今週の週刊漫画ゴラク(2024年12/27記載)(副題:オーバードーズ問題ほか)

 読まないと理解できない感想が多いですがご容赦ください。読んだ本 - 情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明の感想の形で書いていきます。

 年賀状じまい。>酒のほそ道ラズウェル細木

 普段は酒やつまみについての蘊蓄がメインな所、今回はそうではなく「酒席の場」とはいえ、年賀状じまいの話が専らされて俺的に残念です。
【参考】

企業の「年賀状じまい」半数に 帝国データ調べ - 日本経済新聞2024.12.13
 帝国データバンクは13日、年賀状を送ることをやめる「年賀状じまい」をした企業が約半数にのぼるとの調査結果を発表した。郵便料金の値上がりで発送コストが増加するなか、自社のホームページや電子メール、SNSで新年の挨拶をする企業が増えている。
 コストや事務作業の削減に加えて、「持続可能な開発目標(SDGs)」の観点からも年賀状じまいをするケースがあるという。
 年賀状の発行枚数は2004年分の約44億6000万枚をピークに減少が続いている。

「ほんとに負担」笠井信輔アナ 明かした“年賀状じまい“への葛藤に共感続々「350枚位毎年書いている」 | 女性自身
 12月24日、フリーアナウンサー笠井信輔*1(61)が“年賀状じまいの葛藤”について明かした。
 この日、Instagramで《皆さん!年賀状どうしてます?突然、猛烈に悩んでます 年賀状をしまうか?しまわないか?》と切り出した笠井アナ。
 自身の出演番組『おはリナ!』(TOKYO MX)でメインキャスターを務める山本里菜*2(30)が「もう年賀状じまいしました」「LINEで新年のご挨拶すれば充分で後悔はしていません」と話していたことを明かした上で、別の出演番組『ただいま!テレビ』(テレビ静岡)でも「年賀状じまいのハガキが人気」という特集を取り上げていたという。
 笠井アナは《一般的には葉書代が63円から85円に値上がったことが大きなきっかけとなっていることもわかりました》と明かすと、こう語った。
 《私、350枚位毎年書いているんですけども もうほんとに負担になってるんです》
 しかし、かつて『とくダネ!』(フジテレビ系)で共演した気象予報士天達武史(49)から「笠井さんには年賀状をやめて欲しくないです。とっても凝った、面白い年賀状を毎年書いてくださるので」と懇願されたといい、《今年やめるとなったら、それはもう大きなトレンドに乗ってるということなので それもありなのかなと 帰りのタクシーの中でこれを書いていて猛烈に気持ちが揺れています。帰宅したら家族会議しようと思ってます》と投稿。そして《果たして、どんな結論になるのかな?》と結んだ。

「年賀状じまい」加速 300枚出していた企業もゼロ枚へ 文具店は"皮肉なヒット商品”に複雑な表情 | TBS NEWS DIG (1ページ)2024.12.27
【平家達史NBC長崎放送論説委員
 近年では「年賀状じまい」という言葉も注目されています。
 まずは、今年も年賀状を出すのかどうか、そして出さないのであれば理由は何なのか、街の声を聞きました。
 インタビューで出てきた「年賀状を出さない理由」や「年賀状じまいを検討している理由」は
・書くのに時間がかかる
・制作費や郵便料金のコストがかかる
・メッセージアプリやメール・SNS等で代用できる
・今年10月の郵便料金値上げ
などがありました。
【住吉アナウンサー】
 実際に年賀状を出す人はどれぐらいいらっしゃるんでしょうね。
【平家】
 去年の暮れに文具メーカーが年賀状を出すかアンケートしたところ、「出す」と答えたのは、43.8%で、1979年の調査開始以来、初めて半数を割り込んだということです。年賀状を出すかどうかの判断に影響を与えそうなのが、今年10月の郵便料金の値上げです。はがきの郵便料金は63円から85円になりました。
【住吉】
 2003年のピーク時から34億枚近く減っているということは、個人間での年賀状のやり取りだけでなく、企業間においても変化が起きているということなんでしょうか。
【平家】
 はい。近年は企業同士でも年賀状を取りやめる動きが出ています。
 法人が年賀状じまいをする理由として言われているのが、
・経費削減
・業務負担の軽減
・虚礼廃止の一環
・デジタル化・ペーパーレス化
・環境への配慮
といったことです。
【住吉】
 まさに「逆風の中」という感じですが、ここで改めて、年賀状の良さも考えてみたいと思います。
【平家】
 先ほど紹介した文具メーカーの調査によると、年賀状の習慣があった方がいいと思う理由について、最も多かったのが「年賀状をもらうと嬉しい」という答えで、次いで、無いと「お正月らしくなくて寂しい」、「日本の伝統文化や独自の文化が衰退してしまいそうで心配」と続きました。
【住吉】
 4位に「会えない人との連絡が途絶えてしまい困る」とありますが、お世話になっている人に感謝の気持ちを伝えられるという事や、健康状態の確認ができるといったことも含まれていそうですね。
【平家】
 街の文具店を取材しました。皮肉にも年賀状じまいにすることを伝える商品もよく売れているといいます。
・石丸文行堂本店 平口淳子副店長:
「”終活年賀状”となっております。『本年を持ちまして年賀状を失礼させていただきます』という文言が書かれております。年賀状じまいシールというものも発売されておりまして、問合せはすごくあります。確かに年賀状じまいはここ数年進んでいますが、手書きの良さをもっと知っていただきたいなと思っております」

