権利についてあまりに多くを語るな。また、そのように語る人に耳を傾けるな(19世紀ロシアの思想家の言葉) | 三浦小太郎BLOG Blue Moon
仕事の都合で、19世紀ロシアのスラブ主義者と言われた人の思想を調べている
「どんな都合だよ」ですね。三浦の職業は「自由業(プロ右翼活動家。限りなく無職に近い)」のであって「和田春樹・東大名誉教授*1」などのようなロシア史研究者ではないでしょうに。
北方領土問題でプーチンにウヨらしい悪口する程度なら「19世紀ロシアのスラブ主義者」なんて調べる必要もないでしょうし。
・『権利についてあまりに多くを語るな。また、そのように語る人に耳を傾けるな』ねえ。
・なるほど、ということは「政府は早く拉致被害者を取り戻せ」と権利ばかり求めて、居丈高な拉致被害者家族会には耳なんか傾けなくていいですね?
といったら三浦も怒り出すんでしょうねえ(苦笑)。
拉致被害者家族会への冗談、皮肉、悪口はともかくそもそもこの思想家「ホミャーコフ」とやらがどういう意味合いで発言してるのかがよく分からないのが問題ですが、一般論としてこういう「権利を得たいなら義務を果たすべきだ」云々という物言いには賛同できませんね。
これでは「酒ばかり飲んで義務を果たさないアル中患者は野垂れ死にしても仕方がない。国が面倒を見る必要はない」などという無茶苦茶なことになりかねないからです。さすがにまともな人間は「アル中なら野垂れ死にしていい」とはいわないでしょう。
「まともでない三浦とその同類」はそういう考えかもしれませんが。
ホミャーコフという19世紀ロシアの思想家で、子供のころから裕福な貴族の家に育ち、フランス語、ドイツ語、英語、ラテン語まで勉強して西欧にも何度も赴いたのですが、その結果「西欧近代の自由民主主義は、無神論や拝金主義につながる危険性があり、社会においても権利や自由があまりに強調され、ロシアの古き良き宗教伝統*2や共同体を壊してしまう」という考えにたどり着きました。
と言うのもただのくだらないノスタルジー(「夫婦別姓」「女性天皇制」「同性婚容認」などを「伝統に反すると悪口する」日本ウヨも持ってる考え?)でしかありません。
三浦もそうした批判を受けるであろうことは自覚してるらしく
この文章とか、今は下手をすると差別的だとか、社会的弱者に冷淡だとか絶対言われると思うだけど、なんか結構問題の本質をついていると思うんだけどなあ。
と言い訳していますが。
ホミャーコフは晩年、ロシア帝国政府と国民の「傲慢さ」を批判しました。その趣旨は次の通りです
ロシアは大国となったが、それによって「傲慢」になり「神への感謝と謙譲の心を失った」「軍隊を増強し、国家収入を増大し、他国民を威嚇し、時に不正な手段によって自己の領土を拡張すること、それが我々の欲求となった」ロシアが、トルコとのクリミア戦争に敗れたのは正しい神の罰*3である。
で、こんなことをいう三浦に対し「ホミャーコフのように」
・戦前日本は経済的、軍事的な意味で大国になったが、傲慢になり、謙譲の心を失った
・軍隊を増強し、他国民(例:中国や韓国)を威嚇し、時に不正な手段(例:満州事変)によって自己の領土を拡張すること、それが戦前日本の欲求となった
・最終的には愚かにも中国や欧米に無謀な戦争を仕掛けた
・日本が日中戦争や太平洋戦争で英米や中国に敗れたのは神の罰(?)である
と言うと怒り出すんでしょうねえ(苦笑)。
以上は、勝田吉太郎氏の著書「近代ロシア政治思想史」からの引用ですが、今の大国の政治家がちょっとこういう精神を持ってくれると、もう少し世界はよくなるような気がする
ここで三浦が言う大国とは一体どこのことなんですかね?。
まあ「G7諸国(米英仏独伊、カナダ、日本)」は当然のように除外され、もっぱら中露のこと(中国の少数民族問題、北方領土問題、ロシアゲート疑惑など)なのだろうと予想はつきますが。
たぶん「米国の対イラン外交」「米国のユネスコ脱退(パレスチナ自治政府のユネスコ加盟への反発)」「安倍の無法な韓国への報復」などへの批判ではない。
【追記】
コメ欄での指摘に応答してみます。
彼はたぶん学者にあこがれているんでしょうね。
ただやってることは「ただの極右活動家」でしかないですよねえ(苦笑)。
まあ、過去にも
・自民党参院議員を務めた林健太郎*4(東大名誉教授、ドイツ史)
・自民党ブレーンの一人である高坂正堯*5(京大名誉教授、国際政治学)
・安倍政権下の各種審議会委員を務めた北岡伸一*6(現在はJICA理事長。東大名誉教授、政治学)
など保守、自民党支持の学者はいます。しかし、三浦はそこまでのもんではないでしょう。
つうか「学者になりたい」ならせめて「つくる会理事」なんてもんはやめるべきでしょう。
*1:ロシア関係の著書として『ペレストロイカ』(1990年、岩波新書)、『テロルと改革:アレクサンドル二世暗殺前後』(2005年、山川出版社)、『レーニン:二十世紀共産主義運動の父』(2017年、山川出版社世界史リブレット人)、『ロシア革命』、『スターリン批判・1953〜56年:一人の独裁者の死が、いかに20世紀世界を揺り動かしたか』(以上、2018年、作品社)など
*3:勿論戦争の勝敗は単に「軍事力(場合によっては経済力や政治力)の強弱」という話でしかありません。もちろん「大義のない戦争」は国際的非難をあびて勝利が困難になることがあり得ます(「欧米から制裁を食らった戦前日本の中国侵略」「国際社会の批判をあびた米国のベトナム戦争や、旧ソ連のアフガン侵攻」はその一例です)。しかし、「勝てば官軍、負ければ賊軍」と言う単純な話ではあり得ません。
*4:著書『ワイマル共和国』(1963年、中公新書)、『両大戦間の世界』(1976年、講談社学術文庫)など
*5:著書『世界地図の中で考える』(1968年、新潮選書)、『文明が衰亡するとき』(1981年、新潮選書)、『現代の国際政治』(1989年、講談社学術文庫)、『世界史の中から考える』(1996年、新潮選書)、『現代史の中で考える』(1997年、新潮選書)など
*6:著書『後藤新平』(1988年、中公新書)、『清沢洌』(2004年、中公新書)、『国連の政治力学』(2007年、中公新書)、 『独立自尊:福沢諭吉と明治維新』(2018年、ちくま学芸文庫)、『世界地図を読み直す:協力と均衡の地政学』(2019年、新潮選書)など