新刊紹介:「経済」3月号

「経済」3月号について、「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/


◆巻頭言「コンビニ残酷物語」
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/コンビニの営業/過酷な働き方ただすルールを
コンビニ業界の健全発展へ/共産党 加盟店守る緊急提言
加盟店の営業と権利を守り、コンビニ業界の健全な発展をはかるため、コンビニ・フランチャイズ法の制定を/日本共産党の緊急提言/2019年6月7日 党国会議員団
「元日休ませて」/コンビニユニオン セブン本部に嘆願書/過労で限界 客少なく廃棄も


◆随想「ジェンダー平等へ」(長尾ゆり)
(内容紹介)
 筆者は全労連副議長・女性部長であり、全労連の「ジェンダー平等の取り組み」について述べている。

参考
ジェンダー平等へ行動/全労連女性部が定期大会/安倍改憲断念に


世界と日本
◆COP25の結果と課題(早川光俊)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
COP25閉幕/日本政府の態度が世界の足を引っ張った/小池書記局長が指摘
主張/COP25の閉幕/気候危機打開へ行動強化こそ
日本は石炭火発やめろ/COP25報告会 削減目標引き上げを


◆インド:経済悪化と社会危機(西海敏夫)
(内容紹介)
 「社会危機」とは「ヒンズー極右(反イスラム)」「反パキスタン」である「インドの安倍」モディにより、「カシミール問題でのパキスタンとの対立激化」「インド国内の反イスラム・ヘイト犯罪の増加」が発生しているという話です。
 「経済悪化」とは「経済のモディ」をウリにしてきたところ、深刻な不況に直面しているという話です。その不況の深刻さは「ネトウヨ」が騒ぎ立てる「中国や韓国の景気停滞」よりも明らかに深刻であり「中国や韓国がなくても日本にはインド市場がある(ネトウヨ)」などとは言えないレベルの深刻さです。
 かつこのような不況下では「インドと日本が手を組んで中国封じ込め(ネトウヨ)」どころの話ではありません。「中国ビジネスのインドにおける重要性」がますますアップしてきたわけです。

