新刊紹介:「前衛」2月号

 「前衛」2月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/publish/teiki-zassi/zenei/zenei.html
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは2月号を読んでください)

■公開連続セミナー「マルクスは生きている:第2回・マルクスの眼で見た21世紀の日本と世界」(不破哲三
(内容要約)
・前衛1月号「マルクスは生きている:第1回・大学時代にマルクスが必読な理由」の続き。今回で完結編。
・まあ、いろんなことを言っていてまとめづらいので、興味のあるところだけ適当に。
・日本について。日本は「ルールなき経済社会」(過労死とか)、「アメリカ従属国家」(基地問題とか)であって何とかしなければいけない。
・国際社会について。南米での左派政権(中道左派含む)の動きについて、我々は特に注目している。一般誌を読んでも欧米のことばかりなので、是非とも赤旗を読んでください。*1

渡辺治「新しい政治の第一歩と「構造改革」、改憲の行方―民主党政権の矛盾的性格と福祉・平和の政治実現への道」
(内容要約)
民主党政権の誕生自体は喜ばしいが二つの問題点がある。一つは民主党一人勝ちという問題である(社民、共産は現状維持にとどまり、国民新党に至っては議席を減らした)。
 もう一つは民主党には自民党以上に新自由主義的な勢力、復古主義的な勢力、対米従属的な勢力がいるという問題である。
民主党は経済政策で分ければ、「古き良き自民党的グループ」(田中派的なグループ)、「新自由主義グループ」(行政刷新会議事業仕分けはその典型ではないか?。芸術予算をカットし、文化人のすさまじい反発を買っていたではないか?。中曽根臨調や小泉財政諮問会議と同じではないのか?)、「社民グループ」の3つに分けられる。
・「古き良き自民党的グループ」(田中派的なグループ。国民新党に近い?)の典型は小沢一郎幹事長である。*2
 彼の実行した陳情一本化は「幹事長権力の強化(いわゆる小沢独裁)」と「小沢版利益誘導政治」ではないのか?(さすが西松建設水谷建設から闇献金もらった疑惑がある男だぜ!。田中角栄金丸信の弟子だったのは伊達じゃないぜ!)
・「社民グループ」(社民党に近い?)に頑張ってほしいが、彼らには「新自由主義グループ」(鳩山首相)、「古き良き自民党的グループ」(小沢幹事長)に対抗できるだけの政治リーダーがいないことが弱点である。
・この3グループの力関係(もちろん世論や社民党国民新党の動向も影響する)で政策が決まるため、民主党の政策はぶれるのである。
・当面の焦点として、小沢(←とっとと東京地検特捜部に逮捕されろ。特捜部も早く刑務所に入れろよ!)の言い出した国会改革(内閣法制局長官の国会答弁禁止)を阻止する事が重要。
・後、岡田克也(←沖縄県民の敵)がやる気満々な衆議院比例削減も阻止する事が重要。
・今後は民主は与党、自公は野党なのであり、共産は自公との連携も場合によっては考えるべき(比例削減問題なんか公明とタッグ組んでも良いんじゃないかな)。
・結論。民主党はあまり期待できそうにない。真の政治変革が必要だ。

■《新シリーズ》安保改定50年―日本の異常をただす
【山根隆志「「対等な同盟」の実態と変貌」】
(内容要約)
・日米同盟は対等とかいってる人間がいるけど「思いやり予算を負担させられる」「日米地位協定不平等条約」「核密約を結ばされたあげく、相談も無しに、核密約をばらされる」「沖縄基地問題でのアメリカの態度はすごい高圧的」で、どこが対等なんだよ!、と言う話。まあ、対等なら基地があっていいという話ではもちろんないが。

佐々木隆都立大学名誉教授に聞く「安保条約下の日米関係とはどういうものか(上)―新安保条約への道」】
(内容要約)
・新安保条約を岸信介内閣が結ぶまでの背景説明。もちろん冷戦がバックにあり、また安保による軍需を財界の一部が期待しているという要素もあった。

■多田清「「競争と淘汰」のもとで深刻化する私立大学問題」
(内容要約)
・日本の私立大学の多くが深刻な経営危機にある。これを何とかしなければならない。
・まず私立大学に対する助成をもっと多くすべきである。そうすることによって、私立大学が学費を下げることも出来、いわゆる官民格差(国立大学に比べ私立大学の学費が高いという問題)も解決することも出来る。
・また、早く国際人権規約(高等教育の無償化)の留保を止めるべき。
・近年私立大学が、財産運用(デリバティブとか)の失敗で多額の損失を出すケースが増えている(最悪の場合、経営破綻の原因になりかねない)。現在ほとんど規制が行われておらず、所轄官庁たる文部科学省が何らかの規制をかけるべき。

■石附澄夫「宇宙の軍事化をすすめる「宇宙基本計画」」
(内容要約)
・宇宙の軍事化をすすめる「宇宙基本法」(自公民の賛成で可決。社民、共産が反対)と「宇宙基本計画」(麻生内閣が決定)への批判。

■座談会「中小企業の発展こそ日本経済再生の力」(吉田敬一・大木寿・猿渡盛之・吉井英勝)
(内容要約)
・「中小企業の発展こそ日本経済再生の力」と言う立場から中小企業振興をどう進めていくかと言う座談会。
・吉田氏は学者、大木氏は労組幹部、猿渡氏は中小企業経営者、吉井氏は衆議院議員日本共産党)。

