テレ朝・おはよう時代劇『暴れん坊将軍3』第41話「お庭番を愛した女」(1988年放送の再放送)(2024年2月2日記載)

◆第41話「お庭番を愛した女」(2024年2月2日再放送)
 以下の通り、記事を紹介しておきます。

番組詳細|テレビ朝日
第41話「お庭番を愛した女」
 甲府勤番を命じられた旗本・森塚主水正(小峰隆司)が、尾張伊賀忍者に殺されるという事件が起こった。吉宗(松平健)は、五年ほど前にも尾張忍者と公儀お庭番との間で暗闘があったことを思い出し、当時のお庭番で今では傷を負って役目を退いている野尻庄八*1(井上高志)を訪ねた。庄八は武士を捨て、船宿の女将で子持ちのお時(柴田美保)と近々所帯を持つことが決まっているという。だが後日、かつて病死したお時の夫・紋次(橋本和博)の父親・錦屋七右衛門が、尾張の隠密頭「野焼きの六兵衛」(内田稔)だったことを知った吉宗

暴れん坊将軍 III
第41話「お庭番を愛した女」
 尾張公がまたまた悪企み、配下の忍びを使い甲府勤番となった旗本「小野田陣左衛門」(北村総一朗*2)の不平不満を煽りクーデタを起させようとするが未遂に終わる。吉宗配下の元庭番「野尻庄八」(井上高志)と、尾張忍の夫「紋次」(橋本和博)を持ったことを知らずにいた寡婦「お時」(柴田美保)の愛が織り込まれる。
甲府勤番の小野田が、尾張忍の頭目・錦屋七右衛門(野焼きの六兵衛)にクーデタを吹き込まれるが意外や、「(ワシは幕府に不満はあるが尾張の家臣ではない、謀反を企むとは)尾張がそんなことまで」と激怒、「ワシはあくまで旗本」と言い張り消される。「なんだホントはいいトコもあるじゃん」設定。錦屋の内田稔も、孫娘まで手にかけよう*3とする尾張の手下を見て(「そこまで冷酷なのか」と)狼狽するあたり、人間味を見せる。かたや宗春(中尾彬)、尾張藩江戸屋敷に乗り込んできた上様の前で(「秘書(あるいは政治資金管理団体の会計責任者)が勝手にやったこと」の自民党議員同様に「部下の蜂屋が勝手にやったこと」とトカゲの尻尾切りで)配下「隠密支配の蜂屋左門(隠密頭・六兵衛の上役)」(黒部進*4)を刺すという猿芝居をやって(「そのような猿芝居でワシは騙されんぞ」とまで悪口され)思いっきり上様の不興を買う*5中尾彬がコワいとこもセコいとこも巧い。

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 不行跡やなんかで、甲府勤番に「山流し」になった二人の旗本。
 荒れていた二人のうち一人「森塚主水正」(小峰隆司)が自害に見せかけて殺される。
 もう一人「小野田陣左衛門」(北村総一朗)は、友を失い(幕府の懲罰人事で森塚が自害したと)大岡様に刀を抜くほど激昂。
 手口が尾張の伊賀者の仕業、ということで、黒幕も今後の展開も読まれている。

 ということで「森塚が小野田の友人」ということで予想がつきますが、「尾張藩主宗春が森塚を自害に見せかけ殺しながら、それをネタに『森塚を自害に追いやった幕府を許せるのか!』と小野田にクーデタを吹き込む」と言う酷い話です。
 早速「800両の借財を持つ小野田の借金肩代わり」をしたあげく小野田に近づく「錦屋七右衛門」こと尾張忍びの頭「野焼きの六兵衛」(内田稔)。
 御庭番左源太(三ツ木清隆)によって六兵衛の不審な動きを知る吉宗だが「背後にいるであろう宗春(中尾彬)」をおびき出すためしばらく彼らを泳がせる吉宗。