参考

イスラム教徒排除の動き?2つの政策に揺れるインド | 国際報道2020 [特集] | NHK BS1
・インドでは、先月(2019年12月)、国籍法が改正されたことに対して、各地で抗議が続いている。一部の州では治安部隊との衝突にまで至り、これまでに25人が死亡する事態に。
・インドの人口を宗教別に見ると、イスラム教徒は、ヒンドゥー教徒に次いで多く、インドの人口の14%程度、約1億7000万人にのぼる。こうしたイスラム教徒たちが“イスラム教徒への差別だ”と抗議している理由は2つ。1つは、先月、モディ政権が公約としてきた政策「国籍法の改正」が議会で可決、成立したこと。もう1つが去年(2019年)8月にインド北東部・アッサム州で公表された住民登録簿だ。これがイスラム教徒への差別だと受け止められているのだ。
◆混乱を生んだ政策(1)アッサム州住民登録簿の公表
 イスラム教徒が多く住むインド北東部のアッサム州では、州政府が去年8月に公表した住民登録簿が現地で不安を呼び起こした。
 この住民登録簿で、1971年以前に本人か、家族が、インドに住んでいたと証明できなければ登録簿から抹消され、無国籍状態となり、最悪の場合国外退去になる可能性がある。1971年といえば、イスラム教徒が多数を占める隣国バングラデシュが(ボーガス注:パキスタンから)独立した年で、この(ボーガス注:パキスタンとの)独立戦争の前後に、数百万人ともいわれるイスラム教徒がインドに流入した。この時期以降に不法に流入した移民を排除しようと作られたのが今回の住民登録簿。イスラム教徒など約190万人が居住を証明できず、無国籍状態になるおそれが出た。さらに、モディ政権は、この1971年以前に居住していたかどうかを確認するための住民登録簿の作成を(ボーガス注:アッサム州にとどまらず)全土に広める意向を表明。インドにいる約1億7000万人のイスラム社会に動揺が広がった。
◆混乱を生んだ政策(2)インド国籍法の改正
 一方で、この4か月後の去年12月、モディ政権は移民を救済するとして「国籍法の改正」を打ち出した。この改正では、迫害を受けてインドに逃れたバングラデシュアフガニスタン、それにパキスタンの3か国の出身者に、インド国籍を与えるとする。ところが、その対象は、ヒンドゥー教など6つの宗教の人たちだけで、3か国で多数派のイスラム教徒は対象外としたのだ。
 住民登録簿によって「無国籍」になり、国籍法の改正でも、イスラム教徒だけが救済されずに排除されるのでないか、イスラム教徒の怒りが爆発した。
◆モディ政権はなぜイスラム教徒に対して強硬な姿勢を取るのか?
 背景にはヒンドゥー教の教えに基づいた国作りを目指すヒンドゥー至上主義がある。インドでは、長年、ヒンドゥー教徒イスラム教徒の間で、対立が繰り返されてきた。支持基盤がヒンドゥー至上主義団体であるモディ首相はヒンドゥー教徒寄りの政策をとってきた。去年(2019年5月)の総選挙で圧勝したことで、よりその傾向を強めていて、1期目に実現できなかった国籍法の改正など、イスラム教徒への圧力ともなるような政策を実行に移している。
◆インドの理念を守れ!ヒンドゥー教徒も反発
 こうした政策はヒンドゥー至上主義者には強烈なアピールとなっている一方で、実はヒンドゥー教徒の間からも反発を招いている。
 ヒンドゥー教徒の大学生、リヤ・ドゥベイさん(22)は、授業の合間にデモに参加している。
「メディアではイスラム教徒だけの抗議デモだと言われていますが、そうではありません。(ボーガス注:ガンジーや初代首相ネールによって確立されたインドの国是である)インドの世俗主義を守るために抗議しています」(ヒンドゥー教徒の大学生、リヤ・ドゥベイさん)。
 “インドの憲法ではすべての宗教は平等”と小学生のころから教わるその理念が今、揺らいでいるとドゥベイさんは危機感を持っている。
 国際社会も厳しい目を向け始めている。国連人権高等弁務官事務所は、国籍法の改正はイスラム教徒への差別だとして懸念を示している。国の分断を招きかねない政策は、当面、インドを揺さぶり続けるとみられる。

 しかしウイグル問題では「中国がイスラム差別をー」という日本ウヨ連中、あるいは日本マスコミが「インド・モディ政権のイスラム差別」には何も批判をしないのだからそのデタラメさには改めてうんざりします(このNHK報道のようなモディ政権批判は日本では「ウイグル問題での中国批判」に比べたら実に少ない)。「日本ウヨ&日本マスコミ」連中はただの反中国、反共でしかありません。彼らのデタラメさは全く腹立たしい限りです(こうしたデタラメさについては西海論文も批判していますが)。
 そして「民主国家インド」において「多数派であるヒンズー教徒」の支持をバックにモディが「少数派イスラム差別」に走ってることで分かるように民族差別とは「民主化すればなくなる類の話」ではありません。インドのように「選挙民の多数が差別者」ならば民主化しても差別はなくならない(だからこそ違憲立法審査権があるわけです)。
 少なくとも短期的には「中国の民主化は『民主国家インドでのイスラム差別』のようにかえってチベットウイグルに対する差別を激化させる危険性があること」に注意が必要でしょう。

スズキ、19年4~12月純利益36%減 インドで苦戦 :日本経済新聞
・スズキが7日発表した2019年4~12月期連結決算は純利益が前年同期比36%減の1165億円だった。
・主力市場のインドは景気の減速で新車需要が落ち込んでいる。

