テレ朝・おはよう時代劇『暴れん坊将軍3』第12話「絵草紙からくり心中」(1988年放送の再放送)(2023年12月22日記載)

◆第12話「絵草紙からくり心中」(2023年12月22日再放送)
 以下の通り、記事を紹介しておきます。

tv asahi|テレビ朝日
第12話「絵草紙からくり心中」
 近松門左衛門織本順吉)の書いた心中物語*1の影響で、若い男女の心中が相次ぎ、吉宗(松平健)は頭を痛めていた。そんな中、勘定方の役人・小西左内(入江武敏)と居酒屋の小女おきみ(荒井真理)の心中騒ぎが起こる。この心中に不審なものを感じ取った吉宗は、事情を聞くため、小女が働いていた居酒屋の女将おしの(服部妙子)に会ったのだが、どうも彼女の態度がおかしい。さらに、居酒屋の周りにヤクザ者らしい男たちがうろついているのも目に入る。やがて、その男たちは口入屋・大田屋駒造(長谷川弘)の店の者だとわかるが

 吉宗が「1684~1751年(将軍在位:1716~1745年)」、近松が「1653~1724年」なので「1716年(吉宗の将軍就任)~1724年(近松の没年)」ということで「暴れん坊将軍」の設定は時期的にはピタリとあっていますし、近松心中天網島』はちょうどこの時期(享保5年:1720年)の発表です。

暴れん坊将軍 III
第12話「絵草紙からくり心中」
 読本に影響され心中がもてはやされる風潮がワルに利用され、不正を告発しようとした勘定方役人の抹殺は心中に偽装される。この悪事を暴くプロセスに、なんと近松門左衛門が絡んでくるトンデモ設定。近松老人は心中禁止の布告を出したお上に逆らい、勘定方役人と町娘の心中事件を執筆して上梓しようとするが、事のからくりを新さんに教示される。
近松織本順吉。(ボーガス注:悪党連中に殺害されそうになり、吉宗に救われたことで)最後に「もしやあなた様は」のベタ芝居もあり。ここで否定しなかったのを後で田之倉のじい(船越英二)に怒られる上様、「巷を徘徊する将軍の絵草紙でも出されたらいかがなさる」と詰め寄られる。

暴れん坊将軍3「絵草子 からくり心中」感想 | カイバーマンのお仕事2 - 楽天ブログ
 夜更けに、勘定吟味役*2の屋敷をうかがう若い侍。
 ちんぴらくさい連中に拉致られ、(ボーガス注:若侍を拉致したチンピラたちに、若侍の恋人の)町娘も騙されて連れ出される。
 そして翌朝、二人は無理心中という形で見つかる。
 娘の勤め先の女将は「そんなわけない!」と騒ぐが、(ボーガス注:若侍と町娘を殺したと見られるチンピラたちに)無理やり黙らされる。
 近松門左衛門の心中ものが大流行。
 仕方ないので「心中法度例」発布*3
 上様だって、「出来ればこういう手は使いたくない」って言ってるんだけど。
 (ボーガス注:「心中法度例」の)高札をひっこ抜いた老人、心臓が悪く、め組に担ぎ込まれる。
 爺さんはやっぱり近松、先日の心中を調べて話を書く事を決意。
 (ボーガス注:心中について「他殺の疑い」があると)目安箱に投書したい女将だが、余計なことをしないよう(ボーガス注:若侍と町娘を殺したと見られるチンピラたちに)見張られている。
 それでも命がけで外出、同じく目安箱を目指す「め組小頭・半次郎」とぶつかって手紙が入れ違ってしまう。
 そして女将の投書は(ボーガス注:入れ違った女将の手紙『あの「心中」は心中を偽装した他殺に違いない』を、目安箱に入れた半次郎を通して)無事上様の下に届くのだが(ボーガス注:女将はチンピラに殺されてしまう)。
 「心中は弱者の最後の抵抗」
 処罰覚悟で例の事件を書いていた近松門左衛門、心中が人殺しのからくりに使われたことを聞き唖然。

