本の紹介

本多勝一『リーダーは何をしていたか』(1997年、朝日文庫)

最低レベルのメンテナンスが不備で遊覧船が沈没した(しかも全員死亡の可能性が高い)というのは、かなりやばい話だと思う(たぶんトムラウシのツアー登山と同じようなものもあったのではないか) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学) ツアー登山でも、本…

「星の王子様」(酒飲みの星・その他)

【その1】 「星の王子様」は「大人向けの童話」だと良く言われますが確かにそう思いますね。 小生が一番印象に残ってる「たぶん子どもにはわからない話」は王子様が「酒飲み(つうかどう見てもアル中ですが)の星」に行ったときの話ですね。以下はうろ覚え…

小佐田定雄『青春の上方落語』(2013年、NHK出版新書)

笑福亭鶴瓶、桂南光、桂文珍、桂ざこば、桂福団治、笑福亭仁鶴に修業時代のエピソードをインタビューしたものである。鶴瓶、文珍は以前は東京でも活躍していたのでなじみがあるが関東人の俺は、他はあまりよく知らん(仁鶴はNHK「生活笑百科」の司会として知…

大島渚『愛の亡霊』(ネタバレあり)

今回はid:Bill_McCrearyさんの『知名度は高くないが、実は名画・・・「愛の亡霊」』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/188d4924233af566e4aa1a0708d03989)で紹介されている映画『愛の亡霊』について触れてみましょう。McCrearyさんエントリのコメ欄に書こ…

大島渚『悦楽』(ネタバレあり)

今回はid:Bill_McCrearyさんの『1965年の加賀まりこ』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/56b6ee3b24d93538c55d237ad67eb6ff)で紹介されている映画『悦楽』について触れてみましょう。 しかし『棺の中の悦楽』を『悦楽』と短縮してしまったのはどうなんで…

不破哲三「古典への招待(中)」第8講「エンゲルス『「資本論」綱要』・『「資本論」書評』」

「ステマの元祖はエンゲルス」 http://blog.livedoor.jp/eientei/archives/51648609.html を見て「俺『マルクス・エンゲルス百年』は読んだことないけどこの話は不破本で読んだことがあるな」と思って調べたら手持ちの「古典への招待(中)」第8講「エンゲル…

【ネタ】アホにも程がある「嫌韓流」

「『マンガ』嫌韓流のここがデタラメ」と言う批判本を持っているのだが、その「批判本」で紹介される「嫌韓流」の登場人物の言葉がひどすぎる。 批判本p105 「日本を貶めるために事実をゆがめることさえやりかねない反日マスコミに騙されてはいけない」 書き…

メモ「小熊英二『1968』はトンデモ?」

「一人でお茶を」なるブログに次のようなエントリが立っていたので紹介。いや、こういう良記事が時々あるから週刊金曜日は侮れない。金光翔氏*1が批判する佐藤優を活用する限り、週刊金曜日を買う気は全くないが。他人のトンデモ(この場合、小熊「1968」)…

私が今までに読んだ本の紹介(ダビンチコード批判本編)

・「ダビンチコード」批判本を面白そうだなと思っていくつか持ってるので紹介。(1)皆神龍太郎*1「ダ・ヴィンチ・コード最終解読」(文芸社) (2)ハンク・ハネグラフ&ポール・L・マイヤー「ダ・ヴィンチ・コード:その真実性を問う」(いのちのことば…

私が今までに読んだ本の紹介:本多勝一「リーダーは何をしていたか」(1997年6月刊行、朝日文庫)

・著者は元・朝日新聞社会部記者。週刊金曜日編集委員。 ・本多氏の主要著書としては次のものがあげられる。 いわゆる冒険もの:「カナダエスキモー」、「ニューギニア高地人」 アメリカの黒人差別:「アメリカ合州国」 中国での日本の戦争犯罪:「中国の旅…

私が今までに読んだ本の紹介(食べ物うんちく編)

・「美味しんぼ」など、食べ物うんちく好きな私(ただし料理は作らないんだよな、苦手なので)としては、いくつかそういう本も持っているので紹介。(1)小林カツ代「実践・料理のへそ」(文春新書) (2)玉村豊男「回転スシ世界一周」(光文社知恵の森文…

私が今までに読んだ本の紹介:一ノ宮美成「橋下『大阪改革』の正体」(2008年12月刊行、講談社)(追記・訂正あり)