「さっぱり売れない」インド新車市場 スズキなどに打撃:朝日新聞デジタル
 インドの新車販売の不振が長引いている。中長期的に人口増と経済成長が見込める世界4位の市場だが、様々な要因がからみあった不振に見舞われ、回復には時間がかかるとの見方が強い。インド市場を収益源とする日本の自動車大手の業績にも悪影響が出始めた。

インド経済失速、GDP+4.5%に鈍化(ニュースソクラ) - Yahoo!ニュース
 インド経済の失速が深刻になっている。
 昨年7~9月の実質GDPは4.5%と6四半期連続での成長鈍化となり、13年1~3月以来6年ぶりの低成長となった。産業別にみると、製造業の低迷(前年比-1.0%)が深刻だ。モディ政権成立後では2018年1~3月に8.1%と8%台を付けたのがピークであり、その後「メーク・インディア」(インドで作ろう)などの掛け声にもかかわらず、経済活動の水準は悪化をたどってきたわけである。
 さらにインド準備銀行は昨年12月に2019/20年度(19年4月~20年3月)の実質成長率見通しを従来の6.1%から一挙に5%に引き下げた。しかし、その予測ですら景気スローダウンを過小評価している恐れがある。
 GDPの過半のシェアを占める個人消費の低迷が深刻である。とくにインドの製造業の40%を占める自動車産業では深刻な販売低迷に直面している。昨年4~9月の自動車販売は前年比-23%の落ち込みとなった。二輪車販売は地方経済の先行指標であるが、これも前年比-16%の落ち込みとなっている。


◆西アフリカの通貨の行方:新通貨ECOの導入をめぐって(佐々木優*1
(内容紹介)
 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)において2020年より導入が計画されている新通貨ECOについて論じられています。

西アフリカで新共通通貨 「フランス支配の名残」と決別へ - 産経ニュース
 CFAフランはユーロとの固定相場。通貨の安定性が評価される一方、フランス政府の管理下に置かれ、加盟国から「植民地支配の名残だ」と批判されていた。
 ECOは引き続きユーロに固定されるが、各国が外貨準備高の50%をフランス国庫に預けるとの条項は撤廃。ワタラ氏は「今日は西アフリカにとって歴史的な日だ」とコメントした。

ということで「フランスからの自立」が目的の訳ですが、まだ導入されておらず、今後の動向に注目と言ったところです。


特集『非正規4割:働き方に未来はあるか』
◆インタビュー『日本の労働・雇用はどこまで変わったか:リビング・ウェイジ〔暮らせる賃金〕と「防貧」』(後藤道夫*2
◆生計費調査から見た子育て世帯のふつうの暮らし(中澤秀一*3
(内容紹介)
・後藤記事は『リビング・ウェイジ〔暮らせる賃金〕』という副題から、また中澤論文は『生計費調査』『ふつうの暮らし』というタイトルから想像がつくかもしれませんが、「賃金のアップ」、特に最低賃金のアップについて論じられています。

参考
主張/最低賃金1500円/中小企業支援強化がカギ握る


ハローワークの「就職氷河期世代」支援:必要な支援に不十分な体制(山田守)
(内容紹介)
 政府が打ち出した「就職氷河期世代支援プログラム」について論じられています。まだ始まったばかりで評価は難しいとしながらも「予算と人員が明らかに不十分であり、まず予算と人員を増やすことが必要」という論調です。


◆保育士が足りない:「公定価格」における賃金水準と職員配置の問題(小山道雄*4
(内容紹介)
 副題の『「公定価格」における賃金水準と職員配置(ボーガス注:基準)の問題』というのが「保育士が足りない」の回答になっている論文です。
 つまり
1)公定価格(国や自治体から保育所に支給される委託費)が低く抑えられているからこそ、コストカットのため「低賃金&少人数・長時間労働」が助長され、であるからこそ「保育士のなり手が少ない→足りない」
2)職員配置基準が低く抑えられているからこそ「少人数・長時間労働」が助長され(以下略)
と言う話です。
 当然ながら「公定価格と職員配置基準の引き上げ」が「保育士のなり手不足解決に必要」というのが小山論文の結論です。