 これをどうやって阻止するか、が問題。
 それはさておいて?町に遊びに出た上様、元お庭番「野尻庄八」(井上高志)に接触
 紀州でのんびり暮らしているはずだったのに、いつの間にか江戸にやってきていた男、いきなりの再会に呆然となる。
 五年前、鉄砲が強奪され、彼一人が生き残った。
 元お庭番「庄八」の恋人「お時」(柴田美保)は裕福な未亡人。
 一年で亭主「紋次」(橋本和博)と死別、苦労して船宿を経営しつつ娘を育ててきた。
 が、舅「錦屋七右衛門」(内田稔)は再婚するなら孫娘を渡せという。
 しかも舅は尾張の伊賀者、しかもそのトップ「野焼きの六兵衛」とも疑われる。
 舅「(元御庭番の野尻庄八とつながりがあるとは)あの徳田という男、お庭番の頭かも」
 非情の忍びの想像力も、それが限界か(笑)。
 舅に娘を連れ去られた後家、「お前の亭主を殺した*6のは舅だ」と(吉宗に)言われて(夫や舅が忍びとは知らなかったお時は)混乱。
 自分が忍びの女房だったなんて知らなかった。
 舅は金で篭絡した旗本「小野田」にクーデターをけしかけるが、彼は譜代旗本の矜持までは捨ててなかった。
 奪い取った鉄砲*7も(錦屋を家宅捜索した幕府によって)取り返され、用済みとなった爺さんは孫諸共始末されることに。

 六兵衛の謀反そそのかしを拒否する小野田を口封じに殺害し、「錦屋が幕府の家宅捜索を受けたこと」で「もはや用済み」と「隠密頭」六兵衛と孫までも手にかけようとする隠密支配「蜂屋左門」(黒部進)。六兵衛は殺害されるが、孫は吉宗によって救われる。
 その場にいた尾張の忍び達を成敗する吉宗だが、蜂屋は取り逃がし、最後の「宗春の猿芝居」になる。

 尾張様は事件の首謀者?である隠密支配「蜂屋左門」(黒部進)を(「秘書(あるいは政治資金管理団体の会計責任者)が勝手にやったこと」の自民党議員同様に「部下の蜂屋が勝手にやったこと」と)自ら殺して尻尾きりに成功。しかしお庭番めっちゃ贔屓な上様、かなりピリピリしてた。

あふろん@芝神明
◆小峰さん(名前のない役も多いところ)名前ありだったのに(すぐに)殺されてしまった
◆(「自害」に「幕府のせいだ」と怒りまくる友人設定の北村さん)仲がよかったんだな~小峰さんと
◆井上高志さん今日は善人なのか
◆(庄八は六兵衛を探そうとして)全然平穏に暮らしてない(笑)
◆(義父「錦屋こと六兵衛」、夫「紋次」、恋人「庄八」と)周りが忍者だらけだったのに気付かなかったお時さん
◆(「ワシは尾張の家臣ではない、謀反などできるか」と、六兵衛相手に)唐突に気骨を見せる小野田
◆(小野田と六兵衛が蜂屋に)銃撃された!
◆(銃撃され重傷を負った)六兵衛に(蜂屋が刀で)とどめ!。新さん間に合わない!(但し孫娘は救う)
◆正体バレせずに殺陣
◆知らぬ存ぜぬで通す(宗春)
◆(蜂屋殺害を)「猿芝居」と(吉宗に)言われた宗春。なお、特におとがめなしの模様
◆(最後の若山弦蔵のナレーション)
 忍びの世界の非情さを世間の人々は知るよしもなかった。吉宗はお庭番や隠密などが必要ではなくなる時を望んでいる。せめて(元御庭番)庄八と(妻となった)お時が(お時の連れ子(紋次の娘、六兵衛の孫)である)お雪と三人で幸せに暮らしてくれる事を願う吉宗であった