【参考おわり】

 (ボーガス注:オーバードーズのうち)風邪薬や咳止めシロップのジャンキーは(ボーガス注:一時、風邪薬や咳止めシロップの中毒患者だった)中島らも*3のエッセイ*4だったかでそういうの読んだ記憶がある。やってはいけない@湖西晶

 今回のネタは「一般市販薬(風邪薬、咳止め、睡眠薬、鎮痛剤等)のオーバードーズ(過剰摂取)」です。
 問題は、栄養ドリンク剤やカフェイン飲料を「CMで元気はつらつになると宣伝している」「コーヒー、紅茶等の一般的なカフェイン含有飲料と似たようなもので健康に大した問題はない」等と誤解し、甘い気持ちで大量摂取して健康を壊すようなケースを除けば、「オーバードーズ」は「不適切な使用方法によるカセットコンロの爆発事故」等のような「過失事故」ではなく、「リストカット」「過食症」等と同じで「薬物依存症」「自殺目的」等による「故意の行為(会社のパワハラ、家庭でのDV、ヤングケアラー等、辛い現実から逃れるための行為*5)」である点ですね。
 従って「アルコール依存症」「薬物(麻薬、覚醒剤)中毒」等と同じで、「過失事故」と違い「オーバードーズの危険性を広報すれば問題が解決する」という話*6になりません。場合によって当事者への精神医療が必要になるでしょう。
 また「ヤングケアラーやDV被害者の支援」等といった「弱者支援(オーバードーズの原因をなくすこと)」も当然重要な問題です。
 なお、確かに中島らもは一時そうした市販薬の中毒患者だったらしいですね(つまり最近、一般人の多くにまで、市販薬のオーバードーズが深刻に広がってるので騒がれてるだけの話で、市販薬のオーバードーズそれ自体は昔からあった)。
 まあ、らもの場合、「合法薬物のオーバードーズ」だけでなく「違法薬物(大麻)での逮捕」もありますが(中島らも - Wikipedia参照)。
【参考:中島らもと、咳止め薬(ブロン)中毒】