参考
保育労働 過酷な現場/参院委で田村智子議員 配置基準見直せ
主張/保育園に入れて!/悲痛な声受け止め打開策急げ
保育報酬下げ 厚労省が撤回/自治体・施設などの批判受け/副食費実費めぐり


◆若者の自立とは何か:就労支援と社会福祉政策の課題(加美嘉史*5
(内容紹介)
 従来の「若者自立支援」において「就労を重視する」あまりに、「就労できない人間の挫折」を助長していないかという指摘がされています。


特集『行政のAI化は自治体をどう変えるか』
◆「スマート自治体」構想と公務労働(黒田兼一*6
(内容紹介)
 いわゆるスマート自治体について「公務のスリム化」を口実にしたサービス低下や「職員の非正規化」につながることがないようにすることが必要としている。


マイナンバーカード強制に反対する自治体労働者(佐賀達也)
(内容紹介)
 赤旗などの記事紹介で代替。

公務員にマイナンバーカード/総務省が強制ねらう
 総務省が「マイナンバーカード」の普及を促進するため、公務員にカード取得を半ば強制するような動きに出ています。政府の方針を受けて自治体当局と共済組合が一体になって、公務員と家族らに取得を「勧奨」するもので、自治労連の中川悟書記長は「任意とされるカード取得を事実上強制するもので許されない」と批判しています。

東京新聞:全公務員、マイナンバーカード 年度内取得 事実上強制:政治(TOKYO Web)
 政府が国・地方の公務員に、十二桁の個人番号や住所、氏名、生年月日が記録されたマイナンバーカードを二〇一九年度末までに取得するよう促していることが分かった。六~七月に、中央省庁や自治体などに対して、職員へ取得を促すことと、取得状況を報告することを指示した。カード取得は法律上の義務ではない。通知は事実上の強制だとの指摘もある。

マイナンバーカード未取得「理由提出を」 各省庁職員に:朝日新聞デジタル
 国家公務員らによるマイナンバーカードの一斉取得を進めるため、各省庁が全職員に対し、取得の有無や申請しない理由を家族(被扶養者)も含めて尋ねる調査をしている。内閣官房財務省の依頼を受けたもので、氏名を記入して上司に提出するよう求めている。調査を受けた職員からは、法律上の義務でないカード取得を事実上強要されたと感じるとの声が出ている。

マイナンバー カード強制はおかしい:北海道新聞 どうしん電子版
・政府は国・地方の公務員に本年度末までのカード取得を求めている。
・加えて問題なのは、公務員に対し、その家族も含め、カードの取得状況を調査していることだ。
 「強制と感じる」との反発が出ているのは当然である。
 交付を申請しない人には、その理由まで尋ねるケースもあるという。明らかに行き過ぎだ。


マイナンバーの利用拡大と「プロファイリング」の危険性(黒田充)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/マイナンバー運用/なし崩し拡大はあまりに危険
戸籍紐づけ 危険拡大/マイナンバー 戸籍法改定案に反対/藤野議員


生活保護行政の焦点:保護基準引き下げに抗する「いのちのとりで」裁判(田川英信)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などで代替。
生活保護は命のとりで/裁判支援 「全国アクション」設立
社会保障の再構築を/「いのちのとりで裁判」支援組織集い
守ろう生活保護費/いのちのとりで裁判 緊急集会開く
生活保護裁判の原告交流合宿/初の取り組み 「励まされた」/静岡・熱海
いのちのとりで裁判全国アクション


厚労省の生保基準「物価偽装」をただす(白井康彦*7
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などで代替。
生活保護費大幅削減のための物価偽装を暴く(白井康彦)
保護費引き下げのウラに物価偽装|いのちのとりで裁判全国アクション(白井康彦)