あふろん@芝神明
◆心中法度令の事「今般発布致し候段、何人も心中せし事断じて許さず、これを禁ずるものなり」
◆(ボーガス注:近松役の)織本順吉さん、横浜出身。怪しい上方訛り
◆(ボーガス注:若山弦蔵のナレーション)
近松門左衛門は「心中天の網島」「冥途の飛脚」など数々の浄瑠璃や歌舞伎の名作を世に残した当時最も人気のあった作家である』
小林製薬、いくつCMあるんだ、コーワは同じCMをひたすらループしてたのに
◆新しい板前「左源太(笑)」。左源太って板前できるの?
◆左源太「頭が高いぞ、稲垣、このお方が誰か分からぬか!」
 稲垣「上様!」
 (ボーガス注:暴れん坊将軍では珍しい)水戸黄門パターン!
◆稲垣「出会え、出会え!」。(ボーガス注:「このようなところに上様がいるわけがない、上様の名を騙る偽者だ!」等と比べ)シンプル
◆(ボーガス注:エンドで流れる若山弦蔵のナレーション)
『上方に戻った門左衛門は、この後、二度と心中を題材に物語を書かなかった。吉宗と近松門左衛門の出会いはどの記録にも残っていない。それは二人の胸にだけ書き記された出来事だったからである』

 暗殺された若侍「小西」は勘定奉行「稲垣生馬(外山高士)」の配下。稲垣の不正に気づき、勘定吟味役相手に内部告発しようとしたところ、稲垣と癒着する口入屋「大田屋駒造(長谷川弘)」の子分に暗殺された。
 近松の支援者の一人である絵草子版元「但馬屋(高野真二)」も稲垣らと癒着しており、近松をおだてて小西の「心中」を心中物に仕立てて「犯行がばれないような偽装工作」を画策する。
 一方、女将の手紙を読んだ吉宗は「御庭番・左源太(三ツ木清隆)」を板前「源太」として女将の店に潜り込ませる。
 そして女将の店に現れる近松。心中物執筆のための取材ですが、チンピラによる殺害を恐れる女将は取材拒否。
 しかし、皮肉にも近松の登場で、チンピラ連中の背後にいる勘定奉行「稲垣」、口入屋「大田屋」は女将が近松相手に口を割ることを恐れ彼女を殺してしまいます(左源太が女将殺害を残念ながら阻止できない設定)。
 なお、近松は徳田新之介(吉宗)に「心中法度例」を「心中物があるから心中するのではない、心中物を見ても幸せな人間は自殺しない。心中物を禁止し、また心中者を重く罰する御上は勘違いしてる。善政で不幸をなくすことが一番の対策だ」と悪口します。
 小西の「心中」を心中物に仕立てようとする近松に、徳田(吉宗)は「あの心中は偽装殺人。あんたにあの事件をネタに心中物を書くことを勧めた但馬屋も、あの二人を殺した連中の一味だ」と告げ、心中物執筆を止めさせます。
 そして徳田に「心中の真相」を告げられ、勘定奉行の邸宅に乗り込む近松。その場には太田屋と但馬屋も。
 近松の書いた絵草子のタイトルは「巽橋からくり心中」。勘定奉行・稲垣らの悪事を暴く内容に、逆上した稲垣らは近松を拉致。そして近松を殺害しようとする稲垣らを吉宗が成敗。

*1:近松の心中物としては『曽根崎心中』 (元禄16年:1703年)、『心中天網島』(享保5年:1720年)など(心中物 - Wikipedia参照)

*2:勘定奉行郡代、代官の行う支出に不正がないか監査する役職

*3:江戸幕府は、心中の流行を阻止するため厳罰で応じた。心中した男女を罪人扱いとし、双方とも死んだ場合は葬儀、埋葬を禁止し、一方が死に、一方が生き残った場合は生き残った方を殺人罪で死罪とし、また両者とも生き残った場合は非人身分に落とした。1722年(享保7年)には心中物の上演を禁止した(心中 - Wikipedia参照)