ブロンという咳止め薬について - ドロップアウトは健全に
 中島らもはかつてブロンについてこう書いた。
 「この咳止めシロップの人を縛る力は、(ボーガス注:ブロン乱用者にとっては)酒や煙草の比ではない」(中島らも『アマニタ・パンセリナ』集英社文庫、1999年)と。
 中島らもはシロップ状のブロンを愛用していたようだが、2016年現在、乱用目的でブロンを買う者の殆どは(ボーガス注:シロップではなく錠剤の)「エスエスブロン錠」を買い求める。
 基本的な事を書いておこう。ブロンはエスエス製薬*7から販売されている咳止め薬で、1980年代の中頃には既にその中毒が問題視されていたという。主な有効成分はジヒドロコデイン*8(以下コデイン)とメチルエフェドリン*9(以下エフェドリン)だ。コデインはざっくり説明するとオピオイド系の薬物で、ヘロインやモルヒネがその親戚みたいなものだが、それらに比べると効果は非常に弱い。エフェドリンは麻黄に含まれるアルカロイドで、覚せい剤の弱体化版のようなものだ。ダウナーのコデインとアッパーのエフェドリン、これらがちょうどいい塩梅でミックスされているので、多くのジャンキーに支持されている。
 10錠から15錠程度服用すると(最初からあまりたくさん飲むと後がしんどいので、少ない量からはじめる)最初はカフェインやエフェドリンのアッパーな効果が現れる。コレは「シャキーン」と形容される効きで文字通り気分がシャキーンとなる、掃除や単純作業に非常に向いている。僕もブロンを飲んだ後、部屋を2時間ほどかけてくまなく掃除したことがある。数時間経つと今度はコデインの効果が現れる。先ほどまでのシャッキリ感とは打って変わって、コデインはまったりとしたほのかな幸福感を与えてくれる。胸の奥の方からじんわりとこみ上げる暖かく優しい感触は独特で、母親の胎内を漂っているかのような安心感に包まれる。アルコールや睡眠薬と一緒に摂取する人もいるが、プラスに作用するかマイナスに作用するかは時と場合によるので、慎重に行おう。
 ブロンは、合法的に現実逃避したいというジャンキーには丁度いい薬だ、効果も申し分ないし、毎日一瓶空けてしまうくらい深甚な中毒に陥っていなければ、タバコ3箱分程度の値段でしばらく楽しめる。

ブロン遊びはもうやめよう | 酒無煙無日記帖
 故中島らも先生も自身のエッセイに「ええ年して笑われた」と書かれていますが、私も50近くまで止められませんでした。
 もともとブロン「遊び」が流行ったのは昭和の終わりの方じゃないかと思いますが、らも先生は「ゴミ箱にシロップの空き容器が溜まっていると『同士よ』と思った」そうですが、かなり流行したようです。錠剤とシロップがありましたが、飲みやすさからシロップが主流でした。
 厚生労働省の方でも問題になり、シロップの成分が変えられました。が、何故か同じ成分のままの錠剤が併売されており、同省も「1日1瓶まで」という通知を出します。
 薬局も商売です。真面目で立派な指導的薬局もあるのでしょうが、町外れの薬局には何瓶でも買える薬局がありました。通知を知らないのかもしれません。

一日に700錠も…蔓延するせき止め薬「乱用」はなぜ、なくならないのか | AERA dot. (アエラドット)2017.5.4
 ブロンの有効成分であるリン酸ジヒドロコデインと塩酸メチルエフェドリン。前者はモルヒネに似た鎮痛作用があり、後者には覚せい剤に似た覚醒作用がある。もちろん麻薬と比べれば効き目は弱いが、大量に摂取すれば同様の影響があらわれる。A氏はブロンを飲むようになって3年、「月に4万円はブロンに費やす」という重度の市販薬乱用者だ。
 麻薬や危険ドラッグの陰に隠れがちだが、A氏のような市販薬の乱用は(ボーガス注:中島らもなど)数十年前から存在した。そして現在、問題は根絶されるどころか、ますます根深く社会に蔓延しようとしている。
 市販薬は乱用しても幻覚などが出づらく、また価格も麻薬に比べて安いため、生活が破たんしにくい。結果、乱用者は誰にも知られることなく摂取を続けることになる。まさに「見えない薬物汚染」である。
 放置できる問題ではない。薬局に売っているという安心感からか、市販薬の乱用に陥る危機感は非常に低いが、その先に待つのは麻薬となんら変わらない地獄だ。
「市販薬にも依存性があります。徐々に飲む量が増えていき、ブロンの場合、1日に2瓶、約160錠を飲む乱用者はざらです。私が診察した最悪のケースでは、1日に700錠以上も飲んでいる患者がいました。これほど依存が進むと、いくら飲んでも倦怠感に包まれ、仕事にもいけず、人と会う意欲もなくなる。また、食欲もなくなり、やせ細っていきます」
「かといって、ある程度依存が進んだ状態で薬をやめるのもまた地獄。特にブロンの禁断症状は、覚せい剤よりもつらいといわれます。」(松本俊彦*10医師)
 国は、どのような対策を講じているのか。取材に答えた厚生労働省の担当者の表情は険しい。
 「乱用の恐れがある薬を一度に大量に購入しようとした場合、購入者に声掛けをするなど、販売者である薬局やドラッグストアに義務付けていますが、OTC医薬品(市販薬)は、消費者が選択をして購入するものなので、それでも法や制度で乱用を完全に防止することは難しいというのが実情です。厚生労働省の基本スタンスは、市販薬を飲む場合、定められた用法・用量を厳守してもらうよう指導することです」
 確かに、ドラッグストアなどでブロンなどを一度に複数購入しようとすると、ほとんどの場合「そんなに必要ですか?」などと声をかけられる。厚生労働省の調査では、大量・頻繁購入者に応対した薬剤師の81.4%が「使用目的の確認」を行っているという。しかし、繁華街を歩けば短時間で複数のドラッグストアをはしごすることは容易だし、近年ではネット通販でも市販薬は購入できる。これでは抑止力にはならない。
「私の経験上もっとも効果的なのは、家族が政令指定都市などにある精神保健福祉センターに相談にいくこと。心の問題に特化した保健所のような機関です。もちろん、相談するだけで事態がすぐに好転するわけではありません。しかし、不思議なのですが、家族がそうした取り組みを続けていると、乱用者本人もだんだん問題意識を持ち始め、治療を受けたり、使用量を減らそうとチャレンジしたりするようになります」(松本俊彦医師)