白ぱんだ
◆「尾張大納言宗春」(中尾彬さん)、(隠密支配の)目付「蜂屋左門」(黒部進さん)に、自ら描いた絵画を下付。この辺りが、今回の黒幕でしょうか。
甲府勤番は、田之倉孫兵衛が言うように、俗に「山流し」とも称されるほど忌避された役目で、行状や勤務実績が不良な者に対する、左遷ないしは懲戒に相当する処分として命ぜられることが多々ありました。
◆(時代劇の設定に突っ込むのは大人げないですが)新之助ってば、いつも「め組の居候*8」「貧乏旗本徳田家の三男坊」と名乗るだけで、皆納得していますが、まずはどこの家中の者か名乗るのがマナーであるし、それが分からないと、身元不明扱いされても止むを得ないと思うんですが。浪人が不遇だった主な理由もそこですし。
◆「野尻庄八」(井上高志さん)は、(5年前に尾張藩忍びの襲撃で重傷を負ったことで)御庭番を解かれ、「お時」(柴田美保さん)を想い人として、江戸の町人「野田庄八」として穏和に暮らしている。しかし「お時」の義父でもある「錦屋七右衛門(尾張の忍び・野焼きの六兵衛)」(内田稔さん)は、何癖もある人物のようだ。
◆「錦屋七右衛門」は、小野田への六百両肩代わりも含め、甲府勤番を命ぜられた者に、多額の金子を都合している。甲府勤番を使って、謀反を企んでいることが疑われる。糸を引くのは「尾張大納言宗春」(中尾彬さん)
◆「錦屋七右衛門=野焼きの六兵衛」が、「お時」の子「お雪」を連れ出すところ、恋人「野尻庄八」が現れる。「お時」は、夫「紋次」を斬ったのが「野尻庄八」と知り、衝撃を受けるが、新之助が、とどめを刺したのは「七右衛門」だと正す。
◆「錦屋七右衛門=野焼きの六兵衛」は、「蜂屋左門」ら、尾張藩一味に裏切られ、待ち伏せを受ける。そこへ現れた新之助と御庭番。
◆上様は自ら、尾張藩上屋敷に乗り込み、「尾張大納言宗春」を問い詰める。「宗春」は、脇差を抜いたかと思うと、「蜂屋左門」を口封じする。

参考

三重:御庭番その実像は?:地域ニュース : 読売新聞2018.7.27
高尾善希*9三重大学国際忍者研究センター准教授
 テレビ時代劇「暴れん坊将軍」(テレビ朝日)の「御庭番」は、「吉宗」の代わりに悪者を成敗する役目。
 実在した御庭番は、深井雅海*10江戸城御庭番*11』(中公新書)で紹介されている。八代将軍徳川吉宗紀州藩から連れてきた下級武士で、紀州藩時代から情報探索を担当していた。別家あわせて26家。彼らの情報探索の仕事は、幕府上層部から旅行の命令と旅費の支給を受け、町人に変装して出かけて情報を集め、報告書を仕立てる、というものだった。
 もし危険であれば、調査対象が藩であった場合、「藩領にまで踏み込まなくてもよいぞ」と、わざわざ断りを入れられるほど、危険を避けていた。フィクションの「御庭番」ほど危険な仕事ではない。また、実際の御庭番はメンバーも秘密ではなく、『武鑑』(幕府の職員録)に堂々と名前が載っている。

*1:但し現在の名は野田庄八

*2:「彼が一躍ブレイクした『踊る大捜査線』(1997年)での神田総一朗署長役」とは大分感じが違い、誰だかすぐにはわかりませんでした。

*3:但し、孫娘は吉宗により救われる

*4:1966年、TBS『ウルトラマン』の主人公であるハヤタ役として起用され「正義のヒーロー」として一躍有名になるが、その後は時代劇や刑事ドラマ、特撮番組で主にゲストとして悪役を演じるようになった(黒部進 - Wikipedia参照)

*5:宗春に悪口する吉宗ですが、本作では別に処罰も受けず、その後も陰謀を実行する宗春

*6:5年前の「鉄砲強奪」の際に、当時御庭番だった野尻庄八によって重傷を負わされた息子「紋次」を「もはや助からぬ」「幕府に捕縛されて口を割られては困る」と父・六兵衛が殺害

*7:錦屋に隠匿されていた

*8:め組に居住しているわけでも、め組から(用心棒などとして)生活資金をもらってるわけでもなく「普段は旗本徳田家の三男坊として旗本屋敷に居住(そのようにめ組には説明:勿論、実際は将軍として江戸城に居住)」し、たまにめ組に顔見せすることの何処が「居候」なのか疑問ですが。

*9:著書『忍者の末裔:江戸城に勤めた伊賀者たち』(2017年、角川学芸出版

*10:著書『徳川将軍政治権力の研究』(1991年、吉川弘文館)、『江戸城:本丸御殿と幕府政治』(2008年、中公新書)、『刀剣と格付け:徳川将軍家名工たち』(2018年、吉川弘文館)、『江戸城御殿の構造と儀礼の研究』(2021年、吉川弘文館)等

*11:1992年