■論点
【「「混合診療解禁」は何が問題か」(北山藍子)】
(内容要約)
・「混合診療解禁」は医療の格差を生み、金のある人間はよい医療を受けられるが、貧乏人は受けられないという状況を生むので支持できない。
・「保険対象医療」が少ない現状では、「混合診療」を望む患者も少なくない(「混合診療」を認めないと、一部でも保険対象外があると全部保険対象外になるので)。
 しかしそれはむしろ、「原則、全部保険対象」(保険対象枠をもっと広げる)と言う方向で解決されるべきなのである。

【「諫早排水門の常時開放はただちに実施すべき」(馬奈木昭雄)】
(内容要約)
諫早排水門の常時開放はただちに実施すべき。
政権交代したから期待してたのに、赤松広隆農林水産相は何かにびびってるのか何もしてくれない!。絶望した!。赤松と彼を大臣にした鳩山首相絶望した!(久米田の真似)

■暮らしの焦点
【「居住の安定に逆行する定期借家制度導入・拡大」(船越康亘)】
(内容要約)
・「定期借家制度」は貧困ビジネスに悪用されるなどの問題があり、廃止(あるいは悪用を防ぐための抜本的改正)されるべき。日本経団連のように、そうした問題を放置して、定期借家制度の拡大を目指すなど許されない話である。

■文化の話題
【映画:マイケル・ムーアキャピタリズム」(児玉由紀恵)】
(内容要約)
・「ロジャー&ミー」(デビュー作。GMの大量解雇問題がテーマ)、「ボウリング・フォー・コロンバイン」(アメリカ銃問題がテーマ)、「華氏911」(アメリカが始めたイラク戦争がテーマ)、「シッコ」(アメリカ医療制度がテーマ)で知られる映画監督マイケル・ムーアの新作「キャピタリズム」(アメリカ資本主義がテーマ)の紹介。

【演劇:新劇百年記念・イプセン作品上演(菅井幸雄)】
(内容要約)
小山内薫自由劇場が創立公演を行ったイプセン「ジョン・ガブリエル・ボルグマン」を名取事務所が「新劇百年記念」として公演した。その公演の紹介。

■スポーツ最前線「サッカーW杯・ベースは「豊富な運動量」」(大住良之
(内容要約)
・サッカーW杯で大事なことは「豊富な運動量」である。90分間走れる体力がないと勝つことは難しい。

■メディア時評
【新聞:ビラ配布不当判決と新聞の使命(金光奎)】
(内容要約)
・共産支持者のビラ配布を住居不法侵入で有罪とした最高裁不当判決について朝日、毎日、地方紙各紙(北海道新聞信濃毎日、新潟日報山陽新聞愛媛新聞)が批判したことは評価できる。
・一方、読売、産経、日経が何の批判もしなかったことにあきれ果てた。反共だからか!
(さすが、デマ記事常習(産経)や世論誘導常習(大連立騒動やプロ野球ストの時の読売)はやることが違いますな)
 こうしたことを容認することは新聞の取材や販売にも支障が生じかねないとは思わないのか!(「取材活動での住居立ち入り」や「販売店の訪問活動(洗剤つけるから買ってくださいよ等)」が住居不法侵入で摘発される可能性があると言うこと。まあ、読売、産経、日経は権力べったりだからそのあたり御の字なんだろうが)

【テレビ:NHKドラマ『坂の上の雲』をめぐって(沢木啓三)】
(内容要約)
・「坂の上の雲」を作者・司馬遼太郎は「軍国主義礼賛」と誤解されることを恐れて生前映像化を許さなかった。映像化することは司馬を侮辱する行為ではないのか?。何故「司馬侮辱」に当たらないと思うのか、NHKと映像化を許諾した遺族はきちんと説明すべき。
・「坂の上の雲」の番宣が多すぎ。これはNHKや「坂の上の雲」に限らないが、番宣をニュースやワイドショーでやたら、しまくるのはいかがなものなのだろうか。

柳町秀一「原発の大地震への備えは大丈夫か」
(内容要約)
・日本の原発には活断層の上にあるなど、地震が起こると危険な原発がある(例:静岡の浜岡原発)。
・こうした原発は早急に運転を中止すべきではないのか?。
・もちろん、運転中止しない場合でも、耐震建築が十分か、防災対策は十分かという見直しは最低限必要。
・そもそも「トイレのない家」(廃棄物の最終処理が確立していない)と言われる原発を推進していくことに未来があるのかという問題もあるが。

■成宮まり子「青年の願いと未来へのビジョン―学生の"つどい"で日本共産党を語る」
(内容要約)
・筆者は共産党参議院京都選挙区候補(予定)。青年に関係する問題(大学の高学費、派遣切り等)を中心に、政治についての自己の考えや日本共産党についてアピール。

*1:南米の左派政権については参考文献として、新藤通弘「革命のベネズエラ紀行」(新日本出版社)などがある。

*2:以前、渡辺氏は「日本改造計画」などを理由に小沢を新自由主義派と見なしていたように思うのだが?。小沢が変わったという認識なのか、小沢に対する認識が不適切だったという認識なのかどちらだろう?。