「痛い体験」を吐き出すことで自分が楽になっていく() | 現代ビジネス | 講談社(4/6)2014.8.30
小堀純
 らもさんブロン中毒でしたから、ブロンって咳止めの薬ですよね、月にブロン代が30万だと。で、禁断症状がひどくて、コレラのような下痢になって大変だったんだけど、やめるときはどうしたのかというと、飲もうと思うんだけど、明日にしようと思うんですね。今日は飲まずにちょっと置いとこう、もうちょっとあとにしよう、明日にしよう、とやってると抜けてくると。

若者襲う市販薬依存 せき止め100錠乱用も - 産経ニュース2021.9.11
 「『体が楽になるよ』と友人に勧められ、せき止め液を一気飲みした。最初は遊び半分だった」。
 薬物依存症の回復を支援するリハビリ施設「八王子ダルク」で生活支援員を務める男性(49)は20歳から20年間、せき止め液の乱用を続けていたと打ち明ける。
 気分の浮き沈みが激しくなり、自殺未遂も繰り返すようになった男性は、治療を受けながらダルクに入所。依存症を克服した現在は経験者の立場から、依存症患者を支援している。
 東京・歌舞伎町にある薬局。せき止め薬「ブロン錠」の陳列棚には「お一人様一個限り」「未成年の方には保護者に確認を取らせていただきます」と注意書きが貼られている。ブロンはアヘンに含まれるコデイン覚醒剤の原料であるエフェドリンなどが成分で、こうした情報が会員制交流サイト(SNS)などで共有されている。
 エフェドリンなどは乱用の恐れのある医薬品の成分に指定され、医薬品医療機器法(薬機法)に基づき、販売時のルールが定められている。ただ、国立精神・神経医療研究センターが行った調査では、大量販売する店舗が確認されたほか、若者側にも複数の店舗を回りながら、大量に入手するケースがあった。
 同センター心理社会研究室の嶋根卓也室長は「販売制限のない風邪薬なども薬物依存の対象になっており、規制の在り方を検討する必要がある。早期発見や未然防止のために、医薬品を販売する薬剤師の役割も大きい」としている。

