私が今までに読んだ本の紹介(同和問題編)

同和問題の本もいくつか持っているので紹介。

同和利権の真相1〜4」「同和利権の真相スペシャル:ハンナン浅田満『食肉利権』の闇」(宝島社)*1
→誤解されたくないのでお断りするが宝島社の他の利権云々本(「北朝鮮利権」「中国利権」「男女共同参画利権」)はネトウヨレベルのバカが書いた、ただのゴミだと思っています。念のため。話はずれるが、宝島社はネトウヨに媚びたゴミ本が多すぎる(まともな本もあるが)。それと読者無視がひどい。
例:月刊宝島の扱い(サブカル雑誌→お姉ちゃんの裸とかがメインのエロ雑誌→経済誌東洋経済とかの劣化コピー))
  月刊「宝島30」の突然の休刊
しんぶん赤旗取材班「食肉利権に踊った二人のドン」(新日本出版社*2
奥山峰夫「部落差別撤廃論をめぐる批判的研究」(部落問題研究所)
杉之原寿一「現代部落解放運動の理論」(兵庫部落問題研究所)、「部落解放の『虚構理論』批判」(部落問題研究所)*3
鈴木良「水平社創立の研究」(部落問題研究所)
東上高志「同和教育の終わり」(部落問題研究所)
畑中敏之「身分・差別・アイデンティティ」(かもがわ出版

・私が同和問題に興味を持ったのは高知の「モード・アバンセ事件」がきっかけである。
(私は埼玉*4に住んでいるが、義務教育では同和教育があったのだが、高校以降は意識することがなかったので)
 この問題について共産党は、部落解放同盟(以下「同盟」)の運動のあり方にも問題があると批判していた。また、これをきっかけに、「同盟」(民主・社民系)以外に「自由同和会」(自民党系。「同盟」に対抗し、保守派が結成。同和会と略称)、「全国部落解放運動連合会」(共産党系。朝田善之助「同盟」委員長(当時)の組織運営を批判するグループが「同盟」を脱退して結成。全解連と略称。現在は全国地域人権運動総連合(全国人権連)に発展的解消)があることも知った。
 「同和問題とは現在、いかなる状態なのか」「何故共産は『同盟』を批判するのか」「人権団体なのに共産が批判するほど『同盟』は問題を抱えているのか?」などの疑問を持ったわけである。
・以下は「同和利権問題」と「糾弾問題」についてのみ感想を述べる。「同和利権問題」については「同盟」も批判されてしかるべきところがあるのではないか。同盟の運動に関して、構成員が犯罪(行政への強請たかり等)を起こして逮捕されているのだから(もちろん批判者には同和会全解連の方など政治的に対立する方がいるのである程度割り引いて読む必要があるだろうが)。これらの本を読む限り、「同盟」には反省の意思が足りないと言わざるを得ない。
同和利権の真相」に対しては「同盟」側は「『同和利権の真相』の深層」(解放出版社)を出しているが正直感心しなかった。言ってることは「真相」や共産は偏ってるなんだもの。例え偏ってるとしても、不祥事の指摘は事実だし、反省してしかるべきだろう。なお、「真相」以降も森功「同和と銀行」、溝口敦「食肉の帝王―巨富をつかんだ男 浅田満」(講談社)など同和不祥事の本が増えていること自体は良いことだと思う。玉石混淆だろうし、「石」は批判すべきだが。従来は共産や2団体、同和問題研究者などを除き「同盟」に対しては無視か賞賛がほとんどで批判など少なかったのだから。なお、「同盟」の不祥事は政財官の協力があったことに注意。末端はともかく、政財官上層部はぐるになって甘い汁を吸っていたのであり、同盟だけを非難は出来ない(政財官が絡む暴力団犯罪なども似たような物だろう)。
 また、暴力的な糾弾も、一時期は必要なこと(と言うか差別がヒドイ以上、抗議が多少乱暴になっても仕方がない、責められない、必要悪と言う認識。さすがに、積極的に支持はしない)だったかもしれないが、少なくとも早い段階で方向転換し、それをアピールすべきだったろう。今も糾弾が必要なほど、差別がヒドイとはさすがに思えない。糾弾の結果、「糾弾を恐れたマスコミが取り上げなくなる」→「同和差別の問題が見えなくなる(運動家や学者など一部の人間しか同和問題を取り上げなくなる)」という問題が生まれたように思うので。
(糾弾がなくても、日本のマスコミは差別問題をあまり取り上げないが)
 なお、これらの本は同和問題というと「同盟」ばかりが取り上げられる傾向があるがそれはいかがな物かとしている。大きな団体としては他に2団体(同和会全解連)、他にも小さな団体や団体に属さない個人もおり、それぞれ考えは違うのだから。

・最後に参考までに共産党の部落問題に対する見解の紹介。
部落問題の現状は?
http://www.jcp.or.jp/faq_box/001/990325_faq_dowa.html

*1:同和利権の真相スペシャル」は後に「西本願寺『スキャンダル』の真相!」(宝島社)と統合された物が「闇人脈:西本願寺スキャンダルと同和利権」(講談社+α文庫)として出版されている。

*2:2人のドンとは、牛肉偽装事件で逮捕された浅田満氏(ハンナンオーナー。赤旗曰く大阪のドン)と藤村芳治氏(フジチクオーナー。赤旗曰く愛知のドン)のことである。

*3:本書で批判されている「虚構理論」とは主として「同盟」の理論である(著者の立場はいわゆる「国民融合論」)。なお、著者は「同盟」が過去においては社会主義でなければ部落解放はあり得ないという立場だったにも拘わらず、近年「ケガレ」意識を強調する傾向にあると「同盟」を批判している。

*4:同和利権の真相2」によれば埼玉にも、恫喝で行政から仕事を受注する「三ツ和総合建設業協同組合」(三ツ和総建)と言う「同盟」系会社があるらしい(埼玉県民だが知らなかった)。全解連に送られた匿名告発文(全文が「同和利権の真相2」に掲載されている)は「同盟埼玉県連」のことを「民主主義の敵」「悪鬼羅刹」「魑魅魍魎」とまで非難している。