低所得者をさらに貧しくしている厚労省「物価偽装」の爪痕 | 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ | ダイヤモンド・オンライン
 2013年、“物価偽装”に最初に気づいた白井康彦氏(当時、中日新聞生活部編集委員)は、2014年、生活保護ケースワーカーを主対象とする雑誌『公的扶助研究』で、次のように述べている。
「昨年、食品の偽装表示が大問題になった。自分は『厚生労働省はもっともっと悪いことをした』と叫びたい」

貧困と生活保護(18) 生活扶助の引き下げに合理的な根拠はあったか? : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
生活保護下げるな、倉林氏 「物価偽装」で基準改定
生活保護削減 根拠ない/“物価偽装”を追及/衆院厚労委
浮かび上がる「物価偽装」 |高橋ちづ子(日本共産党衆議院議員)


◆真に実効性あるパワハラ指針の策定を求めて(新村響子*8
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

パワハラ 該当しない事例削除を/厚労省指針素案 宮本氏が主張
 指針素案は、「パワハラに該当しない例」の一つとして「経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること」と記されています。宮本氏は「違法な配転・降格、追い出し部屋*9など違法なリストラを行う際の弁解として、使用者側がしばしば行う主張だ」とただしました。

ここが問題 パワハラ指針素案/対象狭く リストラ正当化も
 素案では、パワハラに該当する例と該当しない例を示していますが、これが問題です。
 例えば、管理職である労働者を退職させるため、誰でもできる業務を行わせることはパワハラだと指摘。一方で、「経営上の理由で一時的に能力に見合わない簡易な業務に就かせる」は、パワハラにならないとしています。
 全労連は、「追い出し部屋」など無法なリストラ手法を正当化する危険性を指摘。「使用者は違法行為について『経営上の理由』をあげる。責任逃れの弁解を例示することは許されない」として削除を求めています。

主張/パワハラ防止指針/救済阻害する素案は撤回せよ
 素案が示す「パワハラに該当しない例」は全く不適切です。とくに「経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること」を除外したことは重大です。企業で相次ぐ「追い出し部屋」など違法なリストラなどの正当化につながります。

「該当しない例」削除を/宮本氏批判 パワハラ指針案で/衆院厚労委
 宮本氏は、「懲戒処分に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること」についても、「JR西日本福知山線の大事故の要因となった『日勤教育*10のようなパワハラ研修が正当化されかねない」と削除を要求。パブコメの意見をよく反映させることも求めました。

正当化生む定義・事例残す■就活生・フリー救済明記せず/パワハラ指針労政審了承 公募意見を無視
 厚生労働省労働政策審議会の分科会は23日、職場のパワーハラスメント防止に関する指針を決定しました。指針案に1139件の公募意見が寄せられ大半が修正を求めていましたが、「すでに議論ずみ」だとして修正なく了承されました。
 リストラに使われかねない「処分を受けた労働者に別室で研修を受けさせる」ことや、「社会的ルールを欠いた労働者に一定程度強く注意する」ことは該当しないとしました。「一定程度」という恣意(しい)的解釈の余地を残したままです。


◆国際原燃料市場の歴史的な構造変化(萩村武)
(内容紹介)
 シェールオイルの開発によって米国が「世界最大の産油国」となっていることが取り上げられている。
 筆者の問題意識からもっぱら「米国が世界最大の産油国化→アラブ産油国やアラブ産油国によって形成されるOPECの政治力低下*11→トランプのイラン敵視とイスラエル傾斜」あるいは「石油産業保護のためのトランプのCO2削減論敵視」という観点から論じられている(もちろん「シェールオイル開発による米国の世界最大の産油国化」という現象はそうしたトランプ政権の「イラン敵視、イスラエル傾斜」「CO2削減論敵視」という観点以外からも論じる事が可能&必要であるし、そうした『イラン敵視とイスラエル傾斜』『CO2削減論敵視』はシェールオイル開発によって必然的にもたらされたわけではありません。あくまでも『トランプ政権が親イスラエル&反アラブ(特に反イラン)&環境軽視』であるがゆえに生じた事態です)。
 トランプ政権のそうした「イラン敵視、イスラエル傾斜」「CO2削減論敵視」という不適切な外交政策是正のために国際社会がどう立ち向かっていくかが問われているとしている(まあトランプが落選すれば事態は改善するでしょうが)。