「これで、ブロンを買うてきてくれへんか?」鮫肌文殊*11
 らもさんブロンを教えてもらったのもこの頃だった。
 いつもジャケットのポケットに1本、咳止めのブロン薬を忍ばせていて一気飲みする。
 ブロン薬を飲んでラリる「ブロン遊び」が社会問題化してるって記事を新聞で読んだことはあったが、本当にそんなことをしている人を見たのは初めてだった。
 「ブロンってエフェドリンっていう覚醒剤と同じ成分が少しだけ入っているんよ。だから一本、一気に飲むとラリる」
 「ブロン遊び」の流行を受けて製薬会社が成分を変えたので今はそんなことはない。しかし当時は、らもさんの言うようにブロンを一気飲みすると確かにラリった。甘ったるい液体、180ミリリットル入りの(ボーガス注:咳止めシロップの)瓶を飲み干すのはけっこう大変。飲んでみるとわかるが、絶対に途中で気持ち悪くなって「オエッ!」とえづく。
 しかし、それでも頑張って飲み干せば、頭がとろ~んとしてきて視界がボンヤリ。
(中略)
「鮫肌、ちょっと頼みがあるんやけど」
 雲雀丘花屋敷の駅前の薬局の前で、らもさんが千円札を2枚、手渡してくる。
「これで、ブロンを買うてきてくれへんか?キミの分も買ってええから」
「自分で行けばいいですやん」
「毎日毎日、ブロンばっかり買ってるやろ。もうここのオヤジに顔覚えられてて、最近、何のかんの理由つけて売ってくれへんのや。キミやったらまだ顔バレしてない」
「もうええ年したオトナなんやから、ブロンやめなさいよ」
 結局、買いにいくはめに。
 らもさんに貰った千円札を握りしめて薬局の中へ。
「ゴホッゴホッ、咳が止まらないんで咳止めのブロンをください」
 わざとらしすぎたか?
 店主がブロンを1本、袋に入れようとする。
 バレてないようだ。
「あ、すいません。もう1本もらえますか?」
 一瞬、怪訝そうな顔をする店主。
 オレ、ここぞとばかりに。
 「ゴホッゴホッゴホッ」
 なんとか2本買えた。
 薬局の前で待っているらもさんの元へ。
「らもさん、ブロン買えました」
「ありがと」
 2人で、すぐに箱から出して一気飲み。
 迎え酒ならぬ迎えブロンで乾杯。
 前夜の酒が残るまだ二日酔いの頭が、またもやとろんとろんになるのであった。

くすりの話 4 咳止め液が覚醒剤に? - 全日本民医連1997.4.1
Q:
 咳止めの薬が覚醒剤として使われていると聞きました。本当ですか?
A:
 かぜ薬のなかには、覚醒剤の原料であるエフェドリンや麻薬の成分であるリン酸ジヒドロコデイン、興奮作用をもつカフェインなどが含まれている場合があります。
 問題になっている市販の咳止め薬というのは、甘味料を加え、飲みやすくしている咳止め液のことです。この咳止め液には、リン酸ジヒドロコデインを含んでいるものもあり、乱用して薬物依存になるケースが増えています。覚醒剤と違って、誰でも気軽に買うことができることや甘味のある味、液状であることなどが乱用につながる要因になっています。

風邪薬で多幸感、10代むしばむ 元麻薬取締官が我が子の守り方伝授:日経ビジネス電子版2022.3.2
 風邪薬やせき止め薬などの市販薬を大量に摂取して、多幸感や高揚感に酔う10代の若者が急増している。2021年12月には、滋賀県守山市のアパートで女子高校生が死亡しているのが見つかった。死因は薬物中毒で、部屋に残されていたせき止め薬や睡眠導入剤などの空き包装シートには、医師が処方せずとも、ドラッグストアで手軽に買える市販薬が含まれていた。
◆瀬戸晴海(せと・はるうみ)氏*12
 「金パブ」って知っていますか? 一部の若者たちは「パブロンゴールドA」をそう呼ぶなどして、パブロンシリーズをはじめとする風邪薬を1度に20錠や30錠といった単位で摂取しています。せき止めシロップ薬の「新ブロン液エース」なども、よく使われています。毎日のように瓶ごとゴクゴクと飲み、「ブロン漬け」になっています。
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【参考:オーバードーズ

一般用医薬品の乱用(オーバードーズ)について (一般の方へ)|厚生労働省
 医薬品を、決められた量を超えてたくさん飲んでしまうことを指して、「オーバードーズ」と言われています。
 特に最近、かぜ薬や咳止め薬などを、かぜや咳の症状を抑えるためではなく、感覚や気持ちに変化を起こすために大量に服用することを指して(中略)います。
 医薬品は少しの量で身体に大きな作用を起こします。たくさん飲んでしまうと、身体に大きなダメージを与えてしまいます。例えば、風邪薬をたくさん飲みすぎると、「肝臓」が壊れてしまったり、死んでしまうおそれもあります。
 特に、薬局やドラッグストアで買える「市販薬」には、いろいろな成分が含まれているため、たくさん飲んで中毒になった時に、作用が影響し合って、原因が分からなくなる場合があり、治療がとても難しくなってしまいます。