・本書は橋下徹・大阪府知事(当時)の批判本である。 私は、橋下の政治で最も問題なところは「ネオリベ」云々という政策内容よりも「下品」なところだと思っている。 彼の下品さを本書も批判している。それを、示すタイトルをいくつか紹介しよう(詳しい内…

私が今までに読んだ本の紹介:法政大学大原社会問題研究所「証言・占領期の左翼メディア」(2005年3月刊行、御茶ノ水書房)

・五十嵐仁氏のブログで紹介されていたので購入。 ・目次は以下の通り。なお、証言者の方はかなりの高齢なので既にお亡くなりになっている方もおられる。 証言1:『民衆新聞』の創刊と論説(吉武三雄) 証言2:『夕刊京都』と京都の左翼文化人(和田洋一)…

私が今までに読んだ本の紹介:韓東賢「チマ・チョゴリ制服の民族誌」(2006年6月刊行、双風舎)(追記・訂正あり)

・著者は元・朝鮮新報(朝鮮総連系の日刊紙)記者だそうだが、チマ・チョゴリ制服の存廃論*1が在日朝鮮人社会で議論されるたび、「チマ・チョゴリ制服の起源、歴史」について議論があまりされないことに疑問を抱いてきたという(なお、何かの是非が議論され…

私が今までに読んだ本の紹介(同和問題編)

・同和問題の本もいくつか持っているので紹介。「同和利権の真相1〜4」「同和利権の真相スペシャル:ハンナン浅田満『食肉利権』の闇」(宝島社)*1 →誤解されたくないのでお断りするが宝島社の他の利権云々本(「北朝鮮利権」「中国利権」「男女共同参画…

私が今までに読んだ本の紹介:柿田睦夫「現代こころ模様:エホバの証人、ヤマギシ会に見る」(1995年10月刊行、新日本新書)

・著者はしんぶん赤旗記者(本書刊行当時)。本書は赤旗連載記事を一冊にまとめた物。 (なお、最近新日本新書の新刊が出ていないようで残念だ) ・著者には本書以外にも「現代葬儀考」(新日本出版社)、「自己啓発セミナー」(新日本新書)、「統一協会」…

私が今までに読んだ本の紹介:山口雅也編「山口雅也の本格ミステリアンソロジー」(平成19年12月刊行、角川文庫)(一部ネタばらし有り)(追記・訂正あり)

・編者はミステリ作家。1989年に『生ける屍の死』でデビュー。 1995年には『日本殺人事件』で、第48回日本推理作家協会賞を受賞。 ・なお、角川文庫からは北村薫、有栖川有栖、法月綸太郎の編集による同様の「本格ミステリアンソロジー」も刊行されている。 …

私が今までに読んだ本の紹介(落語編)

・以前、五代目柳家つばめ氏の著書を紹介したが他にも落語家の書いた本を持っているので紹介。落語にそれほどの興味はないのだが、やはり話芸のプロの書いた本というのはそれなりに面白い。(1)鈴々舎馬風「会長への道」(小学館文庫) (2)金原亭伯楽「…

私が今までに読んだ本の紹介(追悼文集編)

・学者の追悼文集をいくつか持っているので、題名だけ紹介。「追想・具島兼三郎*1:良心を枉げて易きにつく者は悔いを千載に残す」(弦書房) 永原慶二*2追悼文集刊行会「永原慶二の歴史学」(吉川弘文館) 大石嘉一郎*3追悼文集刊行会「日本近代史研究の軌…

私が今までに読んだ本の紹介:「金田一耕助の新たな挑戦」(平成9年9月刊行、角川文庫)

・横溝正史賞受賞作家たち(佳作を含む)による、金田一耕助が活躍する短編集。 ・収録作品は以下の通り。亜木冬彦「笑う生首」 姉小路祐「生きていた死者」 五十嵐均「金田一耕助帰国す」 霞流一「本人殺人事件」 斎藤澪「萩狂乱」 柴田よしき「金田一耕助…

私が今までに読んだ本の紹介:林博史「戦後平和主義を問い直す」(2008年8月刊行、かもがわ出版)

・著者は関東学院大学教授。著書に『BC級戦犯裁判』(岩波新書, 2005年)、『シンガポール華僑粛清―日本軍はシンガポールで何をしたのか』(高文研, 2007年)、『沖縄戦―強制された「集団自決」』(吉川弘文館, 2009年) などがある。 氏のHPは http://www32…

