日本政治雑感(2021年11/24日分)

西村智奈美が「所得の高い人から保険料をもう少し負担してもらって、再分配を行っていきたい」と述べた - kojitakenの日記

 読売の報道によると、立民の代表選のうち国会議員たちの動向では(ボーガス注:連合言いなりに野党共闘をぶち壊す可能性の高い)泉健太が1位、小川淳也が2位らしくて、ブログ記事を書く気力が著しく減退している

 げんなりですね。この点「今更の話」ですが「逢坂(枝野グループ)と西村(菅グループ)」で一本化すべきだったのではないか。勿論、どんな選挙結果が出ようが俺的には「野党共闘の継続」を主張し、立民新代表が野党共闘をぶち壊した場合は「共産支持、立民批判」をするだけですが。
 なお、id:kojitaken氏は「野党共闘を続ける公算の高い西村や逢坂」を支持。特に「所得再分配に高い関心のあるid:kojitaken氏」の理解では「所得再分配の問題に最も積極的に切り込んでいる西村」を「夫・本多平直の例の暴言を妻として当初かばおうとしたことを割り引いても」最も評価しているようです。

11月23日(火) 総選挙の結果をどうみるか(その1):五十嵐仁の転成仁語:SSブログ
〔以下の論攷は、『学習の友』No.820 、2021年12月号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕
 自民党は改選前の276議席より15減らして261議席になっていますから、敗北したことは明らかです。しかし、当初予想されていたほどではなく、最小限の敗北でふみとどまりました。単独過半数の233議席を超えただけでなく、常任委員会に委員長をだしても多数を占められる「絶対安定多数」の261議席に達しています。
 公明党は29議席から3増の32議席になりました。自民と公明の与党は306から293へと12議席減になっています。しかし、これに維新を加えた改憲勢力は334議席となって3分の1の310を大きく超えたことに注意しなければなりません。
 小選挙区では幹部の落選が相次ぎ、甘利明幹事長が敗北して辞意を表明し、石原伸晃元幹事長も敗北しました。野田毅自治相、若宮健嗣万博担当相、平井卓也前デジタル相、桜田義孝元五輪担当相、塩谷立文部科学相金田勝年元法相、原田義昭環境相山本幸三元地方創生相なども負けるなど、その打撃は数字以上のものがありました。
 自民党議席を減らしたのは、野党の分裂によるアシストがなく、安倍・菅政治の民主主義・立憲主義破壊やコロナ失政への強い批判があったためです。これまでの自公政権のあり方にたいして、有権者は明らかに「ノー」を突きつけました。
 しかし、それがこの程度にとどまったのは、自民党の「作戦勝ち」だったように思われます。菅前首相のままで総選挙をたたかっていれば、もっと多く議席を減らしていたはずです。総裁選でのメデイアジャックによって自民党への好印象と支持が高まり、それが消えないうちに、新内閣のボロが出ないうちに、コロナの感染拡大が収まっているうちに、総選挙での決着を急ぐという奇襲攻撃が功を奏したことになります。
 これにたいして、野党の側は「選挙共闘」という態勢を整えて迎え撃ちましたが、大きな試練にさらされました。立憲民主が110議席から14減で96議席、共産が12議席から2減で10議席、れいわは1から3議席で2増、社民は1議席で増減なしになったからです。
 ただし、共闘が一定の成果を生んだことは明らかです。289小選挙区中217で国民をふくめた一本化が実現しました。そうでなければ、小選挙区で甘利氏や石原氏などを落とすことは不可能だったでしょう。野党共闘は62選挙区で勝利し、惜敗率80%以上が54、1万票以内での敗北が31もありました。接戦にもち込んで次回への可能性を残した点でも、共闘には大きな意義がありました。
 それが十分な成果を生まなかったのは、立憲民主と連合(日本労働組合総連合会)の対応に問題があったからです。連合が共闘の足を引っ張り、それに遠慮した立憲民主が共闘に及び腰だという姿がみえたために、政権交代の「受け皿」として有権者に十分に認知されなかったのではないでしょうか。
 連合傘下のトヨタ労組が自民党に配慮して愛知11区で候補を取り下げたり、連合東京が12区で公明支援を打ち出したりするなど、疑問だらけの対応をくり返しました。このような連合に遠慮して、10月23日夜の新宿での野党共闘を呼びかける街頭演説の後、枝野氏が志位氏と2人で並ぶことを避けるという一幕もありました。
 これではブームが起きるわけがありません。このような中途半端なものではなく、本気の共闘こそがもとめられていたのではないでしょうか。共闘に問題があったのではなく、十分に機能できなかった点にこそ問題がありました。有権者に不安を抱かせず、沸き立つような期待感を高めることができるかどうかが、これからの大きな課題だと思います。

11月24日(水) 総選挙の結果をどうみるか(その2):五十嵐仁の転成仁語:SSブログ
 今回の総選挙で注目を浴びたのは、与党でなく野党共闘にも加わらない「第三極」政党の健闘でした。とりわけ維新は11議席から30増の41議席へと4倍近くも躍進し、国民民主も8議席から3増で11議席へと前進しました。この両党は独自性をアピールすることで、「漁夫の利」を得たのです。
 与党が支持できなくても、直ちに政権交代をもとめない有権者がかなり存在していました。これまでとはちがった政治を望み、政治を変えたいと願っていても、政権が代わることには不安を抱いたのではないでしょうか。このような人びとの「受け皿」になったのが「第三極」だったと思われます。
 維新は「遅れてきた右派ポピュリズム」で、岸田政権に飽き足らない極右や「改革」の旗印に幻想を抱く反自民層をひきよせたようにみえます。コロナ禍によって全国的に知名度をあげた*1維新副代表の吉村洋文大阪府知事の「人気」や地元大阪での地方議員や首長を総動員した組織力の成果でもあります。
 維新はこれまで自公政権の補完勢力でしたが、総選挙では意識的に対決姿勢を示して政権批判の「受け皿」をめざしました。これが功を奏しましたが、基本的には新自由主義で右からの政権批判勢力にすぎません。今回の選挙でよせられた期待にどれだけ応えられるかが、これから問われることになるでしょう。
今回の結果、決戦は来年7月の参院選と、その後の総選挙へと先送りされました。その決戦にむけて、野党共闘を本気の共闘へと質的に高めていけるかどうかが問われています。とりわけ、立憲にとっては連合の横槍を跳ね除けて本腰を入れた共闘にとりくめるかどうかが試されることになるでしょう。
 野党共闘は紆余曲折が避けられません。その発展によって政権交代が現実の課題となり、支配層は大きな危機感を抱いて必死に巻き返したというのが、現在の局面です。初めてのチャレンジで厳しい試練にさらされましたが、本格的な分断工作はこれからで臥薪嘗胆が求められます。共闘をまもり強化し、何が足りなかったのか、課題を明らかにして参院選での捲土重来を期さなければなりません。

 特にコメントはつけませんが、俺も概ね五十嵐先生と同意見ですね。

*1:とはいえ、吉村のコロナ対応は何ら評価できる代物ではないのですが、マスコミがまともに批判しませんからね。