市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)について|薬物乱用の基礎的知識|東京都保健医療局
 オーバードーズがやめられない方は、一人で抱え込まずご相談ください。
 また、ご家族の方も、本人が何に悩んでいるのかを探り、一緒につらい気持ちに向き合う姿勢を示すことが必要ですが、自分たちだけで解決しようとしてうまくいかず、こじれてしまうこともあります。
 まずは、医療機関精神保健福祉センター、保健所等に相談し、専門家のアドバイスを得ることが大事です。

薬の大量摂取 オーバードーズに走る女性たち 死のうと思って… - NHK クローズアップ現代 全記録2015.11.24

ODは支援への入場券 「また飲んじゃった」安心して言える場を:朝日新聞デジタル2024.12.14
◆記者
 市販薬のOD(オーバードーズ=過剰摂取)は、他の薬物依存とどう違うのでしょうか。
◆松本俊彦氏
 市販薬のODをするのは10~20代の女性が多く、学業を続けていて犯罪歴がないといった特徴があります。男性中心で非行歴がある人が多い、覚醒剤などの違法薬物の使用者とは異なります。ただ、共通する根本の問題は、トラウマ体験です。小さいころに虐待を受け、成人した後もパートナーから暴力を受けるなど「人生の大半の時期を被害者として生きてきた」人が多いです。
 若年層が市販薬を使うのは、合法で処方箋や保険証がなくても買えることが大きいでしょう。つらいと感じたときに周りの大人にSOSを出せる状況になかったり、家族の保護的な機能が弱かったりすると、市販薬をODしてしまうということです。


【参考:カフェイン中毒

カフェインの過剰摂取について:農林水産省
 市販のエナジードリンクや眠気覚まし用の清涼飲料水など、食品添加物としてカフェインを一定量以上添加した清涼飲料水については、「カフェインを多く添加した清涼飲料水(いわゆるエナジードリンクを含む)の表示に関するガイドライン」において、1本あたりのカフェイン量の表示等を行うこととしています。
 それらの飲料における成分表示の多くは、含まれるカフェインの量が100 mL当たりの濃度で書かれており、缶や瓶1本当たりにすると、コーヒー約2杯分に相当するカフェインを含むものもありますので、1日に何本も飲まないように気をつけましょう。

厚生労働省食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
急増!カフェイン中毒 その症状とは 致死量以上の過剰摂取で死亡例も・・・ - NHK クローズアップ現代 全記録2017.9.21
受験期のカフェインとりすぎに注意! | NHK | 健康2024.1.19
エナジードリンクが「依存症」の入り口に…カフェイン過剰摂取で「命の危険」 子どもも大人も要注意:東京新聞デジタル2024.4.11
「お酒のエナジードリンク割りは危険」農水省が注意喚起 動画の影響?問い合わせ相次ぐ - 産経ニュース2024.5.15

*1:1963年生まれ。1987年、フジテレビに入社。1997年3月31日から、夕方の報道番組『FNNニュース555 ザ・ヒューマン』メインキャスターを担当。1998年3月30日からは、午前の情報番組『ナイスデイ』で総合司会として出演。1999年から2019年9月まで『ナイスデイ』の後番組『情報プレゼンター とくダネ!』のサブ司会を、2007年7月から2019年9月までアナウンス室専任部長(情報担当部長)を務めた。2019年9月30日付けでフジテレビを退職しフリーアナウンサーに転身。著書『増補版・僕はしゃべるためにここ(被災地)へ来た』(2016年、新潮文庫)等 (笠井信輔 - Wikipedia参照)

*2:1994年生まれ。青山学院大学在学中からスプラウトセント・フォースの関連会社)所属のフリーアナウンサーとして、『グッド!モーニング』(テレビ朝日)などに出演。2017年、TBSテレビ入社。2018年、TBS『サンデージャポン』のアシスタントと『爆報!THEフライデー』の進行役に就任。2021年に、2020年4月から『バクホウ』と改題されていた『爆報!THEフライデー』の放送が3月で終了したことを受けて、『ジョブチューン』のアシスタント(田中みな実の後任)へ異動。2023年10月31日付でTBSテレビを退社しフリーアナウンサーに転進(山本里菜 - Wikipedia参照)

