらの本が一番売れてるようです。
放送大学の学習テキストですので一定のレベルはキープしてるんじゃないかとは思います。
*1:兵農分離がされてないからこそ、百姓(農民)の秀吉が足軽から出世し、ついには天下人になるわけです。
*2:まあ、まともな研究者なら藤木氏に限らず、三浦らウヨに同調などしませんが。むしろ歴史修正主義者として批判します。
*3:ここで「まるで明治の廃仏毀釈だ」といわない点がウヨの三浦らしい。
*5:好きとか嫌いとかではなく隣国である以上、付き合わざるを得ないわけです。まあ一般論として言えば「中国に限らず」一党独裁という政治システムを多くの人間同様に「俺も」もちろん支持はしません。一方で様々な中国文化(例:中華料理)の中には俺にとって魅力的な物も多々あるわけです。
*6:旧ソ連型一党独裁共産主義はもちろん支持しませんが、「マルクス的理想主義(貧困の克服など)」にはもちろん共感します(共感しない人はまず居ないでしょうが)。ただし方法論として「マルクス主義がどれほど有効なのか」は不勉強なのでなんとも評価できません。
*7:ただし当時の日本において人身売買は何もイエズス会が始めたわけではありません。ヨーロッパ人が日本に来航する前から、人身売買は日本で行われてました。
*8:まあ、安倍政権が法案提出し全会一致で可決される見込みではありますが。
*9:予想の範囲内ですが三浦らウヨにとって安倍が「訪日したダライに会わないこと」「訪日した李克強首相を歓迎したこと」などはやはり不愉快だったわけです。三浦らウヨは「改憲のためには安倍支持しかないんだ」「安倍総理の対中国政策は石破や岸田などに比べたらまだ俺たち右翼よりなんだ」という認識の下、我慢してるわけですが。
*10:俺は認めませんが。三浦らの場合「そもそも日本はアイヌ差別なんか明治から今に至るまで一切してない」つうデマカセですからね。