私が今までに読んだ本の紹介(戦前日本共産党活動家紹介編)

・戦前の日本共産党活動家を紹介する本をいくつか持っているので、題名を紹介。小林栄三「不屈の知性―宮本百合子・市川正一・野呂栄太郎・河上肇の生涯」(新日本出版社) 藤田廣登「時代の証言者・伊藤千代子」「小林多喜二とその盟友たち」(以上、学習の…

私が今までに読んだ本の紹介:森雅裕「推理小説常習犯」(2003年4月刊行、講談社+α文庫)(追記あり)

・著者はミステリ作家。『画狂人ラプソディ』で横溝正史賞(現・横溝正史ミステリ大賞)佳作、『モーツァルトは子守歌を歌わない』で江戸川乱歩賞を受賞。 ・本書は、1996年にKKベストセラーズより刊行された物を文庫化したもの(文庫化に当たり加筆訂正が成…

私が今までに読んだ本の紹介:藤野豊「忘れられた地域史を歩く:近現代日本における差別の諸相」(2006年10月刊行、大月書店)

・目次は以下の通り。 序章.歴史学における地域 第一章.神奈川の水平社運動 第二章.別府・的が浜との出会い 第三章.奄美のハンセン病問題 第四章.熊本・本妙寺からの出発 第五章.「滅び行くアイヌ」像の復活 第六章.「紀元二六〇〇年」の記憶 第七章…

私が今までに読んだ本の紹介:今西一「国民国家とマイノリティ」(2000年10月刊行、日本経済評論社)

・著者は小樽商科大学教授(歴史学)。・目次は以下の通り。 第1章.西川長夫の国民国家論 第2章.国民国家論論争 第3章.馬原鉄男の部落問題研究 第4章.「自由主義史観」批判 第5章.近代日本の国民国家と部落問題 第6章.「アイヌ」史の終焉 第7章…

私が今までに読んだ本の紹介:工藤晃「エコノミスト、歴史を読み解く」(2008年3月刊行、新日本出版社)

・著者は元・日本共産党衆議院議員。経済政策担当者だったらしく、いくつか経済関係の著書(「90年代不況」、「経済学をいかに学ぶか」(以上、新日本出版社)等)があるが本書は歴史エッセイ本である。・目次は以下の通り。 1.狂言−自由、平等、理性、平…

私が今までに読んだ本の紹介:「北朝鮮版・力道山物語」(2003年3月刊行、柏書房)

・本書は北朝鮮で出版された「北朝鮮の英雄」*1力道山の伝記漫画の翻訳版。一応断っておくが、北朝鮮を理解する一つの素材として翻訳したのであって、柏書房や訳者がこの本の主張を全面支持しているわけではもちろんない。 ・反日的な部分(「民族差別で力道…

私が今までに読んだ本の紹介:南雲和夫「どう見る韓国・北朝鮮問題」(2007年10月刊行、本の泉社:追記・訂正あり)

・本書の目次は以下の通り。 第一章.新たなる誤解、拡大再生産の書:西岡力「日韓誤解の深淵」(亜紀書房)を斬る 第二章.佐藤勝巳現代コリア研究所所長の歴史認識を斬る 第三章.新井佐和子氏、豊田有恒氏、櫻井よしこ氏らを斬る 第四章.拉致問題への日…

私が今までに読んだ本の紹介:のなかあき子「北朝鮮行ってみたらこうなった」(2006年3月刊行、インデックス・コミュニケーションズ)

・著者はフリーライター(旅行関係の本が多いようだ)。 ・以前から謎の国(?)・北朝鮮に怖い物見たさ的な感情から一度行ってみたいと思っていたそうだ(別に、著者は政治的な関心はないようでそうした文章は出てこない)。*1 結婚を機に新婚旅行に北朝鮮…

私が今までに読んだ本の紹介:柳家つばめ(五代目)「創作落語論」(2009年6月刊行、河出文庫:追記・訂正あり)

・本書は新作落語(創作落語、現代落語とも本書では呼ばれている)の草分けとして知られる著者(既に故人)が自らの落語に関する考えを書いたもの。1972年に三一書房から刊行された物の復刻版。復刻するに当たって演芸評論家・大友浩と著者の弟子・夢月亭清…