*3:1952~2004年。1986年、「笑殺軍団リリパットアーミー」を結成、脚本執筆のほか、俳優として自ら出演(2001年に退団)。1987年、勤務していた広告代理店・日広エージェンシーを退社、「有限会社中島らも事務所」を設立し作家活動を本格化させる。1992年、『今夜、すべてのバーで』(1991年、講談社→1994年、講談社文庫)で吉川英治文学新人賞を、1994年、『ガダラの豚』(1993年、実業之日本社→1996年、集英社文庫)で日本推理作家協会賞(長編部門)受賞(中島らも - Wikipedia参照)

*4:おそらくは『アマニタ・パンセリナ』(1999年、集英社文庫

*5:麻薬、覚醒剤などの違法薬物と違い1)薬局、ドラッグストアなどで入手が容易、2)大量服用せず適切な使用に留まる限り、害はない(依存性も違法薬物に比べれば低い)ので「不適切な使用であるオーバードーズ」の場合でも「いつでも止められる」と思いがちと言う点で「行為のハードルが低い」点は問題ではあるでしょう。

*6:このマンガでの過去のテーマはそのほとんどが過失事故ですが。

*7:現在はOTC(市販向け)医薬品の製造販売に特化。かつて行っていた医療用医薬品事業は、2005年4月1日に撤退(久光製薬に譲渡)(エスエス製薬 - Wikipedia参照)

*8:オーバードーズが問題視され、2014年6月より、「濫用の恐れのある医薬品の成分」として、ジヒドロコデインを含有する一般用医薬品の販売が、12歳以上、1人1箱に制限されている(ジヒドロコデイン - Wikipedia参照)

*9:1885年(明治18年)、長井長義(1845~1929年、東京帝国大学名誉教授)が漢方薬・麻黄(マオウ)から単離抽出した。現在、オーバードーズが問題視され、2014年6月より、「濫用の恐れのある医薬品の成分」として、エフェドリンを含有する一般用医薬品の販売が、12歳以上、1人1箱に制限されている。また世界アンチ・ドーピング機関の禁止薬物である。アメリカの水泳選手リック・デモントは、1972年のミュンヘン五輪400メートル自由形で金メダルを獲得したが、ドーピング検査でエフェドリンが検出され、メダルを剥奪された。デモントのチームドクターは「デモントは幼少期から喘息を患っており、その対処にエフェドリンは必須」と訴えたが、IOCは例外を認めなかった。日本の柔道選手「田知本遥(2016年リオ五輪柔道女子70 kg級金メダル)、緒方亜香里」は、2015年2月のドイツでの柔道グランプリ大会を、アンチ・ドーピング規則に抵触する恐れがあるとして欠場した。日本から持ち込み服用した風邪薬に、メチルエフェドリンが含まれていたためである。またエフェドリンを加工することで覚醒剤メタンフェタミン(日本ではヒロポンの商品名で一時公然と市販されていた)を製造することが可能(エフェドリン - Wikipedia参照)

*10:著書『アルコールとうつ・自殺』(2014年、岩波ブックレット)、『薬物依存症』(2018年、ちくま新書)等

*11:1965年生まれ。近畿大学在学中に、NHK大阪放送局の若者向け討論番組に出演。この番組で中島らもと共演したことをきっかけに、中島が出演していた読売テレビの番組『なげやり倶楽部』(1985年10月19日から1986年1月25日まで放送)の放送作家としてコント台本を執筆する。1990年、中島と親交のあった松尾貴史にスカウトされ、松尾が在籍する芸能事務所「古舘プロジェクト」に放送作家として所属(鮫肌文殊 - Wikipedia参照)

*12:厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部部長など歴任。著書『マトリ:厚労省麻薬取締官』(2020年、新潮新書)、『スマホで薬物を買う子どもたち』(2022年、新潮新書)、『ナルコスの戦後史:ドラッグが繋ぐ金と暴力の世界地図』(2023年、講談社+α新書)