参考

米、世界最大の産油国 外交・通商でトランプ流加速 :日本経済新聞
・米国の原油生産量が2018年、45年ぶりに世界首位に返り咲いた。
・親イスラエルに傾くトランプ政権は産油国イランの制裁強化をにらむなど、エネルギー地政学は歴史的な転換点を迎えた。
原油生産の拡大はトランプ流の外交・通商政策に拍車をかける。ポンペオ米国務長官は12日、テキサス州の会合で「豊富なエネルギーを外交の道具に使い、米国の国益を強力に追求する」と強調した。
・米国の増産がトランプ氏の警戒する原油価格の高騰を抑え、イラン産を締め出しても市況への影響は限られるとの読みがある。
 トランプ氏は25日、イスラエルが1967年にシリアから奪ったゴラン高原の主権をイスラエルに認めた。シリアのアサド政権の後ろ盾となるイランはトランプ政権を痛烈に批判しているが、米国は親イスラエル路線を一段と鮮明にしている。
・長期で見れば原油生産の拡大は米国の「脱・中東」を招く。トランプ氏はシリア駐留の米軍撤収をめざすなど、中東から手を引く意向だ。

*1:明治大学助教

*2:都留文科大学名誉教授。著書『収縮する日本型「大衆社会」』(2001年、旬報社)、『反「構造改革」』(2002年、青木書店)、『戦後思想ヘゲモニーの終焉と新福祉国家構想』(2006年、旬報社)、『労働、社会保障政策の転換を:反貧困への提言』(共著、2009年、岩波ブックレット)、『ワーキングプア原論』(2011年、花伝社)など

*3:静岡県立大学短期大学部准教授

*4:全国福祉保育労働組合副委員長

*5:仏教大学教授

*6:明治大学名誉教授。著書『戦後日本の人事労務管理』(2018年、ミネルヴァ書房)など

*7:中日新聞生活部編集委員。著書『生活保護削減のための物価偽装を糾す! :ここまでするのか! 厚労省』(2014年、あけび書房)

*8:日本労働弁護団事務局次長

*9:追い出し部屋については「追い出し部屋」不当/二審も勝訴「配転無効」/大阪高裁ソニー仙台TEC 「追い出し部屋」消滅/労組「リストラ暴走とめるまでたたかう」「追い出し部屋」撤廃/日立超LSIシステムズ 組合結成、運動で成果大企業のリストラ対象者受け入れ パソナ系会社に「辞めさせ部屋」/参院委で小池氏告発 厚労相「調査する」パソナ「辞めさせ出向部屋」/転職活動強いる片道切符参照

*10:日勤教育』については私服で乗務を監視/事故後も運転士に圧力/ビデオで隠し撮りまで/JR西日本日勤教育/恐怖だけ残った/黙ってないで声あげる福知山線脱線/「日勤教育」が事故誘発/事故調最終報告 JR西の安全管理批判、を参照

*11:当然ながら現状はOPECの減産による「第三次石油危機」という事態の可能性は低いわけです。OPECが減産しても米国が増産することでカバーできる上に、それが予想されるためそもそもOPECが『石油危機的な事態を狙って』減産に動くとも思えません(米国が増産して石油価格がだぶついているため、石油価格を上げるための減産ならあり得ますが)。むしろトランプ政権が「米国第一主義」から石油減産による脅しをかける可能性の方が高い。